Wanted
製作国:イタリア
監督:ジョルジョ・フェローニ(カルヴィン・ジャクソン・パジェット)
出演:ジュリアーノ・ジェンマ/テレサ・ギンペラ/セルジュ・マルカン/ヘルマン・コボス
【あらすじ】
サミュエル・ゴールド(ダニエレ・ヴァルガス)が市長をつとめるグリーンフィールドの町では、今しも新しい保安官としてフレッド(セルジュ・マルカン)が選出されようとしていた。それに異を唱えたボブ(ベニート・ステファネッリ)だったが、町の男たちに酒場から叩き出されてしまう。そこに一人の男が入ってくる。彼こそ、アンダーソン判事によって新しい保安官に任命されたゲイリー(ジュリアーノ・ジェンマ)だった。
ゲイリーは金塊をブライトンの町に運ぶ仕事を、ゴールドから依頼される。オーウェル・ロックでブライトンの銀行の担当者が待っているはずだったが、オーウェル・ロックはゴメス一味に襲撃され、担当者は殺されてしまう。ゲイリーは酒場でくすぶっていたギャンブラーのマーティン(ヘルマン・コボス)の助けを得て、無事に金塊をブライトンに運ぶのだった。
グリーンフィールドに戻ってきたゲイリーを市長は賞賛するのだったが、フレッドが仕掛けた罠にはまり、ゲイリーは殺人犯として投獄されてしまう。ボブの協力で留置所から脱出したゲイリーは、マーティンに自分の無実をアンダーソン判事に訴えてくれるよう頼み、別れ際にボブが残した、姪のイブリン(テレサ・ギンペラ)を頼りジェレマイヤー・プレスコットを探せ、という言葉を頼りにイブリンの元を訪れる。プレスコットの居場所はコネホス村のカルメロ神父(ネッロ・パッツァフィーニ)が知っている、と言われ、コネホス村を訪れるゲイリー。
コネホス村の村人に襲われそうになったところをカルメロに助けられたゲイリーは、彼からプレスコットの居場所を聞き、彼が住む小屋を訪れる。そこでゲイリーは細工をしてある焼印を使い、近隣の牧場から牛を盗み取るゴールドの悪事について明かされるのだった。プレスコットから焼印のありかを聞き、それを手に入れることに成功するゲイリー。プレスコットの小屋に戻る彼だったが、折しもその時、彼の小屋はフレッド一味の襲撃を受けており、プレスコットは殺されてしまう。ゲイリーは彼の姪を助け、イブリンとカルメロを頼るのだった。
ゲイリーはゴールドの悪事の証拠である焼印をアンダーソン判事の元に持って行こうとするが、ゲイリーによってイブリンもろとも捕らえられてしまう。グリーンフィールドに連行されるゲイリーだったが、その頃マーティンの活躍によって、フレッドの悪事は露見していた。逃げ出すフレッドを追ってゴールドの隠れ家にたどり着くゲイリー。格闘のすえ、ゴールドとフレッドは追ってきたアンダーソン判事をはじめとする人々によって連行されていくのだった。
【感想】
『荒野の1ドル銀貨』(1965)、『さいはての用心棒』(1967)に続き、カルヴィン・ジャクソン・パジェットことジョルジョ・フェローニ監督がジュリアーノ・ジェンマを主演に据えて作り上げたマカロニウエスタン。フェローニのマカロニの特徴は手堅い演出にあると思いますが、本作もその例にもれず、なかなか丁寧なストーリーを、これまたなかなか丁寧な演出で撮り上げています。
本作の一つの特徴として上げられるのが、この時期のマカロニにしてはアメリカ西部劇の雰囲気がかなり滲み出ていること。特にセルジュ・マルカン演じるギャンブラー、マーティンは風貌といい、佇まいといい、行動といい、妙にアメリカ西部劇感が強い。そのせいなのか、残念ながら映画内での活躍シーンは意外と短め。ただ、重要な役回りでもあるため、映画にアメリカ風の雰囲気を加えています。
また、多くのマカロニウエスタンでは悪役を演じているベニート・ステファネッリとネッロ・パッツァフィーニの意外な役どころも本作の魅力の一つ。特にゲイリーを助ける(ちょっと強面の)頼れる神父を演じたネッロ・パッツァフィーニは、ああいうちょっとコミカルなおとぼけキャラも演じられるのか、と新しい魅力を発見することができます。