製作国:日本
上映時間:49分
監督:内田吐夢
出演:小杉勇/山本礼三郎/吉田一子
尾崎士郎の「人生劇場」の青春編を内田吐夢監督が映画化した作品。フィルムセンターの「日活映画の100年 日本映画の100年」で鑑賞。上映時のタイトルは『人生劇場[無声版]』。118分あったはずの映画が49分の短縮版となっており、また内田吐夢監督発のトーキー映画だったにも関わらず、残念ながら無声版での上映でした。
辰巳屋の旦那・瓢太郎(小杉勇)は息子・瓢吉(飛田喜美雄)が立派な男になるよう、厳しく育てます。瓢吉が青年となり(青年以降は小杉勇二役)、大学進学を希望するころ、辰巳屋は傾きはじめていました。しかし、屋敷を抵当に入れ、瓢吉の大学進学を応援する瓢太郎。瓢吉は大学に進学するものの、学制改革に関係して退学となってしまいます。そして、借金取りに追われた瓢太郎は、瓢吉が男になってくれることを期待しながら、ピストル自殺を遂げるのでした……というお話。
というお話なのですが、本来118分もあったはずの映画が映画が半分以下の49分になっており、しかも無声映画化されてしまっているため、どうしてもダイジェスト版的な印象は否めません。それでも、小杉勇演じる瓢吉や、辰巳屋に忠実に仕える常(山本礼三郎)は確かに印象に残りました。
この短縮版では、父を愛し、自分の力を試そうとする息子と、その息子を信頼し、彼が立派になれば自分の身代などはどうなっても構わないという父の親子愛が印象的に描かれています。