製作国:日本
上映時間:207分
監督:黒澤明
出演:志村喬/三船敏郎/木村功/稲葉義男/宮口精二
言わずと知れた黒澤明監督の比較的初期の代表作の一本。今までこのブログでは彼の作品を『用心棒』(1961)『椿三十郎』(1962)、『天国と地獄』(1963)、『赤ひげ』(1965)と4本紹介してきましたが、本作はこれらの作品よりも10年ほど以前の作品になります。
戦国時代の貧しい農村を舞台に、野盗と化した野武士に立ち向かうべく農民に雇われた侍たちの闘いを描いた作品。言わずと知れた黒澤明監督による日本映画を代表する傑作のひとつ。麦の刈入れが終わる頃。とある農村では野武士たちの襲来を前に恐怖におののいていた。百姓だけで闘っても勝ち目はないが、麦を盗られれば飢え死にしてしまう。百姓たちは野盗から村を守るため侍を雇うことを決断する。やがて、百姓たちは食べるのもままならない浪人たち7人を見つけ出し、彼らとともに野武士に対抗すべく立ち上がる……。
個性が違い、アクの強いプロが集合し、弱い者を助けるために闘う、というひとつの映画のスタンダードとも言える作品の先駆けの一本。おそらくそういった筋書きの映画は本作以前にもあると思うのですが、本作は『荒野の七人』(1960)を初めとする多くの作品に影響を与えており、そういった意味でも映画史に与えた影響の大きな作品だと言えるでしょう。
クライマックスの野臥せりと農民たちの合戦シーンの演出はかなりの迫力で素晴らしいの一言なのですが、それ以前のシーンも笑いあり、活劇ありで緩急を押さえた演出で、3時間を超える長編ながら中だるみというのがまったくないのが凄い。演出ももちろんですが、志村喬、三船敏郎といった演技派スターを中心に、加東大介、千秋実など、芸達者が脇をかためているのも見どころの一つでしょう。
以前見たときも、宮口精二演じる狂気をはらんだ剣の達人である久蔵に魅力を感じるとともに、彼を突き動かしている動機が分かるようで分からなかったのですが、今回もなかなか難しい役どころであると感じました。自分の腕をひたすら試し、高める、ということのみに執着していたということなのでしょうかね……