UN CHIEN ANDALOU
製作国:フランス
上映時間:17分
監督:ルイス・ブニュエル
出演:シモーヌ・マルイユ/ピエール・バチェフ
ルイス・ブニュエルの初めての監督作品にして、あのサルバドール・ダリが参画したことでも知られる短編映画。ダリのクレジットは脚本となっていますが、本作には筋はあってないようなものなので、不思議な映像世界をダリとブニュエルの二人で作り上げた、ということなのでしょう。
今みても感嘆する他にないシュールレアリズムの映像詩。L・ブニュエルの凄い所はこのイマジネイティヴな実験精神を失わず、メキシコ時代の通俗作品、後期の“アンチ”カトリシズムの不条理劇と、果敢な映画的創造を貫いたことだ。ダリが共同脚本を手がけた本作は全く論理的脈略はなく、あまりにも有名な、眼球を剃刀で真二つにされる女、路上に切り落とされた手首をみつめる女装の男、痙攣する掌を這い回る蟻の群れなど、夢魔的イメージが全篇を支配している。そこに何を読みとるかは観る者の自由。ただ、やがて内戦状態に突入していく20年代の終わりのスペインで作られた点は何かを教唆するだろう。
率直に言うと、訳が分からない、という感想になるでしょうか。モノクロのサイレント作品なので、色もない、音もない世界で、まるで悪夢的な映像が脈絡なく流されます。切り裂かれる眼球、手のひらを這い回る蟻、千切れた手首を突き回す女性、車に跳ねられる女性……。
もちろん当時はCGなどありません。直接的なグロテスクさは、今の映画とは比べものになりません。しかし、あまりに映像に脈絡がないためか、見ているとだんだん不安定な気持ちになってくるような映画でした。
子牛の目を使ったと言われる、有名な眼球切り裂きシーンだけでも一見の価値があると言えるでしょう。