SPIRIT: STALLION OF THE CIMARRON
制作国:アメリカ
上映時間:84分
監督:ケリー・アズベリー/ローナ・クック
出演(声): マット・デイモン/ジェームズ・クロムウェル/ダニエル・スタディ
『天国にいちばん近い島』でも書いたように、一週間ほどニューカレドニアに滞在していたのですが、その間にホテルのTVで本作が放映されていました。当然音声はフランス語吹き替え、そして字幕なしという鑑賞環境だったのですが、主人公が馬であり、また子ども向けのアニメーション映画ということもあり、さほど困難なく内容を理解して鑑賞することができました。
監督としてはケリー・アズベリー、ローナ・クックの二人がクレジットされています。アズベリーのほうは日本公開作としては本作の後に『シュレック2』(2004)がある模様。ただ、こちらも共同監督のようですね。声の出演であるマッド・デイモンを始めとする俳優陣は、ぼくが観たのがフランス語吹き替えであるため、当然違う俳優に変わっていました。音楽を担当したのはハンス・ジマーです。
伝説の野生馬“スピリット”が数々の苦難を乗り越えて雄々しく生きる姿を描いたドリームワークス製作の壮大なアドベンチャー・アニメ。主人公スピリットの内面心理がナレーションにより語られる以外は、動物たちに一切セリフはなく、鳴き声、あるいは動きや表情の繊細な描写で感情を表現する意欲的な試みがされている。監督は共に本作で劇場映画デビューのケリー・アスバリーとローナ・クック。ブライアン・アダムスが本作のために新作6曲を提供している。
西部開拓前のシマロンの大地。野生馬の群に生まれたスピリットは母の愛情に包まれ、大自然の中でのびのびと育つ。やがて、勇敢で立派な雄馬に成長したスピリットは、群れを率いる頼もしいリーダーとなっていた。ある日、彼は生まれて初めて人間に遭遇する。彼らは野生馬を捕らえ、シマロンの地を荒らしているカウボーイたち。スピリットは自分を身代わりに仲間を逃がした。捕まったスピリットだったが、人間たちの調教に決して屈しようとはしなかった。そんなある日、スピリットはそれまでの人間とは違う顔をした若者、コタ族のリトル・クリークと出会うのだった…。
以前はアメリカの西部劇と言えば保安官を始めとする白人は正義の象徴、インディアンたちは悪の象徴でした。時代は変わり現在ではインディアンが正義であり、白人が不正を行っている、というような単純に裏返したような描写の映画も散見されます。しかし、どうもぼくはそういう映画が好きではないんです。何となく、虐殺を行った白人のエクスキューズな感じがしてしまって。
本作も主人公であるスピリットを無理矢理捕えたカウボーイたち、またインディアンであるリトル・クリークを無理矢理捕えてきた砦(フォート)の白人たちは基本的には悪人側として描かれます。しかし、本作が単純な逆転構造になっている訳ではないことは、フォートの長である大佐を見ればわかります。威厳と実力を兼ね備えた彼の存在が、映画自体を締まったものにしています。
クライマックスの展開なども考えると、やはり基本的には子ども向けに作られたアニメーションであるという感じがします。ただ、上にも書きましたが、大佐を中心として見ると、大人でも楽しめる作品に仕上がっていると感じました。あと、個人的には大佐の造形が非常にジャック・パランスに似ている気がしており、その点も楽しめました。