今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

BS

溝口健二(1936)『祇園の姉妹』

製作国:日本
上映時間:69分
監督:溝口健二
出演:山田五十鈴/梅村蓉子/志賀廼家弁慶/深見泰三

溝口健二の9作目の監督作品である本作は、後に野村浩将監督によって木暮実千代、小野道子主演で『祇園の姉妹』(1956)としてリメイクされました。溝口監督といえば説明不要の日本を代表する監督のひとりですが、本作では後年の大女優・山田五十鈴、そして若くして亡くなった梅村蓉子を主演として、祇園に生きる性格の異なる二人の芸妓の姿を描いています。

おもちゃ(山田五十鈴)とその姉・梅吉(梅村蓉子)の二人は京都・祇園の芸者をしています。梅吉は幼い頃からの芸者育ち、一方のおもちゃは女学校を出てから芸妓の世界に入りました。男を立てるという昔ながらの価値観を持つ梅吉、その一方で、芸妓は男に利用されるだけなのだから、こちらもせいぜい利用すべきだという考えをもつおもちゃ。そんなおもちゃは姉が歯がゆくてなりませんでした。

そんな折、梅吉の昔なじみであった呉服屋の主人・古澤(志賀廼家弁慶)が破産し、ふたりのところに転がり込んできます。梅吉は甲斐甲斐しく世話をしますが、おもちゃは面白くありません。金を持っている骨董屋の聚楽堂(大倉文雄)を梅吉に世話をしようと、古澤を追い出してしまいます。

一方でおもちゃは、丸菱屋の番頭・木村(深見泰三)を丸め込み、着物を融通してもらいますが、木村の主人にそれがバレてしまい、木村は丸菱屋を首になってしまい……というお話。

タイプの違う二人の芸妓の姿を通して、芸妓という存在の不条理さを描き出しています。冒頭、古澤の屋敷で品物が競りに掛けられている場面の長回しが非常に印象的。がらんとした広い家屋をまんべんなくカメラが写します。その他にも、祇園の裏通りを狙うショットや、常に何らかの遮蔽物を前に置いてのショットなど、撮影法が工夫されているという印象。

人物造形はおもちゃ、梅吉双方が非常にティピカルであり、物語を展開させるための装置となっている感もありますが、演じている山田五十鈴、梅村蓉子の双方の演技もあり、そこまで気にはなりません。現存するフィルムは69分(もともとの長さは90分以上)ですが、説明不足な印象は受けず、むしろテンポよく話しが進んでゆきます。

クライマックスの病院のシーン、本作のテーマにも関わるシーンだとは思うのですが、ラストの山田五十鈴の台詞は少々くどいかな、という印象もあります。

本作で人の良い番頭(とも言いきれませんが)を演じていた深見泰三は、ぼくが以前紹介した『8時間の恐怖』(1957)では会社社長を演じていました。何となく、『社長三代記』(1958)などの小林桂樹を連想しますね。

ロブ・パールシュタイン(2004)『時間切れ』

OUR TIME IS UP
製作国:アメリカ
上映時間:15分
監督:ロブ・パールシュタイン
出演:ケヴィン・ポラック/ヴィヴィアン・バン/ジェリー・マイナー

本作も『タクシー』と同じくBS-TBSにて「ショートストーリーズ」という番組で紹介されていた作品です。本作は第78回アカデミー賞短編実写部門にノミネートされています(その年の受賞は『Six Shooter』(2004))。

余命6週間と告知された心理療法士のレナード。ショックを受けた彼は、患者に新治療法を取り入れる。その治療法とは…。
2006年度アカデミー賞短編実写部門ノミネート作品。そして、世界中の映画祭でも上映され、数々の賞を受賞している。

穏当ながら面白みのない人物が、衝撃的なことをきっかけに、思い切ったことをはじめ、それが基で幸せな展開になる、というストーリーとしてはアメリカの長編映画でもよくある筋書きです。この映画が短編として素晴らしいのは、主人公の几帳面ぶりと、余命宣告を受けてショックを受けた描写を、短い時間で端的に見せていること。

オープニングの7時きっかりに目覚ましを止め、順番に従ってスーツ、ネクタイ、靴。決まった時間に決まった雑誌を読みながら食事を取る……この描写があとで、目覚ましがなっても止めず、靴も出しっ放し……といった描写につながります。

映画では彼の病名などはまったく明かされず、実は6週間なんだ、という友人の医者からの電話のみ。無駄を省いたテンポのよさです。映画のあと、彼がどういう生き方(とは言えあと5週間程度ですが)をしていくのか、興味深いです。

個人的には始めは無関心だった庭師と親しく言葉を交わすシーン、荒療治を庭師がしげしげと覗くシーン、そしてレナードが患者たちから感謝されるシーンが印象に残りました。

原題の「Our time is up」というのは、多分セラピストが患者の診察時間が終わった際にかける言葉なんでしょうかね。

主演のケヴィン・ポラックは『ユージュアル・サスペクツ』(1995)、『隣のヒットマン』(2000)なんかにも出演している俳優です。

テルモ・エスナル(2007)『タクシー』

TAXI?
製作国:スペイン
上映時間:5分
監督:テルモ・エスナル
出演:ルイス・トサル/Arturo Valls/マルタ・エトゥラ

風邪気味でぼーっとしながらテレビのチャンネルを回していたら、BS-TBSにて「ショートストーリーズ」という番組が流れていました。どうやら世界のショート・ムービーを紹介する番組のようでした。そこで紹介されていたのが、本作『タクシー』と、アメリカの『時間切れ』という作品でした。Allcinema Onlineでは紹介されていませんが、IMDbには紹介されています(IMDb - Taxi?)。

タクシー運転手の出す試練にパスしなければ、目的地にはたどり着けない。Luis Tosar、Arturo Valls、Marta Eturaというスペインで大人気の俳優陣が出演している。

ショートストーリーズの紹介サイトからあらすじを引用しました。タクシーという密室を舞台にした不条理コメディです。男(ルイス・トサル)がタクシーに乗ると、運転手(Arturo Valls)が目的地と共に、「会話はあり? なし?」と問いかけてきます。男が「会話ありで」と答えると、話題は何がいいか、反論はありかなしか、など、事細かに訊いてくる。その一方では男の母親が電話口で何度も薬の飲み方について問いただしてくる……といった構成

皮肉が利いていて面白いストーリーが、お洒落なBGMでくるまれた作品。男を演じたルイス・トサルと、最後に出てくる女性ドライバーを演じたマルタ・エトゥラはIMDbによると恋人どうしだそうです。

アンドレイ・ズビャギンツェフ(2003)『父、帰る』

ВОЗВРАЩЕНИЕ
製作国:ロシア
上映時間:111分
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
出演:ウラジーミル・ガーリン/イワン・ドブロヌラヴォフ/コンスタンチン・ラヴロネンコ

父子の関係を描いた映画というと、ジョゼ・ジョヴァンニ監督の『父よ』(2001)が真っ先に思い浮かびます。本作もそういった類型の作品かと思って見はじめたのですが、どうやらひと味違ったようです。監督のアンドレイ・ズビャギンツェフは日本で紹介された作品は本作のみ。長編監督作としては他に2本存在しているようです。原題のヴァズラシェニエは「帰還」という意味になります。

 2003年のヴェネチア国際映画祭で絶賛され最高賞の金獅子賞と新人監督賞をダブル受賞する快挙を果たしたアンドレイ・ズビャギンツェフ監督による静謐で衝撃的な人間ドラマ。12年ぶりに突然帰郷してきた父親を前に、事情も呑み込めず戸惑うばかりの兄弟の姿を、謎を秘めた緊張感溢れる語り口で綴り、親子の間の絆や葛藤を鮮やかに描き出す。なお、本作撮影終了後、ロケ地だった湖で兄アンドレイ役のウラジーミル・ガーリンが不慮の事故で溺死する不幸な出来事があった。
 ロシアの片田舎。2人の兄弟、アンドレイとイワンは母とつつましくも幸せに暮らしていた。父親は12年前に家を出て行ったきり音信不通。兄弟は写真でしか父の顔を知らなかった。そんなある夏の日、父が突然家に帰ってきた。寡黙な父はこれまでのことを何も語ろうとはせず、母も事情を説明しようとはしない。兄弟の戸惑いをよそに、翌朝父は彼らを小旅行に連れ出す。道中、父は子どもたちに対し高圧的に振る舞う。そんな理不尽な接し方にも、父を慕い続ける兄に対し、弟のほうは徐々に反抗心を募らせていくのだった…。

12年前に出て行ったきりということは、兄のアンドレイ(ウラジーミル・ガーリン)の方は父の記憶が朧気ながらあるのかもしれませんが、弟のイワン(イワン・ドブロヌラヴォフ)には父の記憶はまったくないのでしょう。その辺りも彼らの父へ接っする態度の違いの原因のひとつである気がします。あと、イワンの年齢的な問題もあるのでしょう。子供から青年に脱皮する微妙な年齢。しかし、イワンを演じるイワン・ドブロヌラヴォフが凄い。彼が父(コンスタンチン・ラヴロネンコ)に向ける険しい視線にはぞっとさせられるものすらあります。ポスターやDVDのジャケットにもなっているあの視線です。

映画は非常に寡黙。正直な話、説明不足との印象すら受けます。父はなぜ兄弟を無人島に連れて行ったのか。父が無人島で掘り返したものは何だったのか。そもそも12年間も何をしていたのか……などなど。そして映画は意外な展開を迎え、頑固な父とそれと同じくらい(あるいはそれ以上に)頑固だった子の和解(?)を演出するわけなのですが……。これを和解と呼んでいいのか、非常に悩むところ。少々消化しづらい映画です。

映像は非常に美しい。午前中の抜けるような青空、午後の豪雨、寒々とした防波堤の風景。ローアングルや俯瞰のアングルを多用して非常に美しい映像が展開されます。そういった意味では、台詞よりも映像で語る映画だと言えるでしょう。

斎藤博(1992)『楽しいムーミン一家 ムーミン谷の彗星』

製作国:日本
上映時間:62分
監督:斎藤博
出演(声):高山みなみ/かないみか/子安武人/佐久間レイ

年末にBSで子供向けのアニメ映画がいろいろ放送されているのですが、本作はその中の一本。どうやらAmazonではDVDがプレミア価格になっているようで、見られてラッキーでした。本作は日本でもTVシリーズでお馴染みの『楽しいムーミン一家』の物語の映画化です。

ある日、ムーミン谷に住むムーミン一家の元にジャコウネズミがやって来て、「彗星がきて、この世は滅びる」と言い出す。彗星のことが気になったムーミンは、友だちのスニフ、ミーと共に「おさびし山」の天文台へと向かう。「あと4日で彗星が地球に衝突する」とのニュースを得たムーミンは、道中出会ったスナフキン、フローレンらと共にムーミン谷を目指す。フィンランドの作家、トーベ・ヤンソンの「ムーミン」シリーズをTVアニメ化した『楽しいムーミン一家』の劇場版。同名の原作小説を元に、丁寧にアニメ化している。TV版のレギュラーメンバーであるスナフキン、フローレンと、ムーミンとの初めての出会いも描かれている。

ということでムーミン映画。TVアニメの劇場版であるため、ムーミンたちを演じている声優もTVアニメと同一であり、すんなりと物語に入っていけます。彗星がムーミン谷を襲う、という物語もさることながら、本作はムーミン一家がムーミン谷に越してきた直後のエピソードであるため、ムーミン一行とスナフキン、フローレンなど、TV版レギュラーメンバーとの出会いが描かれるのも見所のひとつ。

いたずらっ子の印象が強いミーが意外としっかりしていたり、ムーミンがフローレンに会う前からフローレンにべた惚れ。会ったあとはまるで女たらしのようになっていたりと、それぞれのキャラクターの意外な(?)一面も見られて、なかなか面白い映画でした。

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