今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

Genre:Family

ゴア・ヴァービンスキー(2011)『ランゴ』

RANGO
製作国:アメリカ
上映時間:107分
監督:ゴア・ヴァービンスキー
出演(声):ジョニー・デップ/アイラ・フィッシャー/アビゲイル・ブレスリン/ネッド・ビーティ

「ジャンゴ 」「チャマンゴ」「シャンゴ」と来て『ランゴ』。日本公開時ぼくの周りのマカロニ・ウエスタン・ファンの間でちょっとした話題になったアニメーション西部劇。監督は『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(2003)などの「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのゴア・ヴァービンスキー。

 「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのゴア・ヴァービンスキー監督とジョニー・デップが再びタッグを組み、お調子者のカメレオンを主人公に描くコメディ・アニメ。ひょんなことから砂漠のど真ん中に置き去りにされてしまったペットのカメレオン“ランゴ”が、動物たちが暮らす無法の町でヒーローに祭り上げられ、思わぬ大冒険を繰り広げるさまを往年の西部劇テイストをふんだんにコミカルに綴る。ジョニー・デップは主人公ランゴの声のみならず、アニメの基となる動きもモーション・キャプチャー技術を使って自ら演じている。
 TV番組のヒーローに憧れるペットのカメレオン。飼い主と車で移動中に事故に遭い、入っていた水槽ごと砂漠の中に放り出されてしまう。狭い水槽の中しか知らずすっかり途方に暮れる彼は、やがて寂れた荒野の町“ダートタウン”にたどり着く。酒場に立ち寄った彼は、町の住人を前に自らをランゴと名乗り、ありもしない武勇伝を得意げに語ると、いつの間にか町の保安官に任命されてしまう。思いがけない大役に戸惑いつつも、まんざらでもないランゴだったが…。

タイトルと(ぼくの周囲の)前評判にマカロニ・ウエスタン臭さを期待してみると、少々肩透かしを食らうことになります。特に序盤。主人公であるカメレオン・ランゴのキャラクターがあまりに軽く、軽薄なのはあまりいい気持ちはしません。まぁ、こちらがマカロニ・ウエスタンを期待しすぎてしまっていたのが最大の原因だとは思います。

そういう点を抜きにして見てみると、小さな世界しか知らなかった主人公が外の世界に放り出され、挫折し、そしてとある切欠で立ち直り、ヒーローになる、というジュヴナイル・エンターテインメントの王道的展開。そして確かにクライマックスの15分は映画的にも西部劇的にも燃える展開なのは確かです。

クライマックス、町の至る所から水が吹き出すシーン、どこかで見たことがあるような気がしていたのですが、アルフォンソ・バルカザール監督のマカロニ・ウエスタン『I BANDOLEROS DELLA DODICESIMA ORA』(1972)のクライマックスで地面から石油が吹き出してくるシーンに非常に似ていました。まぁ、本作のほうがきちんとストーリーに組み込まれていますし、またアニメーションの利点を最大限に活かした素敵なシーンに仕上がっていました。

しかし、こういう「主人公・ヒロインが造形的に可愛らしくないアニメ」は日本よりもアメリカのほうが作るのがうまいなぁ、という印象です。

バスター・キートン(1922)『キートンの警官騒動』

COPS
製作国:アメリカ
上映時間:20分
監督:バスター・キートン
出演:バスター・キートン/ヴァージニア・フォックス/ジョー・ロバーツ

バスター・キートンが監督・主演した比較的初期の短編作品。Allcinema Onlineには記載されていませんが、キートン映画でよく監督を務めたエドワード・F・クラインが本作にも監督としてキートンと共に関わっているようです。

 稀代の奇術師フーディニの“愛は錠前屋をあざける”との格言がタイトルの後に続き、金持ちの令嬢を好きになったキートンは、彼女にピシャリとその家の門を閉められ、“立派な事業家になったら結婚してあげる”と言われ愕然とする。フラフラと町に出た彼は、タクシーを拾おうとする紳士の落とした財布を拾って、彼に返そうとするが何度か渡し損ねて中身だけ貰ってしまう。そして、その大金に目をつけた詐欺師が、引っ越しで今から運ばれようという家具を、持ち主のいない隙に彼に泣きついて無理矢理買わせる。そして、キートンは近くの吊しの洋服露地商の値札を、その前に停めてあった馬車の値段と勘違いして、わずか5ドルでそれを手に入れ、家具を満載して出発。手信号に噛みつく犬をボクシング・グローブで撃退し、横着してマジック・ハンドで合図していたら、交通整理の巡査を殴り倒していた。やがて、馬車は警官の大パレードに突入。折悪しく、その荷台の上で過激派の爆弾が炸裂したため、キートンは何百という警官に追われるハメになるのだが……。サイレント喜劇作家に共通してあった、警官への畏れと嘲笑をアナーキーに笑い飛ばす、短篇期のキートンの、どこか“わらしべ長者”を思わすような物語展開の快作だ。

勘違いが元でとんとんと色々なものを手に入れてゆく前半はどこかのんびりとしたテンポで物語が進んでいきます。笑いどころはそこまで多くありませんが、解説にもあるマジック・ハンドのくだりはクスリとさせられます。

後半の警官大パレードに突入してからの爆発事件、そして大量の警官隊に追われるキートンのスラップスティックな逃走劇は非常に見どころたっぷり。スラップスティックの喜劇王の面目躍如といったところです。

マーティン・スコセッシ(2011)『ヒューゴの不思議な発明』

HUGO
製作国:アメリカ
上映時間:126分
監督:マーティン・スコセッシ
出演:エイサ・バターフィールド/ベン・キングズレー/クロエ・グレース・モレッツ/サシャ・バロン・コーエン

『ディパーテッド』(2006)、『シャッター アイランド』(2009)など、近年レオナルド・ディカプリオと組んで映画を撮影することの多かったマーティン・スコセッシが初めて挑んだ3D映画。ぼくは劇場で3Dを観るのは『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)以来でした。

 ブライアン・セルズニックのベストセラー小説を「グッドフェローズ」「ディパーテッド」のマーティン・スコセッシ監督が自身初の3Dで映画化したファンタジー・アドベンチャー。1930年代のフランス、パリを舞台に、駅の時計台に隠れ住む少年が父の遺した機械人形の謎を追って不思議な大冒険を繰り広げるさまを、ジョルジュ・メリエスはじめ映画創成期へのオマージュをふんだんに、美しく幻想的な3D映像で描き出していく。主演は「縞模様のパジャマの少年」のエイサ・バターフィールド、共演にクロエ・グレース・モレッツ、ジュード・ロウ、ベン・キングズレー。
 1930年代のフランス、パリ。父を亡くした少年ヒューゴは、駅構内の時計台に隠れ住み、時計の整備をしながら孤独な毎日を送っていた。そんな彼の心のよりどころは、父が遺した壊れたままの不思議な“機械人形”。その修理に悪戦苦闘していたヒューゴは、おもちゃ屋で万引きを働いて店主の老人に捕まり、人形について書かれた大切な父のノートも取り上げられてしまう。そんな中、ヒューゴは老人の養女イザベルと仲良くなり、一緒に機械人形の秘密を探ってゆくのだが…。

劇場予告編では不思議なほどほとんど触れられていませんが、本作はジョルジュ・メリエスを実質的な主人公に、映画黎明期の様相を、ファンタジーにくるんで我々の前に再現してくれる映画です。ジョルジュ・メリエスを演じるのはイギリスの名優ベン・キングズレー。メリエスのような髭を生やして熱演しています。

オープニング、再現されたモンパルナス駅の中をカメラが駈けぬけるシーンは非常に3Dと親和性が高い。これで一気に映画の中に引き込まれます。その他にも、駅の時計のゼンマイや、舞い落ちる雪など、3Dならではの描写が散見されます。

しかし、スコセッシが本作で描きたかったのは、やはり何と言ってもジョルジュ・メリエスでしょう。失意のどん底にあった彼を、主人公の孤児ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)が立ち直らせる展開は、意外性はないながらも、スコセッシ監督の映画への愛が感じられ、見ていて幸せな気分になります。

劇中でも、世界初の映画と言われる『L'ARRIVÉE D'UN TRAIN À LA CIOTAT(列車の到着)』(1896)を始め、ハロルド・ロイドの『ロイドの要心無用』(1923)、キートンの『キートンの大列車追跡』(1926)、チャップリンの『キッド』(1921)など、様々な名作サイレント映画が挿入されるのも見ていて心地がいい。そしてもちろん、メリエスの『月世界旅行』(1902)を始めとする作品の数々も。

また、それらを挿入するとともに、劇中でそれらの映画へのオマージュが見られるのも、映画ファンのスコセッシ監督ならでは。ヒューゴの夢の中で列車が暴走するシーンは、実際にモンパルナス駅で1895年に発生した鉄道事故の再現であると同時に、『L'arrivée d'un train à La Ciotat Poster』のオマージュでしょう。また、『ロイドの要心無用』や『モダン・タイムス』(1936)へのオマージュと感じられるシーンもあります。

ジョルジュ・メリエスに興味がある人、それでなくとも映画ファンは必見の幸せな映画です。ところで、『ヒューゴの不思議な発明』って邦題は、映画の内容と合ってるんでしょうかね?

ケリー・アズベリー/ローナ・クック(2002)『スピリット』

SPIRIT: STALLION OF THE CIMARRON
制作国:アメリカ
上映時間:84分
監督:ケリー・アズベリー/ローナ・クック
出演(声): マット・デイモン/ジェームズ・クロムウェル/ダニエル・スタディ

天国にいちばん近い島』でも書いたように、一週間ほどニューカレドニアに滞在していたのですが、その間にホテルのTVで本作が放映されていました。当然音声はフランス語吹き替え、そして字幕なしという鑑賞環境だったのですが、主人公が馬であり、また子ども向けのアニメーション映画ということもあり、さほど困難なく内容を理解して鑑賞することができました。

監督としてはケリー・アズベリー、ローナ・クックの二人がクレジットされています。アズベリーのほうは日本公開作としては本作の後に『シュレック2』(2004)がある模様。ただ、こちらも共同監督のようですね。声の出演であるマッド・デイモンを始めとする俳優陣は、ぼくが観たのがフランス語吹き替えであるため、当然違う俳優に変わっていました。音楽を担当したのはハンス・ジマーです。

 伝説の野生馬“スピリット”が数々の苦難を乗り越えて雄々しく生きる姿を描いたドリームワークス製作の壮大なアドベンチャー・アニメ。主人公スピリットの内面心理がナレーションにより語られる以外は、動物たちに一切セリフはなく、鳴き声、あるいは動きや表情の繊細な描写で感情を表現する意欲的な試みがされている。監督は共に本作で劇場映画デビューのケリー・アスバリーとローナ・クック。ブライアン・アダムスが本作のために新作6曲を提供している。
 西部開拓前のシマロンの大地。野生馬の群に生まれたスピリットは母の愛情に包まれ、大自然の中でのびのびと育つ。やがて、勇敢で立派な雄馬に成長したスピリットは、群れを率いる頼もしいリーダーとなっていた。ある日、彼は生まれて初めて人間に遭遇する。彼らは野生馬を捕らえ、シマロンの地を荒らしているカウボーイたち。スピリットは自分を身代わりに仲間を逃がした。捕まったスピリットだったが、人間たちの調教に決して屈しようとはしなかった。そんなある日、スピリットはそれまでの人間とは違う顔をした若者、コタ族のリトル・クリークと出会うのだった…。

以前はアメリカの西部劇と言えば保安官を始めとする白人は正義の象徴、インディアンたちは悪の象徴でした。時代は変わり現在ではインディアンが正義であり、白人が不正を行っている、というような単純に裏返したような描写の映画も散見されます。しかし、どうもぼくはそういう映画が好きではないんです。何となく、虐殺を行った白人のエクスキューズな感じがしてしまって。

本作も主人公であるスピリットを無理矢理捕えたカウボーイたち、またインディアンであるリトル・クリークを無理矢理捕えてきた砦(フォート)の白人たちは基本的には悪人側として描かれます。しかし、本作が単純な逆転構造になっている訳ではないことは、フォートの長である大佐を見ればわかります。威厳と実力を兼ね備えた彼の存在が、映画自体を締まったものにしています。

クライマックスの展開なども考えると、やはり基本的には子ども向けに作られたアニメーションであるという感じがします。ただ、上にも書きましたが、大佐を中心として見ると、大人でも楽しめる作品に仕上がっていると感じました。あと、個人的には大佐の造形が非常にジャック・パランスに似ている気がしており、その点も楽しめました。

チャールズ・F・ライスナー/バスター・キートン(1928)『キートンの蒸気船』

STEAMBOAT BILL JR.
製作国:アメリカ
上映時間:72分
監督:チャールズ・F・ライスナー/バスター・キートン
出演:バスター・キートン/アーネスト・トレンス/マリオン・バイロン/トム・ルイス

キートン長編傑作集というDVDに入っていた作品を、『馬鹿息子』(1920)、『キートンの恋愛三代記』(1923)、『キートンの大学生』(1927)と紹介してきましたが、本作『キートンの蒸気船』でひとまずおしまいになります。印象としては、後期の2作品のほうが、前期のものに比べてかなり面白い。『キートンの大列車追跡』(1926)も併せて、この辺りがキートンの最盛期と言えるのではないでしょうか。

 NYから故郷ミシシッピーに帰り、久しく会わなかった父と再会するキートン。駅に彼を迎えに行く父は、電報で知らせてきた目印のカーネーションを目当てに息子を探すが、この日は母の日で降りてくる男の客の皆、同じ花を胸につけており、肝心の本人は向こう側のホームに降りている--という傑作ギャグから始まる本編は、キートン一流のマッチョを揶揄した痛快アクション満載の喜劇。蒸気船船長の父は自分のように逞しく成長した息子を想像していたが、貧弱で軟派な都会のモダンボーイでガックリ。父の船で助手として働くようになる彼は、父のライバルの船と競走して勝つなど、やがては意外な底力を飄々と発揮してみせることに。後半の暴風雨のスペクタクル・ギャグは語り草になるほどで、三階建ての家が倒壊して下敷きか? と思いきや、その窓の箇所に立っていて難を逃れたり、風に転がる家と戯れたり、コウモリ傘ごと引っ張られ空を舞ったりと、超人的アクションでシュールな笑いを繰り広げる。そしてラスト。大洪水から町の人々を救う大活躍をし、船の甲板で愛しのヒロインがキスを待ち受けているというのに突然、河の中に飛び込むキートン。なんだ、溺れかけていた牧師を救っていたのか--というオチが、全くクールな奴だぜと再び拍手喝采もの。この偉大なダブルテイクを劇場で観る際の反応は感動的なものがありますので、できれば、銀幕でご覧下さい。

序盤の面白さは正直『キートンの大学生』のほうが上回ります。コメディとしてもそこまでは盛り上がらず……と思ってみていたら、後半の暴風雨のシーンはもの凄い。これと同じレベルの暴風雨の描写は幸田露伴の『五重塔』くらい……ってジャンルが違いますが。しかし、そのくらいのもの凄い暴風雨の描写です。

家が吹き飛ばされたり車が飛んでいったりというもの凄い状況のセットの中、(いつものように)突如超人的な活躍を始めるキートンが見物です。キートンの父を演じたアーネスト・トレンスが、頑固な海の男ながら、子供にはどこか甘い親父をを体現しており、なかなか印象に残りました。

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