今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

D:Hiroshi_Noguchi

野口博志(1960)『幌馬車は行く』

製作国: 日本
監督: 野口博志
出演: 赤木圭一郎/芦田伸介/笹森礼子/水島道太郎

【あらすじ】

幼い頃両親を失った野上(赤木圭一郎)は鬼島(水島道太郎)に拾われてチンピラとして育てられた。鬼島率いる列車強盗団に参加した野上は、逃げようとする機関士助手を撃ち殺してしまう。一方、移動養蜂隊を率いる山善(芦田伸介)は越中八尾駅に孫娘の十美(笹森礼子)を迎えに来ていた。二人は幌馬車で養蜂隊に帰る途中、銃で撃たれて重傷を負っている野上を見つける。

山善の介抱によって回復した野上は、成り行き上養蜂隊と共に旅をすることになる。自分の正体を知ってもなお、自分を信じる山善に恩を感じ、だんだんと十美に惹かれて行く野上。十美も野上を憎からず思っていた。しかし、鬼島の一味であるマサ(郷鍈治)とサブ(鹿島貞夫)が野上を見つけ、自分たちも養蜂隊に潜り込もうとする。野上は十美を襲おうとするマサを殴り飛ばし、出て行くように告げるのだった。

休日、野上が十美と町にデートに出かけていると、鬼島の手下のトム(武藤章生)が野上を呼び出しにくる。鬼島の隠れ家に赴き、一味を抜けたいと告げる野上。マサは野上を殺そうとするが、山善の情婦あけみ(楠侑子)が野上をかばうのだった。それを見て、何かを思いついた様子の鬼島。

翌日、鬼島の一味が養蜂隊の元にやってくる。野上に様子を探らせていたが、養蜂隊の居心地が良さそうなので一緒に逃げさせてもらう、と告げる鬼島。当然反発する養蜂隊の一行だったが、岸本(待田京介)がマサに撃ち殺されそうになるのを庇うため、野上が岸本を殴り飛ばすのを見て、十美は野上に不信感を持つ。一行は鬼島指揮のもと蜂にとっては過酷な行程を無理強いされる。それでも野上を信じようとする山善だったが、逃げようとした弥作(大町文夫)をマサが射殺、反撃に出ようとした彼から野上が猟銃を奪ったことで、野上を信じたことを後悔する。

その夜、野上は自分の命と引き換えに産気づいた妙子(堀恭子)をはじめとする養蜂隊のメンバーを解放するよう鬼島に迫るが、逆に鬼島たちからリンチにあう。野上を疑ったことを詫びつつ、彼を介抱する山善たち。翌朝、鬼島たちの隙をついて野上と十美は幌馬車で妙子たちを逃す。マサがそれを追うが、野上に捕えられる。一方鬼島は山善たちを人質にしようとするが、そこへ警官隊が来襲。山善たちを連れ、洞窟へと逃げ込む。

人質を取られた警官隊は洞窟へ踏み込むことを躊躇するが、そこへ戻って来た野上が警官隊の制止を振り切って洞窟へと入る。銃撃戦の末、あけみは野上を庇って鬼島に撃ち殺される。今際の際に機関士助手を殺したのは実は鬼島だ、と告げるあけみ。追い詰められた鬼島はトムを囮に野上を殺そうとするが、囮にされたトムの逆襲に遭い、谷底へと落ちてゆくのだった……

待っていると告げる十美に、母の形見の帯留めを託し、野上は警官隊に連行されてゆくのだった。

【感想】

「拳銃無頼帖」シリーズで赤木圭一郎と宍戸錠の名コンビを生み出すことになる野口博志監督が、その直前に赤木圭一郎主演で作った和製西部劇のようなもの。鬼島のファッションや、荒野に擬した立山山麓の高原でのアクションなど、西部劇の影響はたぶんに受けているものの、まだ「拳銃無頼帖」ほどはっちゃけていないというか、善人は銃で人を殺さない、という日本の法令の範囲内で物語を構成しているため、銃撃シーンにはそこまでの迫力はありません。実際劇中で赤木圭一郎は一人も撃ち殺していませんし。

悪人に拾われた主人公が土地の人と出会い、改心して元々の親玉と敵対し、最後にはさって行くという構成は西部劇の影響を色濃く感じますし、この構成はその後の「拳銃無頼帖」シリーズにもほぼそのまま引き継がれます。一方、本作には宍戸錠のような赤木圭一郎のカウンターパートとなるキャラクターが欠けているという印象。宍戸の実弟である郷鍈治は出演していますが、彼はやっぱり宍戸ほどの魅力というか、陽性のキャラクターではないので、そこまでの存在感はありません。

また、本作はこの時代によくあった、観光地とのタイアップ映画という側面もあり、本作では氷見市や立山連峰が主にフィーチャーされていますが、その辺も無国籍アクション感を薄めている要因かもしれません。とはいえ、「拳銃無頼帖」シリーズも2作目以降はタイアップ映画の面もあったので、それだけが理由ではないと思いますが。

野口博志(1959)『銀座旋風児』

製作国:日本
上映時間:83分
監督:野口博志
出演:小林旭/浅丘ルリ子/宍戸錠/白木マリ

この翌年、『拳銃無頼帖 抜き射ちの竜』(1960)をはじめとする「拳銃無頼帖」シリーズで赤木圭一郎とコンビを組むこととなる、野口博志監督が、『南國土佐を後にして』(1959)から始まる「渡り鳥」シリーズの小林旭とコンビを組んだ日活映画です。本作は正確なタイトルがいまいち分かりづらく、オープニングタイトルには「二階堂卓也 銀座無頼帖 銀座旋風児」と表示されており、確か渡辺武信著「日活アクションの華麗な世界」でもこのタイトルで紹介されていた(はず。現在本書が手元になく不明)のですが、公開時のポスターでは単に『銀座旋風児』となっており、AllcinemaやGoo映画などのネット上の媒体でもそうなっているので、ひとまずそちらに合わせています。これについては、第2作である『銀座旋風児 黒幕は誰だ』(1959)以降にも、同様の問題があります。

銀座で売れっ子の装飾デザイナー、銀座旋風児こと二階堂卓也(小林旭)。彼は本業の傍ら、退屈しのぎの素人探偵業も営んでいました。情報屋の政(宍戸錠)から、キャバレー"モナコ"のオーナー王徳宝(芦田伸介)がダイヤの密売を行っているとのタレコミを受けた彼は、王を追って香港に飛びます。香港で何者かによる銃撃を受けた王の窮地を救った卓也でしたが、狙撃犯の正体は明子(浅丘ルリ子)という日本人女性でした。

彼女の話から、王の正体は堀田という日本人で、木原(山田禅二)、中村(伊藤寿章)、丸山(西村晃)という男たちとともに、戦時中に国民から拠出させ、中国に運んだダイヤを横領、横流ししていることを知ります。そして、明子の父は、彼らの奸策にはまり、中国で客死していたのでした。卓也は明子を連れて日本に戻り、堀田一味に対する挑戦広告を東都タイムズに乗せるのでした。

広告を見て、約束の場所にやってきた木原でしたが、彼は何者かに銃撃され、殺されてしまいます。これは堀田一味の仕業でした。そして、堀田は暴力団である俵藤組に卓也と仲間たちの抹殺を依頼するのでしたが……というお話。

当時盛んに作られた、日活の無国籍アクションの系譜に連なる作品です。「渡り鳥」シリーズが地方を舞台にした作品だったのに対し、本シリーズは銀座を舞台に(といっても、セットのシーンが多め)小林旭が大活躍します。脇を固めるのは浅丘ルリ子、宍戸錠、白木マリ(いつものように、主人公に惚れて、つれなくされる役。ただ、本作では踊らない)。そして悪役側も芦田伸介、西村晃、高品格と、いつもの面々が顔を揃えます。藤村有弘も出演していますが、ちょっとした顔見せ程度の役どころ。

「拳銃無頼帖」シリーズでは赤木圭一郎との二枚看板的な役どころだった宍戸錠ですが、本作ではまだちょっととぼけた二階堂卓也の舎弟、といったような役どころで、小林旭との二枚看板とまではいきません。それもあって、「拳銃無頼帖」シリーズに比べると、小林旭オンステージの趣が強く、映画に深みが欠けている嫌いはあります。それでも、シリーズが6作品も作られたことを考えると、当時の小林旭人気が推し量られますね。

野口博志(1960)『拳銃無頼帖 明日なき男』

製作国:日本
上映時間:85分
監督:野口博志
出演:赤木圭一郎/宍戸錠/笹森礼子/藤村有弘

野口博志監督、赤木圭一郎主演、宍戸錠助演で4本作られた、「拳銃無頼帖」シリーズの最終作が本作『拳銃無頼帖 明日なき男』でした。

抜き射ちの竜(赤城圭一郎)は、コルトの譲(宍戸錠)の舎弟を名乗るサブ(木下雅弘)という男から、譲が明日をも知れぬ病で岐阜の病院にいると聞かされ、彼を見舞うために岐阜を訪れます。しかし、それは竜に恨みを持つ清流会の辻堂(水島道太郎)の罠でした。岐阜駅前で竜を狙撃しようとする辻堂一味でしたが、竜は駅で道子(笹森礼子)と共に逃げようとしていた三島(郷鍈治)が巻き込まれたトラブルに巻き込まれ、警察に連行されてしまうのでした。

刑務所でたまたまぶち込まれていた譲に出会った竜。騙されたことに気づいた竜でしたが、駅で出会った道子のことが気になり、彼女の謎を解くために、岐阜を仕切る二つの勢力、辻堂率いる清流会と有村(藤村有弘)率いる有村興業の争いに巻き込まれてゆくのでした……というお話。

赤木圭一郎の急逝もあり、結果的に「拳銃無頼帖」シリーズの最終作となってしまった本作。本作が以前の3作と大きく異なる点として、前3作では赤城圭一郎は過去に縛られた男として登場するのに対し、本作は彼の過去と関係ない土地での物語が描かれている点があります。過去と関係ないからか、赤木演じる竜も以前の作品と比べると、幾分明るい、自由なキャラクターとして演じられています。

また、宍戸錠演じる譲もキャラクターが完全に固まり、時に相棒、時にライバルという独特の立ち位置にあるキャラクターを楽しげに演じています。まぁ、赤木の死がなければ更に作られたか、というと、このころから宍戸が日活において主演作が作られはじめるスターになっていくので、作られたとしても1作か2作だったろう、という気もします。

共演陣で注目なのは藤村有弘。彼は4作品通じて日本で暗躍する中国人、という役どころを演じているのですが、第3作『拳銃無頼帖 不敵に笑う男』(1960)と本作を比べると、日本語の上手さが違います。本作のほうが日本語のうまい中国人、を演じているようなのですが、芸達者ぶりが見られます。また、藤村有弘の片腕を演じた山田禅二も前作にも出演していますが、本作のほうが重要なキャラクターに昇格していますね。

それにしても、どうしてシリーズ4作品の中で、本作だけ単品でDVDリリースされていないんでしょうね。

野口博志(1960)『拳銃無頼帖 不敵に笑う男』

製作国:日本
上映時間:84分
監督:野口博志
出演:赤木圭一郎/宍戸錠/笹森礼子/吉永小百合/二本柳寛/藤村有弘

拳銃無頼帖 抜き射ちの竜』(1960)、『拳銃無頼帖 電光石火の男』(1960)に続く「拳銃無頼帖」シリーズ第3作が本作。監督、音楽などのスタッフも前2作と共通(撮影監督は永塚一栄から横山実に変わっています)、赤城圭一郎と宍戸錠のコンビも前2作と共通していますが、ヒロインは浅丘ルリ子から笹森礼子に変わっています。

船場組と敵対する浜田組のボス浜田(藤村有弘)を撃った罪で2年間の刑期を終え、故郷金沢へと帰る汽車に乗る竜(宍戸錠)。彼は社内でコルトの謙(宍戸錠)という男と出会います。金沢に帰った彼は恋人ユリを探しますが、彼女の妹である博子(笹森礼子)から、ユリは金沢駅で汽車に轢かれて死んだことを知らされます。

ユリは浜田に殺されたと考える竜でしたが、謙の手引きで浜田に会った際、ユリを殺したのは彼ではなく、博子の店を狙った船場(二本柳寛)の仕業だと言われます。一方、ブティックを出すために船場組から30万を借りていた博子は、返済が滞ったことで船場に誘拐されそうになります。

その頃、街でかつての弟分である五郎(青山恭二)と出会った竜は、彼が竜の妹・則子(吉永小百合)と暮らすため、組を抜けて靴磨きをしていることを知ります。

竜は、五郎を自由にすることと、博子の借金を棒引きにすることを条件に、船場組と浜田組のダイヤの取引に、用心棒として参加することを承諾しますが、竜が目障りな船場は、浜田と協力して謙を使って竜を消そうとするのでした……というお話。

圭一郎のどこか影のある刑務所帰りの男、錠のネアカでとぼけた銃の名人という、前2作と同様のキャラクターが、日本人ヤクザと中国人ヤクザの抗争という前2作と同様の背景で物語を繰り広げます。一方、前作では日本人ヤクザ側は比較的善、中国人ヤクザ側は比較的悪、という風に描かれていましたが、本作ではどちらも汚い人物として描かれており、その辺は第1作に立ち戻ったと言えます。

一方、第1作、第2作とどんどん存在感が増していった宍戸錠は、やはり本作でもかなりの存在感を見せており、本作ではある意味バディ・ムービー的な体裁になっていえると言えます。また、どんどん演技がコミカルになってきており、その辺が赤城圭一郎と好対照となっていると言えます。

野口博志(1960)『拳銃無頼帖 電光石火の男』

製作国:日本
上映時間:86分
監督:野口博志
出演:赤木圭一郎/宍戸錠/浅丘ルリ子/白木マリ

以前『拳銃無頼帖 抜き射ちの竜』(1960)をご紹介したことのある、「拳銃無頼帖」シリーズの第2作。監督、主演をはじめとして、音楽担当の山本直純、撮影監督の永塚一栄や、主な共演者も前作と共通しています。

3年の刑期を終え、故郷である四日市に戻って来た丈二(赤木圭一郎)。砂浜を歩いていた彼は、五郎(宍戸錠)に追い詰められていた大津組の貞夫(杉山俊夫)を助けてやります。貞夫に兄貴と慕われた丈二は、大津組に顔を出します。実は、丈二が刑務所に入った原因は、大津組に敵対するハイライト興業の社長・麻島(藤村有弘)が、大津組の親分の仁作(菅井一郎)を騙し討ちした際、麻島の身代わりとして服役したのでした。そんな丈二を仁作は温かく迎えます。

ひとまず丈二はハイライト興業に戻りますが、ハイライト興業には新たな殺し屋として五郎が雇われており、丈二が気になって仕方のない彼は、しきりに決闘を持ちかけるのでした。

一方、服役前に丈二の恋人だった圭子(浅丘ルリ子)は、丈二のことを諦めて、仁作の息子であり、丈二の親友で警察官の昇(二谷英明)と婚約していましたが、丈二が戻ってきたことを知り、悩んだ末に昇との婚約を破棄します。そんな圭子を巻き込まないため、昔のことは忘れた振りをする丈二。

ハイライト興業が圭子のカフェを襲撃したことを契機として、警察の厳しい取締が始まります。一方の大津組も、ついにハイライト興業に決闘を申し込むのでした。その裏で、麻島は、丈二と五郎に昇の暗殺を命令するのですが……というお話。

前作の好調を受け、制作されたと思われる続編的なお話。それぞれの俳優が演じるキャラクターは同じような性格を持っていますが、前作とは物語上の関係はありません。

前作でも魅力的だった、赤木圭一郎と宍戸錠の掛け合いは本作でも健在。というより、宍戸は前作のキャラクターを更に追求し、ひたすら殺しの美学と赤木との決闘を追い求める劇画的なキャラクターを、シーンによっては非常にコミカルに演じています。帽子の留めゴムを鼻の下に引っ掛けてる人って、本作の彼か、『復讐無頼・狼たちの荒野』(1968)のトーマス・ミリアンくらいしか見たことがありません。というか、ぶっ飛んだ演技とか、本シリーズの宍戸とマカロニウエスタンのミリアンには結構共通点があるような気がします。

ストーリーとしては、二つの組織をどちらも壊滅させて、街に平和を取り戻す、という、黒澤明の『用心棒』(1961)めいたところもあるのですが、丈二が心情的に大津組に肩入れしていたり、映画自体も大津組を割と古き良き任侠的描き方をしているため、丈二の行動の目的が少々分かりづらい、という問題はあります。

ただ、本作は前作で魅力的だった要素を更に押し進めて作られた作品であり、第1作が面白かった方になら、必ずおすすめできる作品です。

記事検索
カテゴリ別アーカイブ
【PR】
このサイト経由でDVDを買ったりするとポイントが貯められる。
日々の生活にhappyをプラスする|ハピタス
タグクラウド
月別アーカイブ
livedoor プロフィール
  • ライブドアブログ