今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

1950s

藪下泰司(1958)『白蛇伝』

製作国: 日本
監督: 藪下泰司
出演(声): 森繁久彌/宮城まり子

【あらすじ】

中国の宋の時代、小さな頃白蛇を助けた許仙は、長じて不思議な胡弓の音色を聞く。その音色に惹かれ、ペット(?)のパンダとミミとともに、音色の主を探しに出かけた許仙は、少青という少女に誘われ、不思議な屋敷にたどり着く。そこには音色の主である美しい女性・白娘がいたが、彼女は昔許仙が助けた白蛇が女性の姿となったものだった。恋に落ちる二人。一方、パンダとミミが屋敷の龍の彫像で遊んでいたところ、龍が動き出し、旧邸の宝物庫に墜落してしまう。宝物庫で美しい宝石を見つけた少青はそれを白娘と許仙に贈る。

あくる日、許仙は宝石泥棒として役人に捕まってしまう。妖怪変化が絡んだ事件だと見抜いた高僧・法海の助言で許仙は蘇州へと追放される。蘇州へ流されても白娘のことが忘れられない許仙は、ついに白娘の住処である古ぼけた塔にたどり着く。しかし、許仙のことを心配する法海が二人の間に割って入り、白娘と法海の妖術勝負の末、破れた白娘は人間になる力を失ってしまう。一方、白娘の幻を追いかけた許仙は崖から墜死してしまう。許仙を哀れに思った法海は、彼を弔おうと、湖に浮かぶ自分の寺へと彼の亡骸を運んでいくのだった。

一方、幻となった白娘は宇宙を飛び、あらゆる妖怪の親玉である龍王の元へ、許仙を救うために向かっていた。龍王の力によって白娘は人間となり、許仙を蘇らせるための命の花を持って法海の寺へと向かう。妖怪変化が再びやってきたと勘違いした法海は白娘を追い返そうとするが、少青やミミ、パンダたちの活躍もあって無事に許仙は生き返る。それによって白娘が人間へと生まれ変わったと気付いた法海は、彼ら二人に祝福を与え、二人は船に乗って旅立っていくのだった。

【感想】

本作は日本最初のカラー長編アニメーション映画とされています。戦前にも『桃太郎の海鷲』(1943)などのアニメーション映画はありましたが、カラーになったのは本作が最初の模様。オープニング、許仙の子供時代は影絵アニメーションにミュージカル仕立てで始まるため、全編そんな感じなのかと思いましたが、すぐに彩色された絵が動く、いわゆる通常のアニメーションに変わり、あとは最後までその技法で描かれます。

いわゆる異類婚姻譚の流れを組む中国の説話が元になった物語で、こういった話は「聊斎志異」なんかにも多く収録されていますが、本作は中国で「四大民間伝説」とされる「白蛇伝」が元になっています。こういった伝説はアンハッピーエンドを迎えるものも多いのですが、本伝承については、何系統か存在し、本作のようにハッピーエンドを迎えるバージョンももともと存在する模様。

白娘と法海の対決シーンや、その後の嵐のシーンなど、迫力あるシーンが多く展開され、いま見てもかなり面白く見られます。また、パンダやミミ(あれは何でしょうね、レッサーパンダ)が蘇州の愚連隊である豚やイタチなんかと戦って子分にするシーンもコミカルな面白さがありました。

演出を務めている藪下泰司はのちに劇場版の『ひょっこりひょうたん島』(1967)の演出にも携わっています。

アンソニー・マン(1950)『ウィンチェスター銃'73』

Winchester '73
製作国:アメリカ
上映時間:93分
監督:アンソニー・マン
出演:ジェームズ・スチュワート/シェリー・ウィンタース/スティーヴン・マクナリー/ダン・デュリエ

男なら誰でも憧れる(あれ、憧れない?)ウィンチェスター・ライフル、それも千挺に一挺と言われる名銃を狂言回しに据え、父を殺した犯人を追うリン(ジェームズ・スチュワート)の姿を描いた西部劇。監督は多くの西部劇監督作をもつアンソニー・マン。主演のジェームズ・スチュワートは『フィラデルフィア物語』(1940)で米アカデミー主演男優賞を受賞した名優です。

 父を殺した犯人を追跡するJ・スチュワートの話を主軸に、何万に一挺という名銃をめぐるエピソードをからめた異色西部劇。次々と銃を手にする人の話が一つの環になる様は、犯人の正体と共に見事な因縁話になっている。後年TVムービーにてリメイクされる。

本作のストーリーはあくまで父を殺した犯人ダッジ・ヘンリー・ブラウン(スティーヴン・マクナリー)を追うリン・マカダムの物語が主題なのですが、そこに、ダッジシティの射撃大会の優勝景品としてリンが手に入れたウィンチェスター・ライフルが、彼からそれを奪ったダッジ・ヘンリーを皮切りに、武器商人、先住民、悪党と様々な人物を渡っていく様がうまい具合に絡み合った作品です。よく考えると、劇中でこの銃を手にした人間は(リンを除いて)全員非業の死を遂げているわけで、そう考えると呪われた銃と言えないこともないような……

マカロニウエスタンを通過した現代の目で本作を見ると、やはりどこかのんびりとした、長閑な印象を受けます。これはフィルムが白黒であることも一因かもしれませんが、これはこれで良い味わいがあります。また、「男は友達がひとりいれば裕福なんだ」というリンのセリフに象徴される、リンと彼を助けて旅をするハイ・スペード(ミラード・ミッチェル)の関係も素晴らしい。

マカロニウエスタンだったら、ラストシーンはリンとハイ・スペードと馬を並べて街を去っていくシーンにエンドマークがかぶさりそうですが、そうはならないのが良くも悪くもアメリカの西部劇、という印象です。

ウィンチェスター銃がタイトルに付いた西部劇というと、マカロニウエスタンの『対決!ウィンチェスター銃』(1966)や『ロイ・コルト&ウィンチェスター・ジャック』(1970)も思い浮かびますね。

 Winchester '73
(1950) on IMDb

エドガー・G・ウルマー(1959)『ハンニバル』

Annibale
製作国:イタリア
上映時間:103分
監督:エドガー・G・ウルマー
出演:ヴィクター・マチュア/リタ・ガム/ガブリエル・フェルゼッティ/マリオ・ジロッティ(テレンス・ヒル)/カルロ・ペデルソーリ(バッド・スペンサー)

「ハンニバル」と言っても、リドリー・スコット監督の『ハンニバル』(2001)ではなく、1950年代から60年代はじめのイタリアで盛んに作られた史劇映画、いわゆるペプラム映画とか、日本ではサンダル史劇とか言われたりする作品群の一つです。ちなみに、ペプラムもサンダルも登場人物たちの服装からのネーミングです。監督のエドガー・G・ウルマーはオーストリア出身の映画監督で、戦前からドイツ、アメリカ、イタリアなどで映画を撮影しています。主演のヴィクター・マチュアはアメリカ出身の映画俳優で、多くの史劇映画で人気を博しました。

本作はアルプス越えの故事で有名な、第二次ポエニ戦争をハンニバルを主人公として描いています。カルタゴの将軍ハンニバル(ヴィクター・マチュア)がアルプスの向こう側まで進軍してきたとの知らせを受け、ローマの元老院では会議が行われていました。元老院議員ファビウス(ガブリエル・フェルゼッティ)はハンニバルの脅威を語り、防備を強化するべきと語りますが、ハンニバルの軍はアルプス越えで瓦解するだろうと楽観論を述べる議員も多く、会議は紛糾します。そこへ、ハンニバルがアルプスを越えはじめたとの知らせが入ります。

一方のカルタゴ軍は、アルプスで多くの脱落者を出しながらも、アルプス一帯を支配化に収めていたルタリアス(カルロ・ペデルソーリ=バッド・スペンサー)の協力もあって何とかイタリア半島に進軍することに成功したのでした。続けて初戦に勝利を収めたハンニバルは、捕虜の口からこの付近にファビウスの姪であるシルヴィア(リタ・ガム)が滞在していることを聞き、それを襲撃。彼女に付いていたファビウスの息子、クインテリウス(マリオ・ジロッティ=テレンス・ヒル)ともども捕まえることに成功しました。自分たちの本心は和平だと語り、ハンニバルはシルヴィアに自分の軍容を見せた上で解放するのでした。

ローマに戻ったシルヴィアは、ハンニバルは和平を望んでいるとファビウスに語りますが、ファビウスはそれをハンニバルの策謀と考え、取り合いません。一方、ローマ側は数度の戦いでハンニバルに敗れ、いよいよ窮地に陥るのでした。そのころ、シルヴィアの元にハンニバルからの密使が訪れます。彼に渡された指輪を持って、ハンニバルの元を訪れたシルヴィアでしたが、後を付けていたクインテリウスによって、2人でいることころを襲撃されます。ローマに戻ったあと、ファビウスに詰問され、出家を強要されるシルヴィアでしたが、夜中に屋敷を抜け出し、ハンニバルの元へと駆け付けるのでした。

その後、カンナエの戦いでローマ側のヴァロとアエミリウスは敗れ、その戦いでクインテリウスも戦死します。ローマ側はそれを受け、いよいよファビウスに指揮官を依頼するのでしたが……というお話。

映画のストーリーは上にあるものがほぼ全てです。史実ではその後、ファビウスの消極戦法によりハンニバルは消耗し、そしていよいよスキピオが登場するわけなのですが、映画はファビウスが独裁官として就任するあたりで終わっています。また、実際にはカンナエの戦い以前にファビウスは独裁官に任じられているのですが、映画ではカンナエの敗北があるまで、シルヴィアの件もあって元老院内で疎んじられています。

ストーリー自体は割と大味な歴史劇なのですが、映画前半のハンニバルによるアルプス越えのシーンは、実際になかなか過酷な雪中ロケを行っているようで、かなりの見応えがあります。ハンニバルといえばゾウですが、ゾウが登場するシーンだけはセットでの撮影っぽいのはご愛嬌。どちらにしろ、このシーンにこの映画の面白さのかなりの部分は詰まっています。

また、後年ヒル&スペンサーのコンビでイタリアのみならず、世界で人気を博す(日本ではそこまで有名ではないですが)2人がそれぞれマリオ・ジロッティ、カルロ・ペデルソーリという本名で共演しているところも見どころ。実は本作が彼らの初共演作なのです。ただ、スペンサーの出番はアルプス越え中の2シーン程度で、彼の出番と入れ替わるようにヒルが登場するため、映画内で同じシーンに出ることはありません。

本作は日本では劇場公開されたほか、VHSも発売されていますが、残念ながらいまのところDVDは発売されていません。ちなみに、VHSは英語音声版となっています。

中平康(1956)『狂った果実』

製作国:日本
上映時間:87分
監督:中平康
出演:石原裕次郎/津川雅彦/北原三枝/岡田眞澄

『太陽の季節』(1956)に続いて石原裕次郎が出演(今回は主演)し、「太陽族」というネーミングを不動のものにした感のある作品。監督は本作で監督デビューした中平康。彼の監督作は、以前『危(やば)いことなら銭になる』(1962)や『混血児リカ』(1972)などをご紹介していますが、本作はそれらの作品とは少々スタイルが異なり、娯楽性の中にも彼の作家性を感じさせるデビュー作です。本作は批評家によっては、フランスのヌーヴェル・ヴァーグへの影響もしてきされているようです。

 石原慎太郎の同名小説を、石原裕次郎主演で描いた青春映画。太陽族の滝島夏久はまだ純真な弟・春次の初恋の女性・恵梨を奪う。やがて心の中にあった兄弟への愛情の均衡も破れ、恵梨は夏久の強靭な肉体に強く惹かれていった。恵梨と夏久の全ての出来事を知った春次は、憑かれたようにモーターボートでヨットの二人を追った……。

『太陽の季節』に引き続いての石原慎太郎原作の映画化。裕次郎を主演に据えることを条件に、慎太郎が映画化を承諾した、というのは有名な話です。モノクロ、スタンダードサイズの画面に、複雑な表情をしてボートを運転する津川雅彦の顔が映し出され、そこにタイトルや出演者のテロップがかぶります。観客は映画を最後まで見たときに、オープニングの彼の表情の意味を悟るのですが、この虚無感が非常に素晴らしい。

映画自体はこの時代の日活映画の特徴である、なんでもセリフで表す、という民主主義的というか、戦後の空気を非常に感じさせる作り。特に前半に顕著に見られる、登場人物たちの顔のアップを次々と切り替えながら、豪雨のようにセリフを浴びせかける演出が印象に残ります。

ストーリー自体は上に引用したとおりなのですが、前半と後半の裕次郎の津川への扱いの変化などの演技はまだ少々ぎこちない感じもあり、映画の中では津川のほうが主人公然とした雰囲気を見せています。ただ、やはり後年の輝きを知っているからかも知れませんが、裕次郎のほうからもなんとも言えないオーラのようなものが感じられますね。

コミックリリーフ的な役回りである岡田眞澄を始めとした裕次郎の仲間たち(いわゆる太陽族というのでしょうか)の存在が、映画に賑やかさを添えて楽しい。映画がクライマックスに向かうにつれ、岡田眞澄以外の仲間たちの出番がほとんどなくなり、いっきにクライマックスになだれ込んでいくさまは非常にうまい構成でした。

それにしても、当時の岡田眞澄って、ほんとにかっこよかったんですね……

野口博志(1959)『銀座旋風児』

製作国:日本
上映時間:83分
監督:野口博志
出演:小林旭/浅丘ルリ子/宍戸錠/白木マリ

この翌年、『拳銃無頼帖 抜き射ちの竜』(1960)をはじめとする「拳銃無頼帖」シリーズで赤木圭一郎とコンビを組むこととなる、野口博志監督が、『南國土佐を後にして』(1959)から始まる「渡り鳥」シリーズの小林旭とコンビを組んだ日活映画です。本作は正確なタイトルがいまいち分かりづらく、オープニングタイトルには「二階堂卓也 銀座無頼帖 銀座旋風児」と表示されており、確か渡辺武信著「日活アクションの華麗な世界」でもこのタイトルで紹介されていた(はず。現在本書が手元になく不明)のですが、公開時のポスターでは単に『銀座旋風児』となっており、AllcinemaやGoo映画などのネット上の媒体でもそうなっているので、ひとまずそちらに合わせています。これについては、第2作である『銀座旋風児 黒幕は誰だ』(1959)以降にも、同様の問題があります。

銀座で売れっ子の装飾デザイナー、銀座旋風児こと二階堂卓也(小林旭)。彼は本業の傍ら、退屈しのぎの素人探偵業も営んでいました。情報屋の政(宍戸錠)から、キャバレー"モナコ"のオーナー王徳宝(芦田伸介)がダイヤの密売を行っているとのタレコミを受けた彼は、王を追って香港に飛びます。香港で何者かによる銃撃を受けた王の窮地を救った卓也でしたが、狙撃犯の正体は明子(浅丘ルリ子)という日本人女性でした。

彼女の話から、王の正体は堀田という日本人で、木原(山田禅二)、中村(伊藤寿章)、丸山(西村晃)という男たちとともに、戦時中に国民から拠出させ、中国に運んだダイヤを横領、横流ししていることを知ります。そして、明子の父は、彼らの奸策にはまり、中国で客死していたのでした。卓也は明子を連れて日本に戻り、堀田一味に対する挑戦広告を東都タイムズに乗せるのでした。

広告を見て、約束の場所にやってきた木原でしたが、彼は何者かに銃撃され、殺されてしまいます。これは堀田一味の仕業でした。そして、堀田は暴力団である俵藤組に卓也と仲間たちの抹殺を依頼するのでしたが……というお話。

当時盛んに作られた、日活の無国籍アクションの系譜に連なる作品です。「渡り鳥」シリーズが地方を舞台にした作品だったのに対し、本シリーズは銀座を舞台に(といっても、セットのシーンが多め)小林旭が大活躍します。脇を固めるのは浅丘ルリ子、宍戸錠、白木マリ(いつものように、主人公に惚れて、つれなくされる役。ただ、本作では踊らない)。そして悪役側も芦田伸介、西村晃、高品格と、いつもの面々が顔を揃えます。藤村有弘も出演していますが、ちょっとした顔見せ程度の役どころ。

「拳銃無頼帖」シリーズでは赤木圭一郎との二枚看板的な役どころだった宍戸錠ですが、本作ではまだちょっととぼけた二階堂卓也の舎弟、といったような役どころで、小林旭との二枚看板とまではいきません。それもあって、「拳銃無頼帖」シリーズに比べると、小林旭オンステージの趣が強く、映画に深みが欠けている嫌いはあります。それでも、シリーズが6作品も作られたことを考えると、当時の小林旭人気が推し量られますね。

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