今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

D:Akira_Kurosawa

黒澤明(1954)『七人の侍』

製作国:日本
上映時間:207分
監督:黒澤明
出演:志村喬/三船敏郎/木村功/稲葉義男/宮口精二

言わずと知れた黒澤明監督の比較的初期の代表作の一本。今までこのブログでは彼の作品を『用心棒』(1961)『椿三十郎』(1962)、『天国と地獄』(1963)、『赤ひげ』(1965)と4本紹介してきましたが、本作はこれらの作品よりも10年ほど以前の作品になります。

 戦国時代の貧しい農村を舞台に、野盗と化した野武士に立ち向かうべく農民に雇われた侍たちの闘いを描いた作品。言わずと知れた黒澤明監督による日本映画を代表する傑作のひとつ。麦の刈入れが終わる頃。とある農村では野武士たちの襲来を前に恐怖におののいていた。百姓だけで闘っても勝ち目はないが、麦を盗られれば飢え死にしてしまう。百姓たちは野盗から村を守るため侍を雇うことを決断する。やがて、百姓たちは食べるのもままならない浪人たち7人を見つけ出し、彼らとともに野武士に対抗すべく立ち上がる……。

個性が違い、アクの強いプロが集合し、弱い者を助けるために闘う、というひとつの映画のスタンダードとも言える作品の先駆けの一本。おそらくそういった筋書きの映画は本作以前にもあると思うのですが、本作は『荒野の七人』(1960)を初めとする多くの作品に影響を与えており、そういった意味でも映画史に与えた影響の大きな作品だと言えるでしょう。

クライマックスの野臥せりと農民たちの合戦シーンの演出はかなりの迫力で素晴らしいの一言なのですが、それ以前のシーンも笑いあり、活劇ありで緩急を押さえた演出で、3時間を超える長編ながら中だるみというのがまったくないのが凄い。演出ももちろんですが、志村喬、三船敏郎といった演技派スターを中心に、加東大介、千秋実など、芸達者が脇をかためているのも見どころの一つでしょう。

以前見たときも、宮口精二演じる狂気をはらんだ剣の達人である久蔵に魅力を感じるとともに、彼を突き動かしている動機が分かるようで分からなかったのですが、今回もなかなか難しい役どころであると感じました。自分の腕をひたすら試し、高める、ということのみに執着していたということなのでしょうかね……

黒澤明(1965)『赤ひげ』

製作国:日本
上映時間:185分
監督:黒澤明
出演:三船敏郎/加山雄三/二木てるみ/土屋嘉男

黒澤明監督が『天国と地獄』(1963)に続いてメガホンを取ったのが、山本周五郎の小説を原作とした本作でした。クレジット上は三船敏郎がトップに来ていますが、物語的な主人公はどちらかというと加山雄三演じる保本に思われます。

 山本周五郎原作の『赤ひげ診療譚』を基に、巨匠・黒澤明監督が三船敏郎、加山雄三主演で映画化したヒューマニズム溢れる人情ドラマ。江戸時代の小石川養生所を舞台に、そこを訪れる庶民の人生模様と通称赤ひげと呼ばれる所長と青年医師の心の交流を描く。長崎で和蘭陀医学を学んだ青年・保本登は、医師見習いとして小石川養生所に住み込むことになる。養生所の貧乏くささとひげを生やし無骨な所長・赤ひげに好感を持てない保本は養生所の禁を犯して破門されることさえ望んでいた。しかし、赤ひげの診断と医療技術の確かさを知り、また彼を頼る貧乏な人々の姿に次第に心を動かされていくのだった……。

上映時間3時間越えという大長編ながら、泣かせるところは泣かせ、笑わせるところは笑わせる。さらにしっかりとしたメッセージ性もあるという、娯楽映画の見本のような映画です。

前半は小石川療養所に入所する3人の患者のエピソードがオムニバス的に描かれ、後半は、保本と赤ひげ(三船敏郎)が岡場所から連れ帰った少女・おとよ(二木てるみ)と保本の交流を中心としたエピソードが綴られます。

二木てるみは当時天才子役と言われた女優さんですが、やはり上手です。一方の加山雄三は、決して器用な俳優ではないと思いますが、実直で向こう見ずな保本のキャラクターとは不思議と合っており、黒澤監督のキャスティングの妙には唸らされます。大工の佐八を演じた山崎努は、黒澤監督の前作『天国と地獄』では犯人の青年を演じていましたが、本作ではまったく違うキャラクターを演じています。

上映時間が長い映画は気軽に何度も見られませんが、本作はそのうちまた見たいですね。

黒澤明(1961)『用心棒』

製作国:日本
上映時間:110分
監督:黒澤明
出演:三船敏郎/仲代達矢/加東大介/河津清三郎/山田五十鈴

言わずと知れた黒澤明監督の代表作のひとつ。本作の主人公である桑畑三十郎は、黒澤監督のこの次の作品である『椿三十郎』(1962)でも今度は椿三十郎として再登場することになります。

 やくざと元締めが対立するさびれた宿場町。そこへ一人の浪人者がやってくる。立ち寄った居酒屋のあるじに、早くこの町を出ていった方がいいと言われるが、その男は自分を用心棒として売り込み始める。やがて男をめぐって、二つの勢力は対立を深めていく……。ハメットの『血の収穫』を大胆に翻案、時代劇に西部劇の要素を取り込んだ娯楽活劇。後にマカロニウェスタン「荒野の用心棒」としてパクられた逸話はあまりにも有名である。桑畑三十郎が名前を変えて活躍する姉妹篇「椿三十郎」も製作されている。

10年ぶりくらいにきちんと観たのですが、やっぱり面白いですね。『椿三十郎』のときにも書いたのですが、やはり続編である『椿三十郎』のほうがコミカルな色合いが強いですが、見返してみると本作もなかなかコミカルな部分も散見されます。こういうコミカルな演技も不自然ではなくこなせるのが、三船敏郎という役者の魅力かもしれません。

本作がマカロニウエスタンの代表作のひとつである『荒野の用心棒』(1964)の元ネタとなったのは有名な話ですが、見比べてみると、三船とイーストウッドという役者の特徴の違いか、『荒野の用心棒』は本作のプロットや、演出の活劇として面白い部分をうまく抽出して使っているのが分かります。一方で、コミカルだったり、少々ウェットな部分はうまく除外しており、どちらがいいとは言えませんが、それぞれの特徴を持った傑作に仕上げています。

また、三池崇史監督の『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(2007)にも本作から筋を頂戴した形跡が見られますが、こっちは『荒野の用心棒』ほどうまく料理できてはいない、という印象がありますね。

黒澤明(1962)『椿三十郎』

製作国:日本
上映時間:
監督:黒澤明
出演:三船敏郎/仲代達矢/加山雄三/小林桂樹

少し前に黒澤明監督の『天国と地獄』(1963)をご紹介しましたが、今回はその前に黒澤明監督が撮った作品にして、事実上『用心棒』(1961)の続編に当たる本作をご紹介します。『天国と地獄』では協力関係にあった三船と仲代が、本作では方や主人公、方や敵役という配役で出演しています。

 凄腕の浪人が、上役の不正を暴こうと立ち上がった9人の若侍に助太刀する痛快アクション時代劇。三船扮する三十郎は前作の「用心棒」から通ずるキャラクターながらこちらのほうがより人間味が増し、ユーモアと知略が強調されている。薄暗い社殿で密議をこらしていた9人の若侍。上役を告発するも逆に窮地に陥っていた。それを図らずも聞いていた浪人は、権謀に疎い彼らに同情し一肌脱ぐことに……。仲代達矢扮する敵方の用心棒との壮絶な一騎打ちのシーンは圧巻。

続編になると第1作よりコメディ色が増す、というのは、本作に限らず、割と万国共通の傾向なのかもしれません。ぼくが前回『用心棒』を見たのはかなり昔になるので、あまり細かいところまでは記憶していないのですが(そのうち見直します)、本作は『用心棒』に比べると、笑いとアクションの比重が笑いに寄っており、割合的に半々になっている印象があります。

若侍もリーダー格の井坂伊織(加山雄三)と何かと三十郎(三船敏郎)に突っかかる保川邦衛(田中邦衛)以外はあまり細かな描き分けはされていない印象がありますが、彼らが集団で右往左往する眺めはコミカルで非常に面白い。また、城代目付夫人を演じる入江たか子や、敵方の見張り侍を演じた小林桂樹といった、コメディ色の強い俳優陣も物語となかなか調和して可笑しさを醸し出しています。やっぱり小林桂樹いいなぁ。

それにしても、馬を脱走させてその隙に逃げるシーンは『続・荒野の用心棒』(1966)にもその影響が見られますし、三十郎の名乗りの場面なんかは完全に『南から来た用心棒』(1966)のジュリアーノ・ジェンマのアリゾナ・コルトの名乗りに引用されており、今更ながら黒澤映画がマカロニウエスタンに与えた影響の大きさに思いを馳せました。

黒澤明(1963)『天国と地獄』

製作国:日本
上映時間:143分
監督:黒澤明
出演:三船敏郎/仲代達矢/石山健二郎/山崎努

黒澤明監督が『椿三十郎』(1962)に引き続いて黒澤プロダクションで制作したのが現代劇である本作でした。本作はエド・マクベインの「キングの身代金」を原作としています。主演は『椿三十郎』に引き続き三船敏郎と仲代達矢。

 エド・マクベインの原作を巨匠・黒澤明監督が映画化した傑作サスペンス。優秀な知能犯に刑事たちが挑む。ナショナル・シューズの権藤専務は、自分の息子と間違えられて運転手の息子が誘拐され、身代金3千万円を要求される。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して3千万円を用意する。無事子どもは取り戻したが、犯人は巧みに金を奪い逃走してしまい、権藤自身は会社を追われてしまう……。巧妙なプロットもさることながら、登場人物たちの心理描写が秀逸で人間ドラマとしての完成度も非常に高い。

エド・マクベインの小説では室内劇として描かれている印象の強い作品ですが、それを映画化した本作は、前半部こそ室内劇の印象が強いですが、後半は戸倉警部(仲代達矢)を中心にした警察が町へ出て犯人を追うシーンが盛り込まれています。そのため、2時間半と長い上映時間ながら、さすが黒澤明というべきか、無駄なシーンがまったくなく、2時間半の間まったくだれさせません。

三船敏郎をはじめ、仲代達矢、山崎努などの演技、演出はさすがという他はなく、普段まぁ、B級的な映画ばかり見ている中でこういう映画を見ると、正直目が洗われる思いではあります。まぁ、結局どっちも好きなんですが。

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