今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

製作国:中国

葉偉信(2010)『イップ・マン 葉問』

葉問2
製作国:香港
上映時間:109分
監督:葉偉信
出演:甄子丹/洪金寶/黄暁明/樊少皇/熊黛林

さきほどご紹介した『イップ・マン 序章』(2008)に引き続き、続編の『イップ・マン 葉問』をご紹介します。日本では本作が先に劇場公開されましたが、前作が対日本だったのに比べ、本作は対西洋と、おなじ東洋人である日本人には感情移入しやすい作品になっています。監督は前作同様に葉偉信。

 伝説の映画スター、ブルース・リーにとっての唯一の師匠として知られる中国武術“詠春拳”の達人、イップ・マン(葉問)の壮絶人生を、「HERO」「セブンソード」のドニー・イェン主演で映画化した本格カンフー・ムービー。日中戦争時代を中心に描いた第1作に続き、本作では第二次大戦後の香港を舞台に、ライバルとの間に芽生える熱き絆と中国武術の誇りを懸けた決死の闘いの行方を、リアルかつ迫力のカンフー・アクション満載で描き出す。共演にサモ・ハン・キンポー。監督は「SPL/狼よ静かに死ね」のウィルソン・イップ。
 1950年、イギリスが統治する香港。家族と共に広東省佛山より移住してきた詠春拳の達人、イップ・マン。さっそく詠春拳の武館を開いた彼のもとに、血気にはやる若者ウォンが弟子入りする。そんなイップに、香港武術界を仕切る洪拳の師範ホンは武館開設のための掟を告げる。それは、他流派の師範たちの挑戦を受けるというもの。そしてイップは立ちはだかる挑戦者たちを次々と退け、ついにホンとの一騎打ちを迎えるが…。

Allcinema Onlineに書かれている解説は前半のみ。映画として盛り上がるのは、洪金寶演じる洪震南が中国武術を守るため西洋人ボクサー・ツイスター(ダーレン・シャラヴィ)と戦い、持病もあって敗れ、そのまま死んでしまい、葉問(甄子丹)が彼の復仇のため、そして中国武術界の誇りを守るためにツイスターと戦うクライマックスです。

前作に比べるとストーリーに意外性や新規性はないものの、仇討という物語はやはり単純に盛り上がります。また、前作では武術指導のみだった洪金寶が出演し、重厚な演技を見せてくれるのも楽しさのひとつ。前作では葉問と対立した金山找(樊少皇)が、本作では葉問側の人間として登場するのも、前作から続けて見ている人には嬉しい点です。

あと、本作のクライマックスでラジオの実況者役で出てきた俳優さん、同じ監督の『開心魔法』(2011)にも、十種競技で優勝したい御曹司役で出ててましたね。

徐克(2010)『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』

狄仁傑之通天帝國
製作国:中国/香港
上映時間:128分
監督:徐克
出演:劉徳華/李冰冰/鄧超/梁家輝/劉嘉玲

香港のスピルバーグとも言われたこともあった徐克監督の『セブンソード』(2005)以来5年振り(日本公開という意味では7年振り)となる日本公開作が本作。公式サイトある「ツイ・ハーク完全復活!」という惹句に恥じないエンターテインメント作品に仕上がっています。

 「ワンス・アポン・ア・タイム/天地大乱」のツイ・ハーク監督が、中国の唐王朝時代に実在し、オランダ人外交官ロバート・ファン・ヒューリックの手による探偵小説シリーズで中国のみならず欧米でも知られる人気キャラクター“ディー判事”を主人公に描くエンタテインメント・ミステリー・アクション大作。主演は「墨攻」「ウォーロード/男たちの誓い」のアンディ・ラウ、共演にカリーナ・ラウ、リー・ビンビン、レオン・カーフェイ。
 紀元689年、唐王朝の時代。則天武后による中国史上初の女帝即位を目前に、その権力を象徴する巨大な仏塔“通天仏”の建立が進んでいた。そんな中、巷では人体が発火し、焼き尽くされるという不可解な事件が連続して発生する。犠牲者がいずれも政権に関わる重要人物だったことから、武后は事件解決の切り札に判事ディーを指名する。かつて武后を非難して獄中の身となっていたディーだったが、その類い希な知性と超人的な武術の能力を有する彼をおいて他に、この難事件に挑める者はいなかった。さっそくディーは、彼の監視役となる武后の側近チンアルと補佐役のペイ司法官を伴い、真相究明へと乗り出すのだったが…。

ディー判事こと中国の唐朝から則天武后の時代にかけて活躍した政治家である狄仁傑を主人公に据えた本作ですが、ストーリー自体は完全にオリジナルであり、特に史実から題材を取ったわけではないようです。冒頭、隆盛を極めた洛陽がCGで描かれ、そこに巨大な通天仏が描きこまれます。そしてそこで発生する賈大人の人体発火現象……と、なかなかスピード感のある展開が気持ちいい。CGはハリウッドほど緻密ではなく、CGだとまるわかりのCGですが、そこは目を瞑りましょう。

人体発火事件が続くことから、監獄から呼び戻された狄仁傑が捜査に乗り出すわけなのですが、そこは徐克監督、まっとうな捜査ものにはならず、アクションからラヴロマンスから何から何までとにかく盛り込みます。少々詰め込み過ぎで、展開が早く、一歩間違えると観客を置いていきそうにもなりますが、そこがまた徐克らしいところ。前の日本公開作であった『セブンソード』も劇場で見ましたが、当時よりも往時の勢いを取り戻している印象があります。

アクションシーンも、あのデブゴンこと洪金寶の武術指導が入っており、しっかりと見応えのあるシーンに仕上がっています。細かいカット割りの編集もスピード感を増すことに貢献しています。

主演は『インファナル・アフェア』(2002)の劉徳華、則天武后は香港の劉嘉玲が演じ、重厚な演技を見せてくれています。ヒロインである上官静児を演じるのは大陸出身の李冰冰。この人はぼくは今回初めて見たのですが、クール・ビューティーといった感じの女優さんですね。あるシーンのツンデレっぷりにはちょっと笑いました(が、その直後笑いが凍りましたが)。また、狄仁傑の片腕となる裴東来を大陸出身の若手・鄧超が演じているのですが、眉毛まで白く染めて奇抜な扮装でしたが、映画には非常に合っていました。

葉偉信(2011)『開心魔法』

MAGIC TO WIN
製作国:香港/中国
上映時間:100分
監督:葉偉信
出演:呉尊/黄百鳴/呉千語/呉京/閆妮/古天樂

1980年代から90年代初頭にかけての香港コメディ映画界で活躍し、近年では『イップ・マン 葉問』(2010)などの製作も務めている黄百鳴が製作・出演したコメディ・SF映画。監督は『イップ・マン 葉問』でも監督を務めていた葉偉信。

水の魔法使いで大学教授でもある康森貴(黄百鳴)はある雨の夜、教え子の程美斯(呉千語)と衝突してしまい、その衝撃で彼の魔法は程美斯に移転してしまいます。時を同じくして木の魔法使いであり、作家でもある古新月(古天樂)のところに火の魔法使いである畢野武(呉京)が現れます。魔法対決の末古新月を封じ込めた畢野武は、続いて土の魔法使いであり植物学者である凌楓(呉尊)を狙います。

魔法対決の末、やはり破れてしまった凌楓でしたが、古新月に貰っていた魔法の石のお陰で、精神だけは抜け出すことに成功します。しかし、精神だけの彼の姿は同じ魔法使いにしか見えません。彼はひょんなことから程美斯と出会い、協力を要請するのでした。一方、金の魔法使いであり手品師である査理(松明)をも封じ込めた畢野武は、最後の魔法使いである康森貴を狙います。彼は、5人の魔法使いの力を結集することにより、過去に戻ろうとしていたのでした……というお話。

黄百鳴が主演・製作していることからもわかるように(とは言え、最近はシリアスものも製作していますが)、本作は軽いタッチでコメディ色の強い作品です。しかし、魔法対決のCGやアクションは結構凝っており、あまり泥臭さを感じさせない、ファンタジー色の強い作品に仕上がっていました。

また、本作は黄百鳴が主演した『ハッピー・キョンシー/女子高生てんこもり』(1984)(原題は『開心鬼』)のセルフ・パロディ的な要素も非常に強い作品です。特に程美斯が友人たちと組んで落ちこぼれの体操選手を十種競技で勝たせようとするシーンは、「ハッピー・キョンシー」の同様のシーンを現在のCGでリメイクしたかのような印象さえありました。

クライマックスも春節映画のような全方面的ハッピー・エンドで、まぁ、薄っぺらいと言えば否定は出来ませんが、肩の力を抜いて見られる映画です。

しかし、黄百鳴を久しぶりに見ましたが、結構いい感じに胡散臭いおっちゃん(褒めている)になっていて驚きました。若いころはひょろっとしていた印象だったのですが。谷徳昭も、程美斯が所属するバレーボール・チームのライバルチームのコーチ役で出てくるのですが、何だか最近こうゆう役ばかり見ている気がします。

ハラルド・ズワルト(2010)『ベスト・キッド』

THE KARATE KID
製作国:アメリカ/中国
上映時間:140分
監督:ハラルド・ズワルト
出演:ジェイデン・スミス/成龍/タラジ・P・ヘンソン/韓雯雯/王振威

最近なかなか映画を観られていないのですが、明日台風が上陸するということで、休みをとったため、のんびりと映画を観る時間がとれました。今回紹介するのは成龍が2010年に出演したアメリカ産功夫映画『ベスト・キッド』。本作はもともと1984年に製作された同名の映画のリメイク。リメイク元では、ノリユキ・パット・モリタ演じた主人公に武術を教える師匠役を、本作では成龍が演じています。

 80年代に大ヒットした「ベスト・キッド」を、舞台を中国に移してリメイクした感動ファミリー・ドラマ。主人公の少年役には本作の製作を務めるウィル・スミスの息子で、デビュー作「幸せのちから」でも高い評価を受けたジェイデン・スミス、師匠役にジャッキー・チェン。母と2人で北京に引っ越してきたアメリカ人の少年が、カンフーとの出会いを通じていじめを克服し成長していく姿をさわやかに綴る。監督は「ジュエルに気をつけろ!」「エージェント・コーディ」のハラルド・ズワルト。
 父を亡くした少年ドレは、転勤する母に連れられデトロイトから異国の地、北京へと移り住むことに。言葉や文化の違いに戸惑いつつも近所の美少女に心ときめかせるドレ。ところが、同じ学校に通ういじめっ子のカンフー少年チョンの標的になってしまう。そんなある日、いつものようにいじめられていたドレは、アパートの管理人ハンに助けられる。彼がカンフーの達人と知ったドレは教えを請うことに。そして、来たるカンフー大会でのチョンとの決戦に向け、修行に励むドレだったが…。

1984年版では日系のパット・モリタが主人公に空手を教える、という筋書きだったのですが、2010年版の本作では中国にやって来た主人公ドレ(ジェイデン・スミス)に功夫を教えるという筋書きに変わっています。当時の日本とアメリカの関係、そして今の中国とアメリカの関係が透けて見えるような気がしないでもありません。しかし、原題はTHE KARATE KIDのまま。THE KUNGFU KIDとかになったりはしないようです。

異国に迷い込んだ少年が、イニシエーションを乗り越えて強くなり、真の友情を手にする、という極めて使い古されたストーリーながら、勘所をしっかりと押さえてくれるので安心して楽しめます。ドレを目の敵にする陸偉程(王振威)も、分かりやすい悪役を憎たらしく演じてくれています(ラスト、師匠と自分との間で板挟みになるシーンや、笑顔を見せるシーンは歳相応に可愛らしかったですが)。ヒロインを演じた韓雯雯は、少々顔立ちがきつく、日本的というよりは西洋人に受ける美人、という印象ながら、主人公とダンスゲームに興じるシーンや、クライマックスの武術大会での溌剌とした演技が印象的。

奇を衒ったところのない、安心して楽しめるエンターテインメントでした。ちなみに、中国版のタイトルは「功夫夢」というそうです。

何平(2003)『ヘブン・アンド・アース』

天地英雄/WARRIORS OF HEAVEN AND EARTH
製作国:中国
上映時間:118分
監督:何平
出演:姜文/中井貴一/趙薇/王学圻

『双旗鎮刀客』(1990)など、古装片(中国版時代劇)を得意とする何平監督が、姜文、中井貴一という日中の演技派俳優ふたりを主演に据えて撮影したファンタジー古装片(ファンタジー成分強め)。

 「双旗鎮刀客」のハー・ピン監督が日中を代表する実力派俳優2人を迎えて贈る壮大な歴史アドベンチャー。過酷なシルクロードの大地を舞台に、遣唐使として中国に渡った一人の日本人と、逆賊として皇帝から命を狙われる元軍人の男が繰り広げる死闘とその後に芽生える友情を描く。主演は「鬼が来た!」のチアン・ウェンと「壬生義士伝」の中井貴一。共演に「少林サッカー」のヴィッキー・チャオ。
 紀元700年頃の中国。13歳で遣唐使としてこの地に渡り、現在は直属の刺客として皇帝に仕える一人の日本人剣士、来栖。彼は25年ぶりの帰国が許され、望郷の想いに胸を熱くする。そして、彼が司令官の娘、文珠を警護し長安へ送り届ける最中、皇帝より最後の仕事を命じられる。それはかつて、唐王朝最大の脅威である突厥(トルコ系遊牧民族)の女性や子どもを命令に背いて逃し逆賊となった元将軍、李を殺害せよというもの。一方その頃、逃亡生活を送る李は、天竺から皇帝へ献上する仏教経典を運ぶキャラバンの護衛として長安を目指していた…。

この映画を一言でまとめるなら「仏舎利って凄いんですね」ということになります。いや、ぼくがふざけている訳ではなく、これを読んでふざけていると思われるとしたら、脚本がふざけています。前半はファンタジー成分薄めの古装片だったのに、キャラバン隊の積荷が仏舎利だと判明した辺りからだんだんとファンタジー色が強くなり(悪い意味で)驚愕のラストに……。ラスト10分まではなかなか面白いのに……どうして全部ぶん投げた。

武侠小説、武侠映画の伝統もあるため、中国の古装片はファンタジーと非常に相性がいいんですよね。また、本作は西域の砂漠を舞台に、漢族側と突厥側の攻防という側面もあり、非常に西部劇的。途中で、「あぁ、これは中国版ウエスタンなんだ」と気づきました。突厥の兵隊たちがまるでインディアンのようにホーホー言いながら襲いかかってきますし。

中井貴一は13歳のときに遣唐使として中国に渡ってきて、30年以上も引き止められている日本人の役。この話自体はフィクションですが、一旦唐に渡ってなかなか帰ることが許されなかった遣唐使は多々居るわけで、設定自体には無理は感じられません。この中井貴一演じる来栖、全身黒ずくめの衣装でなかなか恰好いい。悪役の王学圻が白ずくめの衣装を着ていることもあり、二人の戦いは非常に映えます。

かなり予算は掛かっているようで、砂漠での砂嵐のCG、城攻めのシーン、砂漠での戦いのシーンなど、それぞれのシーンはなかなか見ごたえがあります。アクションシーンのカットが細切れなのは評価が分かれるところだと思いますが。

俳優陣では、姜文と中井貴一の主演コンビ、そして悪役の王学圻の存在感はさすが。その間に入り、ヒロインの趙薇が花を添えます。『少林サッカー』(2001)では(周星馳監督の得意技のせいで)彼女の美しさはワンカットくらいしか楽しめませんでしたが、この映画では彼女の可憐な美しさがたっぷり堪能できます。また、老用心棒である老不死的(凄い名前だ)を演じた王徳順が印象に残ります。

惜しむらくはラスト……。さらに尺が長くなってもいいから、しっかり風呂敷をたたんで欲しかったところ。

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