今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

監督:バスター・キートン

バスター・キートン/エドワード・F・クライン(1920)『キートンのマイホーム』

One Week
製作国:アメリカ
上映時間:25分
監督:バスター・キートン/エドワード・F・クライン
出演:バスター・キートン/シビル・シーリー/ジョー・ロバーツ

今回は予定だとD・W・グリフィスの『散り行く花』(1919)をご紹介するつもりだったのですが、ちょっと疲労がたまっていてヘビーな長編に体が耐えられなさそうだったので、代わりにバスター・キートンによる抱腹絶倒の短編喜劇をご紹介します。

 新婚のキートンは、新居建築を約束し求婚したため、低予算の組立住宅を購入。自力で組み立てようとするが、恋敵が建材の番号を3を8、1を4というように書き変えてしまい、妙ちきりんな多角形の家ができ上がってしまう。床は傾き、洗面台が外壁についた暮らしにくい家だが、とりあえず、新築祝いのパーティを開く。しかし、常軌を逸した家に客たちは大混乱。そのうち暴風雨が襲って家は回転しだし、哀れ遠くに吹き飛んでしまう。これを荷車で引いて元の場所に戻そうとしたキートンだが、線路で立ち往生して、突進してくる汽車に木っ端みじんにされてしまう。そのアナーキーな結末において永遠に記憶されるべき、キートン初期短編の傑作。

「文化生活一週間」という別タイトルのとおり、月曜日に結婚したバスター・キートンが、次の日曜日までに経験するドタバタが、日めくりカレンダーをめくるシーンを挟み込んで1日ごとに紹介される作りの映画です。

ストーリーとか見所はAllcinemaの解説にほぼ全部書かれているため、ぼくから付け加える内容は正直あまりありません。ただ、上の解説には事実誤認があり、家について哀れ遠くに吹き飛んでしまうとあるのは誤り。元々キートンは叔父から99番の土地を貰ったのですが、看板が上下逆さまになっていたために、間違って66番の土地に家を建ててしまっていました。それが土曜日に分かり、日曜日に一生懸命移動させようとした、というのが本当のところ。また、洗面台が外側についたとありますが、一応その後に壁を回転させているので洗面台は内側に移動してます。

キートンの体張りっぷりは相変わらずものすごく、見ていて腹を抱えて笑いながらもハラハラしてきます。本作ではキートンの他にも妻役のシビル・シーリーもなかなか体を張ったシーンがあり、その辺も見所のひとつ。

途中、シビル・シーリーの入浴シーンがあるのですが、彼女が浴槽の外に石鹸を落とし、それを取るためにあわやヌードが……というタイミングでどこからともなく手が出てきて、カメラのレンズを覆ってしまう……という展開もメタメタしくて愉快です。

エドワード・F・クライン/バスター・キートン(1922)『キートンの北極無宿』

THE FROZEN NORTH
製作国:アメリカ
上映時間:17分
監督:エドワード・F・クライン/バスター・キートン
出演:バスター・キートン/ジョー・ロバーツ

日本では劇場未公開のようで、Allcinema Onlineにも記載されていないのですが、ぼくが見たDVDには『キートンの北極無宿』のタイトルで収録されていました。西部劇テイストの本作にはなかなかピッタリのタイトルですが、「北極」ってまたすごいですね。監督はキートンと、彼と多くの作品で組んだエドワード・クライン。

雪深い北国に住むキートン。繁盛している酒場を見つけた彼は、ある方法で強盗を働こうとします。しかし、そのカラクリを見破られ、這々の体で酒場を逃げ出すキートン。彼が家に辿り着いてみると、そこには妻と浮気相手の姿が……。怒りに駆られたキートンは、妻と浮気相手を後ろから撃ち殺してしまいます。しかし、よく確かめるとそれは妻ではありませんでした。実は彼は家を間違えてしまったのです。

今度こそ家に辿り着いたキートンですが、妻と言い争いになった上、妻は高いところに置いてあった瓶で頭を強打して死んでしまいます。なんとか保安官をごまかしたキートン、今度はお隣の美しい夫人にちょっかいを出すのですが……というお話。

西部劇テイストの作品なのですが、キートンが雪国の町に戻ってくるのに地下鉄を使い、オープニングはキートンが地下鉄の出口を出てきたところ、というのが面白い。

また、他の作品と比べ、本作のキートンは一味違います。多くの作品での彼は、善人とは言えないまでも根っからの悪人ではない、どちらかと言えば小市民的な役柄が多いのですが、本作のキートンは強盗はするわ人を躊躇いもなく撃ち殺すわ、妻が死んだのを放っておいてお隣さんに言い寄るわで根っからの悪人です。

一方で、細かなギャグは他の作品と動揺のスラップスティックなものなので、ブラックなストーリーとは少々乖離している感じもしてしまいます。

ラスト・シーンは、キートンにしてはあまりにブラックなストーリーにしてしまったので、こうするのも致し方ないかなと思うところです。これを見た当時の観客は怒りだしたのか、それとも安心して劇場を後にしたのか気になるところですね。

バスター・キートン(1922)『キートンの鍛冶屋』

THE BLACKSMITH
製作国:アメリカ
上映時間:1920
監督:バスター・キートン
出演:バスター・キートン/ヴァージニア・フォックス

またまたバスター・キートン監督・主演の短編喜劇のご紹介。本作ではマルコム・セント・クレアがキートンとともに監督をつとめており、エドワード・F・クライン作品とはまた少々異なった味わいを出しています。

 鍛冶屋の丁稚キートンは、自分の靴に蹄鉄を打ってみて足裏を火傷しかけたりと、ドジの連続で親方を呆れさせていた。ある日、訪れた白馬の美女にポーっとなり、その馬の世話をしようと近づいて、それまで修理していた車に“嫉妬”され、顔面油まみれ。手も真っ黒で馬を触ったものだから、おかしな“芸術”が彼の片腹に描かれてしまった。続いてやって来た、鞍の交換を所望するお嬢さんには、馬が跳ねる度その勢いを倍加させるバネ付きの妙ちきりんな鞍をつけ、令嬢は思わぬアクロバット……。このキートン青年が町へ出たものだから、迷惑の輪は拡がるばかり。だが、騒動に巻き込んだ白馬の美女を急場で救って、そのまま二人、ハッピー・エンドと思いきや……。キートンにしてはストレートな笑いもまた好ましかりき--と見終えようとした矢庭の、軽妙な仕掛にニンマリさせられる痛快短篇。

冒頭の鍛冶屋の看板(蹄鉄のかたちをしているが、実は巨大なU字型磁石である)を使ったドタバタが非常に面白く、映画のつかみとして素晴らしい。その後、親方は警察署に連れて行かれてしまい、その間にキートンの鍛冶屋を訪れるお客たちとキートンの遣り取りが描かれるのですが、ここは少々やり過ぎ感も漂います。

クライマックス、「普通の映画ならここでハッピー・エンドですが……」との字幕が出てからの二段落ちには、少々驚かされました。

鍛冶屋の親方役を演じたジョー・ロバーツは『バスター・キートンの 華麗なる一族』(1922)のキティの兄弟の一人を演じていた巨漢です。

バスター・キートン(1922)『バスター・キートンの 華麗なる一族』

MY WIFE'S RELATIONS
製作国:アメリカ
上映時間:20分
監督:バスター・キートン
出演:バスター・キートン/ケイト・ブライス/モンティ・コリンズ

先ほどご紹介した『キートンの警官騒動』(1922)に引き続き、同年に製作されたバスター・キートンが監督・主演を務めた短編喜劇。本作は日本では劇場公開はされていないようです(特集上映などは除く)。

 パン生地を練っていたキートンは伸びたそいつで縄とびを始め、ちょうどやって来た郵便屋に絡みつけて甚大な被害を与えた。彼の落した一通の封筒を台無しにして引っ込みつかないキートンはそれを懐に……。その騒ぎが飛び火して、おっかない行かず後家の部屋の窓ガラスを割ってしまったキートンは判事の元に連れて行かれるが、この判事、ポーランド語しか話せず(!)、先に予約してきた結婚するカップルと彼らを勘違い。どさくさに結婚の誓約を交わしてしまったキートンは、彼女の実家に連れていかれる。そこは父をはじめ四人のむくつけき兄たちが住む男所帯。全員に小突き回される荒っぽい歓迎を受け、マッチョな品定めをされ、夕食の卓に着くと、今度は座りながらもすっかり給仕役で、自分は食事にありつけないキートン(珈琲に砂糖を何ヶも入れる兄に呆れて、逆に砂糖つぼに珈琲を入れてやり、感謝されるのがおかしい)。だが、やがて、内ポケットの手紙を女に発見され、一家の態度は豹変する。それは莫大な財産相続の伝聞だったのである。急に、蝶よ、花よ--の扱いになり、一家は結婚お披露目のパーティを催してくれた。振舞われるのは、新婦ご自慢の密造ビール。そこに入れるよう頼まれたイースト菌を、キートンは間違えて入れて、宴もたけなわの時、屋敷中が泡だらけに。と、手紙の宛先が彼でないことも発覚し、一族郎党、彼をこらしめようと血眼になるが……。その突拍子もない“きっかけ”のシュールさが、後のマルクス兄弟のギャグを想わす、キートンの初期短篇の傑作。蚊とんぼのようにか細いキートンが、暴力にも近い、荒くれ男たちの食事風景に圧倒される様が妙におかしい。

ストーリーはAllcinema Onlineの解説にある通り。本作は映画序盤からキートンの魅力全開のノンストップ・スラップスティック・コメディ作品に仕上がっています。パワフルな女房キティ(ケイト・ブライス)を筆頭に、4人のマッチョ兄弟たち、そして頑固な父親を相手に家の中の小道具を使い逃げまわり走り回るキートンの姿が非常に魅力的。

また、4人の兄弟たちもこの時代の映画のわりにはなかなかキャラクターが立っており、そういった点も見ていて楽しめます。

バスター・キートン(1922)『キートンの警官騒動』

COPS
製作国:アメリカ
上映時間:20分
監督:バスター・キートン
出演:バスター・キートン/ヴァージニア・フォックス/ジョー・ロバーツ

バスター・キートンが監督・主演した比較的初期の短編作品。Allcinema Onlineには記載されていませんが、キートン映画でよく監督を務めたエドワード・F・クラインが本作にも監督としてキートンと共に関わっているようです。

 稀代の奇術師フーディニの“愛は錠前屋をあざける”との格言がタイトルの後に続き、金持ちの令嬢を好きになったキートンは、彼女にピシャリとその家の門を閉められ、“立派な事業家になったら結婚してあげる”と言われ愕然とする。フラフラと町に出た彼は、タクシーを拾おうとする紳士の落とした財布を拾って、彼に返そうとするが何度か渡し損ねて中身だけ貰ってしまう。そして、その大金に目をつけた詐欺師が、引っ越しで今から運ばれようという家具を、持ち主のいない隙に彼に泣きついて無理矢理買わせる。そして、キートンは近くの吊しの洋服露地商の値札を、その前に停めてあった馬車の値段と勘違いして、わずか5ドルでそれを手に入れ、家具を満載して出発。手信号に噛みつく犬をボクシング・グローブで撃退し、横着してマジック・ハンドで合図していたら、交通整理の巡査を殴り倒していた。やがて、馬車は警官の大パレードに突入。折悪しく、その荷台の上で過激派の爆弾が炸裂したため、キートンは何百という警官に追われるハメになるのだが……。サイレント喜劇作家に共通してあった、警官への畏れと嘲笑をアナーキーに笑い飛ばす、短篇期のキートンの、どこか“わらしべ長者”を思わすような物語展開の快作だ。

勘違いが元でとんとんと色々なものを手に入れてゆく前半はどこかのんびりとしたテンポで物語が進んでいきます。笑いどころはそこまで多くありませんが、解説にもあるマジック・ハンドのくだりはクスリとさせられます。

後半の警官大パレードに突入してからの爆発事件、そして大量の警官隊に追われるキートンのスラップスティックな逃走劇は非常に見どころたっぷり。スラップスティックの喜劇王の面目躍如といったところです。

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