Beginners
製作国:アメリカ
上映時間:105分
監督 :マイク・ミルズ
出演:ユアン・マクレガー/クリストファー・プラマー/メラニー・ロラン/ゴラン・ヴィシュニック
『サムサッカー』(2005)のマイク・ミルズ監督の手になるハートフルなコメディ。75歳にしてゲイをカミングアウトした主人公(ユアン・マクレガー)の父・ハル役をクリストファー・プラマーが演じ、2011年のアカデミー助演男優賞、ゴールデン・グローブ助演男優賞などを総なめにしました。
「サムサッカー」で監督デビューを飾った世界的アーティスト、マイク・ミルズ監督が、自身の父親との関係を基に脚本を書き上げ映画化したハートフル・ヒューマン・ストーリー。長年連れ添った母の死後、突然ゲイであることをカミングアウトし、新たな人生を謳歌しはじめた父の姿に戸惑いを抱きながらも、自分の気持ちに正直に生きることの大切さを学んでいく主人公の葛藤と新たな恋の行方を描く。主演は「ゴーストライター」のユアン・マクレガー、共演に「終着駅 トルストイ最後の旅」のクリストファー・プラマー、「イングロリアス・バスターズ」のメラニー・ロラン。
アートディレクターのオリヴァーは、愛に臆病な内向的で真面目な38歳独身男。ある日、44年連れ添った妻に先立たれ、自らもガンを宣告された父ハルから、ゲイであることを告白される。厳格だった父の突然のカミングアウトに戸惑いつつも、病に立ち向かいながら新たな人生を謳歌し始めた父と語り合い、少しずつ距離を縮めていくオリヴァー。やがて父との永遠の別れを経て、大いなる喪失感を抱えたままの彼の前に、フランス出身の女優アナが現われる。互いに人と距離を置きながら生きてきた似たもの同士の2人は、ほどなく恋に落ちるのだったが…。
オープニングから落ち着いた雰囲気の本作。何となく全体的にアメリカ映画っぽくないんですよね。主演ふたりがスコットランド(マクレガー)とフランス(ロラン)だからかとも思ったのですが、抑制された演出や、少々ブラックなユーモア、そしてピンポイントで挟まるショットがどこか非常にイギリス映画っぽい。
クリストファー・プラマーに期待して見たのですが、その点は大満足。思ったよりも登場しており、嬉しい驚きでした。70年代のゲイ・カルチャーについても、予想以上に詳しく触れていました。映画はそれら父親世代と、30代の息子世代を対比させて描いてはいるのですが、そのふたつの物語が噛み合っているかというと微妙なところ。ただ、この曖昧な感じは居心地のよいものでした。
ジャジーな音楽も本作の雰囲気にはぴったりとあっていました。ピアノを主体とした静かな音楽はどことはなくベルナール・ラップ監督の『私家版』(1996)を彷彿とさせます。そういえば、あちらの主演もイギリス出身のテレンス・スタンプでした。