今日こんな映画観た

日本未公開・未ソフト化の超マイナー映画から、誰もが知っている超大作まで、映画についての鑑賞メモ。
基本的にストーリーは結末まで記しているため、ご注意ください。

スペイン

セルジオ・レオーネ(1961)『ロード島の要塞』

Il colosso di Rodi
製作国:イタリア/スペイン/フランス
監督:セルジオ・レオーネ
出演:ロリー・カルホーン/レア・マッセリ/ジョルジュ・マルシャル/コンラード・サン・マルティン

本作は、『荒野の用心棒』(1964)、『夕陽のガンマン』(1965)などの作品で知られるマカロニウエスタンの代表的監督であるセルジオ・レオーネの初監督作です。日本でも劇場公開され、VHSも発売されていたのですが、長らくDVD化されていませんでした。今回HDリマスター版としてDVD化されたことにより、巨匠の初監督作に気軽に接することができるようになったことは非常に嬉しいことです。

 ロード島に実在する巨像要塞をテーマにした歴史スペクタクル。レオーネの単独監督としてのデビュー作。戦斗シーンからラストの天変地異まで彼の監督としての確かなセンスをうかがい知ることのできる貴重な一本。

前284年に建てられたロード(ロドスとも)島の巨像と、前226年の地震によるその倒壊という史実を経糸に、島に休暇で訪れていたアテネの英雄ダリオ(ロリー・カルホーン)が、ロード島のセルセ王(ロベルト・カマルディエル)の重臣ティレオがフェニキアと組んで王位を簒奪しようとする陰謀に巻き込まれる、という物語を緯糸にストーリーが展開されていきます。実際には巨像は建てられてから倒壊まで50年以上の時間経過があるわけなのですが、本作では長く見積もっても1ヶ月程度ってところになっていますね。

ジャンルとしては当時イタリアで盛んに制作された史劇、いわゆるソード&サンダルものになるわけなのですが、ジャンルが合わなかったのか、後に西部劇で見られるような特徴的な演出はまだほとんど見られません。ただ、その中でも、巨像のギミックや、中盤の処刑場からの脱走シーンの音楽と演出など、面白いシーンも多く、全体としては水準以上の娯楽作に仕上がっています。クライマックスの地震のシーンも、これでもかというほどのスペクタクルシーンとして仕上がっており、なかなかの見せ場になっていました。

コンラード・サン・マルティン、ロベルト・カマルディエルなど、後のマカロニウエスタンでもたまに見かけることのできる俳優さんも出ており、そういった部分でも楽しめます。

ドゥッチオ・テッサリ(1966)『キスキス・バンバン』

Kiss Kiss... Bang Bang
製作国:イタリア/スペイン
上映作品:90分
監督:ドゥッチオ・テッサリ
出演:ジュリアーノ・ジェンマ/ジョージ・マーティン/アントニオ・カサス/ロレッラ・デ・ルーカ/ニエヴェス・ナヴァロ

『タイタンの逆襲』(1962)など史劇時代からのコンビであり、『夕陽の用心棒』(1965)でジュリアーノ・ジェンマを一躍スターにしたドゥッチオ・テッサリ監督が、『続・荒野の1ドル銀貨』(1965)のあと、ジェンマをはじめ、ジョージ・マーティン、アントニオ・カサス、ロレッラ・デ・ルーカ、そしてニエヴェス・ナヴァロなど、主なスタッフ・キャストをそっくりそのまま使って撮ったのが007もどきというか、コメディ・スパイものである本作です。

任務中に100万ドルを強奪した罪で死刑に処される寸前の元イギリス情報部員のカーク(ジュリアーノ・ジェンマ)の元に、かつての上司から仕事の依頼が届きます。その内容とは、スイスの研究所で発見された、戦闘機や宇宙船に使用する新合金を作り出す公式を盗み出すこと。もともとイギリスの依頼で研究されていた新合金でしたが、その公式をミスター・Xという男が狙っていることが分かり、彼より先に手に入れるための任務でした。

刑の免除と豊富な年金、そして部下として軽業師のチコ(ジョージ・マーティン)、天才科学者であるパデレスキー(アントニオ・カサス)、そして金庫破りの名人デュポン(マヌエル・ムニス)を付けることを条件に、カークは依頼を引き受けます。

4人は力を合わせ、公式を手に入れることに成功します。が、カークはそれをイギリスに引き渡すのではなく、ミスター・Xに高く売りつけ、その金を4人で山分けして高飛びすることを目論むのでしたが……というお話。

今月1日に自動車事故で逝去したジュリアーノ・ジェンマが、相棒とも言うべき監督ドゥッチオ・テッサリと組んで作り上げた本作は、非情に楽しそうな、なんでもありのコメディ作品に仕上げられています。ほぼ同スタッフ、同キャストで作られた『続・荒野の1ドル銀貨』はシリアスな作品でしたが、こちらはその反動であるかのように突き抜けたコメディ作品です。

タイトルからして『007/サンダーボール作戦』(1965)の劇中歌のパロディである本作。劇中でも007シリーズのパロディももちろんありますが、どちらかというと、後年の『I fantastici 3 $upermen』(1967)シリーズを彷彿とさせるような、スラップスティック・コメディや、ナンセンス・ギャグの要素を多分に含んだ非情にばかばかしい、楽しい作品になっています。

ジェンマが元体操選手だったことは有名ですが、ジョージ・マーティンも元スペインの体操チームの代表選手だったそうで、そんな二人が昔取った杵柄とばかりに飛び跳ねる遊園地での逃走シーンは見ていて非情に楽しい気分になります。

それにしても、『続・荒野の1ドル銀貨』主要メンバーで唯一本作に出演していないフェルナンド・サンチョは何をしていたんですかねぇ。まぁ、きっとマカロニウエスタンに引っ張りだこだったんでしょう。

ファン・ピケール・シモン(1983)『ブラッド・ピーセス/悪魔のチェーンソー』

Mil gritos tiene la noche
製作国:アメリカ
上映時間:85分
監督:ファン・ピケール・シモン
出演:イアン・セラ/リンダ・デイ・ジョージ/クリストファー・ジョージ/フランク・ブラナ

以前スペインに行ったときに「Spanish Exploitation -Sexo, Sangre y Balas」(スペインのエクスプロイテーション映画〜セックス、血、銃弾)という本を買ったのですが、その表紙を飾っていたのが本作でした。まさか日本でDVDは出ていないだろうと思ってスペイン版を買ったのですが、意外にも日本でDVD化されていたようです。

 少年時代、ヌード・パズルを母親に取り上げられ、逆上! 母親を斧でバラバラにしてしまった異常性格殺人者。少年であるがために、捜査線上から外され、ぬくぬくと育って40年、再び、平和な学園でその殺しの病が再発する。今度はチェーンソーで美女の肉体を切り刻み、気に入った“部品”で、究極の美女パズルを完成させようとするのだ。切断シーンは、非常にストレートで、潔ささえ感じてしまう。ある意味、元祖「悪魔のいけにえ」を超えているかも……。

allcinemaではアメリカ映画となっていますが、実際は西米合作映画です。上にも書いたように、日本版DVDもあるのですが、ぼくはスペイン版のDVDで視聴しました。当然スペイン語音声字幕無しなので、細かいところは理解できていません。まぁ、台詞が聞き取れなくともそこまで問題がある映画だとも思えません。

上にもあるように、少年時代のトラウマをそのまま抱えて大きくなってしまった男が、美少女たちを順番にどんどん殺してゆく映画、といったところです。スプラッターとしてはまぁまぁ面白いですが、本の表紙になるほどの記念碑的映画とも思えないんですが……。字幕があるとまた少しは違うんですかね(あんまり違わないと思う)。

スプラッタ、お色気、スプラッタ、お色気と分かりやすいくらいのエクスプロイテーション映画なのですが(あ、だから表紙になったのか)、最後の落ちはちょっとやりすぎなんじゃ…… あと中盤で突如出てくるカンフーの先生(呂小龍/ブルース・リ)が学校に潜入した女性警官(リンダ・デイ・ジョージ)を突如襲撃するシーンは割と意味不明で面白いです。

原題は「夜は千の絶叫を持っている」くらいの意味ですかね。アメリカのB級映画でよく見かけるクリストファー・ジョージや、マカロニウエスタンでもお馴染みのフランク・ブラナの姿が見られるのはファンには嬉しいところです。

エミリオ・エステヴェス(2010)『星の旅人たち』

The Way
製作国:アメリカ/スペイン
上映時間:128分
監督:エミリオ・エステヴェス
出演:マーティン・シーン/デボラ・カーラ・アンガー/ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン/ジェームズ・ネスビット

息子であるエミリオ・エステヴェスが脚本・監督を担当し、父親であるマーティン・シーンが主演したキリスト教三大聖地のひとつであるサンティアゴ・デ・コンポステラを目指す巡礼の道、カミノ・デ・サンティアゴを歩く初老の男性と、彼の道行きとなる年齢も国籍も異なる3人の男女の姿を描いたロードムービー。

 俳優のみならず監督としても活躍するエミリオ・エステヴェスが、実父マーティン・シーンを主演に迎え、監督・脚本・製作・出演で撮り上げた感動のヒューマン・ロード・ムービー。志半ばで命を落とした息子の気持ちを理解しようと聖地巡礼の旅を引き継いだ父親が、個性豊かな巡礼者たちとの交流の中で心癒されながら再生していく姿を、美しい風景をバックにペーソス溢れるタッチで綴る。
 ある日、アメリカ人眼科医トム・エイヴリーのもとに、一人息子ダニエルの訃報が届く。それは、ダニエルが聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅に出た矢先の悲劇だった。フランスとスペインの国境の町までやって来たトム。ダニエルの遺品と遺灰を手にした彼は、息子が巡礼の旅に求めたものが何だったのかを知ろうと、息子に代わり、旅を続けることを決意する。それは、800キロにもおよぶ長旅。その道中、彼は旅の目的も様々な巡礼者たちとの出会いを重ね、少しずつ彼らと打ち解けていくのだが…。

監督も努めるエミリオ・エステヴェスが、嵐にあって命を落とした息子・ダニエル役で出演もしており、親子役で実際の親子が競演しているという、そういった点もなかなか面白い映画です。彼は父親・トムが見る幻として要所要所に出現し、彼を励ましたり、嗜めたりという行動を取るのですが、彼が父親を見つめる眼は慈愛に満ちており、彼の存在が映画を柔らかなものにしています。

ストーリー自体は、巡礼を通じてトムを初めとする登場人物たちが前向きな感情を培ってゆく、という意外性のないものですが、マーティン・シーンを初めとする主演の4人の演技、軽快な音楽、そして街道の美しい風景を見ていると幸せな気持ちになれる映画です。

もともと、ぼく自身がそう遠くない未来にカミノ・デ・コンポステラを歩こうと計画しており、そんなときに偶然見つけたこの映画。ますます巡礼に出るのが待ち遠しくなる、そんな映画でした。

フアン・アントニオ・バルデム(1969)『最後の戦塵』

EL ULTIMO DIA DE LA GUERRA / THE LAST DAY OF WAR
製作国:スペイン/アメリカ
上映時間:96分
監督:フアン・アントニオ・バルデム
出演:ジョージ・マハリス/ジェラルド・ハーター/マリア・ペルシー/ジェームズ・フィルブルック

アメリカ軍軍曹・チップス・スレーターをジョージ・マハリスが、ドイツ軍将校スコルヒをジェラルド・ハーターが演じたマカロニ・コンバット……と書こうとしたのですが、マカロニではないようです。一応イタリア資本も入っているようなのですが、監督のフアン・アントニオ・バルデムもスペイン人なので、パエリヤ・コンバットとでも呼ぶべきでしょうか……? 予算とか、内容とかは典型的なマカロニ・コンバットという感じですが。

第二次大戦最末期(原題は「戦争の最期の日)、アメリカ軍人チップス(ジョージ・マハリス)は、ドイツ人科学者トゥルップ博士(トマス・ブランコ)を保護するよう命令を受けます。任務に当たる部下たちの他に、博士の娘(?)であるエレナ(マリア・ペルシー)が一行に加わります。一方、ドイツ軍将校スコルヒ(ジェラルド・ハーター)も、圧倒的に不利な戦局の中、最後の任務としてトゥルップ博士の抹殺を企てていました。

彼らアメリカ部隊とドイツ部隊は所々で局地戦を繰り広げ、双方死傷者を出します。そしてついに、トゥルップ博士を山中に追いつめたスコルヒは、博士抹殺のため、単身山中の教会に入り込みますが、そこはナチスから逃れていた難民たちの隠れ家となっていたのでした……というお話。

戦争映画の割に大規模な戦闘シーンは描かれず、特殊任務についた少数部隊の局地戦が描かれ、小競り合いによって少しずつ登場人物が減っていく……という展開は低予算マカロニ・コンバットに典型的なストーリー。その中では本作はストーリーが比較的しっかりと練られており、そこまでご都合主義的な展開もなく、面白い部類に属する作品と言えます。

アメリカ軍軍曹を演じたジョージ・マハリスは、取り立てた特徴はないものの、無難な役柄。一方のドイツ軍将校を演じたジェラルド・ハーターも、『戦場のガンマン』(1968)のクラウス・キンスキーに比べると「狂気」は感じさせませんが、冷酷で任務に忠実なドイツ将校を手堅く演じています。まぁ、誰であれ、キンスキーと比べるのは理不尽な気もしますが。

アメリカ軍部隊のひとりで、最年少、色男のマルティネスを演じていたサンチョ・グラシアですが、何と後年『マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾』(2002)で主人公フリアンを演じています。あまりに風貌が変わっているので、クレジットを見るまで気付きませんでした。

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