今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

D:Charles_Chaplin

チャールズ・チャップリン(1916)『チャップリンの番頭』

The Pawnshop
製作国:アメリカ
上映時間:27分
監督:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリン/ジョン・ランド/ヘンリー・バーグマン/エドナ・パーヴィアンス

チャップリンの初期短編喜劇の1作。ヒロインはここのところお馴染みの感のあるエドナ・パーヴィアンス。エリック・キャンベルはやはり後半に詐欺師(というより強盗)として悪役での登場。

質屋で働いているチャーリー。遅刻の常習者で、他の店員や客と面倒を起こしてばかりの彼は、店の鼻つまみ者。しかし店主の娘に気に入られ、何とかクビをつないでいた。結婚指輪を質に入れるべきか迷い、哀れな身の上話を披露する老人などユニークな客の多い質屋だが、ある日紳士を装った悪党が来店、宝石を出せと迫る…。小道具を生かしたジョークが満載であり、質屋というシチュエーションをうまく使っている。批評的に大成功というわけではないものの、封切り当初から好評を博した秀作。

チャップリンと彼の先輩従業員であるジョン・ランド(割と重要な登場人物なのですが、なぜかクレジットされていない)とのどたばた喜劇、店主(ヘンリー・バーグマン)の娘(パーヴィアンス)への恋の鞘当て、結婚指輪を質に入れようとする老人、時計を質に入れに来た男とチャップリンの遣り取り、紳士強盗、という大きく分けて5つほどの小喜劇の連なりで本作は構成されています。

一つひとつの小ネタがなかなか面白く、チャップリンのスラップスティック・コメディアンとしての魅力がいかんなく発揮されていると言えます。序盤のシーンは脚立を使ったアクションのハシリなんじゃないでしょうか。決して好人物ではない彼の役どころもなかなか愉快。

机に置いてある時計の部品が勝手に動き出すシーンはどうやって撮ったんだろう。やっぱり机の下から磁石で動かしたりしているんだろうか……

チャールズ・チャップリン(1916)『チャップリンの放浪者』

The Vagabond
製作国:アメリカ
上映時間:20分
監督:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャッップリン/エドナ・パーヴィアンス/エリック・キャンベル

昨日ご紹介した『チャップリンの舞台裏』(1916)と近い時期に作られた短編映画。『チャップリンの舞台裏』同様エドナ・パーヴィアンスがヒロインを演じ、エリック・キャンベルがいわゆる敵役を演じています。

酒場をクビになったバイオリン弾きのチャーリー。彼は旅先で、貧しい家で酷使されていたエドナを救い出した。そして彼女に淡い恋心を抱く。そこに画家が現れ、エドナをモデルに描いた絵が街で評判となり、彼女が貴婦人の娘であることが判明する。母親と画家はエドナを迎えにやって来るのだが…。さて、すべてを見守るチャーリーの恋の行方は? 初期チャップリン映画の中ではドラマ性が高く、1920年代の「キッド」や「サーカス」を彷彿とさせる作品。

お金持ちの子どもながら、何らかの事情(この辺りの経緯は映画では描かれていません)でジプシーの家で酷使されていたヒロインを、同じく貧しい人物であるチャップリンに救い出され、その後ひょんなところからヒロインは母親の元に帰り、チャップリンはまたひとり孤独に……と見せかけておいてのハッピーエンド。およそ10年後、D・W・グリフィス監督によって作られた『曲馬団のサリー』(1925)の筋書きと非常に良く似ています(本作は男女愛、『曲馬団のサリー』は父性愛という違いはありますが)。

allcinemaの解説にもある通り、初期のチャップリンの作品群の中ではスラップスティック・コメディとしての場面は少なめで、メロドラマ的要素の強い作品。『曲馬団のサリー』は90分の長編だったのに対し、本作は20分ほどの短編ということもあり、非常に物語がテンポよく進んでゆく、という印象。

チャールズ・チャップリン(1916)『チャップリンの舞台裏』

Behind the Screen
製作国:アメリカ
上映時間:20分
監督:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリン/エリック・キャンベル/エドナ・パーヴィアンス

チャールズ・チャップリン初期のスラップスティック・コメディの短編。ノンクレジットですが、監督もチャップリンが務めている模様。共演のエリック・キャンベルもエドナ・パーヴィアンスもこのころのチャップリンの短編喜劇によく出演していた俳優です。

 1916年に製作されたチャップリン監督・脚本・主演によるドタバタ・コメディ映画。本作はアメリカ映画史上、初めて同性愛が描かれた作品としても知られている。また、それまでのチャップリン作品では本名で主演してきたチャップリンだが、本作ではキャラクター名で出演している。映画の道具方として働くデービット(チャップリン)は道具監督のゴライアにこき使われていた。そこに仕事を探している女が現れる。女は男装して道具方として働き始めるが、女性であるのがデービットにばれて執拗にキスされてしまう。その現場をゴライアに見つかってしまい…。

allcinemaの解説によると、アメリカ映画史上、初めて同性愛が描かれた作品とありますが、男性であるデヴィッド(チャップリン)と男装の女性であるパーヴィアンスの恋愛を同性愛と言うのは何か違うような……

ストーリーはあってないようなもので、小規模な映画撮影所を舞台として、小道具係のゴライア(キャンベル)と、彼の助手のデヴィッドのやり合いを中心として、それに巻き込まれる監督や他の役者たちのてんやわんやが描かれます。そして最後は爆発オチ。

コメディ映画監督がパイ投げのシーンを撮影しようとして、パイの投げ合いの乱戦状態になってしまうシーンなど、今となってはお約束ながら非常に楽しいシーンが多いです。いわゆる“天丼”的な手法が多い感じ。

チャールズ・チャップリン(1936)『モダン・タイムス』

Modern Times
製作国:アメリカ
上映時間:87分
監督:チャールズ・チャップリン
出演:チャールズ・チャップリン/ポーレット・ゴダード/スタンリー・サンドフォード

本作は、言わずと知れたチャップリンの最盛期の代表的な長編作品のひとつ。本作まではサイレントだと思い込んでいたのですが、チャップリンはほとんど喋らないものの、映画としてはトーキーに分類される作品になるんでしょうか。パートトーキーというか。

 文明という名の機械化の波があれよあれよという間に押し寄せてきた30年代。工場で働くチャーリーは、スパナを両手に次々と送られてくるベルトコンベアーの部品にネジを締めていた。ところが絶え間なく運ばれてくる部品を見ている内に、段々彼の頭がおかしくなっていった……。彼が機械文明に対して痛烈な諷刺を込めて描いた傑作。驚異的に進む機械化の中で、一個の歯車として駆けずり回る労働者と、それを私設テレビで監視する資本家との構図によって、この後訪れる人間喪失の時代を30年も前に先取りしていたという点で、彼の社会に対する観察眼の鋭さ、その才能の凄さには改めて感心させられてしまう。またこの作品が製作された38年と言えば、世界のほとんどがトーキー化していたが、彼はそんな中でもキャバレーのシーンで“ティティナ”を歌う意外一言もセリフを喋らず、かたくなに動きと映像だけでこのテーマを訴えた。トレード・マークでもある、山高帽、ドタ靴、ステッキというスタイルが最後となった作品でもある。

映画冒頭で「本作はオートメーション化する社会に反抗して……」というような字幕が出るのですが、労働者を搾取する資本家に対する抗議を主題とした作品なのかと思って見ていると、必ずしもそうではなく、後半では児童保護局(正式名称は分からないですが)の人々が悪役になっていたりと、少々テーマに揺らぎが見られます。そう言った意味では資本家に対する労働者の反旗、というテーマをストレートに扱っているエイゼンシュテインの『ストライキ』(1925)のほうが見応えがある面はあります。もしかするとシステム的な「機械化」ではなく、それが象徴するところの柔軟性のない杓子定規な構造に対する批判、という観点から見るとテーマに一貫性が見られるような気もしますが。

一方で、本作はチャールズ・チャップリンが得意とするスラップスティック・コメディの面白さは遺憾なく発揮されています。ぼく個人の意見としては(一般の評価と少々異なり、)チャップリンの長編映画は少々テーマ性がストレートな割に空回りしてしまっている印象があり、どちらかというと彼の身体性の面白さに重点が置かれた初期の短編映画のほうが面白いのではないかと感じています。

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