今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

Genre:Mystery

アントニオ・マルゲリーティ(1970)『E Dio disse a Caino』

製作国:イタリア/西ドイツ
上映時間:93分
監督:アンソニー・M・ドーソン
出演:クラウス・キンスキー/ペーター・カルステン/マルチェラ・ミケランジェリ/アントニオ・カンタフォラ

前回『ジェーン・バーキン in ヴェルヴェットの森』(1973)をご紹介したイタリアの職人監督アンソニー・M・ドーソンことアントニオ・マルゲリーティが監督した何本かのマカロニウエスタンの一本。主演は数多くのマカロニウエスタンに出演していますが、主演作品はほとんどないクラウス・キンスキー。

収容所で強制労働をさせられていたゲイリー・ハミルトン(クラウス・キンスキー)。ある日彼は釈放され、馬車に乗ってとある町を目指します。馬車で同席した青年ディック(アントニオ・カンタフォラ)が旧知のアコンバー(ペーター・カルステン)の息子だと知ると、彼に「ゲイリー・ハミルトンが帰ってきたと伝えてくれ」と言って馬車を途中下車するゲイリー。

実はアコンバーこそがゲイリーが10年間も服役していた原因でした。ゲイリーとアコンバーは北軍で同じ部隊にいたのですが、軍の金が横領されるという事件が起き、ゲイリーは犯人として捕まっていたのでした。しかし、真犯人はアコンバーであり、彼は金ばかりか、ゲイリーの恋人であったマリア(マルチェラ・ミケランジェリ)まで奪っていたのでした。

真相を知らないディックは、父にゲイリーの伝言を伝えます。顔を強ばらせる父と母(マリアはどうやらディックにとって継母のようです)。アコンバーは部下たちに、ゲイリーを町に入れずに始末するようにとの指示を出しますが、ゲイリーは地下道を巧みに使って町に侵入します。嵐の夜、ゲイリーは一人また一人とアコンバーの部下たちを葬ってゆくのでした……というお話。

ミルクリークから出ている廉価版DVDで見ました。英語音声なのはよいのですが、画質が悪く、しかも本作は夜間戦闘などのくらいシーンが非常に多いため、何をやっているのか分からないシーンがしばしば。もう少しいい画質の映像で見たかったところです。

タイトルを直訳すると「そして神はカインに語った」となります。恐らく旧約聖書のカインとアベルの逸話を指しているのだと思われますが、映画のストーリー自体は比較的単純な復讐劇であり、あまり聖書に馴染みのないぼくには関連性はいまいちわかりませんでした。

ストーリー自体は比較的ありきたりなものですが、本作はホラー映画も監督するマルゲリーティ監督らしい演出でなかなか楽しめます。地下道の水滴の音や、嵐の風の音、そして嵐で揺れる鐘の音といった自然音を上手く使った効果音。そして鐘を効果的な小道具にしたふたつのホラーチックなシーンなど。また、クライマックスのアコンバー家の悲劇の演出もなかなか魅せてくれます。鏡と炎を効果的に使ったラストの決闘シーンもいいですね。マルゲリーティ監督らしさが良い方に出た佳作です。

クラウス・キンスキーはもう説明不要なくらい様々なマカロニウエスタンに出演した名優です。一方のペーター・カルステンはマカロニウエスタンの出演作はあまりないようです。先日ご紹介した『戦争プロフェッショナル』(1968)でもドイツ人将校役で出演していました。

アントニオ・マルゲリーティ(1973)『ジェーン・バーキン in ヴェルヴェットの森』

La morte negli occhi del gatto
製作国:イタリア/フランス/西ドイツ
上映時間:87分
監督:アンソニー・M・ドーソン
出演:ジェーン・バーキン/ハイラム・ケラー/ヴェナンチーノ・ヴェナンチーニ/セルジュ・ゲンズブール

多作な職人監督であるアンソニー・M・ドーソンことアントニオ・マルゲリーティが監督したサスペンス・ホラー映画。おそらくジャッロ映画の一本として分類されるのだと思います。主演はジェーン・バーキン、そして脇役ながらセルジュ・ゲンズブールも出演しているなど、配役に商業監督らしいソツのなさが感じられます。それにしても、「ヴェルヴェットの森」という邦題はなんなんでしょうね。原題は「猫の目の中の死」で、こちらは話の内容に合っています。

寄宿学校を退学になったコリンガ(ジェーン・バーキン)は、伯母マリー(フランソワーズ・クリストフ)の暮らす古城を訪れます。そこには彼女の母アリーシャ(ダナ・ギア)も来ており、彼女たちは城で夏を過ごすつもりでした。夕食時、3人の女性のほかに、城付き司祭のロバートソン(ヴェナンチーノ・ヴェナンチーニ)や、住み込みでマリーの息子、ジェームズの治療をしている医師のフランツ(アントン・ディフリング)、ジェームズにフランス語を教えているというスザンヌ(ドリス・クンシュトマン)も一同に会し、和やかに会食が始まります。と、思いきや、そこにジェームズ(ハイラム・ケラー)が現れ、アリーシャとコリンガに暴言を吐きます。怒って席を立つアリーシャ、それを追うコリンガ。

二人は翌日には城を立とうと考えていましたが、その夜、アリーシャは寝室で何者かに殺害されてしまいます。そして、地下道に迷い込んだコリンガは、腐乱し、ネズミに食い荒らされた男の死体を発見するのでした……というのが物語のはじまり。

登場人物も少なく、いかにも低予算な映画なのですが、そこはマルゲリーティ。それなりに卒なく、破綻のない作品にまとめあげています。一方で、面白いかと言われると、まぁ、それなりに……という感じなのがまたマルゲリーティらしい。

一応フーダニット的要素はあるものの、ヒントは少なく、これで犯人を当てるのは至難の業。どちらかというと、ジャッロらしくハウダニットに焦点が当てられている映画だと言えるかもしれません。クライマックスは少々唐突な感もありましたが、どうやら日本版のDVDはオリジナルと比べるとところどころカットされているようです。オリジナルを見ると、そこまで唐突な感じはしないのかもしれません。

マカロニウエスタン俳優陣としては、ヴェナンチーノ・ヴェナンチーニが結構重要な役柄で出演している他に、『西部悪人伝』(1970)などのフランコ・レッセルも出演しています。ただし、彼の方はほんの少しのみの出演でした。

徐克(2010)『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』

狄仁傑之通天帝國
製作国:中国/香港
上映時間:128分
監督:徐克
出演:劉徳華/李冰冰/鄧超/梁家輝/劉嘉玲

香港のスピルバーグとも言われたこともあった徐克監督の『セブンソード』(2005)以来5年振り(日本公開という意味では7年振り)となる日本公開作が本作。公式サイトある「ツイ・ハーク完全復活!」という惹句に恥じないエンターテインメント作品に仕上がっています。

 「ワンス・アポン・ア・タイム/天地大乱」のツイ・ハーク監督が、中国の唐王朝時代に実在し、オランダ人外交官ロバート・ファン・ヒューリックの手による探偵小説シリーズで中国のみならず欧米でも知られる人気キャラクター“ディー判事”を主人公に描くエンタテインメント・ミステリー・アクション大作。主演は「墨攻」「ウォーロード/男たちの誓い」のアンディ・ラウ、共演にカリーナ・ラウ、リー・ビンビン、レオン・カーフェイ。
 紀元689年、唐王朝の時代。則天武后による中国史上初の女帝即位を目前に、その権力を象徴する巨大な仏塔“通天仏”の建立が進んでいた。そんな中、巷では人体が発火し、焼き尽くされるという不可解な事件が連続して発生する。犠牲者がいずれも政権に関わる重要人物だったことから、武后は事件解決の切り札に判事ディーを指名する。かつて武后を非難して獄中の身となっていたディーだったが、その類い希な知性と超人的な武術の能力を有する彼をおいて他に、この難事件に挑める者はいなかった。さっそくディーは、彼の監視役となる武后の側近チンアルと補佐役のペイ司法官を伴い、真相究明へと乗り出すのだったが…。

ディー判事こと中国の唐朝から則天武后の時代にかけて活躍した政治家である狄仁傑を主人公に据えた本作ですが、ストーリー自体は完全にオリジナルであり、特に史実から題材を取ったわけではないようです。冒頭、隆盛を極めた洛陽がCGで描かれ、そこに巨大な通天仏が描きこまれます。そしてそこで発生する賈大人の人体発火現象……と、なかなかスピード感のある展開が気持ちいい。CGはハリウッドほど緻密ではなく、CGだとまるわかりのCGですが、そこは目を瞑りましょう。

人体発火事件が続くことから、監獄から呼び戻された狄仁傑が捜査に乗り出すわけなのですが、そこは徐克監督、まっとうな捜査ものにはならず、アクションからラヴロマンスから何から何までとにかく盛り込みます。少々詰め込み過ぎで、展開が早く、一歩間違えると観客を置いていきそうにもなりますが、そこがまた徐克らしいところ。前の日本公開作であった『セブンソード』も劇場で見ましたが、当時よりも往時の勢いを取り戻している印象があります。

アクションシーンも、あのデブゴンこと洪金寶の武術指導が入っており、しっかりと見応えのあるシーンに仕上がっています。細かいカット割りの編集もスピード感を増すことに貢献しています。

主演は『インファナル・アフェア』(2002)の劉徳華、則天武后は香港の劉嘉玲が演じ、重厚な演技を見せてくれています。ヒロインである上官静児を演じるのは大陸出身の李冰冰。この人はぼくは今回初めて見たのですが、クール・ビューティーといった感じの女優さんですね。あるシーンのツンデレっぷりにはちょっと笑いました(が、その直後笑いが凍りましたが)。また、狄仁傑の片腕となる裴東来を大陸出身の若手・鄧超が演じているのですが、眉毛まで白く染めて奇抜な扮装でしたが、映画には非常に合っていました。

トーマス・アルフレッドソン(2011)『裏切りのサーカス』

TINKER TAILOR SOLDIER SPY
製作国:イギリス/フランス/ドイツ
上映時間:128分
監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:ゲイリー・オールドマン/コリン・ファース/ベネディクト・カンバーバッチ/トム・ハーディ

ジョン・ル・カレのスパイ小説『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』(最近新訳が刊行されました)の映画化作品。原題は小説と同じですが、邦題はなぜか意訳されています。「裏切りの」はともかくとして、「サーカス」が英国諜報部を指す、というのは少々分かりづらいような。監督は『ぼくのエリ 200歳の少女』(2008)(これも邦題が少々残念)のトーマス・アルフレッドソン。

 1979年に英国BBCでドラマ化されたジョン・ル・カレの傑作スパイ小説『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』を「ぼくのエリ 200歳の少女」のトーマス・アルフレッドソン監督で映画化したサスペンス・ドラマ。東西冷戦下の英国諜報部<サーカス>を舞台に、ソ連の二重スパイをあぶり出すべく繰り広げられる緊迫の頭脳戦とスパイの世界に身を置く男たちの過酷な生き様を、ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、ジョン・ハートら英国が誇る実力派俳優陣の豪華競演とストイックな演出でスリリングかつ緊張感いっぱいに描き出す。
 英国のMI6とソ連のKGBが熾烈な情報戦を繰り広げていた東西冷戦時代。英国諜報部<サーカス>のリーダー、コントロールは、長年組織に潜んでいるソ連の二重スパイ“もぐら”の情報を掴むも独断で作戦を実行して失敗、責任をとってサーカスを去る。コントロールの右腕で彼とともに引退した老スパイ、スマイリー。ある日、英国政府のレイコン次官から“もぐら”を突き止めろという極秘の指令が下る。ターゲットとなるのは、コードネーム“ティンカー”、“テイラー”、“ソルジャー”、“プアマン”という4人の組織幹部。さっそく信頼を置くかつての部下ピーターらと組み、調査を開始するスマイリーだったが…。

ぼくは残念ながら原作は未読なのですが、2時間ちょっとという尺の中にあれだけの内容をよく納めたな、という印象。一方で、映画の尺に収めるために原作の内容をかなりそぎ落としているようで、少々説明不足に感じられるシーンも多々あります。

全体としては、地味ながら非常に緊迫したスパイ映画です。老いて諜報部「サーカス」を解雇された元諜報員スマイリー(ゲイリー・オールドマン)が、こちらも解雇された昔の上司コントロール(ジョン・ハート)の越した最後の事件を追うストーリーはとてもスリリング。時折挿入される古き良き時代のサーカスのシーンも味があります(特にラスト・シーンで流されるパーティのシーンは感傷的ながら美しい)。

しかし、ゲイリー・オールドマンももうこんな役を演じる年になっていたんですね。どうにも『レオン』(1994)の印象が強く、いつまでもあのころのイメージで見ていました。

ロモロ・グェッリエリ(1968)『デボラの甘い肉体』

IL DOLCE CORPO DI DEBORAH
製作国:イタリア
上映時間:99分
監督:ロモロ・グェッリエリ
出演:キャロル・ベイカー/ジャン・ソレル/ジョージ・ヒルトン/アイダ・ガリ

二匹の流れ星』(1967)などのマカロニウエスタンの監督を務めたロモロ・グェッリエリ監督の手によるサスペンス映画。DVDパッケージには「本作の大ヒットによって〈ジャーロ映画〉と呼ばれるイタリア産エロチックホラーが次々と製作された」と、まるでジャーロ映画の元祖のような書き方がされていますが、どうなんでしょうね。

 イタリアの青年と結婚したデボラの前に、夫のかつての恋人を知る女性が訪ねてくる。そしてその女性の案内でやってきた屋敷で、デボラたちは怪奇現象に遭遇する……。怪奇と官能のイタリアン・ホラー。

ノラ・オンランディのお洒落な音楽に乗って、ジェノヴァ、ニースを舞台に美貌の女性デボラ(キャロル・ベイカー)の周りで起きる不可解な出来事が描かれる……という筋書き。デボラの新婚の夫・マルセル(ジャン・ソレル)のかつての恋人スーザン(アイダ・ガリ)が自殺したという知らせが、マルセルとスーザンの共通の知人であるフィリップ(ルイジ・ピスティッリ)からもたらされる。それからマルセルとデボラの周りでは奇妙な出来事が頻発し……という展開はなかなか面白い。

一方で、ロモロ・グェッリエリ監督の演出はのんびりとしたテンポで、キャロル・ベイカーの裸体を撮ってみたり、黒人女性によるストリップ・ショーを撮ってみたりと、少々焦点が定まっていない感じなのは残念。

二転三転するクライマックスは、秀逸と見るか脈絡がないと見るか、かなりスレスレのところ。まぁ、こういったタイプの映画を見慣れている目としては、なかなか上々の部類に入る気がします。

後半、物語のキーを握る男として、画家のロバート(ジョージ・ヒルトン)が登場するのですが、マカロニウエスタンさながらの髭面の彼は、まるで『荒野の無頼漢』(1970)のアレルヤのようです。一方でスーザンを演じたイヴリン・スチュアートことアイダ・ガリは『続・殺しのテクニック/人間標的』(1967)など、マカロニウエスタンよりも現代劇のほうが似合う女優さんだった気がしています。

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