今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

監督:マリオ・バーヴァ

マリオ・バーヴァ(1967)『黄金の眼』

Diabolik
製作国:イタリア/フランス
上映時間:99分
監督:マリオ・バーヴァ
出演:ジョン・フィリップ・ロー/マリーザ・メル/ミシェル・ピッコリ/アドルフォ・チェリ

日本では『血ぬられた墓標』(1960)や『血みどろの入江』(1970)などのホラー、スプラッターで有名なマリオ・バーヴァが監督したピカレスク・ロマン。息子のランベルト・バーヴァも助監督としてクレジットされています。マリオ・バーヴァという人のフィルモグラフィーを見てみると、実はホラー意外にもSFやら史劇やら西部劇やら、非常に多くのジャンルに渡って映画を撮っているのですが、日本ではホラー以外の作品があまりソフト化されていません。本作も今回はイギリスで発売されたDVDで見ました。

 怪盗ディアボリックが活躍するアクション活劇。司法当局を向こうにまわし、鮮やかな手口で盗みまくる。イタリアの人気コミックの映画化。オリジナル105分。

映画冒頭、怪盗ディアボリック(ジョン・フィリップ・ロー)は輸送中の大金をまんまと盗み出します。その大金を使うでもなく、(あの、雑誌の裏表紙とかによくある広告みたいに)ベッドに敷き詰めてパートナーであり恋人でもあるエヴァ(マリーザ・メル)とお楽しみ、というそういう奇想天外な展開をさらっとやるのがバーヴァであり、また、コミックの映画化ならではの表現。

その後も、イギリス高官夫人のエメラルドのネックレスをエヴァの誕生日プレゼントのために盗み出すわ、アドルフォ・チェリ演じる組織のボス・ラルフに攫われたエヴァを救い出すために、彼もろともスカイダイビングするわ、ジンコ警部(ミシェル・ピッコリ)に捕まりそうになると、エメラルドを銃弾に込めてラルフの土手っ腹にぶっ放すわ、チベットの秘薬で仮死状態になり、まんまと警察のモルグから脱出するわとやりたい放題。最後の最後には20トンの金塊を盗み出し、それがもとでアジトをジンコ警部率いる警察隊に踏み込まれます。そして、金を溶かしていた装置が破裂、ディアボリックは、まるで『情無用のジャンゴ』(1966)のあの人みたいに、全身にどろどろに溶けた金をかぶってしまいますが……

と、全編にわたってさすがコミックが元となっているという感じの少々荒唐無稽な展開。まぁ、見ているほうはそういう映画だと分かって見ているわけで、ディアボリックが警官隊の裏を欠くさまをワクワク見ていることになります。

さすがにバーヴァは卒のない演出で画面をだらけさせません。また、ナイトクラブのシーンの照明や色彩の使い方にはバーヴァらしさを見て取ることができます。その他にも、ラルフがエヴァの似顔絵を描かせるシーンなどにもサイケでポップな画作りを見ることができます。

主演のジョン・フィリップ・ローはマカロニウエスタン『新・夕陽のガンマン/復讐の旅』(1967)ではリー・ヴァン・クリーフと共演していた俳優。あまり器用なタイプではありませんが、ハンサムで目力があり、基本的にいつも余裕そうな顔をしていればいいディアボリックはなかなかのはまり役と言えます。フランス出身のミシェル・ピッコリはブリジット・バルドーと共演した『軽蔑』(1963)あたりが有名ですが、本作では『軽蔑』と比べるとかなり老けたメイクで、ベテランの警部を演じています。アドルフォ・チェリは何と言っても『007/サンダーボール作戦』(1965)が有名でしょう。

そんな感じで意外と豪華な出演者がそろったなかなかの快作です。一言で言うならば、不二子ちゃんがルパンにべた惚れな、イタリア版ルパン三世って感じですかね。やってることは本家よりちょっとハードな気もしますが。いや、そんなこともないかな。

マリオ・バーヴァ(1970)『ロイ・コルト&ウィンチェスター・ジャック』

ROY COLT E WINCHESTER JACK
製作国:イタリア
上映時間:81分
監督:マリオ・バーヴァ
出演:ブレット・ハルゼイ/チャールズ・サウスウッド/マリル・トロ/テオドロ・コッラ

昨日紹介した『デモンズ』(1985)を監督したランベルト・バーヴァの父であり、モダン・イタリア・ホラー映画の第一人者でもあるマリオ・バーヴァが監督を務めたマカロニウエスタン。主人公の片割れ、ロイ・コルトを演じるのは『野獣暁に死す』(1968)にモンゴメリー・フォードの変名で主演したブレット・ハルゼイ、もう一人の主人公ウィンチェスター・ジャックを演じるのは『荒野の無頼漢』(1970)での胡散臭いロシア人バウンティ・キラー役が印象に残るチャールズ・サウスウッドです。

ロイ・コルト(ブレット・ハルゼイ)とウィンチェスター・ジャック(チャールズ・サウスウッド)は二人でコンビを組み、盗賊団の頭をしていました。しかし、盗賊稼業も不景気となり、ロイは一味を去って「真面目な稼業」を探しに行きます。ロイが見つけた真面目な稼業、それは銀行家・サムエル(ジョルジオ・ガルジューロ)の用心棒でした。

サムエルにはひとつの秘密がありました。それは黄金の在処を示す宝の地図。彼の宝の地図をロシア帰りの盗賊・レベレンド(テオドロ・コッラ)とジャックが狙います。二人に襲われたサムエルは宝の地図を奪われてしまいます。サムエルは、ロイに彼ら二人から黄金を守るよう依頼するのでした。

一方のロイはレベレンドとジャックの間をうまく立ち回り、黄金の一人占めを狙います。しかし、ジャックの情婦でもある強かなインディアン女性・マニラ(マリル・トロ)が間に入り、彼女と黄金を巡る三つ巴の争いは昆明を深めていくのでした……というお話。

基本的にのんびりと、弛緩した空気で展開するコメディカルなストーリーです。ホラーの第一人者としてのバーヴァの片鱗はほとんど窺えません(強いて言えば、屋内シーンの照明くらい?)。これは、敢えて狙って弛緩した空気にしているのか、はたまたバーヴァのやる気がなくやっつけ仕事だったのか、それともホラーの第一人者もマカロニは勝手が違ったのか、少々悩むところ。

チャールズ・サウスウッドは『荒野の無頼漢』同様、底抜けに陽性の性格を持つジャックというキャラクターを楽しげに演じています。一方、『野獣暁に死す』ではぬぼーっとした印象があったブレット・ハルゼイが、強かなオヤジを好演していたのが少々意外でした。

ダイナマイトによる爆発をふんだんに使った銃撃シーンも多いのですが、何故か雰囲気がユルいんですよね……。このノリも嫌いではないのですが。コメディとして一番面白かったのは、中盤、ウィンピィ・シティの酒場を舞台にしたドタバタでした。

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