製作国:日本
上映時間:86分
監督:野口博志
出演:赤木圭一郎/宍戸錠/浅丘ルリ子/西村晃
石原裕次郎、小林旭に続き、日活ダイヤモンド・ラインの第三の男として売り出された赤城圭一郎と、当時は癖のある脇役で知られた宍戸錠のコンビで第4作まで作られた「拳銃無頼帖」シリーズの第1作。監督はシリーズすべてを監督した野口博志。
「抜き射ちの竜」こと剣崎竜二(赤木圭一郎)は、相手の肩を撃ち抜くことによって、殺さずに銃を使えなくすることで有名な銃使いでした。そんな彼は、宮地組組長の宮地(山之辺潤一)を撃ったあと、麻薬の禁断症状で倒れてしまいます。そんな彼の窮地を救い、病院に担ぎ込んだのが中国人マフィア楊三元(西村晃)の部下であるコルトの銀(宍戸錠)でした。
恩を返すために楊の元に留まった竜に対し、楊は麻薬取引の邪魔をする堀田組の堀田(二本柳寛)を消すように命じます。銀と共に堀田の元に向かう竜。お互いの腕にはそれぞれ一目置くものの、目撃者まで消す銀のやり方には納得できない竜。そして、そんな彼のところに、弟分である圭吉(沢本忠雄)が半死半生の体で逃げ込んできます。彼の恋人の房江(香月美奈子)は、楊の協力者だったのですが、裏切り者の疑いをかけられ、楊に監禁されていたのでした。房江を助け、楊の麻薬取引を阻止するべく、楊のアジトの中華料理屋に向かう竜でしたが……という話。
浅丘ルリ子は房江が店長をつとめる洋装店でモデルとして働いているという役どころ。はじめ竜は彼女のことを誰かのスパイだと疑いますが、疑いが解けて急速に仲が近づく、という役であり、また、麻薬取締官の石井(草薙幸二郎)の妹でもあり、彼と竜を繋げる役どころでもあります。
本作は四方田犬彦氏の「トニーとジョー」(『男たちの絆、アジア映画』所収)でも書かれているように、赤木圭一郎演じる竜と宍戸錠演じる銀の関係性を中心に描かれており、ヒロインである浅丘ルリ子の存在感は割と薄い。寡黙で内省的な竜と、キザで殺し屋という職業に疑問を持たない銀という対称的なキャラクターが、少しずつ友情的な同志的な関係性を築いてゆく様がうまく描かれています。クライマックスで竜が銀の所作を真似るシーンは特に印象的です。