The Mansion of Madness
製作国:メキシコ
上映時間:82分
監督:フアン・ロペス・モクテズマ
出演:アーサー・ハンセル/クラウディオ・ブルック/エレン・シャーマン/マーティン・ラサール
放送業界出身で『エル・トポ』(1969)をはじめとする異端作を生み出し続けたアレハンドロ・ホドロフスキー監督とも交友のあったフアン・ロペス・モクテズマ監督の初監督作。ジャンルはホラーとはなっているものの、ホドロフスキー同様前衛的な演出が多々見られ、非常にジャンルの枠にはめづらい作品となっています。このモクテズマ監督、日本では劇場公開作品は1本もないのですが、ビデオバブルの波の乗ったのか、本作意外にも3作品がVHS化されています。
アメリカでジャーナリストの修行を積んだガストン(アーサー・ハンセル)は故郷フランスの村に帰ってきます。彼は高名な精神医メイヤール博士(アーサー・ハンセル)の独特の治療院を取材しに来たのでした。同行するのは幼少時代の級友であるジュリアン(マーティン・ラサール)と共に治療院を訪れますが、そこには昔の面影はなく、メイヤール博士の唱える治療法もおかしなものばかり。ガストンと別れ先に帰ったジュリアンも狂人たちに馬車を襲われてしまいます。
一方、ガストンはメイヤールの姪という美しい少女・ユージェニー(エレン・シャーマン)に紹介されます。ユージェニーに惹かれるガストン。しかし深夜、ガストンが寝ているとユージェニーの叫び声が。メイヤールの正体は一体何なのか、そして彼の目的は……というお話。
WHDジャパン制作の日本版で視聴したのですが、VHS起こしではないかという感じで画質は非常にあ悪いです。また、アメリカ公開版からのDVD化のようで、セリフはすべて英語吹き替えになっています。『ター博士の拷問地下牢』というタイトルも、アメリカ公開時の「DR. TARR'S TORTURE DUNGEON」の直訳でしょう。
筋書きは上に書いたとおりなのですが、映画には様々な狂人が次々に登場し、観客は困惑させられます。そして意外なクライマックス……意外というかもう何が何やら。不思議な魅力があるのは確かなんですが、中盤あたりから少々辛くなってくることも確かです。ただ、トリップしたような映像世界は保証できますので、一度くらいはご覧になっても損はしないのではないかと。
また、ところどころにコミカルな音楽が入るのですが、そこだけあまりにコミカルで、他のシーンとの乖離がものすごいです。恐らく意図的だとは思うのですが、ここまでジャンルがぐちゃぐちゃなのも凄いなぁ、と。
ヒロインの名前がユージェニーとなっており、ジェス・フランコの『悪徳の快楽』(1969)をはじめとする一連のユージェニーものを連想させますが、おそらくはどちらもマルキ・ド・サドからの引用でしょうね。