Планета бурь
製作国:ソ連
上映時間:73分
監督:パーヴェル・クルシャンツェフ
出演:ウラジーミル・エメリヤノフ/ゲンナジー・ヴェルノフ/ユーリー・サランツェフ
一部ではカルト的な人気を誇ると言われる、ソビエト製SF映画。監督のパーヴェル・クルシャンツェフは『ソ連人工衛星/宇宙征服』(1957)という作品も日本で紹介されており、本作の後にも『Luna』(1965)、『Mars』(1968)といった監督作がある模様。SF作品に強い監督だったようです。
1961年に製作された、ソビエトで初めて金星を舞台に描かれたSF作品。巨大なモンスターやアイデアに富んだメカ類の造形もさることながら、二足歩行の惑星探査補助ロボット“ジョン”の類い希なキャラクターがSFファンのカルト的人気の要因となった。なお、ロジャー・コーマンによってアメリカのTV放送用に改作されたのが「金星怪獣の襲撃」。
ソビエトの有人宇宙船シリウス、ヴェガ、カペラは金星探査のために目標に接近していた。が、カペラ号が隕石に衝突し、爆発消滅してしまう。ヴェルシーニン隊長はやむなく計画を変更して、ヴェガを軌道上に残し、シリウスのみが金星に着陸することにする。初めに、2人の隊員とロボット“ジョン”が小型船で着陸し、シリウスに着地点を指示するのだが、シリウスは目標を大きくそれて不時着してしまう。予定外の事態に地球への帰還に暗雲がたちこめるが、金星上ではさらなる危機が乗組員たちを待ち構えていたのだった……。
60年代の特撮映画と侮るなかれ。着ぐるみで表現された怪物や、トカゲを利用した怪物、うねうね動く食人花、翼竜、水陸両用車などなど、今見ても楽しめる水準の特撮技術。特に白眉は「敬語で命令しないと動かない」ロボット・ジョンの存在でしょう(「敬語」については、「вы」を使った二人称表現ということみたい)。このジョンについては、どうやら西側諸国の技術で作られたらしい、という点もユーモラス。
金星に降り立ったはずなのに、舞台となるのは金星というよりもジュラ紀か白亜紀の地球っぽいのはご愛嬌ですかね。センス・オブ・ワンダーに満ちあふれた、『月世界旅行』(1902)の直系子孫のような楽しい映画でした。
原題の「Планета бурь」は「嵐の惑星」くらいの意味ですね。