今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

監督:鈴木則文

鈴木則文(1975)『少林寺拳法』

製作国:日本
上映時間:87分
監督:鈴木則文
出演:千葉真一/誠直也/佐藤允/小池朝雄

昨日15時頃発生した東北地方太平洋沖地震について、亡くなられた方のご冥福と、行方不明の方の一刻も早い発見、また負傷された方のご回復をお祈り致します。発生当時、ぼくは都内のオフィスビルに居たのですが、非常に強い揺れ、壁の剥離なども発生していました。また、電車の運航停止にも巻き込まれ、ようやく動き始めた地下鉄と、徒歩で深夜3時過ぎ、何とか帰宅することができました。

今日も朝からテレビを見ていたのですが、さすがに心が辛くなってきてしまい、現実逃避的に映画に。というわけで、前置きが長くなりましたが、本日は鈴木則文監督が実在する少林寺拳法の発祥を題材に制作した『少林寺拳法』のご紹介です。

第二次世界大戦末期、後に少林寺拳法を創始することとなる宗道臣(千葉真一)は、中国大陸で特殊工作員として活動していました。敗戦後、復員した道臣は、大阪で子供たちを集め、彼らを教育するとともに雑炊屋を経営しほそぼそと暮らしていました。そこへ、満州で助けた娘・きく(中島ゆたか)もやって来ます。

しかし、道臣は無法を働く地元やくざと諍いを起こし、さらに傲慢な占領軍と喧嘩をしたことから、大阪には居られなくなり、刑務所長(丹波哲郎)の計らいにより、香川県多度津に渡ります。そして、そこで若者たちを集め、少林寺拳法の道場を開いたのでした。特攻くずれの友田(誠直也)や、生き別れた妻を探す小滝(佐藤允)なども仲間となり、少林寺拳法は地元の良質な若者集団して、着々と大きくなっていきました。しかしそこへ、大阪の赤松組(組長を演じるのは小池朝雄)が勢力を拡大しようと食指を伸ばしてきました……

ぼくも学生時代に少林寺拳法を稽古していたので(黒帯二段です)、とても興味深く見てみました。開祖・宗道臣の経歴や何やらにはいろいろ不透明な点はあるものの、非常に拳法が強かった、というのは事実だと思っているので、そこまで違和感はなかったかな。ただ、髭達磨の開祖を千葉真一が演じているのには、何というか……似ていませんよね(笑)

少林寺拳法の宣伝映画という側面もあるとは思いますが、アクション俳優の千葉真一主演ということで、かなりしっかりしたアクション映画になっています。また、権力を傘にきて無法を通すヤクザと警察という描写は反権力思想の強い鈴木則文監督ならでは。なかなかしっかりと見どころのあるドラマに仕上がっていました。

また、アクションシーンにしっかりと少林寺拳法の技法を組み込んでいるところも見どころ。当身をして逆小手からの裏拳など、あぁ、そんな技あったなぁ、と懐かしく見ることができました。オープニングからして拳士たちの天地拳第一系ですし。注意深く観ていると、道場の黒板に龍王拳などの文字も見ることが出来ます。

志穂美悦子も『直撃地獄拳 大逆転』(1974)につづいて、なかなかしっかりとしたアクションを披露しています。

鈴木則文(1972)『徳川セックス禁止令 色情大名』

製作国:日本
上映時間:89分
監督:鈴木則文
出演:名和宏/杉本美樹/サンドラ・ジュリアン/成瀬正孝

東京都の「青少年の健全な育成に関する条例」改定が一部界隈で話題になっていますが、鈴木則文監督がこの一連の流れをどういうふうにご覧になっているのか、非常に興味がありますね。ということで、今回は鈴木則文監督のポルノの中では最高傑作との声もある『徳川セックス禁止令 色情大名』です。

九州唐津の大名・小倉忠輝(名和宏)は女嫌いの武骨者。そこへ徳川家茂の息女・清姫(杉本美樹)が降嫁することが決定されます。家老を始めとする重臣たちは何とか殿の女嫌いを治そうと、出入り商人である博多屋伝右ヱ門(渡辺文雄)に相談します。伝右ヱ門は秘蔵の美妓・サンドラ(サンドラ・ジュリアン)によって忠輝に性の手ほどきをさせます。そこで性の喜びに目覚めた忠輝は、下賤の者にこの楽しみを味わわせるのは勿体無いとばかり、交合禁止令を発令するのでしたが……というお話。

そもそもこの映画が制作されるきっかけの一つとなった出来事が当時現実社会でありました。それは1972年、『愛のぬくもり』、『恋の狩人・ラブハンター』、『OL日記 牝猫の情事』、『女高生芸者』の4本の映画が警視庁によって摘発された事件、通称日活ロマンポルノ摘発事件と呼ばれている事件の発生でした。この映画で「禁令175号」という数字がよく登場しますが、これも実際の刑法175条「わいせつ物頒布等の罪」を揶揄したものです。

と、まぁ、背景を長々と書きましたが、そういうことを抜きにしても、この映画は非常に面白い。一見ばかばかしい主題を大真面目に取り上げ、しかもその裏には現実社会の権力者に対する辛辣な批判が隠されている。その上でそれを笑いに包んだ鋭い脚本と鈴木則文監督のカラッとした演出と反骨精神がブレンドされれば面白くないはずがありません。

この映画の最後では禁令175号は廃止されるのですが、その切欠となるのが愛妾であるサンドラが自らの定めた法によって処刑されてしまったこと。要は、最後まで権力者である忠輝は自分の都合しか考えていなかったのです。結局権力者なんてそんなものだ、という鈴木監督の乾いた視線が見えるような気がしました。

映画の最後に表示される監督からのメッセージを引用して、この項は閉めさせていただきます。

あらゆる生命の根源たる性を支配し管理検閲する事は 何人にも許されない
例え 神の名においてもー

鈴木則文(1972)『エロ将軍と二十一人の愛妾』

製作国:日本
上映時間:92分
監督:鈴木則文
出演:池玲子/渡辺やよい/三原葉子/林真一郎

70年代のポルノ映画のプログラムピクチャーと言えば、日活(途中から社名を「にっかつ」と変更)が打ち出した「にっかつロマンポルノ」が有名です。しかし、何も日活だけがそういった作品を作っていたわけではありません。今回ご紹介する『エロ将軍と二十一人の愛妾』(しかしすごいタイトルだ)のように、東映もポルノ映画を作成しています。時代劇を数多く製作してきた東映ということもあり、セットは非常にしっかりしたもので、役者の演技も様になっています。

監督は任侠物からポルノ映画まで、幅広く映画を作った東映の監督・鈴木則文。ぼくはこの映画が初見なのですが、Wikipediaなどによると、「せめて映画ぐらいは弱い者の味方であってもいいじゃないか、なんて言ったら格好つけすぎかな」といった言葉に象徴されるような、反骨精神を持った監督であるらしく、本作でもそういった鈴木監督の反骨精神が色濃く出た面白い作品に仕上がっています。

新潟の片田舎に生まれた無頼の女好き・角助(林真一郎)は、江戸で一旗上げようと上京する。ちょうどそのころ、十代将軍徳川家治(田中小実昌)が亡くなり、田沼意次(安部徹)の策動により、秀才との名高い一橋家の豊千代(林真一郎・二役)が十一代将軍となることが決まる。しかし、豊千代は本の虫で女を知らない。そこで、家来たちが吉原に連れて行ったのだが、芸者が膣痙攣を起こして離れなくなってしまう。就任の義はもう間近に迫っている。どうしようかと悩む田沼の屋敷に、鼠小僧であるお吉(池玲子)が忍びこみ、角助と豊千代が瓜二つであることを利用した、入れ替わり作戦を提案する。

女好きの角助は大喜びで大奥の女たちに手を出しまくり、懐妊させまくる。だんだんと政治の面白さにも目覚め始めてきた角助。しかし、大奥の下働きをさせていた幼なじみのお菊(渡辺やよい)が、嫌がらせを受けたことから自殺してしまい、少しずつ精神の均衡を崩しはじめてしまう。田沼の配下である岩本に斬りつけられ、意識が朦朧とする中、角助が最後に出した法令は、大奥を政治犯を始めとするすべての囚人に開放するという、前代未聞のものであった。

というような筋書き。結局角助は死に、本物の豊千代が十一代家斉として君臨するわけなのですが、本物の家斉はひとりも世継ぎを残さなかった。つまり、十二代以降の将軍はただの百姓の倅であった角助の血統なのだ、というのがニヤリとさせられる趣向。

要は「王様と乞食」式のお話を江戸時代に持ってきて、そしてエロテイストを加えた感じです。しかし、コネタも色々仕込まれています。中盤で中国からの使節団が送られてくるあたりから、権力に浮かされた角助の行動はヒートアップ。家来を去勢して宦官にしてみたり、田沼意次の母娘を差し出させたり。しかし、「毛沢山語録」ってw 「毛沢山語録」ってww

精神の均衡を崩しはじめた角助が、熱にうなされる中見た夢が新潟の田んぼを楽しそうに歩くお菊の姿だったり、一方で少しずつ権力の虜になってゆく各助の姿を映し出したりと、鈴木監督はなかなか侮れない演出を見せてくれます。監督の反骨精神が色濃く出たラストシークエンスは一見の価値ありです。あ、基本的にはコメディです。

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