The Old Man and the Sea
製作国:ロシア/カナダ/日本
上映時間:23分
監督:アレクサンドル・ペトロフ
出演:三國連太郎/松田洋治
ガラス版の上に油絵具を使い指で描く、というガラスペインティングという独特の手法で制作されたアニメーション映画。日本語版の監督は和田敏克が務めています。監督のアレクサンドル・ペトロフはそれまで何度もアカデミー賞短編アニメ部門にノミネートされていたのですが、本作でついに受賞しました。
アーネスト・ヘミングウェイによる同名小説の映画化作品で、アカデミー賞の「短編アニメーション賞」を受賞。監督はロシアのアニメ作家、アレクサンドル・ペトロフ。29,000枚ものガラス板に絵を描いて重ねた、迫力の映像が繰り広げられる。老人の声を俳優の三國連太郎が演じたことでも話題になった。キューバの漁村に住むひとりの老いた漁師・サンチャゴの悩みは、84日間何も釣れていないことだった。しかし85日目、ついに巨大なカジキが餌にかかる。彼は強大な力を持つ魚と戦いを続けるが…。
ストーリーはアーネスト・ヘミングウェイの「老人と海」を忠実に踏襲しています。ただし、短編映画であるため、老人と鮫の戦いのシーンが短かったり、最後に旅行者が魚の残骸を見て話すシーンがカットされていたりと、割とあっさりした作りになっています。その一方で、アニメーションならではの表現で老人と魚の仲間意識が表現されていたりと、幻想的なシーンが多めになっています。
本作の見どころは何と言ってもその独特な手法による映像の美しさ。ガラス板に油絵具で絵を描く、という手法は西洋絵画にも見られるものですが、それを動かすという労力は想像するだにものすごいもの。それで描かれた海面の表現、海中の表現、そして特に暗闇での光の表現は本当に美しいものでした。