GOD'S GUN
製作国:イタリア/イスラエル
上映時間:94分
監督:ジャンフランコ・パロリーニ
出演:リー・ヴァン・クリーフ/ジャック・パランス/レイフ・ギャレット

引きこもりDVD二作目は、日本未公開、かつ映像ソフトウェア日本未発売のマカロニウエスタン、『GOD'S GUN』です。日本では一切紹介されていない映画なので、当然邦題はありません。ぼくは「TEN THOUSAND WAYS TO DIE: SPAGHETTI WESTERN FILM COLLECTION」という、アメリカで発売された3枚組のDVDに収録されていた版を観ました(このDVDについては、そのうち紹介します)。米国版なので、当然字幕はなし。音声は英語だったので、細かいところは分からないながら、概ね理解して見ることができました……たぶん。

タイトルで検索してみましたが、日本語で紹介しているサイトには辿り着けなかったので、拙い文章ですがあらすじを簡単にご紹介。

映画はジャック・パランス率いる無法者集団がとある街の銀行を襲うところから始まります。保安官を殺し、女を拐かし、無法の限りを尽くすパランスたち。そして舞台は変わってあるメキシコにほど近いアメリカの街。少年ジョニー(レイフ・ギャレット)は、父親はいないものの、シビル・ダニング演じる母(姉と名乗っている?)や町の神父(リー・ヴァン・クリーフ)に見守られ、すこやかに育っていました。

そこへ、パランス率いる無法者集団がやって来ます。彼らは酒場で諍いを起こし、殺人を犯します。保安官を呼ぼうとするダニングですが、パランスたちは正当防衛を主張し、町を去ります。それを聞いた神父、犯人は法で裁かれるべきだと、しぶる保安官を説得し、犯人を引き渡すようパランスたちを説得(というより強引に連れてきたとも)します。一度は捕まった犯人ですが、翌日、パランスたちは彼を奪回、クリーフ演じる神父も、無法者一味によって殺されてしまいます。

そのまま町に居座るパランス一味。ジョニー少年は彼らの隙をついて馬を盗み、神父から聞いていた、メキシコにいるという男を探しに旅立ちます。ふらふらになりながら辿り着いたメキシコで彼を待っていたのは、神父と瓜二つの男(クリーフ二役)でした。彼は神父の弟。ジョニーの話を聞いた彼は、兄の仇を取るために町へとやって来ます。そのころ、ダニングはパランスにあることを話します。実は、ジョニーは以前パランスがダニングを襲ったときにできた子どもだったのでした。そこへやって来たクリーフ……さて、おはなしはどうなるか、と言ったところ。結末はここでは書きません。面倒になったとも言う。

監督が『西部悪人伝』『西部決闘史』など、「よく考えたら細部は破綻してるんだけど、とりあえず娯楽作としてかなり面白い映画」を撮ることに定評のあるフランク・クレイマーなので、この映画もなかなか面白い。冒頭に出てくる人形芝居の二人組(クライマックスでも印象に残ります)や、声が出せなくなったジョニーが神父の死を伝えるシーンの演出など、なかなか味な演出をしてくれています。

また、今回の作品、クリーフはほとんど銃を撃ちません。どうするかと言うと、基本、敵を驚かせて同士討ちをさせたり、戦闘能力のみ失わせたりします。どういう事かというと、クリーフ演じる神父の弟が、あまりに神父にそっくりなので、不意を付かれた無法者たちは、殺した神父が蘇ったのかとパニックに陥るんです。この演出が、なかなか新鮮で面白かった。

ジョニーを演じるレイフ・ギャレットも、なかなかの美少年で可愛らしい。日本ではソフトも一切出ていないので、なかなか観る機会はないかもしれませんが、マカロニウエスタン好き、特にリー・ヴァン・クリーフ好きにはお薦めの映画です。

あ、大事なことを忘れてました。リー・ヴァン・クリーフ、この映画ではかなりふさふさです。髪が。