製作国:日本
上映時間:64分
監督:牧口雄二
出演:潤ますみ/坂口徹/中島葵/長島隆一
牧口監督のデビュー作『玉割り人ゆき』(1975)の続編に当たる作品。メインキャストで続投なのは主演の潤ますみのみ。前作では京都の島原を舞台に玉割り人である「ゆき」の悲恋が叙情的に描かれました。本作では舞台をゆきの故郷金沢に移し、やはり彼女の悲劇的な恋愛が描かれます。
前作ではゆき(潤ますみ)と無政府主義者・森(大下哲矢)の悲恋が、言うなれば男らしい森の世界と女性同士の世界であるゆきの世界というふたつの世界を背景に描かれていました。一方で本作でゆきの恋愛の相手となるのは夕月楼の楼主であり、唄いの名人である清次郎(坂口徹)。また、清次郎の昔の恋人である、お俊(中島葵)との三角関係が色濃く描かれる都合上、前作のようなさらっとした触感は薄れ、少々どろどろした印象になってしまっているのは残念。
しかし、前作同様ソフトフォーカスを多用した撮影や、地唄を上手く使った演出など、美しい映像を撮ろうという姿勢が継続して見られるのは嬉しい点です。
因縁に囚われる3人をよそに、飄々と生きる、少々トリックスターじみた絵師・伊藤青雨(長島隆一)のキャラクターが印象に残りました。彼もきっと若い頃はいろいろあったんだろうなぁ、と思わせる演技が見事。