製作国:イタリア/フランス/西ドイツ
上映時間:90分
監督:ジュリオ・ペトローニ
出演:トーマス・ミリアン/グレッグ・パーマー/ジャネット・アグレン/モーリス・ポリ
日本では『新・夕陽のガンマン/復讐の旅』(1967)や『復讐無頼・狼たちの荒野』(1968)などで知られるジュリオ・ペトローニによるコメディ・マカロニウエスタン。主演は『復讐無頼・狼たちの荒野』でもペトローニと組んだトーマス・ミリアン。『ガンマン大連合』(1970)などで知られるマカロニウエスタンを代表するスターの一人であり、その後も活躍を続ける俳優です。
まるでチャップリンのような出で立ちで馬車に乗る男・プロビデンツァ(トーマス・ミリアン)。彼の乗る馬車には縄が繋がれ、ハリケーン・キッド(グレッグ・パーマー)なる髭もじゃの大男が引っ張られています。町に着いたプロビデンツァはキッドをキーンズバーグ保安官(モーリス・ポリ)に引き渡し、賞金を貰います。町を出ていくプロビデンツァ。夜になるとキッドの元に何者かから差し入れが届けられます。彼がワインをボトルごとラッパ飲みしようとすると、その中には鋸が入っていたのでした。脱出するキッド。
一方のプロビデンツァはキッドを待ち構えており、罠にかけて再び囚われの身とします。またもや引っ張られてゆくキッドでしたが、隙をついてプロビデンツァを昏倒させ、金を奪って逃げ出すのでした。逃げ出したキッドは町の酒場に。追いついたプロビデンツァは、馴染みの女ステラ(ジャネット・アグレン)に協力してもらい、キッドをおびき寄せることに成功しますが、その隙にステラに金を持ち逃げされてしまいます。ステラを追う2人の男。難なくステラから金を取り戻した2人でしたが、その金を巡って争っている隙を南軍崩れのジェームズ大佐(ステリオ・カンデッリ)に捕まってしまいます。
ステラの協力で隙をついて逃げ出した2人。ひとまず協力することにして、酒場で食事をすることに。そしてキーンズバーグ保安官に貰った賞金で支払いをしようとしますが、それが何と偽札だったのでした。犯人はキーンズバーグ保安官との目星を付けたプロビデンツァは、偽札作りの工場を探り、折よくやって来た保安官から金を奪います。追ってくる保安官とジェームズ大佐。プロビデンツァとキッドは秘密兵器満載の馬車で逃げ出しますが……というお話。
『風来坊/花と夕日とライフルと…』(1970)以降のコメディ・マカロニウエスタンが流行った時代の作品であり、日本のマカロニウエスタンブームも下火になってきた時期の作品ということもあるためか、本作は日本では公開されておらず、ソフトも発売されていません。しかし、面白くない作品ということはまったくなく、コミカルな脚本と芸達者なトーマス・ミリアンが楽しめる、かなり面白いコメディ西部劇に仕上がっています。
プロビデンツァが埃まみれのはたきを掛けるとキッドがさらに埃だらけになったりとか、キッドに殴られたプロビデンツァが早回しで拳闘の動きをしてからバタンとぶっ倒れたりとか、明らかなチャップリン喜劇のパロディもあり、そういった点も楽しめますが、それ以外にも、彼の乗る秘密兵器いっぱいの馬車とか、ミリアンとパーマーの騙し騙されの掛け合いなど、みどころがなかなかあります。
今回はイタリア版のDVDに収録されていた英語吹替版を観たのですが、これに字幕が付いてくれればさらに細かいところまで楽しめるのになぁ、という点がちょっと心残り。
本作はイタリアでもヒットしたようで、『Ci risiamo, vero Provvidenza?』(1973)という続編が作られています(ただし監督は交代しています)。