製作国:日本
上映時間:61分
監督:春原政久
出演:小杉勇/村田智栄子/菊地義夫/大泉滉
フィルムセンターの「日活映画の100年 日本映画の100年」で内田吐夢監督の『人生劇場』(1936)と同時上映されていた作品。以前このブログでも『うちのおばあちゃん』(1955)という家庭喜劇を紹介したことのある春原政久の、やはり上質な家庭喜劇です。
東北のある小都市に住む音楽教師の小田(小杉勇)には妻・千枝子(村田智栄子)との間に長男良一(菊地義夫)を筆頭に、4男3女の7人の子供たちがいます。四男の輝男(豊田耕路)は音楽が大好きで、アコーディオンの練習をし出すと学校へ行くのも忘れてしまうほど。映画は、そんな7人の子供たちの賑やかな生活を描き出します。話しが進むにつれて、小田が東京の音楽学校の校長に就任する話しが持ち上がったり、住み込みのねえや(竹久夢子)がお嫁に行くことになったり。そしてある日、千枝子の兄弟である伯父(北龍二)が、子供たちの一人を養子にしたいと相談に来るのですが……というお話。
『うちのおばあちゃん』もそうなのですが、本作も大して大きな事件が起こるわけでもなく、子供たちの賑やかな他愛もない日常が描写される家庭喜劇です。本作は『うちのおばあちゃん』と比べても、あまり筋の通ったストーリーがあるわけではないので、少々散漫な印象は受ける部分はあります。ただ、春原監督は子供たちの演出がうまいのか、比較的まとまった画面を作ることに成功しています。
いろんな事件が起こるものの、結局うまくまとまり、明るい結末に終わる、という筋書きは『うちのおばあちゃん』同様のもの。
フィルムセンターの解説では無声短縮版となっているため、本作もオリジナルよりは短縮されている模様。しかし、『人生劇場』ほどの短縮はされていないのか、そこまで違和感は感じませんでした。また、無声版ということはトーキー版もあったということなのでしょうか。音楽一家が題材になっていることもあり、トーキー版があるとすると、かなり印象の違う、賑やかな映画になっているような気がしますね。