今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

G:Mystery

M・ナイト・シャマラン(2002)『サイン』

Sign
製作国:アメリカ
監督:M・ナイト・シャマラン
出演:メル・ギブソン/ホアキン・フェニックス/ロリー・カルキン/アビゲイル・ブレスリン

【あらすじ】

フィラデルフィア近郊に住むヘス一家。父親のグラハム(メル・ギブソン)は事故で妻を失ったあと牧師の仕事をやめ、今では自宅近くの農場でトウモロコシを育てながら息子モーガン(ロリー・カルキン)、娘ボー(アビゲイル・ブレスリン)、そして離れに住む弟メリル(ホアキン・フェニックス)と共に暮らしていた。

ある日、不思議な出来事が一家を襲う。早朝、子供たちの姿が見えないのを探しに出たグラハムとメリルは、トウモロコシ畑の一部がまるでミステリー・サークルのように折り倒されているのを見つける。それと同じころ、2匹の飼い犬もまるで何かに怯えるように凶暴になり始める。その夜、不審者に気づいた2人は外に出るが、それはものすごい跳躍力を発揮して2人から逃げていった。

TVをつけた彼らは、インドを始めとする世界中で、同じような現象が起きていることを知る。旧知の警察官の勧めで気晴らしに街に出た一家だったが、街は宇宙人の話で持ちきりだった。家に戻った彼らは、モーガンの持つおもちゃの無線機に、なにやら不思議な更新音が入っていることに気づく。

グラハムはある男から電話を受ける。その男レイ(M・ナイト・シャマラン)こそ、グラハムの妻コリーン(パトリシア・カレンバー)の死の原因となった自動車事故において、車を運転していた男だった。レイの家に向かうグラハム。彼はグラハムに改めて謝罪し、食料庫に宇宙人を捕まえているから、決して開けないように、と言い残し、湖に向かう。彼らは水を恐れているらしい、との言葉を残して。レイの家に入ったグラハムは、食料庫の扉の隙間から出る宇宙人の手、らしきものを目撃し、動転のあまり手に持っていたナイフでその指を切断し、家へと逃げ帰るのだった。

窓に板を打ち付け、立て篭りの準備をするグラハムとメリル。しかし、板を打ち付けるのを忘れていた屋根裏から彼らの侵入を許してしまう。彼らは地下室に逃げ込む。疲れから眠ってしまったグラハムは、妻を失った自動車事故の夢を見る。

翌日、目を覚ました彼は、ラジオ放送で宇宙人が撤退しつつあることを知る。発作を起こしたモーガンの喘息の薬を手に入れるため、1階に上がった彼らだったが、逃げ遅れたと思われる宇宙人にモーガンが捕まってしまう。メリルはバットで宇宙人に打ちかかり、モーガンを取り返す。そして、コップの水がかかった宇宙人はあっけなく倒されるのだった。

死に際の妻の言葉、そして喘息で気管が閉じていたことにより、モーガンが宇宙人の毒ガスから助かったことなどを思い出したグラハムは、妻の死以来失っていた信仰を取り戻した。

【感想】

監督のM・ナイト・シャマランは日本で初めて劇場公開された作品『シックス・センス』(1999)の印象があまりに強すぎて、どうもそのあとパッとしない印象もある(とはいえ、ぼくはその後の作品を追っているわけではないので、あまり偉そうなことは言えない)のだけれど、本作も悪くないし、なかなか面白いんだけどなあ……という感じはあります。まあ、単に彼に『シックス・センス』っぽさを求めすぎなだけなのかも知れません。

大規模な特撮を使用した作品になりがちな宇宙戦争ものを、ほとんどいち家族、一つの家の中での密室劇として描こうという試みはなかなか面白く、また、グラハムが失った信仰を取り戻す物語と、それによる家族の再生の物語としても描こうとしている意欲は分かるのですが、どうにもちょっと中途半端な印象は受けます。また、メリルが元マイナーリーグのホームラン記録保持者、という伏線や、ボーの水に潔癖な癖を描くことで観客の意識に水を印象付ける手法なども、まあ、B級SFとしてはアリなんですが、この人の場合、サスペンス性を盛り上げる演出がやたら上手いので、逆にチグハグになっている印象もあります。まあ、この辺は好みでしょうけれど。

最後の、水。それでもって雪が降り始めるから撤退した、ってのはなあ。なんか釈然としない気はします。こんな大作(?)で、そんな『エル・ゾンビ II 死霊復活祭』(1973)みたいなオチを持ってきてしまっていいものなのか。

Signs (2002) on IMDb

アスガー・ファルハディ(2009)『彼女が消えた浜辺』

درباره الی
製作国:イラン
上映時間:116分
監督:アスガー・ファルハディ
出演:ゴルシフテ・ファラハニ/タラネ・アリシュスティ/シャハブ・ホセイニ/ペイマン・モアディ

日本ではすでに『別離』(2011)、『ある過去の行方』(2013)と順調に新作が紹介されているアスガー・ファルハディ監督の本邦初紹介作品。監督作自体は本作の前に何本か撮っているようです。

 2009年のベルリン国際映画祭で監督賞に輝いたイラン映画。カスピ海沿岸の避暑地にバカンスにやって来たイランの中産階級の男女が、その中の一人の女性の突然の失踪をきっかけに、彼女の行方と原因を巡って混乱を来す中で、次第にさまざまな謎や問題が浮き彫りとなっていくさまを、イランならではの社会的事情を背景にミステリアスかつサスペンスフルに綴る。監督は、これが日本初登場のアスガー・ファルハディ。
 テヘランからほど近いカスピ海沿岸のリゾート地に週末旅行へとやって来たセピデーたち3組の家族。そこに、セピデーに誘われ、たった一人で参加した若い女性、エリがいた。セピデーには、エリに離婚したばかりの友人アーマドを紹介するという思惑があったのだ。しかし翌日、エリは海岸で忽然と姿を消してしまう。事故か、それとも何も言わず帰ってしまったのか。必死の捜索が進む中、唯一彼女と面識のあったセピデーさえ彼女の本名を知らず、誰もエリのことを何一つ知らなかったことが明らかとなってくるのだが…。

群像劇で、登場人物がそれぞれの思惑を持って、少しずつ嘘を付いてしまったために、本来そこまでややこしくないはずの話がどんどんこじれにこじれていく、というタイプの作品。お互い親族関係にある3家族が海辺にバカンスにやってくるのですが、そこにセピデー(ゴルシフテ・ファラハニ)に連れられて、彼女の子どもの保育園の先生をしているエリ(タラネ・アリシュスティ)も参加します。セピデーの思惑としては、ドイツに住んでいて久々に里帰りしたアーマド(シャハブ・ホセイニ)の奥さん候補として、彼女を紹介しようとしていました。

しかし、ペイマン(ペイマン・モアディ)の息子が海で溺れてしまい、皆でそれを助けたあと、エリが忽然と姿を消してしまっていることに気づきます。助けようとして溺れたのか、それとも帰ってしまったのか。登場人物が疑心暗鬼になるなか、エリを誘ったセピデーを始めとして、誰も彼女の本名(エリはイラン人の名前としては一般的ではなく、本名をもじった愛称)すら知らなかったことが判明します。

主要な登場人物がなかなか多く、さらに女性陣はヘジャブを被っているため、油断をすると誰が誰だかわからなくなりそうなところですが、性格がしっかり描き分けられており、混乱せずに見ていることができます。といっても、前半は誰と誰が夫婦なのかとか、誰が誰の子どもなのかいまいち分からないまま見ていましたが…… まぁ、それでもそこまで問題はない感じでした。

なかなかサスペンスフルな展開で、誰が本当のことを言っているのかとか、いったいエリはどうなってしまったのかとか、先が気になる展開が続き、中だるみもせずにラストまで話が展開していきます。

原題の「درباره الی」は「エリーについて」とか「エリーに関係すること」くらいの意味ですね。

allcinemaの解説では、イランならではの社会的事情、とありますが、確かに本作の重要な要素となる問題については、イランの現行法にはいろいろ不備はあるものの、イスラム法の原理に基づく国家としては、サウジアラビアなんかと比べると、女性国会議員の努力により、かなり改善(敬虔なムスリムから見ると堕落なのかもしれませんが)されてきている、ということを付言しておきます。本作のネタバレに関わるため、奥歯に物が挟まったような言い方しかできませんが。

 Kanojo ga kieta hamabe
(2009) on IMDb

ヌンツィオ・マラソンマ(1967)『情無用のならず者』

15 forche per un assassino
製作国:イタリア/スペイン
上映時間:104分
監督:ヌンツィオ・マラソンマ
出演:クレイグ・ヒル/ジョージ・マーティン/スージー・アンダーソン/アルド・サンブレル

毎年参加させて頂いている、マカロニウエスタンファンミーティング、マカロニ大会に今年も参加してきました。今回は第15回ということで、それに因んで本作(原題が「虐殺のための15人の極悪人」)が上映されました。監督であるヌンツィオ・マラソンマは戦前から映画監督として活躍している人で、日本でもマカロニ史劇ものである『ローマの奴隷市場』(1961)などが公開されています。本作は彼のおそらく唯一のマカロニウエスタン作品であり、最後の監督作でもあるようです。

カッセル(ジョージ・マーティン)を首領とする無法者の一団が牧場から馬を盗み出し、その馬を売りに行く途中、クック一家の農場の納屋を借り、宿泊します。その農場は結婚式を翌日に控えた娘をもつ、気の強い寡婦によって守られていました。一方、馬を盗まれた牧場主は、ビリー(クレイグ・ヒル)に馬を取り返すよう依頼します。農場でカッセル一味を見つけた彼は、一旦馬を持ち主に返し、その後、彼の手引きでもう一度馬を盗むという企みを提案、二人は協力して芝居を打つことに合意しました。

翌朝、農場の娘を迎えに来た婚約者スティーブによって、農場に住む女3人が虐殺されているのが発見されます。納屋で眠りこけているビリーとカッセル一味を見つけた彼は、彼らが下手人に違いないと判断し、町に戻ってファーガソン神父をリーダーとする自警団を結成し、彼らを私刑に掛けようと農場を目指します。一方、ビリーたちも女たちが殺されているのを発見し、このままでは犯人の濡れ衣を着せられてしまうと逃げ出します。彼らは自警団に追われながらも町に逃げ込み、ファーガソンの妻バーバラ(スージー・アンダーソン)と酒場の主人を人質にして、メキシコ国境を目指します。

ひとまず南北戦争で使われていた国境近くの砦に逃げ込んだビリーたちでしたが、酒場の主人が逃げ出し、自警団に居場所を伝えたことにより、自警団によって包囲されてしまいます。立てこもるビリーたちと自警団の間で籠城戦となり、双方多くの死者を出します。一方、クック家に戻ったスティーブは、何者かに襲われ、肩を撃たれます。

籠城は長期化し、ビリーとカッセルの協力関係にも綻びが出てきたころ、業を煮やした自警団は砦に火を放ちます。一方、スティーブはクック家の隣人の男に介抱され、回復。この事件には裏があると考え、犯人を探しはじめますが……というお話。

日本では劇場公開されながら、VHS、DVDは残念ながら未発売となっている本作ですが、ストーリーもしっかりと練られており、なかなか面白い作品です。主人公が濡れ衣を着せられる、という筋書きはマカロニウエスタンではしばしば見かけられますが、本作では主人公たちも馬泥棒と半分詐欺師みたいな男、という、叩けばいくらでも埃が出そうなキャラクター設定なのが面白い。そうすると、彼らに感情移入することが難しくなりそうな気もしますが、本作では自警団の話の聞かなさと残虐性(殺した一味を砦から見える位置に縛首にしてぶら下げておく、など)が強調されるため、だんだんとビリーたちに親しみが持ててきます。自警団側でも保安官は比較的穏健派なんですがね。

一味を殺しまくった自警団の人々に対する解決がうやむやにされているとか、ビリーとカッセルの確執もさらっと流されているとか、もうちょっとその辺すっきりできなかったかな、という部分もありつつも、一転、二転するストーリーが面白く、楽しく見られる映画でした。ただ、暗闇のシーンや逆光のシーンが妙に多く、特に序盤で誰が誰かよく分からないシーンがあるのは何なんでしょうね、あれ。

ワレーリー・ルビンチク(1979)『スタフ王の野蛮な狩り』

Докаяохота короля Стаха
製作国:ソビエト連邦
上映時間:109分
監督:ワレーリー・ルビンチク
出演:ボリス・プロートニコフ/エレン・ディミートロワ/ヴァレンチナ・シェンドリコワ

白ロシアの作家コロトケーヴィチの小説を元に、ワレーリー・ルビンチク監督が映画化したホラー、サスペンス映画。

ロマノフ王朝末期の19世紀末、白ロシアの寒村に若い民俗学者ベロレツキー(ボリス・プロートニコフ)がやってきます。急な雨に襲われた彼が宿を乞うた古い館には、美しい女館主ナジェージダ(エレン・ディミートロワ)が執事、老婆とともに住んでいました。何かに怯える様子を示すナジェージダを不思議がるベロレツキーに対し、執事がこの村に古くから伝わるスタフ王の伝説を語ります。それによると、ナジェージダの遠い祖先が、この土地の支配者であったスタフ王に従わず、彼をだまし討ちにしたため、その呪いを受けた子孫たちが代々横死していること。この館でも小人の足音が聞こえたり、荒野にスタフ王の軍勢を見たものがいるということ。

ナジェージダの成人の祝いが開かれ、近隣から親族や客人がやってきます。伯父にあたるドゥボトフク(ロマン・フィリッポフ)は豪華な贈り物をして彼女の成人を祝うのでした。

しかし、その後、ベロレツキーに協力し、スタフ王について調べていた執事が死体となって見つかり、その後、ベロレツキーに執事の死の秘密をほのめかした人物も変死を遂げます。ついにはベロレツキー自身もスタフ王の軍勢を目撃します。ベロレツキーは村人を励まし、スタフ王の軍勢の正体を暴こうとするのでしたが……というお話。

本作を見ている最中、この映画は超常現象が起こりうる世界を舞台にしたゴシックホラーなのか、それとも伝説を利用した陰謀を描いたサスペンスなのか、というのが自分の中で定まらず、また、本筋とはそこまで関係のない執事の弟の小人(これが小人の足音の正体)とベロレツキーやナジェージダの何か妙に幻想的で感動的なシーンが挟まれたりすることもあって、見ていてとても疲れました。決して面白くない映画ではないんですが。

つまり、映画としては割合いびつな映画です。ホラー演出はあるものの、そこまで怖いわけではないし、なんだか唐突にハートウォーミングなシーンは出てくるし、スタフ王の軍勢の美術はなかなか手が込んでいて素敵だし……。ただ、いびつだから詰まらないかというとそんなことはなく、絶対に万人受けはしなそうですが、ハマる人はたぶんとことんハマる、そういういびつな魅力を持った映画です。たとえていうなら『エル・ゾンビ I 死霊騎士団の覚醒』(1971)とか、そんな感じ。全体の神秘的な雰囲気とか、そういうのは本作のほうが圧倒的に上ですが。

ドゥボトフクを演じたロマン・フィリッポフが、非常にフェルナンド・サンチョに似ており、彼が出てくるたびにサンチョを見ているような気分になりました。役どころも割りとサンチョ的でしたし……

黒澤明(1963)『天国と地獄』

製作国:日本
上映時間:143分
監督:黒澤明
出演:三船敏郎/仲代達矢/石山健二郎/山崎努

黒澤明監督が『椿三十郎』(1962)に引き続いて黒澤プロダクションで制作したのが現代劇である本作でした。本作はエド・マクベインの「キングの身代金」を原作としています。主演は『椿三十郎』に引き続き三船敏郎と仲代達矢。

 エド・マクベインの原作を巨匠・黒澤明監督が映画化した傑作サスペンス。優秀な知能犯に刑事たちが挑む。ナショナル・シューズの権藤専務は、自分の息子と間違えられて運転手の息子が誘拐され、身代金3千万円を要求される。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して3千万円を用意する。無事子どもは取り戻したが、犯人は巧みに金を奪い逃走してしまい、権藤自身は会社を追われてしまう……。巧妙なプロットもさることながら、登場人物たちの心理描写が秀逸で人間ドラマとしての完成度も非常に高い。

エド・マクベインの小説では室内劇として描かれている印象の強い作品ですが、それを映画化した本作は、前半部こそ室内劇の印象が強いですが、後半は戸倉警部(仲代達矢)を中心にした警察が町へ出て犯人を追うシーンが盛り込まれています。そのため、2時間半と長い上映時間ながら、さすが黒澤明というべきか、無駄なシーンがまったくなく、2時間半の間まったくだれさせません。

三船敏郎をはじめ、仲代達矢、山崎努などの演技、演出はさすがという他はなく、普段まぁ、B級的な映画ばかり見ている中でこういう映画を見ると、正直目が洗われる思いではあります。まぁ、結局どっちも好きなんですが。

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