今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

Genre:Western

ドゥッチオ・テッサリ(1969)『荒野の大活劇』

Vivi o, preferibilmente, morti
製作国:イタリア/スペイン
上映時間:102分
監督:ドゥッチオ・テッサリ
出演:ジュリアーノ・ジェンマ/ニーノ・ベンヴェヌーティ/シドニー・ローム/アントニオ・カザス

さて、今日はクリスマスイヴ。ということで、クリスマスイヴの場面から始まるこの映画をご紹介します。マカロニウエスタンでは『夕陽の用心棒』(1965)から、それ以外の映画も含めればそれ以前からジュリアーノ・ジェンマとタッグを組んで快作を送り出してきたドゥッチオ・テッサリ監督と、ジュリアーノ・ジェンマによる軽快なコメディ・マカロニウエスタン。ジェンマのマカロニウエスタンとしては、本作が最後の日本劇場公開作でもあります。

 東部に暮らす伊達男が、遺産相続のため、西部の町にやってくる。ただし、相続の条件として、弟と6ヶ月間暮らさなければならないと言われ……。ジェンマ主演、テッサリ演出のコミカルな冒険活劇。

トーマス・ミリアンとジャン・マリア・ヴォロンテが共演した『血斗のジャンゴ』(1967)でも東部の人間と西部の人間の出会いが描かれましたが、本作では『血斗のジャンゴ』とは逆に、東部に暮らすモンティ(ジュリアーノ・ジェンマ)のほうがはちゃめちゃで、西部の男・テッド(ニーノ・ベンヴェヌーティ)のほうが純朴、という取り合わせがなかなか面白いところ。

ジェンマの弟役を演じたベンヴェヌーティは当時現役の世界ミドル級チャンピオンのボクサー。ジェンマと兵役で知り合い、それがきっかけで本作に出演したとか。本作の他にも2作ほど映画には出演しているようですが、残念ながらマカロニウエスタンはこれ1本です。

脇を固めるクリス・ウエルタやアントニオ・カサスなどはマカロニウエスタンでもよく見かける、お馴染みの顔ぶれですね。

本作は『風来坊/花と夕日とライフルと…』(1970)を思わせる、でこぼこ兄弟によるコミカルな西部劇なのですが、ジェンマの軽快な身のこなしが本作のような軽快な物語に合っているところや、またベンヴェヌーティのさすがに切れのあるアクションなど、非常にメリハリがきいており、100分を越える、マカロニウエスタンとしては長尺に属する上映時間ですが、途中まったく飽きることなく見続けることができます。

銀行強盗、馬車強盗、列車強盗といろいろな悪事に手を出すものの、結局うまくいかない2人を翻弄する馬車強盗の人質であり、銀行家の令嬢、じゃじゃ馬娘を演じたシドニー・ロームも大きな目とコロコロ変わる非常が非常に魅力的で、映画に華やかさを添えています。

ロベール・オッセン(1968)『傷だらけの用心棒』

Une corde, un Colt...
製作国:フランス/イタリア
上映時間:89分
監督:ロベール・オッセン
出演:ロベール・オッセン/ミシェール・メルシェ/リー・バートン(グイド・ロロブリジーダ)/ダニエル・ヴァルガス

『殺られる』(1959)で知られるフランスのスターであり、『殺人者に墓はない』(1963)でも主演を務める一方で自らメガホンもとったロベール・オッセンが監督・主演した唯一のマカロニウエスタン。一応仏伊合作映画なのですが、スタッフからキャストまでフランス色が非常に濃い映画になっています。

 シェークスピアの悲劇を思わせるフランスとイタリア合作の異色ウエスタン。町を牛耳る一家に夫を殺された女。彼女は、古い知り合いのガンマンに仇討ちを依頼する。彼は一家の一人娘を誘拐し、殺された男の葬式を出させる。だが、一人娘が戻ると、一家は女をリンチして殺害。失意のガンマンは、一家と対決して皆殺しにする。しかし、彼も生き残った一人娘の銃弾に倒れるのだった。ラストの一家との対決は、超早撃ちで、ウエスタン史上に残る屈指の名シーン。

劇場未公開映画にしては珍しくallcinemaの解説が長めでしっかりしています。シェイクスピアの悲劇を思わせる、というより、フランスのフィルム・ノワール映画の延長線上に位置する西部劇、と捉えたほうがしっくりときます。普段このブログでは映画の結末には触れないのですが、本作はallcinemaの解説で触れられているので触れてしまうと、結局誰も彼も死んでしまって誰も幸せにならない、という結末はかなりフィルム・ノワール的。『殺しが静かにやって来る』(1968)のカタストロフィとも異なる、やるせない後味が印象に残ります。

オープニングとエンディングは褪色したようなザラザラした画面になっていますが、これは意図したものなのか、フィルムが褪色してしまったのかどちらなんでしょうね。何となく、古い話であるという演出で褪色させたような気もしますが、よくわかりません。

主演のロベール・オッセンの西部劇姿もなかなか様になっています。銃を抜く前に必ず右手に黒い革の手袋をはめ、右腰に付けたホルスターから左手で早撃ちする姿は、様式美的ながら非常に恰好良い。相手役のダニエル・ヴァルガスも堂々たる悪党にして良い家長ぶりが様になっています。結局本作があまりマカロニウエスタン的でないのは、登場人物が誰しもリアリティのある悪人なところなんですよね。その辺りがクライマックスの悲劇へと繋がっています。

スキャットが印象に残る音楽を担当したアンドレ・オッセンは、監督・主演のロベール・オッセンの実父であるようです。

アルフィオ・カルタビアーノ(1967)『拳銃のバラード』

Ballata per un pistolero
製作国:イタリア
上映時間:99分
監督:アルフィオ・カルタビアーノ
出演:アントニー・ギドラ/アンジェロ・インファンティ/アルフィオ・カルタビアーノ/マリオ・ノヴェリ

アルフィオ・カルタビアーノ監督の監督デビュー作となるマカロニウエスタン。どうやらスペインではなくイタリア本国や旧ユーゴでロケを行ったらしく、主演もユーゴ出身のアントニー・ギドラ(ドラゴミール・ボヤニッチ)。また、普段よく見るスペイン系俳優の顔も見えません。共演のアンジェロ・インファンティは『ゴッドファーザー』(1972)にも出演し、いまも活躍する俳優です。

 バウンティ・ハンターのニグロスが賞金首を仕留めたとき、加勢した謎の男がいた。ニグロスは彼の助けを得ながら、無法者の兄弟を追い詰めていくが……。正統派マカロニ・ウェスタン。

ニグロス(アンジェロ・インファンティ)とクッド(アントニー・ギドラ)はお互いの正体を知らないながら助け助けられしてゆきます……という筋書きは『新・夕陽のガンマン/復讐の旅』(1967)のリー・ヴァン・クリーフとジョン・フィリップ・ローの関係性に非常に似ており、また、お互いの正体がネックレスによって明らかになるという展開も同様。ただ、明かされる関係性は非常に異なっており、どちらがどちらの真似というより、たまたまアイディアが重なったのかなぁ、という感じですね。

前にも書きましたが、スペインロケでないマカロニウエスタンの場合、画面から少々寒々しい印象を受けることがあるのですが、本作も例外に漏れず。ただ、アントニー・ギドラの渋い演技と、アンジェロ・インファンティの黒尽くめで才気走った演技にはなかなかマッチしており、水準以上に楽しめるマカロニウエスタンです。

また、本作で敵役のベドージャを演じたアル・ノートンは監督でもあるアルフィオ・カルタビアーノの変名。初監督作でかなり張り切っていろいろやっていたのが目に見えるようです。ストーリー的には途中で挿入される酒場のシーンの必然性や、突如現れる女性キャラクターなど、いまいち整合性に欠ける部分もありますが、大筋がしっかりしているのでそこまで気にはなりません。

J・R・マーチェント(1963)『墓標には墓標を』

El sabor de la venganza
製作国:イタリア
上映時間:80分
監督:J・R・マーチェント(ホアキン・ルイス・ロメロ・マルチェント)
出演:リチャート・ハリソン/クラウディオ・アンダリ/ミゲル・パレンスエラ/グロリア・ミランド

先日亡くなられたスペインのホアキン・ルイス・ロメロ・マルチェント監督がメガホンをとったマカロニウエスタン。イタリア、スペイン合作の初期の西部劇です。主演は『赤い砂の決闘』(1963)でも主演していたリチャード・ハリソン。この時期の伊=西西部劇界では引っ張りだこだったようです。

ブラッド(ミゲル・パレンスエラ)、チェット(クラウディオ・アンダリ)そしてジェフ(リチャード・ハリソン)の3兄弟は幼い頃無法者に父親を殺され、母親・ルイザ(グロリア・ミランド)からその仇を討ってもらいたいと言われながら育ちました。長兄のブラッドは落ち着いた牧場主に、次兄のチェットは血の気の多いガンマンに、そして三男のジェフは法によって街に秩序をもたらそうという理想主義者に育ちます。チェットはそんなジェフが気に入らず、喧嘩を繰り返していました。

そんなある日、酒場での諍いからチェットが殺人を犯してしまいます。兄弟たちはチェットを逃し、チェットはさすらいの旅に出るのでした。時が経ち、ブラッドは結婚して農場を管理し、ジェフは警察に入り署長にまで昇進していました。ジェフは父親の仇がメキシコ国境の街に隠れていると、保安官からの知らせを受け、街に向かいます。しかし、彼が街に着く前に保安官は殺されてしまっていたのでした。

一方、独自に父親の仇を狙っていたジェフも、仇の片割れを見つけ、拷問の末もう一人の行方を吐かせます。彼はブラッドを誘って仇のいる街へと向かうのでした……というお話です。

『赤い砂の決闘』と同時期の西部劇ですが、こちらは劇場未公開。しかし、映画の完成度としてはこの『墓標には墓標を』が優っているように思えます。今回CSのスター・チャンネルで放送されたので、字幕付きで見ることができました。

ハリソンは『赤い砂の決闘』同様法の力を信じる男を演じていますが、『赤い砂の決闘』では最後には力に訴えていたのにたいし、本作はチェットがその役割を担っているため、役柄が一貫している印象。まぁ、そのせいで特に終盤、クラウディオ・アンダリが全てを持っていった感がありますが。

基本的にアメリカ西部劇の模倣色が強かった時代の作品ではありますが、三兄弟の反目と協力、そして深いところでの信頼関係をしっかりと描いており、好感がもてます(イタリア語タイトルは「容赦のない3人」)。

また、本作にはフェルナンド・サンチョも顔を出しており、料理に惹かれて三兄弟と母親の家に転がり込み、そのまま下男として住み込む気のいい男をコミカルに演じています。こういうサンチョはマカロニウエスタンでは珍しいのですが、ぼくは冷酷な山賊よりもこういったコミカルなサンチョのほうが好きです。

デモフィーロ・フィターニ(1967)『Straniero... fatti il segno della croce!』

製作国:イタリア
上映時間:87分
監督:デモフィーロ・フィターニ
出演:チャールズ・サウスウッド/エットレ・マンニ/カリスト・カリスチ/クリスティーナ・ペンツ

何作ものマカロニウエスタン(ただしその全てが低予算のB級作品)を手がけたデモフィーロ・フィターニ監督の監督第一作となるマカロニウエスタン。主演のチャールズ・サウスウッドもこの作品が初出演のようです。

西部のとある町ではドノヴァン(メル・ゲインズ)率いる盗賊団が猛威を振るっていました。その手口は銀行を襲い、女子供ですら容赦なく虐殺するという苛烈なものでした。時を同じくして、バウンティ・キラー(チャールズ・サウスウッド)がホワイト・シティにやって来ます。この街はドノヴァンの兄弟であるカールソン(カリスト・カリスチ)によって牛耳られていました。街に入ってそうそう、カールソンの息子・ルーカス(ジェフ・キャメロン)と揉め事を起こすバウンティ・キラー。

一方、ドノヴァンは強盗の際に負傷し、カールソンを通して医者に視てもらおうとします。そんなドノヴァン一味の賞金を狙うバウンティ・キラーと、彼らを父(?)の仇として恨みを持つ足の悪い男・ブレイク(エットレ・マンニ)は協力して彼ら兄弟を迎え撃とうとしますが……というお話、だと思われます。イタリア語音声イタリア語字幕で視聴したため、少々自身がありません。

ストーリーはシンプルながら、撮影時のアングルがなかなか凝っいたりと丁寧に撮られている作品だと思います。主演のサウスウッドも、後年の『荒野の無頼漢』(1970)などと異なり、いたって普通のマカロニウエスタンの登場人物を演じています。その分、彼独特の味というのは少々薄まっている嫌いもありますが。

基本的にはシリアスなマカロニウエスタンなのですが、水筒を改造した水筒ガンや、松葉杖を改造した松葉杖ライフルが出てくるのは、まるでジャンフランコ・パロリーニやジュリアーノ・カルニメーオの作品を彷彿とさせます。本作の場合、しっかりと拳銃やライフルが中に仕込まれている、という正統派ではあるのですがね。

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