人嚇人/THE DEAD AND THE DEADLY
製作国:香港
上映時間:99分
監督:牛馬
出演:洪金寶/林正英/午馬/鐘楚紅
洪金寶が『妖術秘伝・鬼打鬼』(1981)に続けて制作したホラー・コメディ。いわゆる「サモ・ハン・ホラー三部作」の2作目なのですが、監督は洪金寶から『妖術秘伝・鬼打鬼』で洪金寶を廃寺におびき寄せた人物を演じていた牛馬に変わっています。
あらすじをDVDに記載されている中国語説明文から翻訳すると……朱宏利(洪金寶)(ただし、字幕ではデブ公)と馬麟祥(午馬)はいい友だちでした。ある日、麟祥の妻と自称する身重の女が麟祥の死体を連れて村に帰ってきました。デブ公は葬儀用の紙人形に扮して葬儀場に忍びこみます。なんと、麟祥は女やその取り巻きたちと一緒に、自分の葬儀の副葬品である高価な骨董をだまし取るために、死んだふりをしていたのでした。
しかし、事は失敗し、女たちは遺産を麟祥から強奪するために、麟祥を本当に殺してしまいます。幽霊となった麟祥は、デブ公の体を借りて恨みを晴らそうとするのですが……
前作(?)『妖術秘伝・鬼打鬼』と比べると、ホラー色はかなり薄まり、コメディ色が濃厚になっています。この物語は大きく3つの部分に分けることができます。まず、アバンタイトルのデブ公が幽霊に殺される夢を見るシーン。ここは短い上に、「これは幽霊の映画ですよ」という紹介のようなもの。『妖術秘伝・鬼打鬼』にも同様なシーンはあるのですが、正直全体から浮いている感があります。
メインは洪金寶と午馬によるどたばたコメディからの復讐劇、そして、クライマックスは死んでしまったデブ公を生き返らせようと、道士であるおじさん(林正英)の助言を受けながら、許嫁であるユン(鐘楚紅)が奮闘するエピソード。いまいち個々のエピソードの繋がりが悪い気もしますが、エンターテインメント作品としては盛りだくさんでサービス精神旺盛なのはいい印象。
前作と比べ、アクションシーンは控えめですが、CGや特殊メイクをふんだんに使用した演出は見どころのひとつ。
手元の広東語辞典によると、「嚇」は「驚かせる」という意味があるらしく、原題は「人間が人間を驚かせる」つまり、テーマは幽霊ではなく、あくまで人間にあるようですね。