製作国:日本
上映時間:83分
監督:田中登
出演:芹明香/花柳幻舟/高橋明/萩原朔美
久しぶりの日活ロマンポルノ。監督は『人妻集団暴行致死事件』(1978)なんかも撮っている田中登。主演は芹明香。一般映画では『仁義の墓場』(1975)なんかにも出演している女優さんですね。
大阪・釜ヶ崎で売春婦をしているトメ(芹明香)は知的障害者の弟・実夫(夢村四郎)と暮らしています。近所に住む母親のよね(花柳幻舟)も四十を過ぎているものの現役の売春婦。トメの近所に住む斉藤(萩原朔美)と文江(宮下順子)は夫婦ではないが二人で稼いで暮らしていました。
しかし、斉藤は会社の金を使い込んでしまい、トメが昔所属していた浅見(高橋明)の店で文江が客を取ることに。そのまま浅見の情婦となる文江。文江のことが諦められない斉藤は、浅見から押し付けられたダッチワイフにガスを詰め、文江もろとも浅見を爆殺するのでした。
一方、トメの母親のよねは妊娠してしまい、堕胎のお金をトメにせびります。しかし、トメが金を出さなかったことから、よねはこそ泥を働き、取り押さえられる騒動の中、流産してしまうのでした。ショックを受けたトメは実夫と関係を持つのでしたが……というお話。
ストーリーはあってないような印象。それよりも、BGMをなるべく排し、生活音だけで釜ヶ崎の情景を捕えようとしている印象を強く受けます。モノクロの映像(クライマックスのみカラー)と手持ちカメラを中心とした撮影は、どことなくドキュメンタリータッチ。
だらだらとなりそうなストーリーですが、中盤の斉藤による浅見爆殺によって、少しは全体が締まって見える感じもしています。浅見を演じている高橋明は、以前紹介した『濡れた荒野を走れ』(1973)なんかにも出演している俳優です。