今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

G:Romance

ジョルジョ・フェローニ(1967)『荒野の一つ星』

Wanted
製作国:イタリア
監督:ジョルジョ・フェローニ(カルヴィン・ジャクソン・パジェット)
出演:ジュリアーノ・ジェンマ/テレサ・ギンペラ/セルジュ・マルカン/ヘルマン・コボス

【あらすじ】

サミュエル・ゴールド(ダニエレ・ヴァルガス)が市長をつとめるグリーンフィールドの町では、今しも新しい保安官としてフレッド(セルジュ・マルカン)が選出されようとしていた。それに異を唱えたボブ(ベニート・ステファネッリ)だったが、町の男たちに酒場から叩き出されてしまう。そこに一人の男が入ってくる。彼こそ、アンダーソン判事によって新しい保安官に任命されたゲイリー(ジュリアーノ・ジェンマ)だった。

ゲイリーは金塊をブライトンの町に運ぶ仕事を、ゴールドから依頼される。オーウェル・ロックでブライトンの銀行の担当者が待っているはずだったが、オーウェル・ロックはゴメス一味に襲撃され、担当者は殺されてしまう。ゲイリーは酒場でくすぶっていたギャンブラーのマーティン(ヘルマン・コボス)の助けを得て、無事に金塊をブライトンに運ぶのだった。

グリーンフィールドに戻ってきたゲイリーを市長は賞賛するのだったが、フレッドが仕掛けた罠にはまり、ゲイリーは殺人犯として投獄されてしまう。ボブの協力で留置所から脱出したゲイリーは、マーティンに自分の無実をアンダーソン判事に訴えてくれるよう頼み、別れ際にボブが残した、姪のイブリン(テレサ・ギンペラ)を頼りジェレマイヤー・プレスコットを探せ、という言葉を頼りにイブリンの元を訪れる。プレスコットの居場所はコネホス村のカルメロ神父(ネッロ・パッツァフィーニ)が知っている、と言われ、コネホス村を訪れるゲイリー。

コネホス村の村人に襲われそうになったところをカルメロに助けられたゲイリーは、彼からプレスコットの居場所を聞き、彼が住む小屋を訪れる。そこでゲイリーは細工をしてある焼印を使い、近隣の牧場から牛を盗み取るゴールドの悪事について明かされるのだった。プレスコットから焼印のありかを聞き、それを手に入れることに成功するゲイリー。プレスコットの小屋に戻る彼だったが、折しもその時、彼の小屋はフレッド一味の襲撃を受けており、プレスコットは殺されてしまう。ゲイリーは彼の姪を助け、イブリンとカルメロを頼るのだった。

ゲイリーはゴールドの悪事の証拠である焼印をアンダーソン判事の元に持って行こうとするが、ゲイリーによってイブリンもろとも捕らえられてしまう。グリーンフィールドに連行されるゲイリーだったが、その頃マーティンの活躍によって、フレッドの悪事は露見していた。逃げ出すフレッドを追ってゴールドの隠れ家にたどり着くゲイリー。格闘のすえ、ゴールドとフレッドは追ってきたアンダーソン判事をはじめとする人々によって連行されていくのだった。

【感想】

荒野の1ドル銀貨』(1965)、『さいはての用心棒』(1967)に続き、カルヴィン・ジャクソン・パジェットことジョルジョ・フェローニ監督がジュリアーノ・ジェンマを主演に据えて作り上げたマカロニウエスタン。フェローニのマカロニの特徴は手堅い演出にあると思いますが、本作もその例にもれず、なかなか丁寧なストーリーを、これまたなかなか丁寧な演出で撮り上げています。

本作の一つの特徴として上げられるのが、この時期のマカロニにしてはアメリカ西部劇の雰囲気がかなり滲み出ていること。特にセルジュ・マルカン演じるギャンブラー、マーティンは風貌といい、佇まいといい、行動といい、妙にアメリカ西部劇感が強い。そのせいなのか、残念ながら映画内での活躍シーンは意外と短め。ただ、重要な役回りでもあるため、映画にアメリカ風の雰囲気を加えています。

また、多くのマカロニウエスタンでは悪役を演じているベニート・ステファネッリとネッロ・パッツァフィーニの意外な役どころも本作の魅力の一つ。特にゲイリーを助ける(ちょっと強面の)頼れる神父を演じたネッロ・パッツァフィーニは、ああいうちょっとコミカルなおとぼけキャラも演じられるのか、と新しい魅力を発見することができます。

ビクトル・トレグボヴィチ(1972)『バイカルの夜明け』

Dauriya
監督:ビクトル・トレグボヴィチ
出演:ヴィタリ・ソローミン、イェフィム・コペリャン、ミハイル・ココシェノフ、スヴェトラーナ・ゴロヴィナ、ピョートル・シェロホーノフ

【あらすじ】

第一部

1914年夏、ロシア東方のバイカル湖近くのダウリヤ地方にある小さなオルロフスキー村では、コサックのアタマン(隊長)であるエリセイ(イェフィム・コペリャン)の指導のもと、村人たちは日々の暮らしを送っていた。村にはロマン(ヴィタリ・ソロミン)という若者が暮らしていたが、彼の家族からは政治犯ワシーリー(ワシーリー・シェクシーン)が出ていたため、村の一部の者からは軽んじられていた。

狼狩りや隣村との草刈場をめぐる小競り合い、そして収容所からの脱走犯の捕獲騒動などの小さな騒動がありながらも、村では淡々と日常が送られていく。

ロマンにはダリヤ(スヴェトラーナ・ゴロヴィナ)という恋人がいたが、村で裕福な雑貨屋の息子アレクセイ(ウラジミール・ロセフ)も彼女に惚れていて、何かとロマンと敵対していた。麦の刈り入れが終わる頃、アレクセイの父はアタマンのエリセイを仲人に立て、ダリヤの父エピファン(ヒョードル・アジノコフ)に結婚を申し込む。それを受けるエピファン。

それを知ったロマンはダリヤに駆け落ちを提案するが、ダリヤはその提案を拒み、両親の言いつけに従い、アレクセイとの結婚を決めるのだった。村の教会で行われる結婚式の当日、村は祝福に湧いていたが、ロマンは一人物思いにふけっていた。そこにエリセイがロシアとドイツが開戦した、との知らせを持って帰ってくるのだった。

第二部

4年後、ロマンのおじで政治犯として収容されていたワシーリーは赤軍の極東方面司令官となり、村を出たロマンも彼の下で指揮官となっていた。折しも赤軍はセミョーノフ率いる反革命軍に対して劣勢に立っていた。ワシーリーは4年前オルロフスキー村で鍛冶屋として潜伏していたセミョーン(ユーリ・ソロミン)の進言を聞き入れ、セミョーノフ軍の機関車に対し、爆弾を積んだ列車を激突させる作戦を実行する。列車にはセミョーンとオルロフスキー村出身のフェドット(ミハイル・ココシェノフ)が乗り込んだ。セミョーンの犠牲によって作戦は成功するが、セミョーノフ軍の進撃は止まらない。

形勢不利と見たワシーリーは撤退を検討し、ロマンにチタの財政部にある軍資金を後方に移すよう命じる。しかし、前線から逃げ戻ってきた司令官が反乱を起こし、チタの財政部を襲撃。ロマンはフェドットの助けもあって、なんとか逃げ延びる。森に潜伏していたロマンをはじめとする赤軍部隊だったが、あるとき反革命派のコサックによって捕えられてしまう。ロマンは拘留された鉱山の収容所で同郷のミーシュカと再会。ダリヤと結婚したアレクセイの死を知らされる。

処刑されかけるフェドットとロマンだったが、間一髪のところで脱走に成功。ロマンはフェドットと逸れてしまうものの、ダリヤの住む家にたどり着き、介抱を受ける。回復を待ち、故郷の家に戻ったロマンだったが、アタマンのエリセイが逮捕にやってくる。何とか逃げ延びたロマンは、赤軍残党のコミューンでフェドットにも再会。残党を立て直し、鉱山を襲撃。白軍将校を捕縛し、軍勢を整える。

一方その頃オルロフスキー村に白軍の懲罰部隊が訪れ、革命軍に同情的だったかどでエリセイをむち打ちにし、ダリヤを逮捕して連れ去ろうとする。彼女の逮捕に抗議したロマンの父セベリヤン(ピョートル・シェロホーノフ)は殺されてしまう。そこにロマン率いる赤軍部隊進軍の知らせが届き、懲罰部隊は一目散に逃げ出してゆく。

村に着いたロマンは、ダリヤとの再会を喜ぶものの、父の死を目の当たりにし、部隊を率いて懲罰部隊を追って村を飛び出すのだった。

【感想】

監督のビクトル・トレグボヴィチの作品で日本で劇場公開されたのは本作のみ。というか、今回ブログを書くために調べるまで、本作が日本公開されていたのは知りませんでした。1935年に生まれ、ソビエト崩壊直後の1992年に亡くなった、ほぼ全生涯をソビエト時代に送った世代の映画監督です。

本作はソビエトウエスタンとしてしばしば紹介されるのですが、西部劇というより戦争映画という印象が強いです。まあ、ソビエトウエスタンの中でもいわゆる「東部劇」は赤軍の東方進出を描いた作品が中心なので、戦争映画との区分けがなかなか難しい、というか、そもそもあまり区分けに意味がない、という感じもあります。主人公のロマンが率いているのが騎兵隊だったり、馬で馳け廻るシーンが多いのはウエスタン的という感じはします。

本作は大きく第一部と第二部に分かれ、それぞれ1時間半ほど。全部で3時間の大作です。前半では古いコサック集落の生活が描かれ、封建主義的ながら牧歌的な生活がのんびりと描かれる中に、ロマンのおじワシーリーの存在や、政治犯の逃走と射殺などの不穏を感じさせる要素が散りばめられています。

一方の第二部は映画冒頭から大規模な銃撃戦あり、少人数の部隊による司令部襲撃ありの、最初っから最後までクライマックス状態の中で、アタマンの家父長的権威の崩壊や、コサック集落の変容、そして何より社会主義的正義に目覚めていくロマンの姿が描かれます。

正直、第二部だけでも十分映画として成立はしており、アクションやウエスタン要素はほぼ全て第二部に存在しています。と言って、第一部は蛇足かというとそんなこともなく、ここを丁寧に描いていることで第二部が活きてくる、というか、そういう存在です。また、単純に第一部で描かれる農村の風景はなかなかに美しい。

一方で第二部は第二部で、大規模な銃撃戦や爆弾を積んだ列車による突撃など、大規模なアクションシーンが目白押しで、こっちはこっちでそういう面白さもある、一粒で二度美味しい的な映画でもあります。まあ、当時の一般的な映画に比べると2倍の上映時間なので、どちらも描けたということもあるでしょうが。

本作は日本で劇場公開されているものの、今に至るまで日本ではVHSやDVDなどのソフト化は行われていません。しかし、幸いにもRUSCICO(ロシア映画カウンシル)から出ている海外版DVDに日本語字幕が収録されており、それが入手できれば全く問題なく日本語環境で見ることが可能です。

Dauriya (1972) on IMDb

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(2014)『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

Birdman: Or (The Unexpected Virtue of Ignorance)
製作国:アメリカ
上映時間:119分
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン/エドワード・ノートン/エマ・ストーン/ザック・ガリフィナーキス

『アモーレス・ペロス』(2000)で一躍有名になったメキシコ出身の映画監督アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の最新作で、2014年の米アカデミー賞作品賞と監督賞、脚本賞などを受賞したことでも話題になったのが本作。公開前にはアメリカ版ポスターと日本版ポスターの構成の違いについてもネット上の一部界隈で話題になったりもしていました。主演は『バットマン』(1989)で主演を演じたマイケル・キートンであり、本人のその経歴もあって、「バードマン」というアクション映画スターだった主人公が再起を目指す物語、という構成にかなりの説得力を与えています。

 「バベル」「BIUTIFUL ビューティフル」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が、かつてバットマン役で一世を風靡したマイケル・キートンを主演に迎え、公私ともにどん底状態の中年俳優が繰り広げる切なくも滑稽な悪戦苦闘の日々を、全編1カットという驚異の撮影スタイルで描き出すシニカル・コメディ。共演はエドワード・ノートン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ。アカデミー賞では、みごと作品賞をはじめ最多4部門を受賞。
 かつて主演した大人気スーパーヒーロー映画「バードマン」のイメージが払拭できずに、その後は鳴かず飛ばずの俳優人生を送るリーガン。私生活でも離婚に娘サムの薬物中毒と、すっかりどん底に。そこで再起を期してレイモンド・カーヴァーの『愛について語るときに我々の語ること』を原作とする舞台を自ら脚色・演出・主演で製作し、ブロードウェイに打って出ることに。ところが、大ケガをした共演者の代役に起用した実力派俳優マイクの横暴に振り回され、アシスタントに付けた娘サムとの溝も深まるばかり。本番を目前にいよいよ追い詰められていくリーガンだったが…。

以前『マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾』(2002)について、監督のアレックス・デ・ラ・イグレシアが「本作のラストにイーストウッドが出演してくれたら、もうそれで映画は成功したも同然だ」と言ったとか言わかったとかいう話がありますが(そして出演はならず)、本作はそういった意味でマイケル・キートンのキャスティングに成功した時点で、映画としてはまず成功したも同然、というような部分もある気がします。さらに、本作では劇中で何人ものハリウッド俳優(ライアン・ゴズリングとかメグ・ライアンとか)が実名で挙げられており、そういった点も映画のリアリティを高めることに一役買っているという印象があります。

ワンカットに見えつつも、一体どうやって撮ったのか非常に不思議な長回しなど、斬新な映像が話題になる本作ですが、そういった技巧的な部分を取り除いてみると、本作は「かつて栄光を掴んだ落ち目の男が、再起を賭けるストーリー」という、それこそキング・ヴィダー監督の『チャンプ』(1931)ではないですが、昔から繰り返し描かれてきたストーリーであり、そういった部分も観客に訴えかける要素でしょう。また、アカデミー賞受賞については、本作が「劇の映画」というアカデミー会員好みの題材であることも一因かもしれません。映画の映画とか好きですしね、あの人たちは。

才能はありながら、舞台をかき回すトリックスター的役回りを演じたエドワード・ノートンはさすがの上手さ。たまに若い頃のエド・バーンズみたいに見えたのは髪型のせいかなぁ……? 主人公リーガンの娘サムを演じたエマ・ストーンは、ぼくは『ゾンビランド』(2009)以来5年ぶりくらいに見たのですが、当時からチャーミングな女優さんという印象はありましたが、なんかかなりいい役者さんになったなぁ、という印象。特に中盤の長台詞のシーンの迫力はすごかった。

Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance) (2014) on IMDb

ラーチェン・リムタラクーン(2009)『チョコレート・ソルジャー』

จ้า ดื้อ สวย ดุ / Raging Phoenix
製作国:タイ
上映時間:112分
監督:ラーチェン・リムタラクーン
出演:ヤーニン・ウィサミタナン/カズ=パトリック・タン/Sompong Leartvimolkasame/Boonprasert Salangam

ジージャーことヤーニン・ウィサミタナンが『チョコレート・ファイター』(2008)に続いて主演したアクション映画。『チョコレート・ファイター』では主人公がチョコレートに執着している描写がありましたが、本作にはチョコレートは一切出てきません。『チョコレート・バトラー THE KICK』(2011)という映画にもジージャーは出演していることから、日本ではどうやら「チョコレート」がジージャーを指す言葉のようになっているようです。

 ムエタイとヒップホップを組み合わせた独特のマーシャルアーツを使いこなす少女とギャング団との対立を描く。主演は「チョコレート・ファイター」の“ジージャー”ことヤーニン・ウィサミタナン。監督は「マッハ!」のプラッチャヤー・ピングー。
 ドラマーのデューは、バンドの演奏中に彼氏の浮気現場を目撃、騒動を起こしバンドをクビになってしまう。ヤケ酒を飲んでいたデューは、女性を誘拐する軍団“ジャガー団”のターゲットとなるが、そんな彼女を助けてくれたのは“泥酔拳(メイライユット)”の担い手・サニムだった。サニムからメイライユットを学ぶデューは、囮りとなってジャガー団のアジトに乗り込もうとするのだが…。

Allcinemaには監督は「マッハ!」のプラッチャヤー・ピングーと書かれていますが、これは明らかに間違い。プラッチャヤー・ピンゲーオは本作にはプロデューサーとして関わっていますが、監督は上にもあるようにラーチェン・リムタラクーンが勤めています。彼は『チョコレート・ファイター』では編集担当を務めていました。

『チョコレート・ファイター』同様本作の一番の見所はジージャーのアクションにあるのですが、ジャガー団を潰すために集まったサニム(カズ=パトリック・タン)、ドッグ(Sompong Leartvimolkasame)、ブル(Boonprasert Salangam)といった面々のアクションやキャラクターもなかなか面白い。

「泥酔拳」というと、どうしても成龍主演の『ドランク・モンキー/酔拳』(1978)を連想しますが、特に関連性はありません。本作の「泥酔拳」も酔っ払ったようなふらふらした動きがキモなのですが、アクションとしてはムエタイにヒップホップやブレイクダンスの動きを取り入れたような動きで、新鮮で面白かったです。

完成度は『チョコレート・ファイター』と比べると少々落ちる(特にアクションはワイヤーも使っていると思われる)こともあってか、本作は大阪アジアン映画祭で上映されたのみで、日本では一般劇場公開はされなかったようです。タイミングの問題もあるかもしれません。また『チョコレート・ファイター』には阿部寛がかなり大きな役で出演していましたが、本作では最初のジャガー団に誘拐された女性たちを救う場面で、一人日本人と思われる女性(タケシタ・アイノ)が登場しています。こちらはほとんどストーリーには関わってこないのですけれどね。

周星馳(2013)『西遊記~はじまりのはじまり~』

西游·降魔篇
製作国:中国
上映時間:110分
監督:周星馳
出演:文章/舒淇/黄渤/羅志祥

『ミラクル7号』(2008)以来5年ぶりとなる周星馳(チャウ・シンチー)の監督作。彼は実は以前にも『チャイニーズ・オデッセイ』(1995)二部作という、西遊記を題材にした作品を作っているのですが、今回の作品とは直接の関係はなく、『チャイニーズ・オデッセイ』を見ていたほうが面白い、というシーンは(たぶん)特になかったと思うので、『少林サッカー』(2001)以来の周星馳ファンも安心して楽しめる作品です。

本作は2013年の春節に香港、台湾で、その後中国本土で公開されたのですが、日本では一向に公開されるという話が出てこず、日本未公開になっちゃうかな、と思っていたタイミングで日活の新レーベル「GOLDEN ASIA」での公開が決定して、『食神』(1996)あたりから、欠かさず劇場で観ている周星馳ファンとしては非常にありがたかったです。

 「少林サッカー」「カンフーハッスル」のチャウ・シンチー監督が“西遊記”をモチーフに描く奇想天外ファンタジー・アドベンチャー・コメディ大作。主演は「トランスポーター」「クローサー」のスー・チーと「海洋天堂」「ドラゴン・コップス -微笑(ほほえみ)捜査線-」のウェン・ジャン。
 これは、三蔵法師が孫悟空たちと天竺目指して旅に出る前のおはなし。彼がまだ玄奘という名の冴えない妖怪ハンターの若者だった頃。玄奘は川に出没する謎の妖怪(後の沙悟浄)を退治しようと悪戦苦闘中。そこへ、美人の妖怪ハンター段が現われ、妖怪を鮮やかに退治する。山奥の料理屋にやって来た玄奘は、またしても謎の妖怪(後の猪八戒)相手に苦戦しているところを、突然現われた段に救われる。しかし一度は生け捕りにしたものの、豚から巨大なイノシシに姿を変え逃げられてしまう。やがて師匠から“あの妖怪を倒せるのは、五指山のふもとに閉じ込められた孫悟空だけ”と教えられ、五指山へと向かう玄奘だったが…。

前作の『ミラクル7号』は割とマイルドな人情ものだったので、星爺(周星馳の愛称)も落ち着いてきて、こういう路線で行くのかなぁ、と思っていたのですが、そんなことはなかった。むしろ『少林サッカー』とか『カンフーハッスル』(2004)よりやりたい放題でした。感覚的には、『食神』のクライマックスのハイテンションとんでも展開が最初から最後までフルスピードで展開される感じです。

Allcinemaのあらすじを見てもわかるとおり、本作は主人公である玄奘(文章)が自らの力と役割に目覚め、孫悟空(黄渤)、沙悟浄(李尚正)、猪八戒(陳炳強)を仲間にし、天竺へと旅立つまでが描かれる作品です。妖怪ハンター、という玄奘の職業が割合のっけからぶっ飛んでいる感じがしますが、周星馳作品なので、というか、ワイヤーアクションの伝統と伝奇物語の伝統がある香港なので(どうやら本作は完全に中国作品のようですが)、そこまで突拍子もない印象はありません。というか、そこで引っかかると話が先に進まないので……。そこはあっさり受け入れましょう。

振り返ってみると、ストーリー展開自体はそこそこ王道です。が、例によってどんなシーンでもお構いなしにギャグや小ネタを挟んでくるので、それで話が長くなっているというか、そこが見どころというか。制作費は大きくなって、CG使いまくって、音声が中国語(普通話)になったりしていますが、やりたいことは結局『食神』や『喜劇王』(1999)で完成されているという印象を受けました。ベースストーリーとしては、ダメな男(でもどこか見所がある)が一旦ボロボロになって、自分の眠っていた才能を開花させる……というのが基本パターン。毎回結末は一捻りしてあったりしますが。

また、周星馳は日本の漫画ファンだったり、武侠小説ファンだったりというのが有名ですが、本作の満月を見ると孫悟空や妖怪たちがパワーアップする、というのはおそらく「ドラゴンボール」のパロディでしょう。『DRAGONBALL EVOLUTION』(2009)で全然やりたいことをやらせてもらえなかったらしいので……ここで鬱憤ばらししたのかもしれません。武侠要素としては、今回分かりやすい金庸や古龍のパロディは(たぶん)ありませんでしたが、空虛公子(羅志祥)や北斗五形拳使い(行宇)、天残足(張超理)のキャラクターは非常に金庸の武侠小説的でしたね(突然現れる、人の話を聞かない、すぐ喧嘩する、など)。武術の造形は古龍っぽいかな。

今回監督作としては初めて周星馳は出演していないのですが、文章の役どころは15年くらい前だったらおそらく周星馳自身が演じただろうな、という役どころです。演出の仕方も周星馳主演映画に近い感じなので、従来の周星馳作品ファンも楽しめる作品に仕上がっています。ただ、文章は周星馳よりも少し真面目そうというか、根っから善人そうな感じですね。

今回、主演の文章は大陸出身の俳優ですが、段小姐役の舒淇は香港の女優です。また、空虛公子を演じた羅志祥は台湾で有名なポップ歌手でもあり、中香台の映画界の交流がますます盛んになっていることが伺えます。

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