Un genio, due compari, un pollo
製作国: イタリア/フランス/西ドイツ
監督: ダミアーノ・ダミアーニ
出演: テレンス・ヒル/ロベール・シャルルボア/ミュウ=ミュウ/パトリック・マッグーハン
【あらすじ】
白人によるインディアンの迫害が続いていた西部開拓時代、ジョー・サンクス(テレンス・ヒル)という凄腕だが怠け者のガンマンがトゥーカムケアリの町にやって来る。町の顔役であるドク・フォスター(クラウス・キンスキー)をからかって小金をせしめていた彼だったが、アメリカ軍のペンブロック大佐(ジャン・マルタン)がクリストバル砦に向かっているという話を聞き、儲け話を思い付く。
旧知の相棒ビル(ロベール・シャルルボア)とルーシー(ミュウ=ミュウ)と再開したジョーは、ビルを大佐に変装させてクリストバル砦に送り込む。狙いは砦にある30万ドル。しかし、カボット少佐(パトリック・マッグーハン)はすぐにビルの正体に気づく。牢屋に入れられるビルとルーシー。砦に忍び込んだジョーはカボットと面会し、訳の分からないことを言って捕らえられるが、その際、わざと椅子に金粉をつけておくのだった。その後ジョーは砦の牢から脱出する。
金粉に気づいたカボットは、山に金鉱があると思い、インディアンに対し、豊かな狩場と金鉱のある荒れ野を交換することを提案する。交換は成立するが、そこにあるのは金鉱ではなく黄鉄鉱だと教えられたカボットは、騙されていたことに気づく。
依然30万ドルを狙っているジョーの裏をかこうと、ジョーに騙されたと怒っているビルを巻き込み、カボットは偽の紙幣と本物の紙幣を入れ替え、護送中にジョーに襲撃させる。しかし、ビルはその隙をついて30万ドルを持ち逃げする。それに気づいて追いかけるジョー。彼らは30万ドルの入った鞄を奪い合ううち、発破中の岩山に入り込んでしまう。爆発によって、彼ら二人もろとも30万ドルは塵となったのだった……と思いきや、実は発破すらジョーの仕込んでいた仕掛けだった。30万ドルを手にしたジョーは、それをインディアンの酋長に渡し、アメリカと戦うための資金にするのだった。
【感想】
この映画、明らかにタイトルで損しているところありますよね。普通のマカロニウエスタンとか、風来坊系統のタイトルだったら、ああ、テレンス・ヒル主演の後期コメディ・マカロニウエスタンの一作か。でもなんでモニュメント・バレーで撮影なんて豪華なことを……くらいの感じなんですが、『ミスター・ノーボディ』(1973)の続編か何かだと思って、期待して見るとハードルが上がっている分残念な気持ちに。
本作のオープニングシーンはセルジオ・レオーネが演出していることが知られていますが、明らかに他の部分とテイストが違うのが面白い。もちろん、ほかのパートが面白くないということではないのですが、カラーがだいぶ異なっています。そして、このオープニングはあまりストーリーとは直接的な関係はなさそうな感じ。
ストーリーは筋金入りの左派であるダミアーノ・ダミアーニらしい骨格があると言えばあるのですが、彼のスタイルとこういったタイプのコメディはしっくり来ているとは言いづらく、『群盗荒野を裂く』(1966)ほどの冴えは感じられません。
例によってクラウス・キンスキーはなんか一人でキンスキーっぽさというか異彩を放っているのですが、序盤に顔見せで登場して以降、一切登場しません。おそらくアメリカロケには同行していないと思われます。