今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

D:Enzo_Barboni

エンツォ・バルボーニ(1974)『縄張はもらった!』

Anche gli angeli tirano di destro
製作国: イタリア
監督: エンツォ・バルボーニ(E・B・クラッチャー)
出演: ジュリアーノ・ジェンマ/リッキー・ブルック/ラウラ・ベチェレッリ/ドミニク・バルト

【あらすじ】

チンピラのソニー(ジュリアーノ・ジェンマ)はある紳士からニューヨーク行きの切符をくすねてニューヨークに向かいますが、その紳士は脱獄したばかりのマフィア、タイガー(エドアルド・ファイエタ)の部下でした。列車の中でタイガーと遭遇したソニーは、口八丁で彼を丸め込み、マルベリー通りの権利を譲り受けることになります。しかし、マルベリー通りは今まで、メローネ、ニック、タイガーという3人のマフィアたちの間での中立地帯となっていたのでした。

マルベリー通りに着いたソニーは、彼の鞄を盗もうとしたバラバ(ドミニク・バルト)を手下にし、通りの店にみかじめ料を集めに向かいます。しかし商店主たちは、ロッキーという謎の人物に既に保護料を払っていると言って彼の要求を断ります。教会にも集金に行くソニーでしたが、謎の怪力牧師(リッキー・ブルック)に追い返されてしまいます。

そんな時、ソニーは街で出会った美女ヴァージニア(ラウラ・ベチェレッリ)に一目惚れ。集金のかたわら、自分を警察署長と偽り、彼女を追いかけ始めます。ヴァージニアもソニーにゾッコンの様子。

ソニーの執拗な集金攻勢を発端としてメローネとニックのファミリーの間で全面戦争が勃発し、彼らは共倒れに終わります。命の危険を感じたソニーは深夜、街を抜け出そうとしますが、怪しい動きをする牧師の姿を目に留めます。実は牧師こそがロッキーであり、彼は街の商店からジャガイモや穀物を盗み、それを密造酒にして販売し、その金で多くの孤児を養っていたのでした。そして、ロッキーはヴァージニアの兄でもありました。

ソニーを警察署長だと信じるヴァージニアの勘違いもあり、そしてソニーのロッキーを見逃す、という芝居もあって和解する二人。しかし、メローネとニックのファミリーが共倒れしたことを知り、タイガーが街に戻ってきます。タイガー一味はソニーを街から追い出そうとしますが、ソニーとロッキーの二人にこてんぱんにやられ、最後は警察に連行されて行くのでした。

【感想】

原題を見ると『くたばれカポネ』(1973)の続編か何かのように思われますが、主演がジェンマであることと、監督がバルボーニであること、あとは禁酒法時代のニューヨークを舞台にしたギャング・コメディである、くらいの共通点はあるものの、物語に繋がりはありません。言うなれば姉妹編のようなもの。

『くたばれカポネ』ではバッド・スペンサーがジェンマの相棒役でしたが、本作で登場するリッキー・ブルックは相棒とはちょっと言い難い立ち位置(最後の乱闘シーンではバッド・スペンサー的な活躍を見せるけれど)だし、終盤までジェンマの部下として動き回るドミニク・バルトも相棒というよりは、単なる手下(しかも最後のシーンには参加しない)という感じで、基本的にはジェンマの単独主演ものという印象。

そんなこともあり、本作は『くたばれカポネ』やヒル&スペンサーもののようなバディ・コメディ映画とは少々経路が異なります。

劇場公開時は『縄張はもらった!』と書いて「シマはもらった!」と読ませるタイトルだったようですが、DVDでは「シマはもらった」とカタカナ書きになり、なぜかついでに感嘆符も外れています。

エンツォ・バルボーニ(1973)『くたばれカポネ』

Anche gli angeli mangiano fagioli
製作国: イタリア/フランス/スペイン
監督:エンツォ・バルボーニ(E・B・クラッチャー)
出演:ジュリアーノ・ジェンマ/バッド・スペンサー/ロバート・ミドルトン/ビル・ヴァンダース

【あらすじ】

1920年代のニューヨーク、覆面レスラーのチャーリー(バッド・スペンサー)はマフィアのボス、アンジェロ(ロバート・ミドルトン)から試合での八百長を命じられる。しかし、試合中、頭に血が上ったチャーリーは対戦相手を倒してしまう。ソニー(ジュリアーノ・ジェンマ)の助けもあり、チャーリーは試合会場から脱出する。

一方ソニーはチャーリーの度胸と腕っ節を見込み、相棒になろうとまとわりつく。チャーリーの顔が割れていないことをいいことに、アンジェロの部下になることに成功する2人だったが、バーの用心棒をやれば上院議員をノシてしまい、みかじめ料の取り立てに行けば生来の人の良さが災いして、逆に貧しいイタリア人一家に金を恵んでやる始末。ボスへの上納金に困った2人は、敵対するコロシモ・ファミリーのギャングから金を巻き上げてしまう。

彼らがコロシモ・ファミリーにちょっかいを出したことにより、アンジェロのファミリーとコロシモ・ファミリーは戦争状態に入ってしまう。ソニーは金を巻き上げた相手のギャングの暗殺を、チャーリーは上院議員を暗殺し、コロシモ・ファミリーの仕業に見せかける仕事をボスから言い渡される。しかし、根っからの悪人ではない2人が悩んでいるうちに、何者かによってギャングは殺され、上院議員も死んでしまう。

そこに凄腕の刑事マッキントッシュ(ビル・ヴァンダース)が登場し、2人は捕まってしまうが、潜入捜査官だと嘘をつき、2人は釈放される。アンジェロのところに戻った2人だったが、イカサマがばれ、ほうほうのところで逃げだすが、助けてやったイタリア人家族の元を訪れたチャーリーがアンジェロに捕まってしまう。

埠頭でリンチにかけられそうになるチャーリーだったが、間一髪のところでソニーが助けに入る。あとはいつもの殴り合いからの目出度しめでたし。

【感想】

原題の「Anche gli angeli mangiano fagioli」は、日本語にすると「天使たちですら豆を食べる」となります。直接的には映画序盤に登場する救世軍の女性のセリフなのですが、本作のマフィアのボスも天使を意味するアンジェロという名前です。一方で、マカロニウエスタン・ファンならばジェンマが出演している本作でエンジェルと言われて真っ先に思い出すのは彼が『夕陽の用心棒』(1965)で演じたエンジェル・フェイスでしょう。そのエンジェルですら豆を食べる、となると、本作はジェンマをスペンサーと組ませて作った、ヒル&スペンサー映画みたいな映画だよ、というバルボーニからのメッセージを読み取るのは考えすぎでしょうか。

本作は基本的には、バルボーニ監督がいわば生みの親であり、その後も何作品かに携わっているヒル&スペンサー映画の派生というか、亜流として考えると分かりやすい作品です。一方で、ヒル&スペンサー映画では基本的には人は死なないのに対し、本作は20年代のニューヨークという舞台設定のせいか、前年に公開された『ゴッドファーザー』(1972)から影響を受けたと思われる暗殺シーンも一応は存在しており、ほんの少しカラーが異なる印象も受けます。本当にほんの少しですが……

映画序盤、ジェンマがカラテ道場のようなところで掃除夫をしているシーンがあるのですが、この時代のイタリア映画のこういうシーンって、なんでこう日本と中国が清々しいまでにごっちゃになっているんでしょうね…… 面白いけど。

エンツォ・バルボーニ(1983)『いけ!いけ!スパイ大作戦』

Nati con la camicia
製作国:イタリア/アメリカ
監督:エンツォ・バルボーニ
出演:テレンス・ヒル/バッド・スペンサー/デヴィッド・ハドルストン/リカルド・ピズッツィ

【あらすじ】

ローラースケートとヒッチハイクで旅をする風来坊ロスコー(テレンス・ヒル)は、刑務所から出所してきたばかりのダグ(バッド・スペンサー)とドライブインで出会う。トラックドライバーたちと大立ち回りを演じた彼らだったが、お互いがお互いのトラックだと勘違いした、実際は自分たちが伸したトラックドライバーのトラックに乗って行ってしまったため、武装トラック強盗犯として指名手配されてしまう。ロスコーの腹話術の特技を活かしてパトロール中の警察官の手から逃れた二人は、スタインバーグとメースンという人物になりすまし、飛行機でマイアミへと逃げるのだった。

飛行機が離陸する直前、政府の捜査官が二人を探しにくる。ついに御用かと観念した二人に、男はショルダーケースを渡して去ってゆく。ショルダーケースの中には100万ドルが入っていた。マイアミに着いた2人は空港で待ち構えていたエージェントに連れられてタイガー長官(デヴィッド・ハドルストン)の元へ。二人が成り済ましたスタインバーグとメースンは、政府の秘密エージェントだったのだ。

成り行き上仕方なく、エージェントとしてテキサスの富豪に化け、任務につく二人。そんな二人をK1(バフィ・ディー)を名乗る男の手下が襲う。二人の任務はK1の居所を突き止め、彼の野望を阻止することであった。二人は、あの手この手で二人を狙うK1の腹心スパイダー(リカルド・ピズッツィ)を撃退し、逆に彼を追ってK1のアジトへとたどり着く。

K1はスペースシャトルにK爆弾を積んだミサイルをぶつけ、この世から数字の概念をなくそうとしていた(言っている意味がわかりませんが、そういうストーリーなんです。仕方ない)。ロスコーは得意の腹話術でミサイルのタイミングをずらし、世界を救う。そして、おなじみの大立ち回りを経て、K1一味は逮捕されるのであった。

【感想】

おなじみ、テレンス・ヒル&バッド・スペンサーのコメディ・アクション。ストーリーは007シリーズのパロディで、Qのような秘密兵器開発者や、吹き付けるだけで女性がメロメロになるスプレー、縦に引っ張ると絶対に千切れないトイレットペーパー、防弾で自爆装置の付いた車など、それっぽいガジェットもちょこちょこ登場してなかなか愉快。

日本で紹介されているヒル&スペンサーの現代コメディ・アクションは9作品あるのですが、そのうち3本が本作の監督であるエンツォ・バルボーニのもの。元々彼らのコメディ・アクション路線の原点とも言うべき『風来坊/花と夕日とライフルと…』(1970)の監督だったということもあり、彼の監督した3本は日本で紹介されている2人のコメディ・アクションの中でも面白い部類と言えます(残り2作品は『笑う大捜査線』(1976)と『笑激のダブル・トラブル』(1985))。

次々に訪れるピンチをヒルの口八丁手八丁ぶりとスペンサーのブルドーザーのようなパワーでしのいで行くのを見ていると、幸せな気分になる映画です。ピンチと言っても、そこはいつものヒル&スペンサー映画。まったく手に汗握るハラハラ、みたいなのはないんですが。

Go for It (1983) on IMDb

エンツォ・バルボーニ(1985)『笑激のダブル・トラブル』

Non c'è due senza quattro
製作国:イタリア
上映時間:107分
監督:エンツォ・バルボーニ(E・B・クラッチャー)
出演:テレンス・ヒル/バッド・スペンサー/エイプリル・クロート/ネッロ・パザフィーニ

先日ご紹介した『笑う大捜査線』(1976)同様、エンツォ・バルボーニ監督がお馴染みテレンス・ヒルとバッド・スペンサーのコンビを主演に据えて制作したコメディ・アクション映画。バルボーニ監督の手になるヒル&スペンサー映画は本作が最終作となります。

刑務所上がりのサックス奏者ワンダー(バッド・スペンサー)と小型機のスタント・パイロットのバンス(テレンス・ヒル)は、エージェントを通してブラジルのリオ・デ・ジャネイロの億万長者、バスティアノ(ヒル二役)とアントニオ(スペンサー二役)に150万ドルで雇われます。

バスティアノとアントニオはある大口の契約を目前にしていたのですが、それに絡んで何者かに命を狙われており、契約が無事に終わるまでの7日間、瓜二つの容貌であるバンスとワンダーに彼らの身代わりを務めてほしい、というのが彼らの要望でした。

150万ドルという大金に釣られ、二つ返事で承諾したバンスとワンダー。リオの空港に降り立った二人でしたが、その夜、さっそく訪れたバーで暗殺者のタンゴ(ネッロ・パザフィーニ)を相手に大立ち回りを演じてしまいます。そのニュースを新聞で知って頭を抱えるバスティアノとアントニオ。そんなことは知らないバンスとワンダーは、さらにやりたい放題を繰り返すのでしたが……というお話。

ヒルとスペンサーのアクションや、バルボーニ監督のツボを押さえた演出が相変わらず楽しいコメディ・アクション映画。日本で紹介されている「笑激シリーズ」は、大まかに分けて本作のようなバルボーニ監督の作品と、『笑激のギャンブルマン』(1978)などのセルジオ・コルブッチとブルーノ・コルブッチの兄弟による作品があるのですが、日本人のコメディ感覚からいうと、バルボーニの作品のほうが合っている気がします。

本作は、舞台は普段のアメリカではなくブラジルのリオ、音楽担当が普段のグイド&マウリツィオ・デ・アンジェリスではなくフランコ・ミカリッツィと、他の「笑激シリーズ」とは少々違う特徴があるのですが、ノリはおおよそ普段どおり。

クライマックスのテレンス・ヒル2人とバッド・スペンサー2人による、ボッシュ隊長と戦争の犬たち、という不思議な名前の集団相手の大立ち回りは、ヒル&スペンサー成分がいつもの2倍で面白さも2倍です。しかし、たまに彼ら4人が同じ画面に登場しているんですが、あれはどうやって撮っているのだろう……?

多くのマカロニウエスタンにも出演していたネッロ・パザフィーニの活躍(と言っても、相変わらずの敵役ですが)が見られるのも、マカロニウエスタンファンには嬉しいところですね。

エンツォ・バルボーニ(1976) 『笑う大捜査線』

I due superpiedi quasi piatti
製作国:イタリア
上映時間:92分
監督:E・B・クラッチャー
出演:テレンス・ヒル/バッド・スペンサー/ラウラ・ジェムサー/デヴィッド・ハドルストン

(それまでにもヒルとスペンサーが競演した映画はありましたが、)『風来坊/花と夕日とライフルと…』(1970)の成功によってヒル&スペンサーものというジャンルと言ってもよい映画群を生み出したエンツォ・バルボーニが、二人を主演に監督した現代コメディ・アクション。日本だと「笑激シリーズ」として知られている作品群でもあります。

 成り行きで警官を装うハメになってしまった二人の男が、目茶苦茶な方法で犯罪組織を壊滅させる。傑作西部劇コメディ「風来坊/花と夕日とライフルと…」のT・ヒル、B・スペンサーのコンビが、舞台を現代に移して大活躍。基本プロットに観るべきものはないが、二人の息の合った演技だけで十分楽しめる。伊オリジナル版は115分。

Allcinemaでは警官を装うハメになってしまったとありますが、職にあぶれたマット(テレンス・ヒル)とウォルシュ(バッド・スペンサー)の二人はスーパーの事務所に強盗に入ろうとしますが、あろうことか間違って警察の総務事務所に押し入ってしまい、それを誤摩化すために警官採用試験を受けることになってしまい、合格してしまって正規の警察官になってしまう、というストーリー。

悪いことをしようとするのですが、生来の人の良さが出てしまい、結局良いことをしてしまう、というプロットは『風来坊/花と夕日とライフルと…』や、続編である『風来坊 II/ザ・アウトロー』(1971)と同様であり、二人のキャラクターもこれらの作品と似たような性格になっています。

基本的にはお馴染みのドタバタ・アクション・コメディですが、細かなギャグや、ボウリング場やバーでの小道具を使ったアクションシーンなど、割と丁寧な作りで、見ていて愉快に楽しめます。『マイアミ・スーパーコップ』(1985)でも劇中に登場したオレンジボウルでのならず者との乱闘シーンは、ラグビーを模したアクションになっており、同じようなシーンが『風来坊 II/ザ・アウトロー』にもありましたが、バルボーニ監督はラグビー好きなんですかね。

マットとウォルシュが追うことになる麻薬事件の鍵を握る中国人の男の姪役で『愛のエマニエル』(1975)などで知られるインドネシア人女優ラウラ・ジェムサーが出ているのも見どころのひとつと言えばひとつでしょうか。ただし、珍しくお色気シーンはないので、お子様にも安心して見せられる作品です。

ところで、ラウラ・ジェムサー演じるスージー・リーのお父さん(中国人という設定)が劇中で話している言語が明らかに中国語(北京語)でも広東語でもないんですが、何語なんですかね。ベトナム語?

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