今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

Genre:Sci-Fi

ジョルジュ・メリエス(1902)『月世界旅行』

LE VOYAGE DANS LA LUNE
製作国:フランス
上映時間:16分
監督:ジョルジュ・メリエス
出演:ジョルジュ・メリエス/ブリュエット・ベルノン/ジュアンヌ・ダルシー

劇映画の祖と言われるフランスのジョルジュ・メリエス監督の言わずと知れた代表作。本作を始めとするメリエスの監督作はすべて著作物保護期間を過ぎており、YouTubeなどの動画サイトで見ることができます。ぼくが見たのもYouTubeにあるこちらのヴァージョン (Le Voyage Dans la Lune - YouTube) でした。

 幾つかの、映画の“始まりの中の始まり”の代表作。大砲で撃ち出されたロケットは、顔が描かれた月の目玉に命中。月には原住民がいて、戦闘の後、探検隊はあっけなく囚われるが、やがて脱出。地球の大海に落下(この場面のトリップ感は中々のもの)するも、無事に帰国し群衆の大歓迎を受ける。スラップスティックな面白さに充ちた、このごく短い作品に、映画の未来がぎっしり詰まっている。史上初めての劇的構成を持った映画と言われる、魔術師メリエスの予言的傑作。

劇映画とは言え、基本的には舞台を正面から撮影しているという体裁の映画。それでも本作は観客を楽しませようという純粋な見世物としてのエンターテインメントの楽しさに満ち満ちています。有名な、砲弾型ロケットが突き刺さり、お月さまが顰め面をするシーンをはじめ、博士が突き刺した傘が巨大なキノコに変わったり、月世界人を傘で叩くと煙と共に消え失せたり……。

最後にロケットが海に落ちてくるシーン。本物の魚が泳ぎ回っているのですが、ここの撮影トリックはスコセッシ監督の『ヒューゴの不思議な発明』(2011)で再現されていました。

いまから見ると他愛のないトリック撮影なのですが、当時の新鮮な驚きが画面の中に封じ込められているようで、また何より非常に可愛らしく、楽しんで見ることができます。100年以上も昔の映画が今尚輝きを失わない、というのは、考えてみると本当に凄いことです。

ぼくが見たバージョンには、あとから付け足された音楽と、投稿者なのでしょうか、非常にフランス語なまりの強い英語ナレーションが入っていました。

ロジャー・コーマン(1956)『金星人地球を征服』

IT CONQUERED THE WORLD
製作国:アメリカ
上映時間:71分
監督:ロジャー・コーマン
出演:ピーター・グレイヴス/リー・ヴァン・クリーフ/ビヴァリー・ガーランド/サリー・フレイザー

B級映画の帝王として知られるロジャー・コーマンが自身でメガホンを取ったB級SFモンスター映画。ピーター・グレイヴス、リー・ヴァン・クリーフと、方や後に「スパイ大作戦」で、方や『夕陽のガンマン』(1965)で世界的にも有名になった2人の俳優を起用しているのは、さすが慧眼というべきでしょうか。

 TVやビデオでは有名だったが、94年に「SF・特撮・モンスター・シネマ秘蔵版大全」と銘打たれて劇場初公開された、B級映画の雄コーマンの初期作品。マンガチックな金星人の造型以外、かなりリアルなタッチで意外や興奮させられるAIP映画。米国の人工衛星計画が他銀河の知的生命体にとって脅威となると、批判的だったアンダーソン博士(リー・ヴァン・クリーフ!)に取り入る蟹そっくりの金星人(通称、金星ガニ)。金星ガニは地球侵攻の地盤を固めようと、打ち上げ基地を占拠する。その危機を救おうと、恋人さえ犠牲にする善玉科学者は博士の目を覚まさせ、共に侵略者壊滅を誓うのだが……。限定された空間にサスペンスを醸成させ、しかも、そこに手際良く感情描写を盛り込む、コーマンの職人技は既にこの頃から備わっていたようだ。66年に「金星怪人ゾンターの襲撃」としてリメイクされている。

地球征服を目指している割に、8台しかない洗脳兵器をどっかの田舎町の町長や保安官に使っちゃっていいのだろうか……とか、話のスケールが大きい割に画面で展開している内容のスケールは小さいという、低予算SFではありがちな展開。

一方で、金星人に協力することが人類を幸福にすると信じるアンダーソン博士(リー・ヴァン・クリーフ)とその妻・クレア(ビヴァリー・ガーランド)の関係や、アンダーソン博士を人類に対する裏切り者だと考えながらも、友情のために彼の目を覚まさせようとするネルソン博士(ピーター・グレイヴス)の関係など、人間ドラマを見せようとする姿勢は(成功したしないは置いておいて)評価できます。まぁ、その割にネルソン博士の割り切りの異常な良さは気になるのですが。

一部界隈で有名な金星人、通称金星ガニの醜悪ながらユーモラスな造形は一見の価値はあります。低予算であることを逆手に取り、クライマックスまでその全貌を見せないという構成もなかなか計算高い……のかな?

ズリフィカール・ムサコフ(1992)『UFO少年アブドラジャン』

ABDULLADZHAN, ILI POSVYASCHAYESTYA STIVENU SPILBERGU
製作国:ウズベキスタン
上映時間:88分
監督:ズリフィカール・ムサコフ
出演:ラジャブ・アダシェフ/シュフラト・カユモフ/トゥイチ・アリボフ/トゥチ・ユスポワ

1992年のウズベキスタン映画ですが、日本では2001年の12月に渋谷のユーロスペースで公開されました。レイトショーだったはずです。ぼくは当時確か高校生だったのですが、ユーロスペースではこの映画が上映される前、『不思議惑星キン・ザ・ザ』(1986)のリバイバルがレイトショーで掛かってたんですよ。ぼくはそれを見に行ったのですが、そのとき次回のプログラムとして本作が紹介されていたのを覚えています。当時から興味はあったのですが、やっと見ることができました。

 中央アジアの小国ウズベキスタンでつくられた一風変わったSF映画。ある日突然、片田舎の村にUFOが墜落、助けられた謎の少年が村人と暮らす中で様々な珍騒動が巻き起こるさまをユーモラスかつほのぼのとしたタッチで描く。ローテクの全開ぶりや、スピルバーグ監督へ向けて語られるという体裁といい、微妙なヘンさ加減がなんとも心地いい小品。
 ある日、ウズベキスタンのとある村で集会が開かれていた。モスクワからの電報を読み上げる議長。宇宙人を乗せた未確認飛行物体がこちらに向かっているとの内容に半信半疑の村人たち。そんなある日、初老の男バザルバイは奇妙な円盤が墜落する現場を目撃する。近づいてみると、そこには裸の少年が倒れていた。バザルバイは少年を助け出し、アブドラジャンと名付けて家へ連れ帰る。妻は少年を夫の隠し子と思い込むが、大きな包容力を発揮し面倒をみることに。やがて少年は次から次へと奇跡を起こして村人たちを喜ばすのだったが……。

個人的な思い出もあり、また同じ旧ソ連地域のSF映画ということもあって、どうしても『不思議惑星キン・ザ・ザ』と比べてしまいます。あの映画ほど不条理ではないですが、(おそらく)低予算ということもあり、非常に淡々と話しが進んでいくのは共通している感じ。

また、本作では村人たちはアブドラジャンの起こす奇跡に驚きながらも、比較的すぐに順応してゆきます。途中で村人たちは鍬に股がって飛べるようになるのですが、それで彼らがどこに行くかというと、市場。あくまで「ちょっと便利になった」程度に受け止めている、その受け止め方が素敵でした。

また、この映画は『E.T.』(1982)を見た村人のひとりが、村で起きた出来事をスティーヴン・スピルバーグに宛てて手紙を書く、という構成をとっており、しばしば手紙の書き手によるモノローグが入るのですが、それがどこかユーモラス。彼の筆でいろいろに評される村人たちですが、基本的には善人ばかりで、見ていて温かな気持ちになります。

また、アブドラジャンが乗ってくるUFOは明らかに逆さまになった鍋(しかもそれがスピルバーグへの手紙の中で言及されているというメタ的な構造)、しかもピアノ線がたまに見える……。『プラン9・フロム・アウター・スペース』(1959)でも円盤がピアノ線で吊り下げられていましたが、こちらは半ば確信犯的に行っており、映画自体にユーモラスな色合いを添えています。

リドリー・スコット(1979)『エイリアン』

ALIEN
製作国:アメリカ
上映時間:117分
監督:リドリー・スコット
出演:シガーニー・ウィーヴァー/トム・スケリット/ヤフェット・コットー/ジョン・ハート

『ブレードランナー』(1982)などのリドリー・スコット監督の手になるSFホラー。もはやSFホラー映画の古典と言ってもいいかもしれません。『エイリアン3』(1992)あたりは日曜洋画劇場なんかで見た記憶はあったのですが、第1作である本作をしっかり見るのはお恥ずかしながら今回が初めて。10年以上前にノベライズを読んだ記憶はあったのですが、やはり映像で見ると迫力が違います。

 巨大な宇宙貨物船に侵入した一匹の異星生物の恐怖。地球への帰途についていた宇宙貨物船ノストロモ号は、謎の救難信号を受けて未知の惑星に降り立つ。そこには異星人の船があり、船内には無数の奇怪な卵が存在していた。卵から飛び出した奇妙な生物が顔に貼り付いた航宙士ケインを回収し、ノストロモ号は再び航海につくが、彼の体内にはすでに異星生物の幼体が産みつけられていたのだ。ケインの腹を突き破り姿を表したエイリアンは脱皮を繰り返し巨大に成長、一人また一人と乗組員を血祭りにあげていく……。
 H・R・ギーガーを始めとする美術の素晴らしさと、光と闇・水・蒸気・炎を巧みに駆使した演出が、単純なプロットのこの作品を一級のSFホラーへ昇華させた。基本設定は「恐怖の火星探険」(58)から戴いているとの噂あり。公開当時から話題になっていたダラス船長の・・・のシーンはLD、DVDに映像特典として収録されているが、それらのシーンを追加した「エイリアン/ディレクターズ・カット」が03年に製作された。

まず、ぼくがわざわざ書くまでもないですが、H・R・ギーガーの手によるクリーチャー・エイリアンの造形が本当に素晴らしい。劇中のアッシュ(イアン・ホルム)の言葉ではないですが、「完璧な生命体」です。乗組員たちの絶望感を観客に共有するのに、最適の造形と言えます。

また、解説にもありますが、炎や蒸気、そしてライトの明滅を上手く使ってパニックシーンを演出しているという印象。クライマックスでは光の素早い明滅により、まるでスローモーション撮影のような効果を出すことに成功しています。

リドリー・スコット(2007)『ブレードランナー ファイナル・カット』

BLADE RUNNER: THE FINAL CUT
製作国:アメリカ
上映時間:117分
監督:リドリー・スコット
出演:ハリソン・フォード/ルドガー・ハウアー/ショーン・ヤング/ダリル・ハンナ

一部に熱狂的なファンを持っている(らしい)カルト的な人気を誇る近未来SF作品。オリジナルの制作年は1982年ですが、今回観たのは2007年に制作25周年を記念して再編集されたヴァージョンとなっているようです。監督は『エイリアン』(1979)をはじめ、多くのハリウッド大作を監督しているリドリー・スコット。近年は制作総指揮に回ることも多いようですね。

 リアルでダークな終末観を提示した近未来像でカルト的な人気を博したリドリー・スコット監督によるSF映画の金字塔「ブレードランナー」。これまでにもいくつかのバージョンが存在した同作だが、本作「ファイナル・カット」は、製作25周年となる2007年、これを記念してリドリー・スコット監督が自ら新たに再編集したバージョン。1992年の『ディレクターズカット/最終版』を基本に、再編集やデジタル修正を行い美しい映像でよみがえらせた。同年のヴェネチア国際映画祭でワールドプレミアが行われ、大きな話題を集めた。日本でもDVD発売に先立ち、劇場公開が実現。植民惑星から4体の人造人間=レプリカントが脱走した。彼らの捕獲を依頼された“ブレードランナー”デッカードは、地球に潜入したレプリカントたちを追うが…。

こういう映画でまず重要なのは、世界観に入り込めるかどうか、ということ。そういう意味では映画前半のまるで油井のように火を噴く塔の描写や、日本語を話す店主のいる雑多なチャイニーズ・タウンという世界観は、ぼくには少々入り込みづらいものがありました。これは現実の時間が映画内の時間(2019年)に近づいてきており、真実味に欠けるように見えてしまうからかもしれません。

しかし、終盤のデッカード(ハリソン・フォード)とロイ(ルドガー・ハウアー)の戦いのシーンから、ハウアーが体現するレプリカントの苦悩を見せられるシーンにはかなり没頭させられました。あのシーンではハウアーが完全に主役を食っているように感じられます。

初期の公開版ではセリフの辻褄が合わず、実はデッカードが6人目のレプリカントなのではないか、と言われたこともあったようなのですが、ファイナル・カットではセリフの修正がされたため、矛盾は発生しなくなっております。ただ、映画を観ている最中にも感じたのですが、デッカード=レプリカント説は確かに魅力的な仮説ですね。

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