今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

D:Sergio_Corbucci

セルジオ・コルブッチ(1972)『J&S/さすらいの逃亡者』

La banda J. & S. - Cronaca criminale del Far West
製作国: イタリア/西ドイツ/スペイン
監督: セルジオ・コルブッチ
出演: トーマス・ミリアン/スーザン・ジョージ/テリー・サヴァラス

【あらすじ】

子ブタと牛を交換してくれる、という話につられ、ある西部の町にやってきたお尋ね者のジェド・トリガード(トーマス・ミリアン)。しかしそれは、過去の因縁から彼を執念深く追いかける保安官フランシスカス(テリー・サヴァラス)の仕掛けた罠だった。間一髪のところで罠に気付き逃げ出すジェド。そんな彼を墓掘り人の姪サニー(スーザン・ジョージ)が助ける。

無法者に憧れる彼女は、ジェドに付きまとう。そんなサニーに、犬のように俺の言うことに従うならば、付いてきても良い、言い放つ。2人はジェドが懇意にしているソミーロのいるメキシコ人の集落を訪れ、歓迎されるが、集落の土地を奪おうとする大地主モレーノの手下が村を襲撃する。サニーが隙をついて一人を撃ち殺したことで、村は救われるが、初めて人を殺してしまったサニーはショックを受ける。

その夜、泥酔したサニーは銃を乱射し、たまたま近くで張っていたフランスシスカスに気づかれてしまう。何とか逃げ出した二人。町にたどり着いたジェドは、馴染みの娼館にサニーを売り飛ばそうとするが、泣いて抵抗するサニーを見て思い直す。そんなジェドに愛を告白するサニー。

教会で結婚式を挙げた二人は、ボニー&クライドよろしく夫婦で強盗を繰り返す。しびれを切らした州政府は、盲目となったフランシスカスの強要もあり、賞金を釣り上げると共に、二人を捕えた者の過去の罪を許す、との布告を出す。

一方、大金を得た二人は町の高級ホテルに泊まるが、そこでジェドはモレーノ夫婦の結婚1周年パーティに出くわす。モレーノ夫人に惹かれたジェドは、「あれが本当の女だ」と言って、サニーが止めるのも聞かずにパーティに潜り込む。怒ったサニーはパーティ会場に強盗に乗り込むが、そこにはフランシスカスも居たのだった。サニーを置いて、モレーノ夫人を人質に逃げ出すジェド。目的地はソミーロの住む村。一方怒りに駆られたサニーは村の場所を追っ手に教えるのだった。

村にたどり着いたジェドだったが、すでにソミーロたちは村を捨てたあとだった。自分がいれば、と悔やむジェド。そこにサニーが追いかけて来る。追っ手に村のことをバラしてしまった、と告げるサニー。ジェドはそんなサニーに怒り、彼女を追いやり、埋めてあったマシンガンを使い、追っ手を一掃する。

ジェドは廃屋に立てこもるが、フランシスカスはそこに手榴弾を投げ込む。その音を聞いたサニーによって、間一髪で救い出されるジェド。ジェドはフランシスカスを殺すようサニーに命令するが、サニーはそれを断り、ジェドを見捨てて出て行く。狼狽したジェドは、彼女に愛を告白しながら、サニーのことを追いかけて行くのだった。

【感想】

セルジオ・コルブッチ監督による後期のマカロニウエスタン。製作年から推測すると、おそらく『ガンマン大連合』(1970)と『進撃0号作戦』(1972)の間に撮られたものと思われますが、もしかすると『進撃0号作戦』(1972)のほうが先なのかな? とにかく西部劇に限っていえば、最後の方の監督作品になります。

ジェドとサニーの関係は、おそらく実在の銀行強盗であるボニー&クライドを基に創作されたものかと思われます。実在の二人の最期は『俺たちに明日はない』(1967)でも有名なところ。60年代であれば、コルブッチもこの映画にそういう結末を用意したのではないかな、とも思いますが、おそらくこの頃のコルブッチは西部劇を通して描きたい物語が60年代の彼とは少しずつ変わって来たのではないかな、と感じられます。それがジェドとサニーの関係性が逆転したかのように見える本作の結末なのだという気がします。

正直本作はアイデアが先行している印象があり、物語の展開もスムーズとは言いたいところもあり、コルブッチの西部劇の中では傑作とは言い難い作品です。ただ、ミリアンとジョージの演じるジェドとサニーのキャラクターは非常に魅力的であり、それを追いかけるフランシスカスもなかなか一筋縄では行かない魅力のあるキャラクターであり、単純な失敗作、とも言えない、魅力のある作品です。

本作は主としてアルメリアのタベルナス近郊の荒野で撮影されたと思われ、見覚えのある稜線や特徴ある岩がちらほら見えるのも面白い。ミニハリウッドも数シーンで使われているみたいですね。

セルジオ・コルブッチ(1987)『ハイレッグ・アバンチュール/セクシーギャル灼熱の情事』

Rimini Rimini
製作国:イタリア
上映時間:90分
監督:セルジオ・コルブッチ
出演:パオロ・ヴィラッジョ/セレナ・グランディ/エレオノラ・ブリリアドリ/ラウラ・アントネッリ

マカロニウエスタンの巨匠、セルジオ・コルブッチの最晩年の作品は本作のようなエロチック・コメディ(というより、漢字で「艶笑譚」と書いたほうが雰囲気にあっている)が中心。本作もS.グランディ、E.ブリリアドリ、L.アントネッリなどのセクシー系女優が多数出演した賑やかな艶笑譚です。

イタリア東海岸の都市リミニ(この都市の名前が原題になっている)を舞台に、堅物のモレッリ判事(パオロ・ヴィラッジョ)と何故か彼を付け回す謎の美女ローラ(セレナ・グランディ)、夫と離婚して友人のところに男漁りにやってきたリリアーナ(エレオノラ・ブリリアドリ)、恋人のグスターボ(アドリアーノ・パッパラルド)の死に消沈するノーチェ(ラウラ・アントネッリ)、妻を装わせた風俗女のマリーサ(リヴィア・ロマーノ)を資産家に差し出すかわり新事業に出資して貰おうとするビジネスマン・ボッツィ(ジェリー・カーラ)など、さまざまな事情を抱えた人たちがさまざまな出来事に遭遇する、という作品。

いわゆる「グランド・ホテル形式」とも言える群像劇なのですが、コルブッチの演出は散漫で、それぞれの登場人物は特に互いに交差することもなく、最後までそれぞれのエピソードが入れ替わり立ち代わり描写されます。この辺は監督というより、脚本の問題なのかもしれませんが、その脚本にはセルジオとブルーノのコルブッチ兄弟も関わっているので言い訳はできません。

一方で、それぞれのエピソードの描写はテンポが良く、エピソードの繋ぎもなかなか悪くない、この辺りは腐ってもコルブッチといったところでしょうか。

日本では劇場未公開ながら、VHSは発売されています。おそらく、コルブッチの名前というより、ラウラ・アントネッリ人気にあやかって、ということなのでしょうが、本作ではアントネッリの登場シーンはそこまで多くありませんし、また、彼女のヌードシーンもありません(他の女優さんはある)。そのため、その点を期待してみるとがっかりするかもしれません。

一方で、堅物のモレッリ判事をコミカルに演じたパオロ・ヴィラッジョは、本作の15年ほど前に同じくコルブッチ監督のマカロニウエスタン、『進撃0号作戦』(1973)に主演した俳優で、彼が好きなぼくとしては、ヴィラッジョが右往左往しているのを見ているだけでなかなか楽しめました。彼のエピソードのオチがまたすごかった……

なお、本作の上映時間はallcinemaには90分と掲載されておりますが、VHSに収録されているのは119分のヴァージョンであり、更にIMDbには210分と掲載されています。本来はもう少し登場人物同士の絡みがあるのかもしれません。長くなるとテンポは悪くなりそうですが。

セルジオ・コルブッチ(1966)『黄金の棺』

I crudeli
製作国:イタリア/スペイン
上映時間:92分
監督:セルジオ・コルブッチ
出演:ジョセフ・コットン/ジュリアン・マテオス/ノーマ・ベンゲル/ジーノ・ペルニス

個人的にマカロニウエスタンを代表する監督だと思っているセルジオ・コルブッチ監督の本邦劇場未公開マカロニウエスタン。本作は2004年に発売された「マカロニウエスタンコレクション 夕陽の血斗 BOX」に収録されているものの、単品でDVDが発売されておらず、また、ボックスも今ではプレミア価格になってしまっているため、日本でDVDがリリースされているコルブッチ作品の中では、いちばん見るのが難しいかもしれません。金さえ出せば見られないことはないですが……ね……

南軍のリー将軍がアポマトックスで北軍に降伏したころ、大金を運ぶ北軍輸送隊がジョナス(ジョセフ・コットン)と彼の子供たちに襲われて全滅、金を奪われてしまいます。ジョナスは金を棺に隠し、アル中女・キティ(マリア・マルティン)に未亡人を装わせ、故郷へと運ぼうとします。ジョナスは南軍の再建を志しており、大金はその資金にするつもりでした。

途中、キティが馬車ごと金を持ち逃げしようとしたため、ジョナスの息子のひとりであるジェフ(ジーノ・ペルニス)が彼女を殺してしまいます。未亡人なしでは計画に支障が出るため、ジョナスは別の息子であるベン(ジュリアン・マテオス)に、近くの街で適当な女を捜してくるように命じます。街に行ったベンは、サルーンでプロのギャンブラーであるクレア(ノーマ・ベンゲル)を見つけ、彼女を連れてくることに成功します。

クレアを一行に加えた5人は、故郷への道を急ぎますが、行く手には北軍の検問、自警団、インディアンの集落などが待ち構えているのでした……というお話。

アメリカの名優ジョセフ・コットンを主演に据えていますが、スター俳優というわけではないですし、息子たちを演じたジュリアン・マテオス、ジーノ・ベルニス、エンジェル・アランダといった俳優たちも他のマカロニウエスタンでは脇役を演じることが多く、キャストはかなり地味です。強いて言えば、ジーノ・ペルニスが『続・荒野の用心棒』(1966)で耳を食わされる神父役をしていたのが印象に残る程度でしょうか。また、ストーリーも因果応報というか、救いがありません。そういった点が本作を日本未公開にした大きな要因でしょう。

一方で、面白くないかと言えばそんなことはなく、荒野を走る大金を積んだ馬車、というロードムービー的要素を背景に、追跡の北軍や自警団との遭遇、棺の中の故人を知っているという町の神父との遭遇などなど、息つく暇もないほどトラブルが押し寄せて来て、見るものを飽きさせません。また、兄弟の中でベンだけが腹違いであり、また、その他の兄弟の人間性にも問題があるというキャラクター造詣によって一行の中にも緊張関係がもたらされており、いつ何が起こるか目が離せない展開になっています。

結末も『Le due facce del dollaro』(1967)を思い起こさせるような無常観あふれるものになっていますが、本作ではしっかりとそれぞれのキャラクターが説明され、伏線が張られているので唐突な印象は受けません。未公開ながら、コルブッチのマカロニウエスタンの中でも傑作の一本でしょう。

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