OUR TIME IS UP
製作国:アメリカ
上映時間:15分
監督:ロブ・パールシュタイン
出演:ケヴィン・ポラック/ヴィヴィアン・バン/ジェリー・マイナー

本作も『タクシー』と同じくBS-TBSにて「ショートストーリーズ」という番組で紹介されていた作品です。本作は第78回アカデミー賞短編実写部門にノミネートされています(その年の受賞は『Six Shooter』(2004))。

余命6週間と告知された心理療法士のレナード。ショックを受けた彼は、患者に新治療法を取り入れる。その治療法とは…。
2006年度アカデミー賞短編実写部門ノミネート作品。そして、世界中の映画祭でも上映され、数々の賞を受賞している。

穏当ながら面白みのない人物が、衝撃的なことをきっかけに、思い切ったことをはじめ、それが基で幸せな展開になる、というストーリーとしてはアメリカの長編映画でもよくある筋書きです。この映画が短編として素晴らしいのは、主人公の几帳面ぶりと、余命宣告を受けてショックを受けた描写を、短い時間で端的に見せていること。

オープニングの7時きっかりに目覚ましを止め、順番に従ってスーツ、ネクタイ、靴。決まった時間に決まった雑誌を読みながら食事を取る……この描写があとで、目覚ましがなっても止めず、靴も出しっ放し……といった描写につながります。

映画では彼の病名などはまったく明かされず、実は6週間なんだ、という友人の医者からの電話のみ。無駄を省いたテンポのよさです。映画のあと、彼がどういう生き方(とは言えあと5週間程度ですが)をしていくのか、興味深いです。

個人的には始めは無関心だった庭師と親しく言葉を交わすシーン、荒療治を庭師がしげしげと覗くシーン、そしてレナードが患者たちから感謝されるシーンが印象に残りました。

原題の「Our time is up」というのは、多分セラピストが患者の診察時間が終わった際にかける言葉なんでしょうかね。

主演のケヴィン・ポラックは『ユージュアル・サスペクツ』(1995)、『隣のヒットマン』(2000)なんかにも出演している俳優です。