今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

監督:セルジオ・コルブッチ

セルジオ・コルブッチ(1969)『スペシャリスト』

GLI SPECIALISTI
製作国:イタリア/フランス/モナコ/西ドイツ
上映時間:96分
監督:セルジオ・コルブッチ
出演:ジョニー・アリディ/フランソワーズ・ファビアン/ガストーネ・モスキン/マリオ・アドルフ

セルジオ・コルブッチ監督が『殺しが静かにやって来る』(1968)に引き続いて監督したマカロニウエスタン。本作のあとは『ガンマン大連合』(1970)を監督し、その後はコメディ色の強いマカロニウエスタンへと転向していきます。そういった意味で、コルブッチが作った最後の正統派マカロニウエスタンと言えるかもしれません。……まぁ、これを正統派と呼ぶかどうかも、難しいところですが。

 「続・荒野の用心棒」の鬼才S・コルブッチ監督が、人気歌手J・アリディを主演に迎えたマカロニ・ウエスタン。ブラック・ストーンに一人の男が帰ってきた。彼は昔、銀行強盗の濡れ衣を着せられて縛り首にされた男の弟で、兄の敵を取るために再び舞い戻ってきたのだ。彼は貪欲に事件の真相を調査、やがて隠された真実が……。

本作は『殺しが静かにやって来る』同様、フランスの俳優(というか、ジョニー・アリディはロック歌手ですね)に迎え、同様にイタリアとフランスの国境地帯でロケをしています。マカロニウエスタンはスペインのアルメリア地方で撮影されることが多いのですが、ユーゴスラビアやフレンチ・アルプスで撮影された作品もあり、(単に低予算である場合もあるのですが、明確な目的がある場合)アルメリアよりも寒々とした風景が特徴的です。

本作ではジョニー・アリディは黒ずくめのファッションに鎖帷子を着込んで現れます。鎖帷子を着たマカロニウエスタンの登場人物というのも、本作くらいではないでしょうか。

Allcinemaの解説では、兄が縛り首にされた、とありますが、実際はブラックストーンの人々によるリンチを受けて兄は殺されています。しかも、町のある人物に仕組まれての殺害。ここからも分かるように、非常に陰鬱なストーリーが展開されます。クライマックスも、『殺しが静かにやって来る』と比べると、一応は典型的なマカロニウエスタンに近くはなっていますが、独特の余韻があります。

マカロニウエスタンならではの、観たあとの爽快感には少々欠ける作品ながら、コルブッチ一流の暗いユーモアがクライマックスを始めとした随所に見られ、コルブッチファンには必見の作品となっています。

セルジオ・コルブッチ(1973)『進撃0号作戦』

CHE C'ENTRIAMO NOI CON LA REVOLUZIONE?
製作国:イタリア
上映時間:103分
監督:セルジオ・コルブッチ
出演:ヴィットリオ・ガスマン/パオロ・ヴィラッジョ/エドゥアルド・ファヤルド/レオ・アンチョリス

セルジオ・コルブッチ監督によるメキシコ革命3部作の最後の作品。ちなみに、残りの2作品は『豹/ジャガー』(1968)と『ガンマン大連合』(1970)。この3部作のうち、実は本作だけは日本版のDVDが発売されていません。今回は幸運にもさる方のご厚意により、日本語字幕付きのバージョンを鑑賞することができました。

 メキシコ革命時代、混乱の最中を共に過ごした二人の男の物語。カトリック教会のイタリア人神父アルビーノ(ヴィラッジョ)は政府軍に捕らえられ、牢獄の中、刻々と迫る銃殺の順番を待っていた。その時、鉄格子の向こうに兵隊に連行されていく、かつての友の姿が……。監督は「続・荒野の用心棒」のS・コルブッチ。

一応このブログの慣習に則りまして、Allcinema Onlineから解説を引いてきました。しかし、これでは本作のストーリーはまったくわかりませんので、ちょっとしたあらすじを書いてみます。

アメリカ西部の街で旅芝居の一座を率いているイタリア人グイド・グイディ(ヴィットリオ・ガスマン)。ある日、彼のもとにペピーノ(リカルド・ガローネ)と名乗る男がやって来ます。彼はグイドにメキシコの街ヴェラクルスでの公演を依頼し、大金の前金を置いてゆきます。意気揚々とメキシコに向かうグイディ一座。同じ汽車にはヴェラクルスにやって来る枢機卿を迎えるために彼の地へ向かう神父アルビーノ(パオロ・ヴィラッジョ)の姿もありました。

生真面目なアルビーノと坊主嫌いのグイドはお互いに反発し合います。そしてついにグイドの舞台が幕を開けました。客席は大入り満員。そして劇がクライマックスに差し掛かったとき、カラスコ将軍(レオ・アンチョリス)率いる突如革命軍が部隊に突入してきます。実はグイディ一座は革命のための武器を輸送する隠れ蓑として使われていたのでした。一座ともはぐれ、革命軍と政府軍の激戦の中を逃げ惑うグイド。街中でアルビーノと鉢合わせた彼は、ひょんなことから力を合わせて逃げ出すことに。それからは、ケンカしたり仲直りしたりしながら、メキシコの荒野をときに政府側に脅され、ときに革命軍側に脅されしながら放浪することになるのでした……というようなお話です。

メキシコ革命3部作のうちの前2作は革命側のメキシコ人と武器を売る外国人、という同様の構図だったのに対し、本作の主人公は二人とも異邦人たるイタリア人(そういえば、マカロニウエスタンでイタリア人がイタリア人を演じているのって、珍しい気がします)。しかも、二人とも自分から望んで革命に飛び込んだわけでもなく、完全に巻き込まれ型だというのが、本作の大きな特色です。そして、彼らはほとんど最後まで特定の勢力に付くわけでもなく、ふらふらと荒野を彷徨い続けます。「部外者なもので」というグイドの言葉がとても印象的。

前2作では基本的に革命側に立った描写だったのですが、本作では(比較的革命よりではあるものの)外部の目線で描かれるため、革命に不安を感じ自殺した老夫婦や、革命に巻き込まれて殺された貧乏人たち、そしてインディオたちなどが描写され、単に「革命万歳!」という映画になっていないのが、とてもコルブッチ的。「金持ちは自殺し、貧乏人は殺される」という台詞にもそれが表れています。

コメディとしても非常に面白く、コルブッチ作品の中では(晩年の現代劇まで含めて)コメディとシリアスのバランスが極上の割合で混ざり合った傑作ではないでしょうか。特に、グイドを演じるヴィットリオ・ガスマンとアルビーノを演じるパオロ・ヴィラッジョの、のっぽとチビという好対照が絵的にも非常に面白く、その二人が漫才のようなやりとりをしながらストーリーが進んでゆくので、面白くないわけがありません。

もちろん、コルブッチらしい熱い銃撃戦も盛りだくさんですし、男泣きの熱いクライマックスも用意されており、従来のコルブッチファンの期待も裏切りません(クライマックス的には『ガンマン大連合』寄りかもしれません)。個人的には今まで見てきたマカロニウエスタンで、もっとも胸が締め付けられるクライマックスでした。泣きそうになりました。

音楽は非常にのんびりとしたというか、悪い意味ではなく間の抜けた牧歌的な音楽が中心。特に、ビョーンビョーンという口琴のようなBGMに乗って、ロバを引いた老人が歩いてくるシーンのシュールさは、ソビエトが誇る傑作SF『不思議惑星キン・ザ・ザ』(1986)を彷彿とさせました。いや、何となくなんですが。

セルジオ・コルブッチ(1964)『ミネソタ無頼』

MINNESOTA CLAY
製作国:イタリア/フランス/スペイン
上映時間:95分
監督:セルジオ・コルブッチ
出演:キャメロン・ミッチェル/ジョルジュ・リヴィエール/フェルナンド・サンチョ/エセル・ロホ

このブログでも度々取り上げているマカロニウエスタンの巨匠セルジオ・コルブッチ監督によるマカロニウエスタン。彼の代表作である『続・荒野の用心棒』(1966)よりも更に2年前の作品であり、マカロニウエスタン全体の歴史から見ても初期の作品です。ちなみに、セルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』(1964)は本作よりも少し前の作品であるようです。

 無実の罪で投獄されたミネソタ・クレイ。彼の無実を知る保安官のフォックスを探すため脱獄するが、彼の視力は日に日に弱っていた。だが、フォックスこそが彼を罪に陥れ妻をも殺した犯人だと判明する。復讐を誓ったクレイは、失明寸前の身で単身闘いを挑む。見どころは、目が見えないことを逆手に取って、敵を暗闇に誘い出し、足音や撃鉄を引く音などを頼りにクレイが次々と相手を倒すクライマックス。

DVDジャケットの煽り文句には「西部の“座頭市”」とありますが、本作の主人公であるミネソタ・クレイ(キャメロン・ミッチェル)は映画序盤では視力は落ちているものの弱視レベルですし、クライマックスでも完全失明状態ではありません。そう言った意味では後に作られた『盲目ガンマン』(1971)のほうが、「西部の“座頭市”」には相応しい。

未だ「マカロニの文法」が固まりきっていない時期の作品ながら、かつての仲間に裏切られて無実の罪で収監されていた主人公、復讐のため絶対的に不利な状況で一人で立ち向かう主人公、などのマカロニ的な要素がふんだんに見られる秀作。コルブッチの作品の中では、この2年後に作られた『リンゴ・キッド』(1966)のほうが、むしろアメリカ産西部劇風なのが面白いところ。制作環境の違いでしょうね。

主人公のミネソタ・クレイを演じたキャメロン・ミッチェルはアメリカ出身。サンダル史劇の時代にイタリアに渡り、何作もの映画に出演していたようですが、マカロニウエスタンの主演はほとんどありません。少々濃いめの顔立ちながら、アメリカ的な彼の風貌は、確かにマカロニウエスタンとは少々ベクトルが違うようにも感じられました。多くのマカロニウエスタンの主人公よりも、少しだけ年齢が上の設定なようなのも、原因のひとつかも知れませんが。

フェルナンド・サンチョ演じるメキシコ人たちに小屋を囲まれての大銃撃戦にも、後のコルブッチ節(とりあえず死体はいっぱい転がしとけ)が垣間みられますし、ラストのほぼ盲目になったクレイとフォックス(ジョルジュ・リヴィエール)一味との戦いの息詰まる演出、そして小道具の使い方も気が利いており、最後まで飽きさせない一作となっています。

DVDには、アメリカ公開版(日本で劇場公開されたときもアメリカ公開版だったらしい)のエンディングと、イタリア版のエンディングの両方が入っていますが、まったく違う印象を与えられますね。個人的にはカラッとしたイタリア版のほうが好きです。

セルジオ・コルブッチ(1974)『ザ・サムライ/荒野の珍道中』

SAMURAI
製作国:イタリア
上映時間:105分
監督:セルジオ・コルブッチ
出演:ジュリアーノ・ジェンマ/トーマス・ミリアン/イーライ・ウォラック

別題として「IL BIANCO, IL GIALLO, IL NERO」(白いの、黄色いの、黒いの)というタイトルもあります。なんだかセルジオ・レオーネ監督の名作『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(1966)(IL BUONO, IL BRUTTO, IL CATTIVO)を連想させるタイトルですね。監督は数々の名作マカロニウエスタンを手がけたセルジオ・コルブッチ。主演はマカロニウエスタンを代表するスター、ジュリアーノ・ジェンマとトーマス・ミリアン。そこに『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 』で「ずるい奴」を演じたイーライ・ウォラックとくれば、名作の臭いがぷんぷんします。臭いはぷんぷんするのですが……

ちょ~バカなマカロニウエスタン。インディアンに扮した列車強盗に、日本の将軍様(英語ではジャパニーズエンペラーと言っているが…?)からアメリカの新大統領に献上された小馬が誘拐されてしまう。馬の身代金を運ぶ大役に抜擢されたのは、通称ブラック・ジャックと呼ばれている割には意外とマヌケで恐妻家のギデオン保安官。小馬の世話係でサムライに憧れるサクラは、自分のミスで小馬が誘拐された事を悔やみ、自力で奪いかえそうとするが、保安官に止められる。身代金を横取りしようと付け狙うのは、通称スイス・チーズと呼ばれるヤサ男の無法者。途中、悪党の陰謀と戦いながらの、三人のドタバタ珍道中の始まり始まり~。
こんなにすっとぼけてておもしろいのに、なんでこの作品知ってる人って少ないんだろ。日本人をギャグネタに使ったのが裏目に出たのか? なんでサムライが旅行中に鎧兜を着ているのかとか、サクラ(男性)がどー見ても日本人に見えない(ま、ハーフって設定だけど)とか、サクラのしゃべる日本語&英語がむちゃくちゃで、とにかく笑える。道中寄った村で村人達を悪人から助けるために、三人が女装して酒場に潜り込むシーンはイチオシ!

どうしてこうなった! どうしてこうなった! Allcinema Onlineの解説がはっちゃけ過ぎててどうしよう、という感じですが、まぁ、全編こんな感じの映画です。後年の現代どたばたコメディ映画を見ても分かるように、コルブッチ監督、実はあんまりコメディ、ギャグ路線は得意としてないんじゃないかと思うんですが。少なくとも日本人の感性とは少々ズレているような気がします。

トーマス・ミリアン演じる日本人サクラ(ってそもそも名前がどうなんだ)の設定がそもそもオカシイとか、日本人には見えないとかいう、大きな突っ込みどころから、イーライ・ウォラック演じるブラック・ジャックとジュリアーノ・ジェンマ演じるスイス・チーズが長距離を一瞬で移動してたりという、小さな突っ込みどころまで、随所に突っ込みどころが満ち溢れています。そもそも、それは小さな突っ込みどころなのか、という気もしますが、それくらいのことはだんだん小さなことに思えてきます。これは監督というより、そもそも脚本の問題なような気もしますが。

ただ、まぁ、まったく面白くないか、というとそんなこともなく、随所に出てくるギャグには、それなりに笑えるものもありますし、クライマックスの乱戦シーンには、往年のコルブッチらしい演出(要するにガンガン人が吹っ飛んで死ぬ)も見られます。それでも、主人公たちは銃を撃っているシーンよりも、殴り合いをしているシーンが多いのは明らかに『風来坊/花と夕日とライフルと… 』(1970)あたりからのコメディ・マカロニウエスタンの影響を受けていますね。

ちなみにこの映画、ジェンマ、ミリアン、ウォラックの女装シーンが見られるという、ある意味でレアな作品でもあります。ウォラックの女装って……誰得?

セルジオ・コルブッチ(1978)『笑激のギャンブルマン』

ODDS AND EVENS
製作国:イタリア
上映時間:116分
監督:セルジオ・コルブッチ
監督:テレンス・ヒル/バッド・スペンサー/ルチアーノ・カテナッチ

マカロニウエスタンの巨匠セルジオ・コルブッチが監督した現代を舞台にしたアクション・コメディ。主演はお馴染みテレンス・ヒル&バッド・スペンサーのコンビ。

 ヒル扮する海軍中尉が、スポーツ界を侵す八百長組織の殲滅を命令される。彼は兄のスペンサーに助力を頼み、二人でギャング団に乗り込んだが……。T・ヒルとB・スペンサーのコンビによるスラップスティック・コメディ。

マカロニウエスタン史に燦然と輝く名作『続・荒野の用心棒』(1966)など、数々の名作マカロニウエスタンを監督したセルジオ・コルブッチですが、晩年は本作のようなアクション・コメディやエロチック・コメディを量産しています。ある意味、一貫して大衆娯楽映画を作り続けたとも言えます。ただ、ぼくが今まで見たコルブッチ監督のマカロニウエスタンは6本。どれも文句なしの傑作でした。一方、今までぼくが見たアクション・コメディは3本ですが、『レッドオメガ追撃作戦』(1980)が水準以上の出来だったことを除くと、本作を含め、いまいちである感は拭えません。

本作も、テレンス・ヒルとバッド・スペンサーのでこぼこコンビはそれなりに面白いのですが、ストーリーにほとんど起伏がなく、同じようなシーンが続き、だんだんとだれてしまいます。クライマックスの乱闘シーンも、これだけ同じような映画を見ると、少々食傷気味という感もなきにしもあらず、といったところです。

記事検索
カテゴリ別アーカイブ
【PR】
このサイト経由でDVDを買ったりするとポイントが貯められる。
日々の生活にhappyをプラスする|ハピタス
タグクラウド
月別アーカイブ
livedoor プロフィール
  • ライブドアブログ