TINKER TAILOR SOLDIER SPY
製作国:イギリス/フランス/ドイツ
上映時間:128分
監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:ゲイリー・オールドマン/コリン・ファース/ベネディクト・カンバーバッチ/トム・ハーディ

ジョン・ル・カレのスパイ小説『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』(最近新訳が刊行されました)の映画化作品。原題は小説と同じですが、邦題はなぜか意訳されています。「裏切りの」はともかくとして、「サーカス」が英国諜報部を指す、というのは少々分かりづらいような。監督は『ぼくのエリ 200歳の少女』(2008)(これも邦題が少々残念)のトーマス・アルフレッドソン。

 1979年に英国BBCでドラマ化されたジョン・ル・カレの傑作スパイ小説『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』を「ぼくのエリ 200歳の少女」のトーマス・アルフレッドソン監督で映画化したサスペンス・ドラマ。東西冷戦下の英国諜報部<サーカス>を舞台に、ソ連の二重スパイをあぶり出すべく繰り広げられる緊迫の頭脳戦とスパイの世界に身を置く男たちの過酷な生き様を、ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、ジョン・ハートら英国が誇る実力派俳優陣の豪華競演とストイックな演出でスリリングかつ緊張感いっぱいに描き出す。
 英国のMI6とソ連のKGBが熾烈な情報戦を繰り広げていた東西冷戦時代。英国諜報部<サーカス>のリーダー、コントロールは、長年組織に潜んでいるソ連の二重スパイ“もぐら”の情報を掴むも独断で作戦を実行して失敗、責任をとってサーカスを去る。コントロールの右腕で彼とともに引退した老スパイ、スマイリー。ある日、英国政府のレイコン次官から“もぐら”を突き止めろという極秘の指令が下る。ターゲットとなるのは、コードネーム“ティンカー”、“テイラー”、“ソルジャー”、“プアマン”という4人の組織幹部。さっそく信頼を置くかつての部下ピーターらと組み、調査を開始するスマイリーだったが…。

ぼくは残念ながら原作は未読なのですが、2時間ちょっとという尺の中にあれだけの内容をよく納めたな、という印象。一方で、映画の尺に収めるために原作の内容をかなりそぎ落としているようで、少々説明不足に感じられるシーンも多々あります。

全体としては、地味ながら非常に緊迫したスパイ映画です。老いて諜報部「サーカス」を解雇された元諜報員スマイリー(ゲイリー・オールドマン)が、こちらも解雇された昔の上司コントロール(ジョン・ハート)の越した最後の事件を追うストーリーはとてもスリリング。時折挿入される古き良き時代のサーカスのシーンも味があります(特にラスト・シーンで流されるパーティのシーンは感傷的ながら美しい)。

しかし、ゲイリー・オールドマンももうこんな役を演じる年になっていたんですね。どうにも『レオン』(1994)の印象が強く、いつまでもあのころのイメージで見ていました。