今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

1980s

エンツォ・バルボーニ(1983)『いけ!いけ!スパイ大作戦』

Nati con la camicia
製作国:イタリア/アメリカ
監督:エンツォ・バルボーニ
出演:テレンス・ヒル/バッド・スペンサー/デヴィッド・ハドルストン/リカルド・ピズッツィ

【あらすじ】

ローラースケートとヒッチハイクで旅をする風来坊ロスコー(テレンス・ヒル)は、刑務所から出所してきたばかりのダグ(バッド・スペンサー)とドライブインで出会う。トラックドライバーたちと大立ち回りを演じた彼らだったが、お互いがお互いのトラックだと勘違いした、実際は自分たちが伸したトラックドライバーのトラックに乗って行ってしまったため、武装トラック強盗犯として指名手配されてしまう。ロスコーの腹話術の特技を活かしてパトロール中の警察官の手から逃れた二人は、スタインバーグとメースンという人物になりすまし、飛行機でマイアミへと逃げるのだった。

飛行機が離陸する直前、政府の捜査官が二人を探しにくる。ついに御用かと観念した二人に、男はショルダーケースを渡して去ってゆく。ショルダーケースの中には100万ドルが入っていた。マイアミに着いた2人は空港で待ち構えていたエージェントに連れられてタイガー長官(デヴィッド・ハドルストン)の元へ。二人が成り済ましたスタインバーグとメースンは、政府の秘密エージェントだったのだ。

成り行き上仕方なく、エージェントとしてテキサスの富豪に化け、任務につく二人。そんな二人をK1(バフィ・ディー)を名乗る男の手下が襲う。二人の任務はK1の居所を突き止め、彼の野望を阻止することであった。二人は、あの手この手で二人を狙うK1の腹心スパイダー(リカルド・ピズッツィ)を撃退し、逆に彼を追ってK1のアジトへとたどり着く。

K1はスペースシャトルにK爆弾を積んだミサイルをぶつけ、この世から数字の概念をなくそうとしていた(言っている意味がわかりませんが、そういうストーリーなんです。仕方ない)。ロスコーは得意の腹話術でミサイルのタイミングをずらし、世界を救う。そして、おなじみの大立ち回りを経て、K1一味は逮捕されるのであった。

【感想】

おなじみ、テレンス・ヒル&バッド・スペンサーのコメディ・アクション。ストーリーは007シリーズのパロディで、Qのような秘密兵器開発者や、吹き付けるだけで女性がメロメロになるスプレー、縦に引っ張ると絶対に千切れないトイレットペーパー、防弾で自爆装置の付いた車など、それっぽいガジェットもちょこちょこ登場してなかなか愉快。

日本で紹介されているヒル&スペンサーの現代コメディ・アクションは9作品あるのですが、そのうち3本が本作の監督であるエンツォ・バルボーニのもの。元々彼らのコメディ・アクション路線の原点とも言うべき『風来坊/花と夕日とライフルと…』(1970)の監督だったということもあり、彼の監督した3本は日本で紹介されている2人のコメディ・アクションの中でも面白い部類と言えます(残り2作品は『笑う大捜査線』(1976)と『笑激のダブル・トラブル』(1985))。

次々に訪れるピンチをヒルの口八丁手八丁ぶりとスペンサーのブルドーザーのようなパワーでしのいで行くのを見ていると、幸せな気分になる映画です。ピンチと言っても、そこはいつものヒル&スペンサー映画。まったく手に汗握るハラハラ、みたいなのはないんですが。

Go for It (1983) on IMDb

アントニオ・マルゲリーティ(1985)『ジャングル・レイダース 黄金のレジェンド』

La leggenda del rubino malese
監督:アントニオ・マルゲリーティ(アンソニー・M・ドーソン)
出演:クリストファー・コネリー、マリナ・コスタ、リー・ヴァン・クリーフ、ルチアーノ・ピゴッツィ(アラン・コリンズ)

【あらすじ】

 舞台は第二次大戦少し前のマレーシア。ガイドのハワード(クリストファー・コネリー)、通称キャプテン・ヤンキーは、原住民の仲間と組んで、観光客の金持ちに詐欺まがいの冒険イベントを体験させ、金を稼いでいた。そんな彼の元に旧知のアメリカ政府関係者ウォーレン(リー・ヴァン・クリーフ)から、博物館長のマリア(マリナ・コスタ)が伝説のルビーを探しにやってくるので案内してほしい、というガイドの依頼が入る。渋るハワードだが、ウォーレンの脅迫まがいの依頼にしぶしぶ引き受けることに。

 マリアと同行者のランスキー教授(マイク・モンティ)、それに相棒のフィズ(ルチアーノ・ピゴッツィ)と一緒に島に渡ったハワードは、先住民の仲間たちとともにルビーが隠されているという火山の麓に向かうが、そこに、伝説を信じてルビーを守る狂信者たちや、火山の麓に埋蔵されている石油を抑えることを狙う地元実力者タイガーの邪魔が入る。何とかルビーを手に入れたハワードたちだったが、ランスキー教授が仲間たちを裏切り、ルビーを持ち逃げしてしまう……が、結局彼はすぐにタイガーに殺され、ルビーはタイガーの手に渡る。タイガー一味から逃げるハワードとマリア。火山の噴火にも助けられ、何とか2人は逃げ延び、別行動していたフィズと合流する。

 そして、タイガーの手下のブルドーザーを奪ったハワードは、タイガーが支配する石油プラントに突撃し、それを散々に破壊し、そこに囚われていた村の人々をも救出するのだった。一方、石油プラントから逃げ出したタイガーは、かねてから協力関係にあった密輸業者ダ・シルバのもとを訪れるものの仲間割れし、彼を殺してしまう。そこに追いついてきたハワードと対決し、ハワードはついにタイガーを倒すのだった。

【感想】

 海外版のDVDや日本版のVHSでもリー・ヴァン・クリーフがばーんとジャケットに描かれているし、マルゲリーティ監督作ではクリーフが主演の作品も何本かあるため、本作もクリーフがインディ・ジョーンズばりの活躍をするのかと思いきや、クリーフは特別出演的な立ち位置でほとんど出てきません。インディ・ジョーンズ的立ち位置の主人公を演じているのはクリストファー・コネリー。マカロニウエスタン関係でいうと『ジャンゴ/灼熱の戦場』(1987)では悪役を演じていた方です。

 それこそ『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)ばりの冒険シーンが唐突に始まったかと思ったら、それが全部お芝居だったというのが分かる導入シーンや、街中でさらわれそうになったマリアを、彼女とは気づかず助けるためのカーチェイスシーンなど、前半は意表をつく展開やなかなか見所のあるシーンが連続します。

 ハワード一行が島に渡ってからの後半部分は、まあ、何というか、普通のB級インディ・ジョーンズ フォロワー映画という印象。燃え盛る石油の海の上を、ターザンロープで飛び越えるなど、なかなか魅せるシーンもありますが。

 クライマックスは爆発につぐ爆発です。マルゲリーティ監督お得意のミニチュアワークだと思うのですが、安っぽい感じはせず、なかなか見ごたえのあるシーンに仕上がっていました。

 気が強く、初めは反発しつつもだんだんと惹かれあう、という、いわばお決まりの関係を演じたヒロイン、マリナ・コスタはなかなかチャーミングな女優さんだと思うのですが、IMDbによると本作を含めて2本の作品に出演したのみのようです(ちなみにもう1本はもう1本で、ありがちな核兵器後の世界ものっぽい)。

 La leggenda del rubino malese
(1985) on IMDb

ジュゼッペ・トルナトーレ(1989)『ニュー・シネマ・パラダイス』

Nuovo Cinema Paradiso
製作国:イタリア/フランス
上映時間:124分
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:フィリップ・ノワレ/サルヴァトーレ・カシオ/アントネラ・アッティーリ/ジャック・ペラン

今日は13日の金曜日ということで、『13日の金曜日』(1980)でもご紹介しようかとも思ったのですが、なぜかまったく毛色の違うこの映画を。本作は地震もシチリア出身のジュゼッペ・トルナトーレ監督の手になる2本めの劇場映画で、日本では本作が初めて劇場公開された作品のようです。映写技師のアルフレードを演じたのはフランス出身のフィリップ・ノワレ。ルイ・マルの『地下鉄のザジ』(1960)なんかにも出ているベテラン俳優ですが、やはり日本では本作の役どころが一番有名ですかね。

 シチリアの小さな村にある映画館パラダイス座。そこで青春時代を過ごした映画監督サルヴァトーレが、当時、慕っていた映写技師アルフレードの訃報を聞き、故郷に帰ってくる。そして、少年時代、青年時代の思い出に浸っていたサルヴァトーレが受け取ったアルフレードの形見には、映画への愛とアルフレードの想いがぎっしり詰まっていた……。弱冠29歳のトルナトーレ監督が、映画を愛する全ての人に贈る感動編。劇場とフィルムにまつわるエピソードはどれも楽しく、その中で展開される悲喜こもごもの人生模様。エンニオ・モリコーネの切なくも美しいメロディに包まれて迎える、映画の持つ“力”が具現化されたクライマックスは、涙なくして観られまい。かなり印象を異にする3時間完全オリジナル版もあるが、はっきりいってこちらだけで十二分である。

世には「映画好きなら絶対に見ているだろう」という作品群があると仮定すると、おそらく本作は間違いなくその中に入ってくるであろう作品です。が、個人的な話をすると、そういう映画の中にもたまに未見の作品があり(ヘンな映画はいっぱい見てるのに)、映画好きの人と話をしていると驚かれることがあります。本作もそんな1本でした。なんか、あまりに有名な作品で、ぼく以外の人がいっぱい見てる作品って、今さら見てもなぁ、という感じで後回しになってしまうんですよね…… よく考えると、他のだれが見ていても、ぼくが見てないのでは、ぼくにとっては無意味なのですが。

本作は映画の力の物語であり、映画の進歩の物語であり、シチリアの地方の村の成長(ある面では衰退)の物語であり、主人公の少年の成長の物語であり、青年と壮年男性の友情の物語でもあります。こういった要素が非常に気持ち良く相互に絡み合っており、また、それにエンニオ・モリコーネと息子であるアンドレア・モリコーネのスコアがうまく噛み合って、非常に快い映画体験をさせてくれます。監督であるトルナトーレが故郷に向ける視線も基本的には非常に優しい。

過去の古き良き故郷の情景と、サルヴァトーレ(このタイミングで演じるのはマルコ・レオナルディ)が兵役から戻ってきたときの埃っぽい、薄汚れた街の風景、そして壮年となった彼(このタイミングではジャック・ペラン)が見る現代的な街の風景が、おそらくロケとセットをうまく使用した撮影で非常に説得力を持って描かれているのが印象に残りました。

小沼勝(1986)『いんこう』

製作国:日本
上映時間:72分
監督:小沼勝
出演:麻生かおり/坂元貞美/戸上正彦/渡辺久美子

以前『さすらいの恋人 -眩暈-』(1978)をご紹介したことのある小沼勝監督の作品。本作も『さすらいの恋人 -眩暈-』同様日活(当時はにっかつ)作品であり、日活ロマンポルノに分類される作品なのですが、ビデオ撮影したものをフィルムに転写する手法を使っており、「ロマンX」という路線に分類される作品でもあります(ちなみに、ロマンX第1作は同じく小沼監督の『箱の中の女 処女いけにえ』(1985))。

以下のあらすじでは、物語の結末に触れているのでご注意ください。

26歳のフリーのプログラマー、田所真理子(麻生かおり)は30代の青年実業家、宮永(坂元貞美)の会社と契約して働く傍ら、彼と男女の関係も持っていました。ある日、宮永と真理子は同じく彼の会社と契約し、真理子とチームを組んで仕事をしている16歳の青年、講平(戸上正彦)のもとを訪ねます。講平にはスーパーで働く比呂美(渡辺久美子)という恋人がいましたが、なかなか体の関係を許してもらえず、彼は悶々としていました。

年上の女性である真理子に魅力を感じた講平は、ある時彼女を押し倒しますが、抵抗に遭い、未遂に終わります。それを宮永に相談する真理子でしたが、仕事のことしか頭にない宮永には軽く流されてしまいます。不満を持った真理子は、講平を誘惑し、自分から関係を持ってしまいます。

一方、講平の恋人の比呂美は、実は勤め先のスーパーの経営者(島村健次)と関係を持っていたのでした。ある日、いつもの情事のあと、ベランダから比呂美の部屋を去ろうとした彼は、足を踏み外して転落死、未成年者淫行としてスキャンダルになってしまいます。その新聞記事を見た講平の母親(水城蘭子)は、息子を守るため、真理子のことを神奈川県警に通報するのでした。

数日に及ぶ講平との密会のあと、事務所に出社した真理子の元に、警察からの出頭要請の連絡が届くのでした……というお話。

8年前に製作された『さすらいの恋人 -眩暈-』と比べると、アダルトビデオとの競争の激化という事情もあってか、直接的に裸や性行為を写した描写が非常に多い印象。初期の日活ロマンポルノでは、なるべくモザイクを入れないよう、障害物越しに性行為シーンを撮影したり、といった工夫がよく見られましたが、本作ではかなりのシーンで単純なモザイクに頼っています。

当時まだ新しかったプログラマー、それも女性プログラマーという職業を主人公に設定したのはなかなか面白い。日本のプログラムピクチャーは、割とこういう流行り物を取り入れるのに敏な印象がありますね。BGMもそれに合わせてか、シンセサイザーを多用した音作りをしていたり、コンピュータのビープ音を登場人物の心情描写に使っていたり、なかなか面白い試みをしています。

クライマックスに至るまで、物語の落とし所がなかなか見えてこなかったのですが、それまでは散漫な印象を与えていた真理子と比呂美のエピソードが、しっかりと絡まってほろ苦いというか、少々不思議な味わいの結末になっていました。

近年でもネットなどでたまに話題になる、本人同士が同意していても、家族に通報されて未成年淫行条例にひっかかる、という問題(問題?)が描かれており、案外今日日的な内容にも感じられます。タイトルの「いんこう」もおそらくここから来ているのでしょう。

ワレーリー・ルビンチク(1979)『スタフ王の野蛮な狩り』

Докаяохота короля Стаха
製作国:ソビエト連邦
上映時間:109分
監督:ワレーリー・ルビンチク
出演:ボリス・プロートニコフ/エレン・ディミートロワ/ヴァレンチナ・シェンドリコワ

白ロシアの作家コロトケーヴィチの小説を元に、ワレーリー・ルビンチク監督が映画化したホラー、サスペンス映画。

ロマノフ王朝末期の19世紀末、白ロシアの寒村に若い民俗学者ベロレツキー(ボリス・プロートニコフ)がやってきます。急な雨に襲われた彼が宿を乞うた古い館には、美しい女館主ナジェージダ(エレン・ディミートロワ)が執事、老婆とともに住んでいました。何かに怯える様子を示すナジェージダを不思議がるベロレツキーに対し、執事がこの村に古くから伝わるスタフ王の伝説を語ります。それによると、ナジェージダの遠い祖先が、この土地の支配者であったスタフ王に従わず、彼をだまし討ちにしたため、その呪いを受けた子孫たちが代々横死していること。この館でも小人の足音が聞こえたり、荒野にスタフ王の軍勢を見たものがいるということ。

ナジェージダの成人の祝いが開かれ、近隣から親族や客人がやってきます。伯父にあたるドゥボトフク(ロマン・フィリッポフ)は豪華な贈り物をして彼女の成人を祝うのでした。

しかし、その後、ベロレツキーに協力し、スタフ王について調べていた執事が死体となって見つかり、その後、ベロレツキーに執事の死の秘密をほのめかした人物も変死を遂げます。ついにはベロレツキー自身もスタフ王の軍勢を目撃します。ベロレツキーは村人を励まし、スタフ王の軍勢の正体を暴こうとするのでしたが……というお話。

本作を見ている最中、この映画は超常現象が起こりうる世界を舞台にしたゴシックホラーなのか、それとも伝説を利用した陰謀を描いたサスペンスなのか、というのが自分の中で定まらず、また、本筋とはそこまで関係のない執事の弟の小人(これが小人の足音の正体)とベロレツキーやナジェージダの何か妙に幻想的で感動的なシーンが挟まれたりすることもあって、見ていてとても疲れました。決して面白くない映画ではないんですが。

つまり、映画としては割合いびつな映画です。ホラー演出はあるものの、そこまで怖いわけではないし、なんだか唐突にハートウォーミングなシーンは出てくるし、スタフ王の軍勢の美術はなかなか手が込んでいて素敵だし……。ただ、いびつだから詰まらないかというとそんなことはなく、絶対に万人受けはしなそうですが、ハマる人はたぶんとことんハマる、そういういびつな魅力を持った映画です。たとえていうなら『エル・ゾンビ I 死霊騎士団の覚醒』(1971)とか、そんな感じ。全体の神秘的な雰囲気とか、そういうのは本作のほうが圧倒的に上ですが。

ドゥボトフクを演じたロマン・フィリッポフが、非常にフェルナンド・サンチョに似ており、彼が出てくるたびにサンチョを見ているような気分になりました。役どころも割りとサンチョ的でしたし……

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