The Phantom of the Opera
製作国:アメリカ
上映時間:95分
監督:ルバート・ジュリアン
出演:ロン・チェイニー/メアリー・フィルビン/ノーマン・ケリー/ギブソン・ゴーランド
ガストン・ルルーの怪奇小説、『オペラ座の怪人』は何度も映画化されていますが、本作はその2回目の映画化(ちなみに1回目は『Das Phantom der Oper』(1916)というドイツ映画)。本作は原作をもっとも忠実に再現したとも言われています(とは言え、やはり改変されている点もそれなりにありますが……)
“千の顔を持つ男”ロン・チェイニー主演によるゴシック・ロマンの傑作。幽霊が出ると噂されるオペラ座で、美しい少女クリスチーヌの身辺に奇妙な出来事が続出する。やがてクリスチーヌは、新作の主役に抜擢されるが……。
ヒロイン・クリスティーヌや恋人ラウルを演じたメアリー・フィルビンとノーマン・ケリーの演技にはそこまで特筆すべきところはないものの(ただ、怪人の醜い顔を見て驚くフィルビンの演技は印象的)、怪人を演じたロン・チェイニーのメイクと怪演によって、記憶に残る映画となったと言えるでしょう。
仮面舞踏会のシーンのみ、フィルムに彩色が施されていますが、その豪華絢爛なシーンには一見の価値があります。また、そのシーンでは怪人が真っ赤なマントを羽織り、骸骨の面を被って現れますが、その姿は非常に印象的です。
一方で、怪人の隠れ家の描写や、灼熱地獄、鏡の部屋やサソリとバッタのスイッチなどの描写は多少B級サスペンス的な感じ(必ずしも貶しているわけではないですが)。
クライマックスの馬車で逃走する怪人と、それを追いかける群衆の姿も迫力があり、怪人と群衆が交互に写される演出によって、緊迫感を高めています。