今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

G:Western

バート・ケネディ(1971)『女ガンマン・皆殺しのメロディ』

Hannie Caulder
製作国: イギリス
監督: バート・ケネディ
出演: ラクエル・ウェルチ/アーネスト・ボーグナイン/ロバート・カルプ/ストローザー・マーティン

【あらすじ】

無法者のエメット(アーネスト・ボーグナイン)、フランク(ジャック・イーラム)、ルーファス(ストローザー・マーティン)のクレメンス兄弟は、ある町の銀行を襲い、その逃走中にコールダー氏の牧場から馬を盗もうとする。ルーファスは止めに入ったコールダー氏を射殺。家の中にいた妻ハニー(ラクエル・ウェルチ)を見つけると、3人で代わる代わる犯し、家に放火して馬を奪って去って行くのだった。

翌日、ハニーは通りかかったバウンティ・キラーのトーマス(ロバート・カルプ)に対し、自分に銃を教えてくれるよう頼む。初めは断ったトーマスだったが、ハニーの動機を知ると気を変えて協力することにする。町で服装を整えたハニーは、腕のいい鉄砲鍛冶のベイリー(クリストファー・リー)に自分用の銃を作ってもらうため、トーマスと共にメキシコに向かう。ベイリーの家でトーマスから銃の手ほどきを受けるハニーだったが、そこに一人の牧師(スティーヴン・ボイド)が現れ、ベイリーに弾倉の修理を依頼する。

ハニーはベイリーから引鉄が2つある特製の銃を受け取る。下の引鉄を引くと、撃鉄が起きて、上の引鉄を引いて撃つことができる、という変わった銃だ。ハニーの特訓が終わったころ、ベイリーの家を無法者たちが襲う。ベイリー、トーマスと共に立ち向かうハニーだったが、怪我を負わせた無法者に留めを刺すことを躊躇しているところをトーマスに助けられるのだった。

アメリカの街に戻るトーマスとハニー。トーマスはフランクを見つけ、保安官事務所に連行しようとするが、それを見たエメットが放った投げナイフを腹に受けてしまう。ホテルに運ばれたトーマスは、ハニーの前で事切れるのだった。ハニーはサルーンにいたフランクを決闘の末殺し、ルーファスも始末する。そして、旧刑務所で待つと、エメットに言付けるのだった。

旧刑務所で対決するハニーとエメット。エメットは物陰から投げナイフでハニーを刺そうとするが、そこに居合わせた牧師によって防がれる。そして決闘の末、ついにエメットは斃れるのだった。

【感想】

ラクエル・ウェルチを起用したお色気系西部劇、と思いきや、意外にも(?)内容は真っ当な復讐劇です。夫を殺された(ガンマンではないという意味で)一般人が、銃の達人の手ほどきを受け、自らの手で仇を打っていく、という筋書きは意外なほどに真っ当というか、スタンダード。一方で、多少コミカルなシーンも入っているのですが、その辺が全体のテイストとうまく合っているかと言われると、ちょっと判断が分かれるところ。

上半身は裸にポンチョを羽織っているだけ、というウェルチのスタイルは、西部劇基準では割と露出度高め。彼女が銃を抜こうとするたびに、ちらっちらっと見える脇腹が、チラリズム的な意味で逆に色っぽい。

ハニーがベイリーに作ってもらう銃をはじめ、なんか面白かったり、あまり見たことがない銃がちらほら登場しているのも見所の一つといえば一つですかね。ハニーの特製銃は、あまりストーリーの上で活かされていた気はしないのですが。

本作はイギリス映画なので、マカロニウエスタンの範疇には含まれないのですが、ほとんどのシーンのロケ地がマカロニウエスタンでお馴染みのアルメリア、タベルナスの荒野ということもあって、非常にマカロニウエスタン感が強いです。最序盤のコールダー家の牧場はフォート・ブラボー付近の荒野、序盤に出てくる街はフォート・ブラボーで撮影されていますし、後半の街はレオーネが建てたミニ・ハリウッドのセットで撮影されています。『夕陽のガンマン』(1965)ではエル・パソ銀行として使われていた建物が、本作ではホテルとして使われているのですが、この建物がホテルとして使われているケースってかなり珍しい気がします。だいたい、銀行とか、あとカジノとか。最後の旧刑務所のセットは、あれはどこだろう。

ロケ地がスペインの割には、マカロニ俳優はそんなに目につかないのですが、謎の牧師役で『増える賞金、死体の山』(1973)にも出ているスティーヴン・ボイドが出ていたり、ベイリーを襲うメキシコのならず者役でアルド・サンブレルが顔を出していたりはします。ボイドはスペイン人ではないですが。

ジュリオ・ペトローニ(1969)「La notte dei serpenti」

製作国: イタリア
監督: ジュリオ・ペトローニ
出演: ルーク・アスキュー/ルイジ・ピスティッリ/ルシアノ・カサモニカ/マグダ・コノプカ

【あらすじ】

メキシコの寒村、親戚同士である村長のベヌスティアーノ、宿屋の主人イグナシオ(ジャンカルロ・バデッシ)、娼婦のドローレス(チェロ・アロンゾ)、教会の管理人ヘススマリア(フランコ・ヴァロブラ)は、孤児のマヌエル(ルシアノ・カサモニカ)に残された遺産である1万ドルを横取りしようと狙っている。しかし、軍のエルナンデス中尉(ルイジ・ピスティッリ)に計画を嗅ぎつけられ、無理やり仲間に加えさせられる。

彼らはマヌエルの殺害を盗賊の首領パンカルド(ググリエルモ・スポレティーニ)に依頼する。パンカルドは、自分が助けたアル中のアメリカ人、ルーク(ルーク・アスキュー)にその仕事を命じるのだった。誰を殺すのかも知らされず、ルークは村にやってくる。彼は酒場で下働きをしているマヌエルに懐かれ、彼の家に招かれる。彼は、父親が行方不明になったのち、呪術師のマリア(マグダ・コノプカ)に引き取られていた。

翌朝、殺す相手がいると告げられた場所に向かうルーク。何とそこに現れたのはマヌエルだった。ルークは躊躇するが、エルナンデス中尉がマヌエルを狙う。ルークはマヌエルを助けて逃げるのだった。マヌエルを助けるため、ルークは酒を断ち、銃の腕を取り戻す。ルークは以前、酒に酔い、誤って息子を撃ち殺してしまったという過去があり、その後酒に溺れてアル中になっていたのだった。

一方、マヌエルを狙う親戚たちにも動揺が見られた。弱音を吐いたベヌスティアーノは自殺に見せかけてエルナンデス中尉に殺された。そんな折、パンカルドの手下がマリアを人質に、ルークを詰問しにやって来る。ルークは彼らの隙を突いて銃で片付けるのだった。しかし、その間にマヌエルの姿が見えなくなる。彼はイグナシオの酒場に戻っており、イグナシオに騙されて溺死させられかかっていた。そこに駆けつけたルークがイグナシオを射殺、マヌエルを助ける。

しかし、イグナシオの妻(モニカ・ミゲル)にイグナシオを殺すところを見られてしまい、エルナンデスを呼ばれてしまう。軍を出動させるエルナンデス。ルークはマヌエルとマリアをイグナシオの酒場の床下に隠し、ヘススマリアを探しに向かう。ルークがドローレスの家に向かうと、そこではヘススマリアがドローレスを殺してしまったところだった。ルークは証人としてヘススマリアを連れて行こうとするが、銃撃戦の最中でヘススマリアは撃ち殺され、ルークは捕まってしまう。

拷問されたルークは、イグナシオに対してマヌエルの隠れ場所について嘘を付く。マヌエルを探しに行くイグナシオ。残されたルークは隙を突いて牢から脱出するが、まさにその時、兵士に見つかったマヌエルとマリアが連行されるところだった。銃撃戦の末、マリアとマヌエルを逃すルーク。しかし、それを見たエルナンデスは二人を追う。さらにそれを追いかけるルーク。

ルークはエルナンデスに追いつくが、エルナンデスはマヌエルを人質にルークに対し銃を捨てるよう迫る。言われたとおりに銃を捨てるルーク。絶体絶命かと思われた瞬間、二人の間にパンカルド一味が割って入る。何故約束を守らない、とルークに詰め寄るパンカルドだったが、ルークから実は殺害対象が子供だと知らされ激怒。子供を守ったルークを讃え、彼に銃を持たせるのだった。エルナンデスはルークを撃ち殺そうとするが、逆にルークに撃たれて息絶える。自らの副官にならないか、というパンカルドの誘いも、一緒に暮らそうというマヌエルの誘いも断ったルークは、馬でどこかへと去ってゆくのだった。

【感想】

『新・夕陽のガンマン/復讐の旅』(1967)や『復讐無頼・狼たちの荒野』(1968)のジュリオ・ペトローニ監督の日本未公開、テレビ未放送、ソフト未発売のマカロニウエスタン。アル中のガンマン、という他のマカロニウエスタンには登場しない異色のキャラクターが登場する作品です。主演のルーク・アスキューもマカロニウエスタンには本作のみの出演だと思われます。

割とストーリーが錯綜しており、今まで海外版ソフトで見ていても、いまいち話が分からず、辛いものがあったのですが、今回マカロニ大会で有志による字幕付きバージョンが上映され、やっと話が理解できました。話が理解できると、思った以上に面白い作品です。

特に前半は主人公がグダグダの単なるアル中だわ、ルーク・アスキューもあんまりヒーロー然とした容貌ではないわ、といった感じで、非常に暗いシーンが多く、マカロニウエスタンとして見ると少々盛り上がりに欠けるきらいがありますが、その前半が後半の展開に効いてきています。

一方、パンカルドに助けられるクライマックスの展開は、少々唐突というか、パンカルドのキャラクターが妙に善人善人しているのがちょっと不思議な感じというか、どうなんだこれ、という感じもあり。

リズ・オルトラーニの音楽は雄大でのんびりした印象で、マカロニウエスタンというより、ハリウッド西部劇っぽい感じがあります。

ダミアーノ・ダミアーニ(1975)『ミスター・ノーボディ2』

Un genio, due compari, un pollo
製作国: イタリア/フランス/西ドイツ
監督: ダミアーノ・ダミアーニ
出演: テレンス・ヒル/ロベール・シャルルボア/ミュウ=ミュウ/パトリック・マッグーハン

【あらすじ】

白人によるインディアンの迫害が続いていた西部開拓時代、ジョー・サンクス(テレンス・ヒル)という凄腕だが怠け者のガンマンがトゥーカムケアリの町にやって来る。町の顔役であるドク・フォスター(クラウス・キンスキー)をからかって小金をせしめていた彼だったが、アメリカ軍のペンブロック大佐(ジャン・マルタン)がクリストバル砦に向かっているという話を聞き、儲け話を思い付く。

旧知の相棒ビル(ロベール・シャルルボア)とルーシー(ミュウ=ミュウ)と再開したジョーは、ビルを大佐に変装させてクリストバル砦に送り込む。狙いは砦にある30万ドル。しかし、カボット少佐(パトリック・マッグーハン)はすぐにビルの正体に気づく。牢屋に入れられるビルとルーシー。砦に忍び込んだジョーはカボットと面会し、訳の分からないことを言って捕らえられるが、その際、わざと椅子に金粉をつけておくのだった。その後ジョーは砦の牢から脱出する。

金粉に気づいたカボットは、山に金鉱があると思い、インディアンに対し、豊かな狩場と金鉱のある荒れ野を交換することを提案する。交換は成立するが、そこにあるのは金鉱ではなく黄鉄鉱だと教えられたカボットは、騙されていたことに気づく。

依然30万ドルを狙っているジョーの裏をかこうと、ジョーに騙されたと怒っているビルを巻き込み、カボットは偽の紙幣と本物の紙幣を入れ替え、護送中にジョーに襲撃させる。しかし、ビルはその隙をついて30万ドルを持ち逃げする。それに気づいて追いかけるジョー。彼らは30万ドルの入った鞄を奪い合ううち、発破中の岩山に入り込んでしまう。爆発によって、彼ら二人もろとも30万ドルは塵となったのだった……と思いきや、実は発破すらジョーの仕込んでいた仕掛けだった。30万ドルを手にしたジョーは、それをインディアンの酋長に渡し、アメリカと戦うための資金にするのだった。

【感想】

この映画、明らかにタイトルで損しているところありますよね。普通のマカロニウエスタンとか、風来坊系統のタイトルだったら、ああ、テレンス・ヒル主演の後期コメディ・マカロニウエスタンの一作か。でもなんでモニュメント・バレーで撮影なんて豪華なことを……くらいの感じなんですが、『ミスター・ノーボディ』(1973)の続編か何かだと思って、期待して見るとハードルが上がっている分残念な気持ちに。

本作のオープニングシーンはセルジオ・レオーネが演出していることが知られていますが、明らかに他の部分とテイストが違うのが面白い。もちろん、ほかのパートが面白くないということではないのですが、カラーがだいぶ異なっています。そして、このオープニングはあまりストーリーとは直接的な関係はなさそうな感じ。

ストーリーは筋金入りの左派であるダミアーノ・ダミアーニらしい骨格があると言えばあるのですが、彼のスタイルとこういったタイプのコメディはしっくり来ているとは言いづらく、『群盗荒野を裂く』(1966)ほどの冴えは感じられません。

例によってクラウス・キンスキーはなんか一人でキンスキーっぽさというか異彩を放っているのですが、序盤に顔見せで登場して以降、一切登場しません。おそらくアメリカロケには同行していないと思われます。

フランコ・ジラルディ(1966)『禿鷹のえさ』

7 pistole per i MacGregor
製作国: スペイン/イタリア
監督: フランコ・ジラルディ(フランク・ガーフィールド)
出演: ロバート・ウッズ/フェルナンド・サンチョ/レオ・アンチョリス

【あらすじ】

テキサスで馬の牧場を営むスコットランド移民のマッグレガー一家の牧場に馬泥棒たちが押しかけて来る。二組の老夫婦が迎え撃つが、家の中にまで入り込まれ、火を付けられる。あわやという場面で彼らの7人の息子たちが帰ってきて、無法者たちを撃ち殺すのだった。

兄弟の中で負傷したジョニー(サトゥルノ・チェッラ)を家に残し、グレガー(ロバート・ウッズ)を始めとする6人の男たちはラス・メサスに200頭の馬を売りに出かける。しかし、ラス・メサスはサンティリアナ(レオ・アンチェリス)率いる無法者に占領されていた。彼の手下である馬商人クロフォード(クリス・ウエルタ)と馬の売却価格で揉めた男たちは酒場で殴り合いを始め、保安官(モリーノ・ロホ)によって収監されてしまう。

夜中、脱獄した6人は馬が盗まれていることに気づき、足跡を追いかけて行く途中、一軒の炎上する農家を見つける。そこはカーソンの家で、主人はサンティリアナの手下に殺され、娘のロジータ(アガタ・フローリ)が家を守っていたのだった。

グレガーは名前を変え、サンティリアナの手下として一味に潜り込む。そして、サンティリアナ一味の犯行計画を弟たちに伝え、弟たちは先回りしてサンティリアナのふりをして銀行強盗をしたり、彼の手下であるミゲル(フェルナンド・サンチョ)が護送中の銀塊を横取りしたりすることでサンティリアナの邪魔をする。しかし、列車強盗を横取りした際にグレガーの正体がサンティリアナにバレてしまう。

拷問を受けるグレガー。連絡係としてやはり一味に潜り込んでいたロジータが全てを白状してしまったことにより、兄弟たちは捕まってしまう。グレガーとロジータは監禁されていた牢から抜け出し、グレガーは間一髪のところで兄弟たちを助る。兄弟たちはサンティリアナのアジトの建物に籠城する。

翌朝、サンティリアナ一味の総攻撃を迎え撃つ兄弟たちだったが、銃弾が底をつき、もはやこれまで、というタイミングで遠くからバグパイプの音が聞こえて来る。ロジータに急を知らされたアリステア(ジョルジュ・リゴー)、ハロルド(フランチェスコ・テンシ)を始めとするマクレガー家の人々が増援にやってきたのだった。バタバタと倒されて行くサンティリアナ一味。グレガーはサンティリアナと殴り合い、格闘の末、自らのナイフを胸に刺されてサンティリアナは絶命するのだった。

牧場に戻った兄弟たちは、グレガーの妻となったロジータも交え、「ウイスキーと栄光を!」というマッグレガー家のスローガンで乾杯するのだった。

【感想】

日本には本作とその姉妹編である『殴り込み兄弟』(1967)、そして『必殺の用心棒』(1966)が紹介されているフランコ・ジラルディ監督の初期のマカロニウエスタン。というか、ジラルディは全部で4本のマカロニウエスタンを監督しているのですが、全てが67年までのブーム初期に作られています。

あらすじを見ていただくと分かる通り、『荒野の用心棒』(1964)以来の定石を踏襲しつつ、かなり明るくコミカルな作品に仕上がっています。オープニングのアリステアとハロルドの老人2人がなんやかんや言いながら大砲まで持ち出して馬泥棒を撃退するシーンや、クライマックスでキルトを履いてバグパイプを吹き鳴らしながら救援にやって来るシーンなど、スコットランド移民のステレオタイプ的な描写ながら、なかなか微笑ましい。

原題の「マッグレガーのための7丁のピストル」の通り、マッグレガー家の7人の息子たちが物語の中心なのですが、ジョニーは序盤の戦いで負傷し、終盤の救援まで出てこないので、実質的に6人が中心となります。とは言え、牧師かぶれのジョニーは終始黒づくめの服装をしており、兄弟の中で実は一番キャラ立ってるんで、印象には残るんですが。また、若者は7人いるんですが、彼ら全員が兄弟なのか、一部がアリステアの息子で一部はハロルドの息子なのか、その辺がイマイチよく分かりません。

兄弟たちを演じるのは、ロバート・ウッズ、マヌエル・サルソ、ナッツァレーノ・ザンペルラ、パオろ、マガロッティ、フリオ・ペレス・テベルネロ、サトゥルノ・チェッラ、アルベルト・デラクアの7人。ロバート・ウッズは主演級のスターですが、他にもザンペルラ、デラクアあたりはマカロニウエスタンでチラチラと見かける印象。

トニーノ・ヴァレリ(1972)『ダーティ・セブン』

Una ragione per vivere e una per morire
製作国: イタリア/フランス/西ドイツ/スペイン
監督: トニーノ・ヴァレリ
出演: ジェームズ・コバーン/バッド・スペンサー/テリー・サヴァラス/ラインハルト・コルデホフ

【あらすじ】

南北戦争中、食い詰め者のイーライ(バッド・スペンサー)は、盗みをしたところを北軍兵に見つかり、もう一人の男とともに逮捕され、護送される。もう一人の男こそ、南軍に砦を明け渡し、降伏したペンブローク(ジェームズ・コバーン)大佐だった。北軍の砦に着いたペンブロークはバラード少佐(ホセ・スアレス)に面会し、砦の奪回のために数人の男たちを貸して欲しいと頼む。そんなペンブロークに与えられたのは、イーライを始めとする6人の曲者揃いの死刑囚、それに、ペンブロークを護送する際、彼の十字架を盗んだブレンド(ラインハルト・コルデホフ)軍曹だった。

反抗的な男たちに対し、ペンブロークは砦の地下には50万ドルの黄金が埋めてある、という秘密を明かす。途中、食料調達に訪れた民家でマクアイバース(ガイ・メーレス)が殺されたり、仲間割れの危機を迎えたりと色々ありつつも、残った7人は砦のそばまでたどり着く。

南軍兵に成りすましたイーライが砦に入り、彼の手引きによってペンブロークたちは砦へと潜り込む。その際、ある南軍軍曹から、なぜペンブロークが砦を南軍のワード(テリー・サヴァラス)に明け渡したのかが語られる。ワードはペンブロークの息子を人質に取って開城を迫った。そしてペンブロークが降伏したにも関わらず、その息子を銃殺していたのである。

砦での銃撃戦によって南軍兵もペンブロークの仲間たちも一人また一人と死んでゆき、ついにはペンブローク、イーライ、ワード、そしてブレンド軍曹だけが生き残った。ワードに歩み寄るペンブロークだったが、金の話が嘘だと気付いたブレンドはペンブロークを殺そうとする。が、既のところでイーライがブレンドに機関銃を発砲。一方、ワードは「降伏兵は正当に処遇しなければならない」という規則を盾に降伏しようとするが、ペンブロークは息子の仇である彼を許すはずもなく、ワードはペンブロークによって刺し殺されるのだった。

【感想】

師匠筋にあたる(なにかとこう書かれてしまうのが、まずもってヴァレリの可哀想なところだとは思う)セルジオ・レオーネの『夕陽のギャングたち』(1971)にも出演したジェームズ・コバーンを主演に据えて、南北戦争を真正面から描こうとしたような、別にそんなこともなく、単なる復讐劇に南北戦争が絡んだだけ、といういつものマカロニウエスタンを作ろうとしたような、そんな作品。

面白くないわけではない(特にスペンサーが南軍の砦に忍び込んだあたりからはなかなかテンポ良く見せてくれる)のだけれど、いかんせんそれまでの段取りでもたついている感がなくもありません。上記のスペンサーが砦に忍び込む時点で映画の3/4は終わっているので、大半がなんというかもたついている印象があります。

さすらいの一匹狼』(1966)や『怒りの荒野』(1967)、『復讐のダラス』(1969)みたいな割とシンプルなマカロニウエスタンは(粗はありつつも)上手にまとめて素晴らしい作品に作り上げるヴァレリですが、本作はちょっとテイストが合わなかったのかな、という印象もあり。

砦のロケに使われたセットは『盲目ガンマン』(1972)なんかでもちょこっと出てきた砦と同じものですかね。

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