Les pétroleuses
製作国:フランス/イタリア/スペイン
上映時間:95分
監督:クリスチャン=ジャック
出演:ブリジット・バルドー/クラウディア・カルディナーレ/マイケル・J・ポラード

ブリジット・バルドーとクラウディア・カルディナーレの共演が見どころのユーロ・ウエスタン。一応イタリアの資本も入っているので広い意味ではマカロニウエスタンと言えるのですが、これをマカロニウエスタンに含めるかどうかは難しいところです。監督のクリスチャン=ジャックはかなり多作の映画監督であり、本作以外にも多くの作品が日本で紹介されています。

 五人姉妹の列車強盗団が、とある牧場の契約書を手に入れた。一方、四人の弟達を持つ女が、その牧場のそばにある油田の地図を手に入れる。彼らは牧場をめぐって、激しく争うが……。19世紀末のニューメキシコを舞台に展開する、“BB”と“CC”の顔合わせも楽しい、軽快なヨーロッパ製ウェスタン・コメディ。

石油が出てくるマカロニウエスタンを含めたユーロウエスタンは意外と少なく、本作以外にぱっと思いつくのはクライマックスで石油が噴き出した『I bandoleros della dodicesima ora』(1972)くらい。まぁ、他にもあるとは思うんですが。

ほとんどのユーロウエスタンでは、当然ながらイギリス映画では英語、フランス映画ではフランス語、イタリア映画ではイタリア語、と登場人物は当然のように自国の言語でしゃべっているのですが、どうしてアメリカにいるのにその言語を話しているのか、という説明は当然のようにありません(まぁ、イギリスはいいんですが)。が、本作では舞台となるブージヴァルの町がフランスからの移民によって開拓された、という説明があり、フランス語は実際にそこで話されている言語という設定なのが面白い。マイケル・J・ポラード演じるモーガン保安官は当初フランス語が話せず、マリア(クラウディア・カルディナーレ)からもそれをからかわれるのですが、その後がんばって勉強して、最後のほうにはかなり流暢なフランス語をしゃべれるようになったりしています。

牧場を巡る争いを背景に、バルドーとカルディナーレの演技合戦を楽しむのがメインの割と気軽な映画です。バルドーは『ビバ!マリア』(1965)ではジャンヌ・モローと共演して西部劇に出演しており、その際は6歳年長のモローと比べて小娘感のある役どころでしたが、今回は4歳年下のカルディナーレとの共演ということもあり、堂々とした西部の女ぶりを見せています。『ビバ!マリア』からのバルドーのキャラクターの変遷を比べてみるのも面白いです。

それにしても、『ビバ!マリア』といい、本作といい、また、言いくわえるならば『エロチカ・ウェスタン/色情狂の館』(1975)もそうなんですが、フランス産の西部劇って、制作数に比して、何だか女性が主役のものが多い気がします。『レッド・サン』(1971)みたいな作品もあるんですけれど。当時のフランスの制作者は、どちらかというと、西部劇に関してはパロディ的な捉え方をしていたんですかね。