今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

監督:深作欣二

深作欣二(1976)『暴走パニック 大激突』

製作国:日本
上映時間:85分
監督:深作欣二
出演:渡瀬恒彦/杉本美樹/室田日出男/川谷拓三

深作欣二監督によるアクション・エンタテインメント。公開された年代としては「仁義なき戦い」シリーズのあと、最後の実録ヤクザ映画と言われる『北陸代理戦争』(1977)の前という微妙な時期。深作監督が実録ヤクザものからアクションものに軸足を移していく過渡期の映画と言えます。深作監督は、まぁヤクザものと銀行強盗ものだから、ほとんど似た感じで撮れるよね……と思っていたぼくの予想を裏切ってくれました。もちろんいい意味で。

山中高志(渡瀬恒彦)と関光男(小林稔侍)はコンビを組んで銀行強盗を繰り返していました。名古屋、大津、京都と強盗を繰り返し、最後に神戸の銀行で奪った金を持って、ブラジルに高飛びする積もりです。銀行を襲い首尾よく大金を奪い取った二人。そこまでは良かったのですが、逃走中に光男がトラックに轢かれ、死んでしまいます。山中は何とか逃げ切ったものの、彼の自宅に光男の兄・勝男(室田日出男)がやって来て、金を強請り取ろうとします。

何とか逃げた山中は、バーテンダーをやっていた頃に知り合った女・ミチ(杉本美樹)を連れて逃走します。途中、山中は何度かミチを捨てようとするものの、その度に健気についてくるミチを見捨てることができません。ですが、結局ミチを置いて空港に逃れようとする山中。しかし、そこには勝男が待ち受けていました。揉み合いとなり、警察に駆けつけられ、何とか逃げ延びたものの、大金を失ってしまった山中は、結局ミチの元に戻ってきます。一度はミチを見捨てた罪悪感から、山中は最後の銀行強盗を決意します。狙いは住友銀行。銀行の外には畠野(川谷拓三)の乗ったパトカーが控えているという最悪の状況のもと、彼は銀行強盗を決行するのでした……

序盤は銀行強盗もの、中盤は2人の男女の逃走もの、という、今までの深作監督の映画でもよく見られたようなジャンル。山中とミチの逃走劇を描く傍ら、あまり真面目とは言えない警官・畠野のエピソードや、少年院あがりの整備工・益夫(風戸佑介)が殺人を犯してしまうエピソードなどを織り込んでテンポ良く展開しています。しかし、この時点では彼らのエピソードは直接は交わらず、少々散漫な印象もあります。

しかし、物語が一気に収束に向かうラスト20分以上に渡るカーチェイスシーン。あれよあれよと今まで登場したキャラクターたちが大暴走に巻き込まれていきます。てっきり「暴走パニック 大激突」というのは何か比喩的なタイトルなのかと思っていましたが、文字通り乗用車が、軽トラが、パトカーが、そしてMHK(笑)の報道車までもが暴走してパニックになって大激突してくれました。このパートは比較的コミカルな演出となっており、声を上げて笑ってしまうシーンも多数。

今までぼくが見た深作作品では、こういったタイプの主人公には悲劇的な結末が待っていたものですが、本作では希望の残る明るい終わり方になっています。山中という男は、銀行強盗犯という反社会的なキャラクターなのですが、どこか憎めないキャラなんですよね。また、映画を振り返ってみると、警官の畠野ですら人を跳ね飛ばしているこの映画において、彼は実はひとりも人を殺しては居ないわけです。そういった意味でも、ああいうハッピーな終わり方がぴったりですね。

警官役の川谷拓三は『玉割り人ゆき』(1975)でイチモツを切られてしまう男の役がとても印象的でしたが、本作でもなかなか味のある演技を見せてくれています。また、ミチのホステス時代の客で、彼女に一方的に惚れ込んでいる男を三谷昇が演じ、例によって怪演と言える演技を見せてくれています。

深作欣二(1977)『北陸代理戦争』

製作国:日本
上映時間:98分
監督:深作欣二
出演:松方弘樹/野川由美子/ハナ肇/高橋洋子/千葉真一

最近日本映画というと、ポルノ系か深作監督のヤクザ映画しか見ていない気がします……。ということで本作は深作欣二監督の実録ヤクザ路線最終作となる『北陸代理戦争』です。

刑務所から出所したばかりの川田登(松方弘樹)は、親分である安本富蔵(西村晃)のために苦労したにも関わらず、出所後の冷たい処遇に切れ、安元を雪の中に生き埋めにして脅します。腹を立てた安本は、大阪金井組のヤクザ・金井八郎(千葉真一)の協力を得て、川田を殺しにかかります。

九死に一生を得た川田は、情婦であるきく(野川由美子)の故郷・輪島に身を隠します。一方安本は弟分の万谷喜一(ハナ肇)に跡目を譲り引退します。しかし、一度北陸に入り込んだ金井組は万谷を取り込み、じわじわと勢力を拡大してゆくのでした。

傷が癒えきらない川田でしたが、傷を押して京都で万谷を襲撃。彼を負傷させ、収監されます。出所した川田は、金井組の上部組織にあたる浅田組の重鎮・岡野信安(遠藤太津朗)を抱き込み、北陸から外部勢力の一掃を図りますが……というお話。

深作監督のヤクザ映画は多くの人物がそれぞれの思惑を持って錯綜し、物語が展開していく、いわゆる「仁義なき戦い」系と、組織に馴染めない主人公が暴れまわり、やがて破滅してゆく、いわゆる「人斬り与太」系の作品に分かれるような気がしています(これをTwitter上で発言したところ、それは京都制作と東京制作のカラーの違いなのではないか、という指摘を頂きました。確かに「仁義なき戦い」は京都、「人斬り与太」は東京なので、そういう傾向はあるような気がします)。本作はどちらかというと前者に属しています。

時に激情的に、時に狡猾に、北陸を獲るという目的のためには手段を選ばない川田を中心に、北陸に食指を伸ばす金井や岡野、古いタイプのヤクザである安本や万谷などがそれぞれの目的のために共闘したり、騙し合ったりする、いわば北陸版「仁義なき戦い」と言えます。

オープニング、雪の中に顔だけ残して埋められた安本を、脅しつけ、ジープで轢き殺さんばかりに周囲を走りまわる迫力あるシーンで一気に物語に引きこまれました。雪深い北陸ならではの映像美が印象に残ります。

もうひとつ印象にのこるのは、野川由美子と高橋洋子が演じた姉妹。深作映画の女性って、そこまで印象に残らないのですが、本作ではそれぞれの強かで逞しい女性像が強く印象に残りました。あと、ハナ肇の飄々とした情けない演技も、それはそれで好印象。ああいうキャラクターが大好きです。

深作欣二(1975)『仁義の墓場』

製作国:日本
上映時間:94分
監督:深作欣二
出演:渡哲也/梅宮辰夫/山城新伍/多岐川裕美/池玲子

深作監督が「仁義なき戦い」シリーズを取ったあとに監督した実録ヤクザ映画の一本。主演はよくコンビを組んでいた菅原文太ではなく、渡哲也です。

 戦後の混乱期に、ヤクザ社会の中でもルールを無視して強烈に生きたひとりの男の物語。昭和21年、新宿。ここではテキ屋系の4大勢力が縄張りを分け合っていた。河田組にいた石川力夫は仲間を伴い、“山東会”の賭場を襲い金を奪って逃走した。これをきっかけに石川たちと山東会の抗争が勃発。石川らは山東会をあっさり壊滅させてしまうが……。有名な、妻の遺骨をかじりながら歩くシーンはあまりにも衝撃的。実在の人物をモデルに、渡哲也が狂気と暴力の男を鬼気迫る迫力で演じている。

本作の舞台は広島ではなく東京・新宿。そして、主人公である石川力夫(渡哲也)の戦前から続く仁義に価値を認めない、狂犬のような生き方も相まって、「仁義なき戦い」シリーズよりもむしろ、それ以前に深作監督がメガホンを取った『現代やくざ 人斬り与太 』(1972)や『人斬り与太 狂犬三兄弟』(1972)から繋がっている作品のように感じられました。

古い極道の仕来たりに価値を認めず、かと言って何か新しい価値を見出すこともできず、麻薬に溺れ、どんどん破滅的に身を持ち崩していく石川を渡哲也は熱演しています。ただ、『人斬り与太 狂犬三兄弟』の主人公同様、ここまで筋目も何もない主人公というのは、なかなか感情移入がしづらく、見ていて少々辛いものもあります。彼の苛立ちとか、悲しみは画面からひしひしと伝わってくるのですがね。また、石川の女を演じた多岐川裕美は薄幸そうな演技で映画に花を添えています。

深作欣二(1974)『仁義なき戦い 完結篇』

製作国:日本
上映時間:98分
監督:深作欣二
出演:菅原文太/北大路欣也/小林旭/宍戸錠

今年に入ってちょこちょこと見続けてきた「仁義なき戦い」シリーズもこれにて一旦完結です。一応新シリーズとして『新仁義なき戦い』(1974)からの監督・深作欣二、主演・菅原文太という繋がりのある作品はあるものの、これはあくまで番外編という扱いらしく、本筋はこれにて終了となります。

武田組組長であった武田明(小林旭)は、広島ヤクザの大同団結と、世間の目が厳しくなったヤクザ集団からの決別を図り、政治結社・天政会を結成する。広島の多くの団体が参加したものの、その実態は依然としてヤクザ集団であった。警察の目も厳しくなり、武田は子飼いの松村保(北大路欣也)に会を託す。それを面白く思わない大友勝利(宍戸錠)は、美能幸三(菅原文太)の弟分でもある市岡輝吉(松方弘樹)と組み、村松を狙う。

しかし、村松の差し金によって市岡は殺され、残った大友も逮捕されてしまう。そんな折、拳銃不法所持で逮捕されていた武田が出所し、会長職に復帰。武田、村松、それぞれの思惑が交差する中、長らく収監されていた美能の出所の日がやってきた……という筋書き。

前作まで脚本を務めていた笠原和夫は、前作で「仁義なき戦い」は完結したと考えていたらしく、本作の脚本には携わっていません。確かに、美能たちに「時代は変わった」と言わせた前作で完結でもおかしくはない作りでした。それに、前作だけラストシーンが葬儀関係のシーンではないのですね。そのあたりに、脚本の笠原氏の思いがあるのではないか、とも感じられます。

一方で、本作の最後で美能はついに引退を決意します。美能の一代記を描ききる、というそういった意味では、本作も非常に意味のある作品だと言えます。脚本は変わったものの、監督・主演コンビはそのままなので、しっかりと「仁義なき戦い」テイストは維持していますし。ただ、本作では大部分の時間、菅原文太演じる美能幸三は収監されているため、あまり出番がありません。第二作で主役級の活躍を見せた北大路欣也が熱演を見せてはいますが、やはり菅原文太が出ていないとイマイチ画面が引き締まらないのも確か。群像劇が魅力の本シリーズですが、やはり菅原文太の魅力に支えられていた部分も大きいと感じました。

第二作では千葉真一が演じた大友勝利を、本作では宍戸錠が演じています。年をとって貫禄は増しているものの、相変わらずの狂犬ぶりを見せる大友を、宍戸錠もなかなか好演しています。

深作欣二(1974)『仁義なき戦い 頂上作戦』

製作国:日本
上映時間:101分
監督:深作欣二
出演:菅原文太/梅宮辰夫/小池朝雄/松方弘樹

深作欣二監督がメガホンをとった「仁義なき戦い」シリーズ第4作。途中で文太兄い演じる広能昌三が退場し、少々テンポは落ちてしまうものの、4作目にしてこのテンションを保ち続けているのは流石。

 “仁義なき戦い”シリーズの第4作目。昭和38年春から翌年にかけての、敵対する2つの広域暴力団の代理戦争となった広島抗争を実録タッチで描く。昭和38年春。西日本広域暴力団・明石組とライバル神和会の代理戦争の場と化した広島。明石組系の打本組と広能組、神和会系の山守組の対立は激しさを増し、相次ぐ抗争事件から、市民の批判は高まり、警察は暴力団撲滅運動に乗り出し、“頂上作戦”を敷くのだが……。

前作である『仁義なき戦い 代理戦争』(1973)の直接の続編。第三作で溜りに溜まったテンションが一気に爆発するとともに、物語は終盤に向けて急速に収縮していきます。広能に「もうワシらの時代は仕舞いでェ」と言わせているように、第一作からの登場人物も中堅・幹部となり、少しずつ落ち目となっていく様が描かれます。

本作で注目すべきなのは警察の描かれ方。第一作ではほとんど存在感のないかった警察が、本作では権力の一翼を担う存在として描かれます。第一作の時代から時が流れ、市民社会とマスコミ、そしてそれらをバックに持つ警察の力が徐々に強くなっていったことがわかります。その流れはいまも続いており、平成3年の「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(通称暴力団対策法)の成立につながるわけです。

映画に戻ると、前作のクライマックスで広能が山守(金子信雄)から破門されることでお膳立てが整った山守組と打本勢の対決が本作では描かれます。呉と広島を舞台にしたなかなかスケールの大きな話ではあるのですが、局地戦の連続といった形で、熱気は伝わってくるものの、イマイチ盛り上がりには欠けます。途中、山守の画策によって広能が警察に捕まってしまうため、後半は更に盛り上がりを欠いた展開に。それぞれの組の若い者たちの血気盛んな行動も描かれますが、あくまでも主人公は広能たちであるため、どうにも焦点がぼけてしまっている感が拭えません。

ただ、しっかりと熱気は維持しているので、シリーズ最終作である『仁義なき戦い 完結篇』に期待ですね。

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