今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

Genre:War

ジャック・カーディフ(1968)『戦争プロフェッショナル』

The Mercenaries
製作国:イギリス
上映時間:103分
監督:ジャック・カーディフ
出演:ロッド・テイラー/イヴェット・ミミュー/ジム・ブラウン/ペーター・カルステン

数々の映画で撮影監督としても活躍したジャック・カーディフの監督作品。この他にも長編劇映画では13本ほど監督しているようです。主演はオーストラリア出身の二枚目俳優ロッド・テイラー。

 アフリカの某国政府軍に、4人の戦争のプロが雇われた。任務は、反乱軍に襲われつつある町から住民を脱出させること。彼らは早速、現地へ飛ぶが、反乱軍も時を同じくして町へ襲いかかってきた……。傭兵の活躍を描いた冒険アクション。

上の解説にある4人の戦争のプロ、はおそらくアメリカ人傭兵カリー大尉(ロッド・テイラー)、ドイツ人のヘンライン大尉(ペーター・カルステン)、医師のドク・リード(ケネス・ムーア)、コンゴ人兵士のルーホー軍曹(ジム・ブラウン)だと思われます。ただ、ストーリー上明確に雇われ兵なのはカリーだけで、他の人々はもともと現地に駐在しているような描写もあります。

本作はジャック・カーディフ監督の代表作と推す人もいるようなのですが、ぼくには少々合わない部分もある映画でした。ヘンライン大尉はナチス支持者の悪役という設定なので共感できないキャラ設定なのはともかく、ドク、カリーともにいまいち感情移入できないキャラクターなのが、ぼくにとっては少々難点でした。

Allcinemaの解説では「反乱軍に襲われつつある町から住民を脱出させること」とありますが、実際の主眼はその街に置いてあるダイアモンドを無事に政府のもとに持ってゆくこと。そのため、避難民の脱出が遅れ、結局反乱軍に追いつかれ、避難民の半数以上は結局殺されてしまいます。この辺り、戦争プロの傭兵としては正しい判断なのでしょうが、どうにも後味がよくありません。

その他にも、自分が無理やり連れて行ったドクへの報酬を勝手に捨てたり、無理やり妊婦のもとに連れて行った上、手術に時間がかかるとなると彼を置いてゆくなど、どうにもカリーのキャラクターが……

ただ、ダイアモンドが反乱軍に奪われてからの展開はなかなか面白いです。ルーホー軍曹と協力し、カリーが敵中に潜入してゆく作戦などもなかなか見所です。この調子で全編やってくれれば、かなり面白い映画になったのですが……

というより、B級活劇タイプの筋書きの中に、植民地支配に対するメッセージを過剰に盛り込んでしまったため、少々バランスの悪い映画になってしまったように感じられました。はじめからメッセージ性の高い映画なのだと思っていていたら、また違う楽しみ方ができたのかもしれません。

スティーヴン・スピルバーグ(2011)『戦火の馬』

WAR HORSE
製作国:アメリカ
上映時間:146分
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ジェレミー・アーヴァイン/ピーター・ミュラン/エミリー・ワトソン/ニエル・アレストリュプ

スティーヴン・スピルバーグ監督の(現在のところ)監督最新作。アメリカではやはり自身が監督したアニメ『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(2011)とほぼ同時期に公開されたらしく、器用なんだか何なんだか。恐ろしい監督です。

 巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督が第一次大戦を舞台に、軍に徴用され最前線に送られた一頭の馬とその飼い主の青年との友情と奇跡の物語を美しい映像とともに描いた感動ドラマ。マイケル・モーパーゴの同名児童文学を映画化。主演はこれがスクリーン・デビューのジェレミー・アーヴァイン、共演にエミリー・ワトソン 、デヴィッド・シューリス、 ベネディクト・カンバーバッチ。
 第一次大戦前夜のイギリス。農村の小さな牧場で一頭の仔馬が誕生する。その仔馬は貧しい農夫テッドによって競り落とされ、少年アルバートの家にやってくる。そしてジョーイと名付けられた仔馬は、アルバートの愛情を一身に受けて、賢く気高い名馬へと成長していく。しかし戦争が始まると、アルバートが知らないうちにイギリス軍へ売られてしまうジョーイ。やがて、ニコルズ大尉の馬としてフランスの前線へと送られたジョーイは、ついにドイツ軍との決戦の時を迎えたのだったが…。

まず、この映画の主人公は馬です。ドリームワークス製作で主人公が馬だというと、アニメ映画『スピリット』(2002)を連想しますが、重い機関車を沢山の馬が曳くシーンが出てきたあの映画のように、本作でも馬のジョーイが重たい大砲を曳くシーンが出てきます。しかし、あのシーン、大砲を曳いた馬はほぼ潰れるという事前情報を観客に提供しておき、士官にジョーイを呼ばせる、観客はジョーイが引っ張るのかと思ってハッとします。しかし、実は士官はジョーイではなく隣の親友である馬・ブラックホーンを呼んでいたことが明かされます。ここで観客はホッとするわけです。しかし、ブラックホーンは大砲を曳けるようなコンディションではなく、ジョーイは自ら大砲を曳くという男気を見せる……というこのシークエンス。観客の心理をうまく弄んでくれて、さすが老練の手腕です。

いきなり中盤の話になってしまいましたが、まずオープニングでイングランド南西部・デヴォンの広々とした風景が映し出されます。これが遠景まで非常に美しく撮影されています。この風景だけでも一見の価値があります。

映画はジョーイが戦場を彷徨い、英国軍士官、独軍脱走兵、仏人の少女と祖父、様々な人と出会い、そしてジョーイを追って戦場に志願したアルバート(ジェレミー・アーヴァイン)と再会するまでが描かれます。アルバートの父・テッド(ピーター・ミュラン)がジョーイを競り落とすオープニングから、再びジョーイが競りに掛けられるクライマックスまで、映画として非常に美しくまとまっています。それこそ出来過ぎなくらいに。

また、『プライベート・ライアン』(1988)では正直ゴア趣味に寄っているのでは、というくらいに戦場描写に力を入れていたスピルバーグでしたが、本作では見せるべき死のシーンと、暗示させるべき死のシーンをしっかりと切り分けており、中盤の激戦もしっかりと映画の中にとけ込んでいます。正直『プライベート・ライアン』は序盤の上陸シーンだけ浮いている感がありましたけれど。特に、ニコルズ大尉(トム・ヒドルストン)の死を、その直前の彼の表情と、だれも乗せずに独陣地に突入するジョーイという映像で表現したシーンはその白眉でしょう。

オープニングとクライマックスのデヴォンの美しい風景の間に、第一次世界大戦の過酷な映像が挟まれるわけなのですが(第一次世界大戦の描写自体も、じょじょに近代兵器が登場する様をしっかりと描いています)、途中で挟まれる病弱なフランス人少女・エミリー(セリーヌ・バッケンズ)と祖父(ニエル・アレストリュプ)のエピソードはほっと一息つける貴重なシークエンス。また、クライマックスに絡んでくる重要なシーンでもあります。

正直、きれいにまとまりすぎている感も少々あるのですが、映画として非常に魅力的な映画でした。ただ、なんで英国軍も独軍も仏人もみんな英語しゃべってるんだろう……。いや、アメリカの観客は字幕苦手っていう話は聞きますがね。やっぱりそれぞれの国の言語で喋ってくれたほうが、臨場感はあった気がします。

フアン・アントニオ・バルデム(1969)『最後の戦塵』

EL ULTIMO DIA DE LA GUERRA / THE LAST DAY OF WAR
製作国:スペイン/アメリカ
上映時間:96分
監督:フアン・アントニオ・バルデム
出演:ジョージ・マハリス/ジェラルド・ハーター/マリア・ペルシー/ジェームズ・フィルブルック

アメリカ軍軍曹・チップス・スレーターをジョージ・マハリスが、ドイツ軍将校スコルヒをジェラルド・ハーターが演じたマカロニ・コンバット……と書こうとしたのですが、マカロニではないようです。一応イタリア資本も入っているようなのですが、監督のフアン・アントニオ・バルデムもスペイン人なので、パエリヤ・コンバットとでも呼ぶべきでしょうか……? 予算とか、内容とかは典型的なマカロニ・コンバットという感じですが。

第二次大戦最末期(原題は「戦争の最期の日)、アメリカ軍人チップス(ジョージ・マハリス)は、ドイツ人科学者トゥルップ博士(トマス・ブランコ)を保護するよう命令を受けます。任務に当たる部下たちの他に、博士の娘(?)であるエレナ(マリア・ペルシー)が一行に加わります。一方、ドイツ軍将校スコルヒ(ジェラルド・ハーター)も、圧倒的に不利な戦局の中、最後の任務としてトゥルップ博士の抹殺を企てていました。

彼らアメリカ部隊とドイツ部隊は所々で局地戦を繰り広げ、双方死傷者を出します。そしてついに、トゥルップ博士を山中に追いつめたスコルヒは、博士抹殺のため、単身山中の教会に入り込みますが、そこはナチスから逃れていた難民たちの隠れ家となっていたのでした……というお話。

戦争映画の割に大規模な戦闘シーンは描かれず、特殊任務についた少数部隊の局地戦が描かれ、小競り合いによって少しずつ登場人物が減っていく……という展開は低予算マカロニ・コンバットに典型的なストーリー。その中では本作はストーリーが比較的しっかりと練られており、そこまでご都合主義的な展開もなく、面白い部類に属する作品と言えます。

アメリカ軍軍曹を演じたジョージ・マハリスは、取り立てた特徴はないものの、無難な役柄。一方のドイツ軍将校を演じたジェラルド・ハーターも、『戦場のガンマン』(1968)のクラウス・キンスキーに比べると「狂気」は感じさせませんが、冷酷で任務に忠実なドイツ将校を手堅く演じています。まぁ、誰であれ、キンスキーと比べるのは理不尽な気もしますが。

アメリカ軍部隊のひとりで、最年少、色男のマルティネスを演じていたサンチョ・グラシアですが、何と後年『マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾』(2002)で主人公フリアンを演じています。あまりに風貌が変わっているので、クレジットを見るまで気付きませんでした。

ラリーサ・シェピチコ(1976)『処刑の丘』

ВОСХОЖДЕНИЕ
製作国:ソ連
上映時間:110分
監督:ラリーサ・シェピチコ
出演:ボリス・プロトニコフ/ウラジーミル・ゴスチューヒン/アナトリー・ソロニーツィン

ラリーサ・シェピチコは、ソビエトでは最も偉大な女流監督とも言われる監督なのですが、現在でもロシア以外ではあまり知名度が高いとは言えません。何故なら、彼女はソビエトが対外的にあまり開放的ではなかった時代に作品を作り、そして、不幸なことに1979年に41歳という若さで交通事故により亡くなってしまったためです。

そのため、ソビエトの映画が外国に紹介されるようになった後も、なかなか紹介される機会がありませんでした。しかし、近年では欧米ではDVDが発売されるなど、少しずつ再評価の兆しも見えている様子。残念ながら日本ではソフトの発売はされていませんが、日本でも再評価が待たれる監督です。

本作は第二次大戦の独ソ戦線を舞台に、極限状況での人間の信念について問いかける映画となっています。

舞台は極寒のベラルーシ。ソビエトのパルチザン部隊に所属するリューバク(ウラジーミル・ゴスチューヒン)とソトニコフ(ボリス・プロトニコフ)の二人は、部隊の食料を調達するため、雪の中を遠く離れた牧場に向かいます。そこは既にドイツによって占領されている地帯でした。

寡黙なソトニコフは寒さで病気に罹ってしまいますが、行動的なリューバクに助けられ、何とか村にたどり着くことに成功します。しかし、彼らはそこでドイツ兵に見つかり、彼らを匿った村人たちと共に捕えられてしまうのでした。

彼らを待っていたのはドイツの手先となった裏切り者、ポルトノフ(アナトリー・ソロニーツィン)による尋問でしが。信念を持ち、ソビエトの兵士らしく死のうとするソトニコフと、一時的にドイツに屈することになっても、恥を忍んで生き延び、いつか復讐するチャンスを窺うべきだと主張するリューバク。そして、彼らふたりと村人たちの処刑の日は、翌日の朝に迫っていたのでした……というお話。

前半、リューバクとソトニコフは真っ白な雪の積もるベラルーシの雪原を、黒いコートを纏ってさまよい歩くのですが、モノクロの映像に雪の白さが映えてとても美しい。そして、この前半ではリューバクは行動派の熱血漢として、ソトニコフは線の細い寡黙な人物として観客の前に姿を表します。

後半は一転して薄暗い牢屋の中が主な舞台となります。そこで観客の前に現れるのは、信念を貫く人物としてのソトニコフと、あくまで生に執着する人物としてのリューバクです。こう書くとソトニコフのほうが立派な人物のように見えるかもしれませんが、もともと彼が咳をしてしまったのが原因でドイツ兵に見つかってしまったわけですし、一緒に捕らえられた村人たちも彼の信念に巻き込まれてゆくわけで、なかなか簡単に評価するのが難しいところ。そう言った点にも、シェピチコ監督の問題提起が見られるように感じられました。

音楽はほとんどなく、それが映画に荘厳な雰囲気を添えています。また、クライマックスに近づくに従い映画は少しずつソトニコフの神性を強調するような描写が混じりはじめます。だんだんと観客にはソトニコフとイエス・キリストが二重写しに見えるようになり、「処刑の丘」がゴルゴダに見えてくるのです。クライマックスでリューバクが老婆から「ユダ」と捨て台詞を吐かれるのも、その証左と言えるでしょう。

しかし、本作はそのキリストを讃えるわけではなく、ユダのほうの苦しみも深く描写しています。キリストを見殺しにすることになったユダの苦悩を見ていると、果たしてどちらの生き方がより人間らしいのか、考えさせられます。

パク・クァンヒョン(2005)『トンマッコルへようこそ』

WELCOME TO DONGMAKGOL
製作国:韓国
上映時間:132分
監督:パク・クァンヒョン
出演:チョン・ジェヨン/シン・ハギュン/イム・ハリョン/ソ・ジェギョン/カン・ヘジョン

昔、パク・チャヌク監督の『JSA』(2000)という映画がありました。現代の韓国と北朝鮮の防衛ラインを舞台にした友情と悲劇の物語。本作『トンマッコルへようこそ』はその延長線上にある映画と捉えることができます。現代劇であった『JSA』が越えられなかった壁を、本作はファンタジーという手法を用いることで鮮やかに越えてくれたという印象を受けました。

 韓国で2005年度の興行成績第1位に輝いたヒューマン・ファンタジー・ドラマ。1950年代の朝鮮戦争を舞台に、山奥の不思議な理想郷に迷い込んだ敵対する兵士6人が、村人たちののんびりしたペースに癒され人間性を取り戻していく姿をユーモアを織り交ぜ感動的に綴る。本作の脚本も手がけている劇作家チャン・ジンの舞台劇を基に、これが長編デビューとなるパク・クァンヒョン監督が映画化。また、音楽は宮崎アニメなどでお馴染みの久石譲が担当。
 朝鮮戦争が続く1950年代。山の奥深くに、他の土地から隔絶し自給自足の生活を送る不思議な村“トンマッコル”があった。笑顔が絶えず、争いごともない平和なその村に、ある日アメリカ人パイロットのスミスが操縦する飛行機が不時着する。その後、道に迷った韓国軍兵士2人と北朝鮮人民軍の兵士3人もそれぞれ村に姿を現す。村で顔を合わせた両軍兵士たちはすぐさま武器を手に一触即発の状態に。しかし、戦争を知らない村人たちは、そんな彼らを気にする様子もなく、のんびりした日常も変わらない。いつしか兵士たちも打ち解けていき、笑顔を取り戻していくのだったが…。

初めは対立していたリ(チョン・ジェヨン)率いる人民軍兵士とピョ(シン・ハギュン)たち韓国軍兵士が、平和な村人たちに感化され、少しずつ分かり合ってゆくという筋書きも、それが破壊されるのは外部からのパワーがきっかけ(本作では連合軍(主にアメリカ軍)でした)という結末も意外性はありません。しかし、パク監督はトンマッコル村の生活を突き詰めてファンタジックに描くことにより、本作に独自性を持たせることに成功しています。

トンマッコルという言葉の意味は、「子供のように人生を楽しむ」と映画の中では説明されていましたが、いわゆる「桃源郷」的な意味合いなのでしょう。ときおり挿入される彩度が強調された、スローモーションのエピソードも映画のファンタジックな側面を強調しており好感が持てます。いわゆる「めまい」エフェクトの使い方も面白かった。

映画序盤でリたちとピョたちが和解する切欠のひとつとなったポップコーンの雪。そしてクライマックスの本当の雪。映画の中でそれらが対象をなす構成もなかなか美しい、素敵な映画でした。決してハッピーエンドではないですが、彼らなりに目的を果たしたクライマックスシーンの炎は、まるでセレモニーの花火にも見えてきます。

少々親北反米的な思想も垣間見られ、ある意味ではプロパガンダ的な香りもする本作ではありますが、映画としての完成度は非常に高く、興味深い映画でした。

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