今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

メキシコ

フアン・ロペス・モクテズマ(1973)『ター博士の拷問地下牢』

The Mansion of Madness
製作国:メキシコ
上映時間:82分
監督:フアン・ロペス・モクテズマ
出演:アーサー・ハンセル/クラウディオ・ブルック/エレン・シャーマン/マーティン・ラサール

放送業界出身で『エル・トポ』(1969)をはじめとする異端作を生み出し続けたアレハンドロ・ホドロフスキー監督とも交友のあったフアン・ロペス・モクテズマ監督の初監督作。ジャンルはホラーとはなっているものの、ホドロフスキー同様前衛的な演出が多々見られ、非常にジャンルの枠にはめづらい作品となっています。このモクテズマ監督、日本では劇場公開作品は1本もないのですが、ビデオバブルの波の乗ったのか、本作意外にも3作品がVHS化されています。

アメリカでジャーナリストの修行を積んだガストン(アーサー・ハンセル)は故郷フランスの村に帰ってきます。彼は高名な精神医メイヤール博士(アーサー・ハンセル)の独特の治療院を取材しに来たのでした。同行するのは幼少時代の級友であるジュリアン(マーティン・ラサール)と共に治療院を訪れますが、そこには昔の面影はなく、メイヤール博士の唱える治療法もおかしなものばかり。ガストンと別れ先に帰ったジュリアンも狂人たちに馬車を襲われてしまいます。

一方、ガストンはメイヤールの姪という美しい少女・ユージェニー(エレン・シャーマン)に紹介されます。ユージェニーに惹かれるガストン。しかし深夜、ガストンが寝ているとユージェニーの叫び声が。メイヤールの正体は一体何なのか、そして彼の目的は……というお話。

WHDジャパン制作の日本版で視聴したのですが、VHS起こしではないかという感じで画質は非常にあ悪いです。また、アメリカ公開版からのDVD化のようで、セリフはすべて英語吹き替えになっています。『ター博士の拷問地下牢』というタイトルも、アメリカ公開時の「DR. TARR'S TORTURE DUNGEON」の直訳でしょう。

筋書きは上に書いたとおりなのですが、映画には様々な狂人が次々に登場し、観客は困惑させられます。そして意外なクライマックス……意外というかもう何が何やら。不思議な魅力があるのは確かなんですが、中盤あたりから少々辛くなってくることも確かです。ただ、トリップしたような映像世界は保証できますので、一度くらいはご覧になっても損はしないのではないかと。

また、ところどころにコミカルな音楽が入るのですが、そこだけあまりにコミカルで、他のシーンとの乖離がものすごいです。恐らく意図的だとは思うのですが、ここまでジャンルがぐちゃぐちゃなのも凄いなぁ、と。

ヒロインの名前がユージェニーとなっており、ジェス・フランコの『悪徳の快楽』(1969)をはじめとする一連のユージェニーものを連想させますが、おそらくはどちらもマルキ・ド・サドからの引用でしょうね。

アレハンドロ・ホドロフスキー(1969)『エル・トポ』

EL TOPO
製作国:メキシコ
上映時間:123分
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー/ブロンティス・ホドロフスキー/デヴィッド・シルヴァ

 かつて“メキシコ映画祭”でささやかに上映されただけの伝説のカルト・ムービーが、ビデオ・ブームに乗ってようやく一般公開となった。山賊を始め、哲学者、自然主義者、聖人などを次々に撃ち殺していく、エル・トポ(もぐら)と呼ばれる一人の男。荒野を血で染めぬいた挙げ句、命を落としたエル・トポだったが、やがて彼は僧侶として再生し、地底生活を余儀なくされているフリークスを眼にする……。メキシコの誇る偉大なる異能作家ホドロフスキーが、全てを投じて作り上げた一大パノラマで、鮮烈な映像美と深遠なテーマに彩られている。スクリーンから放たれる、ある種麻薬的な魅力は観る者を虜にする。

すごい映画見ちまったなぁ、という感じ。これを消化しなきゃいけないんだろうけれど、今のところ消化しきれなくて、胃に残っている感じ。

映画にはストーリーの辻褄が重要な映画と、そのストーリーを通して訴えるテーマが重要な映画の二通りがあると思う。この『エル・トポ』は正に後者。

西部劇の皮を被ってはいるが、やっていることは禅問答のような、精神的な世界の話。だから、4人の達人は見つかり始めるとすぐに見つかるし、殺せるタイミングになるとすぐに殺せる。そんなことは些末なこと。重要なのは、彼は4人目の達人を殺せなかった。いくら強くなっても、全てを組み伏せることは出来なかったということ。

後半もすごい。改心した主人公は、フリークスを洞窟から解放するために穴を掘り続けるわけなんですが、まさかあんな結末になるとは…… ベトナム戦争の報道なんかの影響もあるんでしょうね。

とりあえず、今の時点で言えるのは、すごい映画だったということと、これを劇場で見る機会に恵まれて幸せだったということです。

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