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製作国:アメリカ
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:メル・ギブソン/ホアキン・フェニックス/ロリー・カルキン/アビゲイル・ブレスリン
【あらすじ】
フィラデルフィア近郊に住むヘス一家。父親のグラハム(メル・ギブソン)は事故で妻を失ったあと牧師の仕事をやめ、今では自宅近くの農場でトウモロコシを育てながら息子モーガン(ロリー・カルキン)、娘ボー(アビゲイル・ブレスリン)、そして離れに住む弟メリル(ホアキン・フェニックス)と共に暮らしていた。
ある日、不思議な出来事が一家を襲う。早朝、子供たちの姿が見えないのを探しに出たグラハムとメリルは、トウモロコシ畑の一部がまるでミステリー・サークルのように折り倒されているのを見つける。それと同じころ、2匹の飼い犬もまるで何かに怯えるように凶暴になり始める。その夜、不審者に気づいた2人は外に出るが、それはものすごい跳躍力を発揮して2人から逃げていった。
TVをつけた彼らは、インドを始めとする世界中で、同じような現象が起きていることを知る。旧知の警察官の勧めで気晴らしに街に出た一家だったが、街は宇宙人の話で持ちきりだった。家に戻った彼らは、モーガンの持つおもちゃの無線機に、なにやら不思議な更新音が入っていることに気づく。
グラハムはある男から電話を受ける。その男レイ(M・ナイト・シャマラン)こそ、グラハムの妻コリーン(パトリシア・カレンバー)の死の原因となった自動車事故において、車を運転していた男だった。レイの家に向かうグラハム。彼はグラハムに改めて謝罪し、食料庫に宇宙人を捕まえているから、決して開けないように、と言い残し、湖に向かう。彼らは水を恐れているらしい、との言葉を残して。レイの家に入ったグラハムは、食料庫の扉の隙間から出る宇宙人の手、らしきものを目撃し、動転のあまり手に持っていたナイフでその指を切断し、家へと逃げ帰るのだった。
窓に板を打ち付け、立て篭りの準備をするグラハムとメリル。しかし、板を打ち付けるのを忘れていた屋根裏から彼らの侵入を許してしまう。彼らは地下室に逃げ込む。疲れから眠ってしまったグラハムは、妻を失った自動車事故の夢を見る。
翌日、目を覚ました彼は、ラジオ放送で宇宙人が撤退しつつあることを知る。発作を起こしたモーガンの喘息の薬を手に入れるため、1階に上がった彼らだったが、逃げ遅れたと思われる宇宙人にモーガンが捕まってしまう。メリルはバットで宇宙人に打ちかかり、モーガンを取り返す。そして、コップの水がかかった宇宙人はあっけなく倒されるのだった。
死に際の妻の言葉、そして喘息で気管が閉じていたことにより、モーガンが宇宙人の毒ガスから助かったことなどを思い出したグラハムは、妻の死以来失っていた信仰を取り戻した。
【感想】
監督のM・ナイト・シャマランは日本で初めて劇場公開された作品『シックス・センス』(1999)の印象があまりに強すぎて、どうもそのあとパッとしない印象もある(とはいえ、ぼくはその後の作品を追っているわけではないので、あまり偉そうなことは言えない)のだけれど、本作も悪くないし、なかなか面白いんだけどなあ……という感じはあります。まあ、単に彼に『シックス・センス』っぽさを求めすぎなだけなのかも知れません。
大規模な特撮を使用した作品になりがちな宇宙戦争ものを、ほとんどいち家族、一つの家の中での密室劇として描こうという試みはなかなか面白く、また、グラハムが失った信仰を取り戻す物語と、それによる家族の再生の物語としても描こうとしている意欲は分かるのですが、どうにもちょっと中途半端な印象は受けます。また、メリルが元マイナーリーグのホームラン記録保持者、という伏線や、ボーの水に潔癖な癖を描くことで観客の意識に水を印象付ける手法なども、まあ、B級SFとしてはアリなんですが、この人の場合、サスペンス性を盛り上げる演出がやたら上手いので、逆にチグハグになっている印象もあります。まあ、この辺は好みでしょうけれど。
最後の、水。それでもって雪が降り始めるから撤退した、ってのはなあ。なんか釈然としない気はします。こんな大作(?)で、そんな『エル・ゾンビ II 死霊復活祭』(1973)みたいなオチを持ってきてしまっていいものなのか。