今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

M:Theatre

ジョージ・ミラー(2015)『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

Mad Max: Fury Road
製作国:オーストラリア/アメリカ
監督:ジョージ・ミラー
出演:トム・ハーディ/シャーリーズ・セロン/ニコラス・ホルト/ヒュー・キース=バーン

あの『マッドマックス』(1979)シリーズの最新作、という認識でいいんでしょうか。前作『マッドマックス/サンダードーム』(1985)からなんと30年ぶりにシリーズ作品が作られました。

 これまでにメル・ギブソン主演で3本が製作された傑作アクション・シリーズの30年ぶりとなる第4弾。ジョージ・ミラー監督が2代目マックスにトム・ハーディを迎え、満を持して贈るハイテンション・バトル・アクション大作。資源も水も尽きかけ荒廃した未来を舞台に、独裁者ジョー率いる殺戮暴走軍団と、マックスが助太刀する反逆の女戦士フュリオサのノンストップ・チェイスが、3Dによるアドレナリン全開のド迫力アクション&バイオレンスで描かれていく。共演はシャーリーズ・セロン、ヒュー・キース=バーン、ニコラス・ホルト、ロージー・ハンティントン=ホワイトリー。
 石油も水も尽きかけ荒廃した世界。愛する家族を守れなかったトラウマを抱え、本能だけで生き長らえている元警官、マックス。ある日、資源を独占し、一帯を支配する独裁者イモータン・ジョー率いるカルト的戦闘軍団に捕まり、彼らの“輸血袋”として利用される。そんな中、ジョーの右腕だった女戦士フュリオサが反旗を翻し、ジョーに囚われていた5人の妻を助け出すと、彼女たちを引き連れ逃亡を企てたのだった。裏切りに怒り狂うジョーは、大量の車両と武器を従え、容赦ない追跡を開始する。いまだ囚われの身のマックスもまた、この狂気の追跡劇に否応なく巻き込まれていくのだったが…。

マックス役こそメル・ギブソンからトム・ハーディに交代したものの、監督は引き続きジョージ・ミラーが務めています。この人、『マッドマックス』のあと何やってたんだろう、と思って調べてみたら、『ベイブ』(1995)の製作なんかも務めていたんですね。また、第1作でトーカッターを演じたヒュー・キース=バーンが本作にも出演しているところもファンには嬉しい配役でしょう。

内容は、ただただひたすらカーチェイスしながら爆発したりぶつかったりバーンってなったりという、なんというかもう非常に頭悪い感じでとても楽しい。

前提としてどんな映画でも映画館で見たほうが面白い、ということはあるのですが、とりわけ本作については、ちょっとでも見ようかな、と思っている方は映画館で見たほうが絶対に数十倍くらい面白いです。

Mad Max: Fury Road (2015) on IMDb

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(2014)『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

Birdman: Or (The Unexpected Virtue of Ignorance)
製作国:アメリカ
上映時間:119分
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン/エドワード・ノートン/エマ・ストーン/ザック・ガリフィナーキス

『アモーレス・ペロス』(2000)で一躍有名になったメキシコ出身の映画監督アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の最新作で、2014年の米アカデミー賞作品賞と監督賞、脚本賞などを受賞したことでも話題になったのが本作。公開前にはアメリカ版ポスターと日本版ポスターの構成の違いについてもネット上の一部界隈で話題になったりもしていました。主演は『バットマン』(1989)で主演を演じたマイケル・キートンであり、本人のその経歴もあって、「バードマン」というアクション映画スターだった主人公が再起を目指す物語、という構成にかなりの説得力を与えています。

 「バベル」「BIUTIFUL ビューティフル」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が、かつてバットマン役で一世を風靡したマイケル・キートンを主演に迎え、公私ともにどん底状態の中年俳優が繰り広げる切なくも滑稽な悪戦苦闘の日々を、全編1カットという驚異の撮影スタイルで描き出すシニカル・コメディ。共演はエドワード・ノートン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ。アカデミー賞では、みごと作品賞をはじめ最多4部門を受賞。
 かつて主演した大人気スーパーヒーロー映画「バードマン」のイメージが払拭できずに、その後は鳴かず飛ばずの俳優人生を送るリーガン。私生活でも離婚に娘サムの薬物中毒と、すっかりどん底に。そこで再起を期してレイモンド・カーヴァーの『愛について語るときに我々の語ること』を原作とする舞台を自ら脚色・演出・主演で製作し、ブロードウェイに打って出ることに。ところが、大ケガをした共演者の代役に起用した実力派俳優マイクの横暴に振り回され、アシスタントに付けた娘サムとの溝も深まるばかり。本番を目前にいよいよ追い詰められていくリーガンだったが…。

以前『マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾』(2002)について、監督のアレックス・デ・ラ・イグレシアが「本作のラストにイーストウッドが出演してくれたら、もうそれで映画は成功したも同然だ」と言ったとか言わかったとかいう話がありますが(そして出演はならず)、本作はそういった意味でマイケル・キートンのキャスティングに成功した時点で、映画としてはまず成功したも同然、というような部分もある気がします。さらに、本作では劇中で何人ものハリウッド俳優(ライアン・ゴズリングとかメグ・ライアンとか)が実名で挙げられており、そういった点も映画のリアリティを高めることに一役買っているという印象があります。

ワンカットに見えつつも、一体どうやって撮ったのか非常に不思議な長回しなど、斬新な映像が話題になる本作ですが、そういった技巧的な部分を取り除いてみると、本作は「かつて栄光を掴んだ落ち目の男が、再起を賭けるストーリー」という、それこそキング・ヴィダー監督の『チャンプ』(1931)ではないですが、昔から繰り返し描かれてきたストーリーであり、そういった部分も観客に訴えかける要素でしょう。また、アカデミー賞受賞については、本作が「劇の映画」というアカデミー会員好みの題材であることも一因かもしれません。映画の映画とか好きですしね、あの人たちは。

才能はありながら、舞台をかき回すトリックスター的役回りを演じたエドワード・ノートンはさすがの上手さ。たまに若い頃のエド・バーンズみたいに見えたのは髪型のせいかなぁ……? 主人公リーガンの娘サムを演じたエマ・ストーンは、ぼくは『ゾンビランド』(2009)以来5年ぶりくらいに見たのですが、当時からチャーミングな女優さんという印象はありましたが、なんかかなりいい役者さんになったなぁ、という印象。特に中盤の長台詞のシーンの迫力はすごかった。

Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance) (2014) on IMDb

クリント・イーストウッド(2014)『アメリカン・スナイパー』

American Sniper
製作国:アメリカ
上映時間:132分
監督:クリント・イーストウッド
出演:ブラッドリー・クーパー/シエナ・ミラー/ルーク・グライムス/ジェイク・マクドーハン/ナヴィド・ネガーバン/サミー・シェイク

アメリカ海軍特殊部隊SEALsの隊員として、イラク戦争に参加した狙撃手クリス・カイルの回想録を、本ブログでは『夕陽のガンマン』(1965)に主演したことでも有名で、世間的には近年は『許されざる者』(1992)でのアカデミー監督賞受賞、『硫黄島からの手紙』(2006)などでの監督賞ノミネートで有名なクリント・イーストウッドがメガホンを取った戦争映画。

 米海軍のエリート部隊“ネイビー・シールズ”の兵士としてイラク戦線で活躍した伝説の狙撃手クリス・カイルの回顧録『ネイビー・シールズ 最強の狙撃手』を、巨匠クリント・イーストウッド監督で映画化した戦争アクション。2003年のイラク戦争開始以後、4度にわたって戦場に赴き、仲間の命を守るために実に160人以上の敵を射殺した英雄の知られざる葛藤と苦悩の軌跡を、家族を愛しながらも戦場から離れがたくなっていく主人公の強い使命感と、それゆえに抱え込んでいく深い心の傷に焦点を当て、緊迫感あふれる筆致で描き出していく。主演は「世界にひとつのプレイブック」「アメリカン・ハッスル」のブラッドリー・クーパー、共演にシエナ・ミラー。
 2001年のアメリカ同時多発テロをテレビで目の当たりにした青年クリス・カイルは、祖国の人々を守るために貢献したいとの思いを強くし、ネイビー・シールズで狙撃手としての過酷な訓練に励んでいく。やがてイラクに出征したクリスは、その驚異的な狙撃の精度で味方の窮地を幾度も救っていく。仲間たちから“レジェンド”と賞賛される活躍をし、無事に帰国したクリス。これでようやく、愛する妻タヤと生まれたばかりの長男と共に平穏な日常を送れるかに思われたが…。

本作が公開された際、戦争を美化しているとか、戦意高揚映画だとか(戦争映画が公開された際にお決まりの)批判も出たようですが、映画を見たぼく個人の意見としては、クリス・カイルという人物と真摯に向き合い、彼が書いた「真実」を、常にある程度の距離を保ちながら、冷静な視線で観客の前に広げた映画だと感じます。アメリカ軍人であるクリス(劇中ではブラッドリー・クーパーが演じています)の視点から見ている以上、アメリカ側の主張を裏付けるようなシーンが多くなってしまうのは否めませんが、イラク戦争の終結宣言が出されてからまだ4年。アメリカで第二次大戦を両陣営の視点を冷静に扱う映画が作られるまでどのくらいの時間を要したか(奇しくもイーストウッドは『父親たちの星条旗』(2006)、『硫黄島からの手紙』の監督でもある)、ベトナム戦争を両陣営の視点から冷静に扱った映画が今までどのくらい作られたか、を考えると、現時点ではこれが限界なのだろうな、と感じます。

一方で、サミー・シェイク演じるムスタファというシリア人のドラグノフ狙撃銃を持ったスナイパーとの射撃対決から、クライマックスのイラク民兵の総攻撃を建物に立てこもって少人数で待ち受けるシーンは非常に西部劇的、マカロニウエスタン的で、これは確実に意識して作ってるだろうな、というのが感じられます。というか、そもそも、現代の西部劇が戦争映画なのかもしれません。

また、エンドロールで流れる音楽がエンニオ・モリコーネが作曲した『続・荒野の1ドル銀貨』(1965)の劇中曲の引用です。これがマカロニウエスタンの音楽であるという一事をもって、この映画で流すのを受け入れ難い、なんていう寝ぼけたことを言っているバカ方がいらっしゃいましたが、『続・荒野の1ドル銀貨』の映画のテーマと、これが流れたシーンを知っていれば、そういう感想はでないはず。ちなみにこの楽曲のタイトルは「Funeral」葬送です。

ぼくのtwitterを見ている方はご存知だと思いますが、ぼくはペルシア語が少しできたりする関係で、イスラム思想を割と身近に感じており、そういった点でこの映画楽しめるかなぁ、とちょっと不安だったのですが、本作では登場する現地の人々(例えば、店の主人を殺されて怒る町の人々、例えば、クライマックスシーンで迫ってくる民兵たち)を、「イスラム教徒」という記号ではなく、しっかり描こうとしているように感じられ、不安はまったくの杞憂でした。ほら、よく、「アッラーフ・アクバル」って言わせておけばいい、みたいな(第二次大戦映画では日本兵の「バンザーイ」とかに当たる)ステロタイプがあるじゃないですか。あれがまったくなかった。

ちなみに、前半でクリスたちに情報を提供しようとして殺される、シャイフ(長老)・アル・オボディを演じたナヴィド・ネガーバンはイラン出身の俳優、主人公のライバルとも言える狙撃兵ムスタファを演じたサミー・シェイクはエジプト出身の俳優です。

 American Sniper
(2014) on IMDb

周星馳(2013)『西遊記~はじまりのはじまり~』

西游·降魔篇
製作国:中国
上映時間:110分
監督:周星馳
出演:文章/舒淇/黄渤/羅志祥

『ミラクル7号』(2008)以来5年ぶりとなる周星馳(チャウ・シンチー)の監督作。彼は実は以前にも『チャイニーズ・オデッセイ』(1995)二部作という、西遊記を題材にした作品を作っているのですが、今回の作品とは直接の関係はなく、『チャイニーズ・オデッセイ』を見ていたほうが面白い、というシーンは(たぶん)特になかったと思うので、『少林サッカー』(2001)以来の周星馳ファンも安心して楽しめる作品です。

本作は2013年の春節に香港、台湾で、その後中国本土で公開されたのですが、日本では一向に公開されるという話が出てこず、日本未公開になっちゃうかな、と思っていたタイミングで日活の新レーベル「GOLDEN ASIA」での公開が決定して、『食神』(1996)あたりから、欠かさず劇場で観ている周星馳ファンとしては非常にありがたかったです。

 「少林サッカー」「カンフーハッスル」のチャウ・シンチー監督が“西遊記”をモチーフに描く奇想天外ファンタジー・アドベンチャー・コメディ大作。主演は「トランスポーター」「クローサー」のスー・チーと「海洋天堂」「ドラゴン・コップス -微笑(ほほえみ)捜査線-」のウェン・ジャン。
 これは、三蔵法師が孫悟空たちと天竺目指して旅に出る前のおはなし。彼がまだ玄奘という名の冴えない妖怪ハンターの若者だった頃。玄奘は川に出没する謎の妖怪(後の沙悟浄)を退治しようと悪戦苦闘中。そこへ、美人の妖怪ハンター段が現われ、妖怪を鮮やかに退治する。山奥の料理屋にやって来た玄奘は、またしても謎の妖怪(後の猪八戒)相手に苦戦しているところを、突然現われた段に救われる。しかし一度は生け捕りにしたものの、豚から巨大なイノシシに姿を変え逃げられてしまう。やがて師匠から“あの妖怪を倒せるのは、五指山のふもとに閉じ込められた孫悟空だけ”と教えられ、五指山へと向かう玄奘だったが…。

前作の『ミラクル7号』は割とマイルドな人情ものだったので、星爺(周星馳の愛称)も落ち着いてきて、こういう路線で行くのかなぁ、と思っていたのですが、そんなことはなかった。むしろ『少林サッカー』とか『カンフーハッスル』(2004)よりやりたい放題でした。感覚的には、『食神』のクライマックスのハイテンションとんでも展開が最初から最後までフルスピードで展開される感じです。

Allcinemaのあらすじを見てもわかるとおり、本作は主人公である玄奘(文章)が自らの力と役割に目覚め、孫悟空(黄渤)、沙悟浄(李尚正)、猪八戒(陳炳強)を仲間にし、天竺へと旅立つまでが描かれる作品です。妖怪ハンター、という玄奘の職業が割合のっけからぶっ飛んでいる感じがしますが、周星馳作品なので、というか、ワイヤーアクションの伝統と伝奇物語の伝統がある香港なので(どうやら本作は完全に中国作品のようですが)、そこまで突拍子もない印象はありません。というか、そこで引っかかると話が先に進まないので……。そこはあっさり受け入れましょう。

振り返ってみると、ストーリー展開自体はそこそこ王道です。が、例によってどんなシーンでもお構いなしにギャグや小ネタを挟んでくるので、それで話が長くなっているというか、そこが見どころというか。制作費は大きくなって、CG使いまくって、音声が中国語(普通話)になったりしていますが、やりたいことは結局『食神』や『喜劇王』(1999)で完成されているという印象を受けました。ベースストーリーとしては、ダメな男(でもどこか見所がある)が一旦ボロボロになって、自分の眠っていた才能を開花させる……というのが基本パターン。毎回結末は一捻りしてあったりしますが。

また、周星馳は日本の漫画ファンだったり、武侠小説ファンだったりというのが有名ですが、本作の満月を見ると孫悟空や妖怪たちがパワーアップする、というのはおそらく「ドラゴンボール」のパロディでしょう。『DRAGONBALL EVOLUTION』(2009)で全然やりたいことをやらせてもらえなかったらしいので……ここで鬱憤ばらししたのかもしれません。武侠要素としては、今回分かりやすい金庸や古龍のパロディは(たぶん)ありませんでしたが、空虛公子(羅志祥)や北斗五形拳使い(行宇)、天残足(張超理)のキャラクターは非常に金庸の武侠小説的でしたね(突然現れる、人の話を聞かない、すぐ喧嘩する、など)。武術の造形は古龍っぽいかな。

今回監督作としては初めて周星馳は出演していないのですが、文章の役どころは15年くらい前だったらおそらく周星馳自身が演じただろうな、という役どころです。演出の仕方も周星馳主演映画に近い感じなので、従来の周星馳作品ファンも楽しめる作品に仕上がっています。ただ、文章は周星馳よりも少し真面目そうというか、根っから善人そうな感じですね。

今回、主演の文章は大陸出身の俳優ですが、段小姐役の舒淇は香港の女優です。また、空虛公子を演じた羅志祥は台湾で有名なポップ歌手でもあり、中香台の映画界の交流がますます盛んになっていることが伺えます。

アリ・ハムラーエフ(1974)『七発目の銃弾』

Седьмая пуля
製作国:ソビエト連邦
上映時間:84分
監督:アリ・ハムラーエフ
出演:スイメンクル・チャクモラフ/ディロラム・カンバロバ/ハムザ・ウマラフ

アメリカで制作された西部劇は世界的な流行となり、イタリアや日本でも西部劇を模倣した映画が作られました。一方で、当時政治的にアメリカと対立していたソビエト連邦は例外かというと、そんなことはなく、ソビエトでも60年代から70年代を中心に、西部劇を模倣した映画が数多く制作されました。そんな一連の映画はソビエトウエスタン、あるいは「イースタン」と呼ばれます(ソビエト製西部劇の多くは、モスクワから見て東方の土地を舞台としたため)。本作もそんな「イースタン」の一本です。

日本ではなかなか見られない作品ですし、本ブログが力を入れている西部劇でもあるので、以下では物語の結末まで書いています。

中央アジアのウチリガンに駐屯する赤軍部隊の隊長マクスーモフ(スイメンクル・チャクモラフ)。彼が部隊を離れている間に、歩哨中の兵士ウマルの礼拝を巡るいざこざから反乱が起こり、政治委員は殺され、部隊の兵士は殺されるか、土地の匪賊であるハイルーラ(ハムザ・ウマラフ)のもとに逃亡してしまいます。帰ってきたマクスーモフは、生き残っていた部下のハシーモフから事の顛末を聞かされます。

そんな時、一人の少女(ディロラム・カンバロバ)がマクスーモフのもとを訪ねます。アイグールと名乗る少女は、ハイルーラを殺して自分と結婚してくれと迫ります。正体を問い質すマクスーモフに対し、翌日に谷に来い、と言い捨てて少女は去っていきます。

ハシーモフと村人にウチリガンの守備を任せたマクスーモフは、単身谷に赴きます。そこにはアイグールを引き連れたハイルーラの部下たちが待ち受けていました。自ら捕虜となり、自分をハイルーラのもとに連れていくように迫るマクスーモフ。

移動中に一行はイスマイル(タルガト・ニグマトゥリン)という男に出会います。マクスーモフが乗った馬を見て、兄の仇とマクスーモフに襲いかかるイスマイル。実はマクスーモフの馬はかつてハイルーラから奪いとったものでしたが、そのハイルーラがイスマイルの兄を殺して奪いとったものだったのでした。

いったんはイスマイルを追い払った一行でしたが、少し進んだ村で再びイスマイルと手下たちに襲われます。マクスーモフと彼を護送していた隊長は一時的に協力し、何とか馬車で逃げ出しますが、追いつかれてマクスーモフとアイグールは捉えられてしまいます。殺されそうになるマクスーモフでしたが、イスマイルの母が馬を奪った男の顔を見ていたことで誤解が解け、イスマイルは本当の仇であるハイルーラを殺すためにマクスーモフに協力することにします。

そのとき、マクスーモフのもとにハシーモフがやって来て、ウチリガンがハイルーラに占領されたと知らせます。イスマイルに部下を集めて翌日ウチリガンを襲うように告げたマクスーモフは、自らウチリガンに赴きます。

ウチリガンでかつての部下に再会したマクスーモフは、革命の志を忘れたのかと部下を挑発し、政治委員を殺して反乱を先導したアフマドを射殺します。マクスーモフはハイルーラの部下に捕らえられ、牢に閉じ込められます。

その夜、マクスーモフを助けだすべきだと主張するシュフラートと、兄アフマドの仇をとると主張するサグドラの間で喧嘩が発生するなど、マクスーモフの旧部下たちが動揺します。

翌朝、ハイルーラは部下を説得することを条件にマクスーモフを釈放しようと取引を持ちかけますが、マクスーモフはそれを拒否します。怒ったハイルーラはサグドラをマクスーモフの見張りに立たせますが、そのとき、イスマイル一味がウチリガンを襲撃します。マクスーモフはイスマイルから渡された銃でサグドラを殺すと、銃撃戦のすえアイグールを連れて逃げ出したハイルーラを川まで追い、帽子に隠していた「七発目の銃弾」でついに彼を斃します。

そこに馬に乗ったアイグールが駆けつけますが、彼女は援軍にやってきた警備隊によって誤殺されていたのでした。マクスーモフは涙を振り絞って警備隊を呼びつけると、アイグールの亡骸を抱いてその先頭を走るのでした……というお話。

イタリアで作られたマカロニウエスタンの多くはアメリカ西部を舞台としていますが、本作も含め、多くの「イースタン」はソビエト国内の辺境を舞台として物語が展開します。そういう意味ではイタリアよりも日本で作られた西部劇類似映画に近いものがあると言えます。

西部劇とムスリム、というそうそう結びつかなそうな二つの要素をうまく結びつけてストーリーを作っているあたりは、さすが国内に多くの民族、宗教を抱えていたソビエトならでは、という印象。牢から脱出する際、マクスーモフが礼拝中のサグドラを撃ち殺す描写にはびっくりしましたが。

マクスーモフが部下に赤軍魂を説くシーンは少々堅苦しさも感じましたが、まぁ、ジョン・ウェインが西部魂を語るのと同んなじようなものだと言えばそんな気もします。

また、西部劇のキモのひとつである銃撃戦のシーンはなかなか凝っており、カスバのような入り組んだイスラム都市で繰り広げられる大規模な銃撃戦はなかなか楽しい。機関銃がかなりたくさん出てくるのも見どころ(ハイルーラによるとイギリス製らしく、彼の一味がイギリスの支援を受けていることが匂わされます)。

音楽はマカロニウエスタンに比べると少々盛り上がりに欠ける感じがありますね。

マクスーモフを演じたスィメンクル・チャクモラフが非常にリー・ヴァン・クリーフに似ており、まるで後期のクリーフのマカロニウエスタンを見ているような印象も、ちょっとだけ受けました。キルギス出身の俳優さんのようです。

また、本作で悪役となっている勢力は「バスマチ」と呼ばれる反革命勢力で、ソビエト・ウエスタンでは悪役としてしばしば登場した勢力だそうです。

本作のタイトルですが、マクスーモフが使っている銃が七発装填可能なナガンM1895で、それに由来する、という話もあるのですが、物語中でマクスーモフが最後に使っているのはイスマイルから渡された拳銃だし、ハイルーラを斃す前に銃が弾切れになって、映画冒頭で帽子に隠していた銃弾を装填しているので、このとき彼が使っていた銃は六連装なんじゃないかなぁ、と。そうしないと八発目の銃弾になっちゃいますし。ぼくの目では、彼が使っていた銃がナガンなのかは残念ながら分かりませんでした。

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