MY WEEK WITH MARILYN
製作国:イギリス/アメリカ
上映時間:100分
監督:サイモン・カーティス
出演:ミシェル・ウィリアムズ/エディ・レッドメイン/ケネス・ブラナー/エマ・ワトソン

マリリン・モンローを描いた映画といえば『ノーマ・ジーンとマリリン』(1996)が思い浮かびます。アカデミー賞の話題で本作でマリリンを演じたミシェル・ウィリアムズが主演女優賞候補になったと聞いて、相変わらずアメリカ人はマリリン・モンローが好きだなぁと思っていました。が、本作の背景となっているのがマリリンがイギリスに渡り、ローレンス・オリヴィエと共演した『王子と踊子』(1957)制作の舞台裏と聞いて、少々興味を持っていたところ、内幕ものとしての出来もなかなか良いと聞き、見てみることにしました。

 1956年、ハリウッドのスーパースター、マリリン・モンローは、単なるセックス・シンボルから演技派への脱皮を図るべくイギリスへと渡り、名優ローレンス・オリヴィエが監督・主演する映画「王子と踊り子」に出演した。本作は、当時駆け出しの助監督だった青年コリン・クラークが、これまで秘密にしてきた撮影の舞台裏を綴った2冊の回顧録を基に、ナーバスなモンローの世話役となったコリンが目の当たりにするモンローの実像と、次第に距離を縮めていく2人の儚いロマンスの行方を描き出す。主演は、本作の演技で数々の映画賞に輝いた「ブロークバック・マウンテン」「ブルーバレンタイン」のミシェル・ウィリアムズ、共演にケネス・ブラナー、エディ・レッドメイン、エマ・ワトソン、ジュディ・デンチ。監督はTV、舞台を中心に活躍し、本作で長編映画デビューを飾ったサイモン・カーティス。
 1956年、マリリン・モンローは、ローレンス・オリヴィエ監督・主演作「王子と踊り子」の撮影のためロンドンに降り立つ。演技派への飛躍を胸に、本作に並々ならぬ意欲を見せていたマリリンだったが、彼女の学んでいた演技法はオリヴィエによって否定されてしまい、様々なプレッシャーから遅刻も常習化していく。おまけに、結婚したばかりの夫アーサー・ミラーは、情緒不安定なマリリンを持て余し、さっさと帰国してしまう。そんな中、撮影がはかどらず苛立つオリヴィエからマリリンの見張り役を命じられる第3助監督のコリン・クラークだったが…。

結果から言うと、『ローマの休日』(1953)式のラヴロマンスものとしても、映画制作の内幕ものとしても、少々淡白ながらも、なかなか無駄のない構成にまとまっており、非常に楽しく見ることが出来ました。映画前半では不安定で自分勝手なマリリン(ミシェル・ウィリアムズ)という外側の描写が多いですが、コリン(エディ・レッドメイン)とマリリンの距離が近づくにつれ、彼女の人間としての葛藤が描かれ、それだけにカメラの前ではパーフェクトに振舞おうとする彼女の強い一面が立ち現れるような構成になっています。そう考えると、やはり少々演出は淡白かも。

マリリンを演じたミシェル・ウィリアムズには、少々細身で、映画冒頭ではあまりマリリン・モンローには似ていないという印象を受けたのですが、私生活面での不安定なマリリンを演じるには、彼女くらいのスタイルが意外と似あっており、だんだんとマリリン・モンローらしく見えてくるところは、さすが。

また、ローレンス・オリヴィエ役にはオリヴィエの再来とも呼ばれる名優ケネス・ブラナーがキャスティングされており、重厚ながら非常にチャーミングな演技を見せてくれています。