製作国:日本
上映時間:86分
監督:古沢憲吾
出演:植木等/重山規子/谷啓/ハナ肇

ハナ肇をはじめとするクレージーキャッツを主演に据えた、東宝のクレージーシリーズの第1作。監督はこの後もクレージー映画を何作も監督することになった古沢憲吾。『社長太平記』(1959)では助監督を務めていたようです。

 東宝によるクレージーキャッツ主演コメディシリーズの第一弾。通称“無責任”ものの一作目でもある。大平洋酒に入社した主人公・平均(たいらひとし)は舌先三寸で周囲の人間を味方に引き入れ、とんとん拍子の出世を果たす。主人公の軽妙なキャラクターと荒唐無稽なストーリーが受け、東宝のドル箱シリーズとなった。

ひたすら明るく、幸せな映画です。主人公の平均(植木等)は、確かに無責任な男ではあるものの、卑しくはなく、一本立ちする気概のある男で観ていてなかなか好感が持てます。クレージーキャッツの面々でキャラが立っているのは、植木等の他にはハナ肇と谷啓あたりでしょうか。その他のメンバーは谷と植木が所属する庶務課の職員役で登場しています。

この映画が面白いのは、サラリーマンの型にはまらない無責任男・平均の行動が、結果的にはまるで組織に頼らず自分の力で生きていく、一匹狼的なキャラクターを生み出している男。当時のサラリーマン社会よりも、むしろ昨今の成果主義的なサラリーマン社会でも成功しそうなキャラクターになっています。しかし、この映画を観ていると、当時の会社というのは(もちろん誇張や脚色は多大にあるとしても)今と比べてのんびりしているように見えますね。