IF YOU MEET SARTANA PRAY FOR YOUR DEATH
製作国:イタリア/フランス/西ドイツ
上映時間:95分
監督:ジャンフランコ・パロリーニ
出演:ジャンニ・ガルコ/ウィリアム・バーガー/ジャンニ・リッツォ/フェルナンド・サンチョ/クラウス・キンスキー
『砂塵に血を吐け』(1967)でジャンニ・ガルコが演じたキャラクター・サルタナ。彼はその黒ずくめの風貌と洗練された立ち振る舞いで人気を博し、スピンオフ的な映画が4本作られました。本作はその1作目。アルバート・カーディフ監督がメガホンを取った『砂塵に血を吐け』はなかなかシリアスな映画でした(そもそもサルタナは悪役であり、その作品の最後で死んでいます)が、『西部悪人伝』(1970)などを手がけるマカロニ界のエンターテイナー、ジャンフランコ・パロリーニ監督の手になる本作は、痛快なエンターテインメント・ウエスタンに仕上がっています。
西部のある街からグリーンヒルに向けて馬車が出発します。その馬車には銀行の金庫が載せられていました。メンドーサ将軍(フェルナンド・サンチョ)の部下たちが馬車の護衛に付きます。しかし、馬車が街から離れたとき、ラスキー(ウィリアム・バーガー)率いる無法者が馬車を襲い、護衛、乗客を皆殺しにして金庫を強奪してしまいます。部下たちをも皆殺しにし、金庫を一人占めするラスキー。しかし、金庫に入っていたのは石屑だけだったのでした。一方、そのころサルタナ(ジャンニ・ガルコ)が襲われた馬車を通りがかります。金の匂いを嗅ぎつけた彼も街にやってきたのでした。
少しして、ラスキーが銀行家アルマン(ジャンニ・リッツォ)の元を訪れます。実は、彼らはグル。狂言強盗によって預金者の金塊を我が物にしようと企んでいたのでした。そこから、アルマン、ラスキー、サルタナ、そして企みに気付いたメンドーサ将軍の金を巡る4つ巴の争いがはじまるのでした……
本作は日本では劇場未公開な上に、ソフトも発売されていません。そこで以前『砂塵に血を吐け』を見たときと同様、「SARTANA THE COMPLETE SAGA」というサルタナシリーズをまとめて収録した輸入盤DVDセットに収録されている版を視聴しました。『砂塵に血を吐け』同様英語音声字幕なしだったので、込み入った内容に誤解があるかもしれません。あと、やはり画質はいまいちでした。
さて、本作で登場するサルタナですが、初登場の『砂塵に血を吐け』との共通点は黒ずくめの衣装と演者がジャンニ・ガルコだという点くらいです。人物の性格などは非常に明るくなっており、エンターテインメント寄り。パロリーニ監督お得意のおもしろ銃器を操って戦います(とは言え、本作はまだ真面目なほうか)。
砂金を巡る二転三転するストーリーはなかなか面白い。まぁ、マカロニウエスタンでは奪った金がおとりだった場合、たいてい銀行家が黒幕なのは定石ですし、その上銀行家を演じているのがあのジャンニ・リッツォとなると、おおよその筋書きは簡単に読めてはしまうのですが。銀行家、事業家など、善良な市民の皮を被った悪人役でマカロニに良く出てくるリッツォですが、本作は彼の出演作の中でもかなり出番が多いほうの映画かもしれません。最後までストーリーに絡んできます。
逆の意味で驚きだったのがクラウス・キンスキー。オープニングのスタッフロールでも大きく名前が扱われる割に、中盤であっさりサルタナにやられて退場してしまいます。てっきりキンスキーがラスボスになるのかと思っていたのですが、そんなことはありませんでした。
そして準主演のウィリアム・バーガー。彼は昨日見た『血斗のジャンゴ』(1967)にも出演していました。比較的寡黙な役が多い印象のある彼ですが、本作と言い『西部悪人伝』(1970)といい、ジャンフランコ・パロリーニ監督の映画ではよく笑う、最後まで敵なのか味方なのかよく分からない役を演じていますね。本作の彼もかなり良かったです。
そしてフェルナンド・サンチョは……やっぱりフェルナンド・サンチョです(笑)。でも、本作では比較的善人寄りの人物だったような気がしないでもありません。