今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

社長シリーズ

松林宗恵(1968)『続社長繁盛記』

製作国:日本
上映時間:90分
監督:松林宗恵
出演:森繁久彌/黒沢年男/小林桂樹/久慈あさみ

昨日ご紹介した『続社長千一夜』(1967)に続き、社長シリーズ第29作の本作をご紹介します。やはり本来ならば正編の『社長繁盛記』(1968)を観てからのほうが内容の通りは良いのですが、手元にないため、本作が先のご紹介となります。

高山物産の社長・高山圭太郎(森繁久彌)の元に、総務部長・有賀(加東大介)がある提案を持ってきます。それは、35歳以上の全社員を対象にした体力測定でした。身体の鍛練は大切だと考えた圭太郎は、早速実施することにします。

一方、第二営業部長の赤間(谷啓)は、香港から来た取引相手の笵(小沢昭一)を圭太郎に引き合わせます。体力測定の翌日、圭太郎は第一営業部長の本庄(小林桂樹)と共に犬山の明治村で開催される式典に出席するために名古屋に向かいますが、体力測定での無理がたたった圭太郎は、式典で腰を痛めて倒れてしまいます。

療養していた圭太郎ですが、本庄営業部長の要請で船舶用レーダーの取引を巡り、香川県の取引先を訪れることに。奥道後の温泉地で取引相手の社長と会った圭太郎でしたが、たまたま温泉を訪れていた妻・厚子(久慈あさみ)と鉢合わせをしてしまいます……というお話です。

『社長繁盛記』を観ていれば分かることなのかもしれませんが、本作で社長秘書を務めている田中(黒沢年男)は本庄部長宅に居候していたり、どうやら前作で少林寺拳法を始めていたりと、『続社長千一夜』とは少し違うキャラクターの様子。

ストーリー自体は相変わらず他愛もない内容。本作の眼目は犬山の博物館明治村や日本ライン、そして香川の奥道後と観音寺周辺の風物のようです。一種の観光映画と言えるかもしれません。

しかし、明治村、観音寺の銭形砂絵、そしてクライマックスで登場する多度津の少林寺拳法本部など、個人的に馴染みある風景が登場して、そう言った意味ではそれなりに楽しめる映画でした。

松林宗恵(1967)『続社長千一夜』

製作国:日本
上映時間:88分
監督:松林宗恵
出演:森繁久彌/黒沢年男/フランキー堺/小林桂樹/加藤大介/三木のり平

以前第4作の『社長三代記』(1958)までご紹介してきた東宝の「社長シリーズ」ですが、今回ご紹介するのは、一旦一気に飛んで第27作の『続社長千一夜』です。これも本来は順番に見ていきたかったのですが、よんどころなき都合で先のご紹介となります。

庄司観光の社長・庄司啓太郎(森繁久彌)は、営業部長の飛田(三木のり平)、開発部長の木村(小林桂樹)などを集め、外国人観光客誘致策を検討していました。飛田は日本の象徴である富士山麓にホテルを建て、そこに外国人受けの良い芸者を呼び集める案を提案します。

そこへ秘書の小川(黒沢年男)が庄司を呼びに来ます。取引先の社長である日系ブラジル人のペケロ・ドス・荒木(フランキー堺)が突然訪問してきたというのです。妻・はるみ(藤あさみ)の里帰りも兼ねての来日というペケロ。ペケロは庄司に強壮剤であるガラナのエキスをプレゼントして去って行きます。

最近少々元気のなかった庄司、ガラナエキスを服用して大ハッスルしようとしますが、そこは社長シリーズのお約束でなかなか上手くはいきません。そこへ、九周へ行ったはずのペケロが一人で帰って来ました。なんと、滞在先のホテルから妻のはるみが家出してしまったというのです。大切な取引相手でもあるペケロのため、庄司と秘書の小川は大阪に飛ぶのでした……というお話。

一応前作である『社長千一夜』(1967)の後日譚的ストーリーではあるものの、『社長千一夜』から引き続き登場するキャラクター(ペケロ・ドス・荒木など)の立ち位置さえ把握してしまえば、前作を見ていなくても見られる作品には仕上がっています。

ぼくが以前見た『社長三代記』では秘書役を演じていた小林桂樹が本作では部長に出世。彼が務めていた秘書役は黒沢年男に引き継がれています。生真面目ながらも軽妙な味があった小林桂樹に比べると、黒沢年男は爽やかな好青年一辺倒で、少々コメディ的なおかしみには欠ける嫌いがあります。

クライマックスの唐突なオチは少々無理矢理感があり、あまりうまい印象は受けませんでしたが、途中の庄司と木村がそれぞれの孫と息子の運動会で騎馬戦を行うシーンはなかなかの面白さ。やはり森繁と小林が組んだシーンには安定した面白さがありました。

松林宗恵(1958)『社長三代記』

製作国:日本
上映時間:86分
監督:松林宗恵
出演:森繁久彌/加東大介/小林桂樹/三木のり平

へそくり社長』(1956)、『続へそくり社長』(1956)と紹介してきた東宝の「社長シリーズ」の第4作(東京映画制作の『おしゃべり社長』(1957)を入れると第5作)。本作と『続へそくり社長』の間には第3作である『はりきり社長』があるようなのですが、残念ながら未ソフト化です。

福原電機工業の二代目社長・浅川啓太郎(森繁久彌)は創業十周年パーティの席で、先代社長・福原(川村黎吉)の偉業を讃えるとともに、近く、アメリカの会社との業務提携のために渡米することを明かします。浅川渡米中の社長代理には、先代社長の未亡人であり会長であるヨネ(三好栄子)の鶴の一声で営業部長の大場(加東大介)が就任することに決まりました。

飄々洒脱な浅川とは違い、質実剛健を旨とする大場は社長就任に大張り切り。浅川時代から続けて秘書を務める長谷川(小林桂樹)は浅川とは違う大場のやり方に当惑しながらも、懸命にサポートします。そんな折、職場では流感が蔓延。大場も朝から調子が悪かったものの、そんなものは気のたるみだと出社。社員に訓示をしようとするのでしたが……

二代目社長に森繁久彌、社長夫人に越路吹雪、秘書・小林桂樹、経理部長に三木のり平、前社長夫人に三好栄子など、それぞれの役名は異なるものの、それぞれの役柄は『へそくり社長』から引き継がれ、相変わらずの軽妙なドタバタコメディを展開しています。社長夫人役は第3作の『はりきり社長』では久慈あさみが演じていたようですが、本作では越路吹雪に戻っています。一方、先代社長の娘役は『へそくり社長』の八千草薫から雪村いづみに変わっています。また、地味なところでは、『へそくり社長』では小林桂樹の婚約者(司葉子)の母を演じていた英百合子が、本作では小林桂樹の母を演じています。

また、本作からレギュラーとなる加東大介が参加。『続へそくり社長』では森繁が出演しないシーンでは少々コメディとしては低調になってしまっていましたが、本作ではそういった部分では加東が活躍し、テンションの下がらないコメディを展開しています。特に加東演じる大場社長代理がインフルエンザをおして社員に訓示するシーンは本作の白眉。抱腹絶倒の名シーンです。

また、本作は東宝初のシネスコープ作品でもあり、また、シリーズを数多く監督することになる松林宗恵が監督を務めた(『へそくり社長』『続へそくり社長』は千葉泰樹、『はりきり社長』は渡辺邦男)という意味でも記念すべき作品と言えるでしょう。

次にご紹介するのは第5作の『続社長三代記』、と行きたいところなのですが、『続社長三代記』はDVD化はされているのですが、レンタルソフトにはなっていないようなので、第6作の『社長太平記』(1959)になりそうです。

千葉泰樹(1956)『続へそくり社長』

製作国:日本
上映時間:90分
監督:千葉泰樹
主演:森繁久彌/小林桂樹/八千草薫/上原謙/越路吹雪

昨日ご紹介した『へそくり社長』(1956)の続編。1956年3月劇場公開と、前作『へそくり社長』が公開された2ヶ月後に公開された本作は、実際の撮影は『へそくり社長』と同時に行われ、それを二つの映画に分けて公開したものです。そのため、スタッフ、キャスト共に基本的に同一となっており、ストーリー的にも二作を通して見て、はじめて完結するという形になっています。

前作のラスト、賞与支給日の社員慰労会で得意の安来節を見せていた田代社長(森繁久彌)。そこに先代社長の妻であり、会長のイネ(三好栄子)がやって来ます。相変わらず社長の貫禄がないことをチクチクつつきながらも、大株主である赤倉(古川緑波)が戦後派の成り上がり者である小野田(上原謙)と組み、会社乗っ取りを画策していることを田代に教え、何とか対抗するようにと発破を掛けます。

田代社長は気が進まないながらも、赤倉と直談判をするため、彼が妻と滞在しているという熱海の旅館に。しかし、そこで赤倉と一緒にいたのは彼の妻ではなく、小唄の師匠である小鈴(藤間紫)でした。そこに赤倉の妻(沢村貞子)と田代の妻(越路吹雪)も押しかけ、ちょっとした騒動に。会社乗っ取りの件も有耶無耶になってしまいます。

東京に戻ってきた田代の元に、先代社長の娘・未知子(八千草薫)が遊びにやって来ました。お婿さん探しを兼ねての滞在だという未知子。そんな彼女でしたが、たまたま田代の秘書である小森(小林桂樹)と訪れたゴルフ場で小野田と出会います。小野田に好意をもつ未知子。しかし、小野田は明和商事の株の買い占めを進めていました。そんな中、また大株主会議の時期が近づいてきました……

巻頭、前作の説明をする森繁久彌の後ろには、先代社長の写真が掛かっています。前作から社長室に掛かっていた写真なのですが、よく見ると、本シリーズの元となったとも言える、『三等重役』(1952)で社長役を演じた川村黎吉の写真なんですね。川村氏自身は、『三等重役』で人気を博した直後、胃ガンのため55歳の若さで亡くなられています。

冒頭の宴会シーンから熱海での森繁久彌と古川緑波のドタバタのシーンはコメディとして文句なしに面白い。ただ、その後の会社乗っ取りのシーンは、小林桂樹が多少絡む程度で、主に八千草薫と上原謙を中心に物語が進行します。そのため、森繁久彌は30分くらいほとんど出てこないシーンが続きます。シリアスな企業ドラマ、或いは恋愛ドラマとして見ればそれなり(ベタベタではありますが)なのですが、矢張り喜劇としては少々退屈するシーンとなってしまっています。この映画に限らず、コメディ部分とシリアス部分の融合というのはなかなか難しい問題ですね。

その後、再び森繁久彌と小林桂樹のコンビのはっちゃけた演技でコメディとしての面白さを持ち直しています。秘書稼業のせいで恋人(司葉子)に振られたと自暴自棄になった小林と、これまたどうせ社長を辞めさせられるのだと自暴自棄になった森繁がやけ酒を飲んで騒いだり、今までの不満を妻である越路吹雪に森繁がぶちまけるシーンはとても愉快。

基本的に森繁と小林の主従はお互いにお互いの事を思いやる温かい関係を構築しているし、また、森繁と越路の夫婦も何だかんだ言って非常な鴛鴦夫婦であることが、本作を温かなものにしていますね。ラストの小林の結婚式から、森繁と越路が連れ立って寿司屋に入るシーンは、前作から続けて見ていると、思わず笑みが溢れる素敵なシーンになっています。

また、上原謙は最初から最後まで彼らしい気障な二枚目キャラでした。

千葉泰樹(1956)『へそくり社長』

製作国:日本
上映時間:83分
監督:千葉泰樹
出演:森繁久彌/小林桂樹/越路吹雪/八千草薫/三木のり平

森繁久彌と小林桂樹演じる社長と秘書の名コンビ、そして三木のり平や加藤大介といった脇を固める名役者の人気によって、33作品(数え方によっては40作品)もシリーズが制作された、東宝の「社長シリーズ」の記念すべき第一作。第4作の『社長三代記』(1958)以降は松林宗恵監督が多くメガホンを取った本シリーズですが、第1作(本作)と第2作は、「サラリーマン目白三平」シリーズなど、これもサラリーマン喜劇を手がけた千葉泰樹がメガホンを取っています。

明和商事の二代目社長・田代善之助(森繁久彌)は、技術や上がりで生真面目だけが取り柄の少々頼りない男。妻であり、先代社長の遠縁にあたる厚子(越路吹雪)にも、どうにも頭が上がりません。今日は会社の大株主会議の日。先代の娘・未知子(八千草薫)も株主会議に出席するため、大阪からやってきました。

田代は気は優しいが少々たよりない秘書・小森(小林桂樹)と共に未知子を空港まで迎えに行き、大株主会議に出席します。途中、株主の赤倉(古川緑波)や小野田(上原謙)の反対もあったものの、未知子のお陰で大株主会議は無事終了。田代と小森はお礼に未知子をお茶屋へと招待します。得意の安来節を披露する田代。すっかり楽しんだ未知子は、それを母(つまり先代の妻)であるイネ(三好栄子)に報告するのですが、それを聞いたイネに田代は、安来節なんて貫禄が無い、社長らしく小唄を習いなさいと言われ、小唄を習いに行くことになります。そして、小唄の師匠・小鈴(藤間紫)と好い仲になりかける田代でしたが、そうは問屋が卸しません。そうこうしている間に賞与支給日が近づいてきました……

後に「偉大なるマンネリ」と呼ばれることになる、森繁久彌の社長役、小林桂樹の秘書役、そして三木のり平の宴会部長役というトリオが初めて見られる作品。大笑いするような面白さはないものの、クスリと笑えるギャグや仕草が随所に散りばめられた、なかなかウェルメイドなサラリーマンコメディです。社長とは言え、妻や先代の大奥様には頭の上がらない「三等社長」という森繁の役どころが絶妙。

また、(当時落ち目であったとは言え)戦前からの有名コメディアンである古川緑波や、『三百六十五夜』(1948)、『霧の音』(1956)などにも主演した二枚目スター・上原謙が敵役として顔をのぞかせるなど、なかなか豪華な出演陣も見どころです。

また、本作だけでは赤倉や小野田が企む会社乗っ取り騒動などの顛末は描かれず、完結していないようです。続編である『続へそくり社長』と合わせてストーリーが完結する、という以降の正・続とは違う(以降のシリーズでは基本的に一本で完結する)作りになっています。

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