One Week
製作国:アメリカ
上映時間:25分
監督:バスター・キートン/エドワード・F・クライン
出演:バスター・キートン/シビル・シーリー/ジョー・ロバーツ
今回は予定だとD・W・グリフィスの『散り行く花』(1919)をご紹介するつもりだったのですが、ちょっと疲労がたまっていてヘビーな長編に体が耐えられなさそうだったので、代わりにバスター・キートンによる抱腹絶倒の短編喜劇をご紹介します。
新婚のキートンは、新居建築を約束し求婚したため、低予算の組立住宅を購入。自力で組み立てようとするが、恋敵が建材の番号を3を8、1を4というように書き変えてしまい、妙ちきりんな多角形の家ができ上がってしまう。床は傾き、洗面台が外壁についた暮らしにくい家だが、とりあえず、新築祝いのパーティを開く。しかし、常軌を逸した家に客たちは大混乱。そのうち暴風雨が襲って家は回転しだし、哀れ遠くに吹き飛んでしまう。これを荷車で引いて元の場所に戻そうとしたキートンだが、線路で立ち往生して、突進してくる汽車に木っ端みじんにされてしまう。そのアナーキーな結末において永遠に記憶されるべき、キートン初期短編の傑作。
「文化生活一週間」という別タイトルのとおり、月曜日に結婚したバスター・キートンが、次の日曜日までに経験するドタバタが、日めくりカレンダーをめくるシーンを挟み込んで1日ごとに紹介される作りの映画です。
ストーリーとか見所はAllcinemaの解説にほぼ全部書かれているため、ぼくから付け加える内容は正直あまりありません。ただ、上の解説には事実誤認があり、家について哀れ遠くに吹き飛んでしまう
とあるのは誤り。元々キートンは叔父から99番の土地を貰ったのですが、看板が上下逆さまになっていたために、間違って66番の土地に家を建ててしまっていました。それが土曜日に分かり、日曜日に一生懸命移動させようとした、というのが本当のところ。また、洗面台が外側についた
とありますが、一応その後に壁を回転させているので洗面台は内側に移動してます。
キートンの体張りっぷりは相変わらずものすごく、見ていて腹を抱えて笑いながらもハラハラしてきます。本作ではキートンの他にも妻役のシビル・シーリーもなかなか体を張ったシーンがあり、その辺も見所のひとつ。
途中、シビル・シーリーの入浴シーンがあるのですが、彼女が浴槽の外に石鹸を落とし、それを取るためにあわやヌードが……というタイミングでどこからともなく手が出てきて、カメラのレンズを覆ってしまう……という展開もメタメタしくて愉快です。